スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)

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26.13.6 統計ログファイルの運用

スタンバイ型系切り替え機能の場合,統計ログファイルはpdstj1とpdstj2の二つのファイルから構成されています。これらのファイルは現用系と予備系にそれぞれ自動的に作成されます。したがって,HiRDB管理者は合計四つのファイルで運用する必要があります。現用系と予備系の統計ログファイルは共用化できません。

1:1スタンバイレス型系切り替え機能,及び影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合,統計ログファイルは,二つのファイル(pdstj1,pdstj2)から構成されています。これらのファイルは現用系HiRDBシステムに一組作成されます。切り替え先では受け入れユニットの統計ログファイルを共用するため,予備系用のファイルは作成されません。したがって,HiRDB管理者は,正規ユニットのファイルと受け入れユニットのファイルで運用してください。

<この項の構成>
(1) アンロード統計ログファイルの作成
(2) 系が切り替わった後の統計情報の取得処理
(3) 統計解析ユティリティの実行

(1) アンロード統計ログファイルの作成

(a) スタンバイ型系切り替え機能の場合

系切り替えが発生すると,統計ログファイルが各サーバマシンに分散して作成されるため,特定のサーバマシンにアンロード統計ログファイルを作成してください。次に示すタイミングでアンロード統計ログファイルを作成することをお勧めします。

系切り替え機能使用時のアンロード統計ログファイルの作成例(その1)を次の図に示します。

図26-74 系切り替え機能使用時のアンロード統計ログファイルの作成例(その1)

[図データ]

ポイント
統計ログファイル名は各サーバマシンで同じになります。そのまま同じ名称でアンロード統計ログファイルを作成しないようにしてください。HiRDBが提供するシェルスクリプト(pdstjacm)を使用する場合も,同じ名称にならないようにシェルスクリプトを変更して使用してください。
(b) 1:1スタンバイレス型系切り替え機能,及び影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合

系切り替えが発生した場合,切り替わり先ホストで使用する統計ログファイルは,切り替え先の受け入れユニットが使用中のファイルです。統計ログ出力先ファイルは,それぞれのホストに分散しているので,アンロード統計ログファイルを特定のサーバマシンに作成してください。

アンロード統計ログファイルを作成するタイミングは,次のとおりです。

系切り替え機能使用時のアンロード統計ログファイルの作成例(その2)を次の図に示します。

図26-75 系切り替え機能使用時のアンロード統計ログファイルの作成例(その2)

[図データ]

ポイント
統計ログファイルは各サーバマシンで同じファイル名になるので,そのまま同じ名称でアンロード統計ログファイルを作成しないようにしてください。HiRDBが提供するシェルスクリプト(pdstjacm)を使用する場合も,同じ名称にならないようにシェルスクリプトを変更して使用してください。
また,統計ログファイルは系が切り替わると,切り替え先のホストとして扱います。

(2) 系が切り替わった後の統計情報の取得処理

(a) スタンバイ型系切り替え機能の場合

系の切り替わり後,切り替え先のHiRDBで統計情報を取得するかどうかは,次に示すオペランドの指定に従います。

pd_statisticsオペランドにYを指定している場合,又はpdstbeginオペランドを指定している場合は,系が切り替わった直後から統計情報を取得します。

なお,pdstbeginコマンドで統計情報の取得を開始した場合に系切り替えが発生すると,切り替え先のHiRDBでは統計情報を取得しません。統計情報を取得するには,切り替え先のHiRDBでpdstbeginコマンドを実行する必要があります。

また,切り替え先のHiRDBで,pdstj1とpdstj2のどちらの統計ログファイルを使用するかは,切り替え先のHiRDBが決定します。使用する統計ログファイルの決定手順は系切り替え機能を使用しないときと同じです。

(b) 1:1スタンバイレス型系切り替え機能の場合

ここでは,代替中の統計情報の取得処理について説明します。代替中の正規BESの統計情報を取得するかどうかは代替BESの統計情報の取得有無に従います。取得する統計情報の種類も代替BESと同じになります。代替中の統計情報の取得処理を次の図に示します。

図26-76 代替中の統計情報の取得処理

[図データ]

〔説明〕
代替中の場合,BES1とBES2の統計情報の取得処理は次のようになります。
  • BES1:代替BES(BES3)と同じbuf,dfwを取得します。
  • BES2:代替BES(BES4)と同じsysを取得します。
BES3とBES4については変わりありません。
代替BESユニット(UNT2)の統計ログファイルには,BES3とBES4の統計情報に加えて,BES1とBES2の統計情報が出力されます。

備考
代替中の正規BESと代替BESの統計情報の取得有無,及び取得する統計情報の種類が同じになります。図26-76を例にして説明します。
  • BES3の統計情報の取得をpdstendコマンドでやめると,BES1の統計情報も取得されなくなります。同様に,BES1の統計情報の取得をpdstendコマンドでやめると,BES3の統計情報も取得されなくなります。
  • BES3の取得する統計情報の種類をpdstbegin又はpdstendコマンドで変更すると,BES1の統計情報の種類も変更されます。同様に,BES1の取得する統計情報の種類をpdstbegin又はpdstendコマンドで変更すると,BES3の統計情報の種類も変更されます。

系を切り戻した場合
系を切り戻した場合(代替中から正常状態に戻した場合),正規BESの統計情報の取得有無,及び取得する統計情報の種類は次に示すオペランドの指定に従います。
  • pd_statistics
  • pdstbegin
したがって,pdstbeginコマンドで統計情報の取得有無を変更している場合,又は取得している情報の種類を変更している場合は,再度pdstbeginコマンドを実行する必要があります。
(c) 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合

系切り替えが発生した場合,切り替え前の統計ログの取得状況を引き継ぎます。つまり,系切り替え前に統計ログを取得していた場合は,システム共通定義のpd_statisticsオペランドの指定に関係なく,系切り替え後も切り替えたサーバに関する統計ログを取得します。このとき,統計ログファイルは,切り替え先の受け入れユニットと共用します。また,系切り替え前に統計ログを取得していなかった場合は,系切り替え後も統計ログを取得しません。その場合,切り替わった後でpdstbeginコマンドを入力すれば,統計ログの取得を開始できます。

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での統計ログの取得状況を次の表に示します。

表26-47 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での統計ログの取得状況

ユニット種別 取得の有無 受け入れユニット
正規ユニット 取得中 取得する
取得していない 取得しない

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合の系切り替え後の統計ログの取得の例を次の図に示します。

図26-77 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合の系切り替え後の統計ログの取得の例

[図データ]

(3) 統計解析ユティリティの実行

(a) スタンバイ型系切り替え機能の場合

作成したアンロード統計ログファイルを入力情報として,統計解析ユティリティを実行してください。ただし,障害などで系が切り替わった場合,切り替わる直前の統計ログはファイルに正しく取得されていません。このため,統計解析ユティリティを実行しても誤差が生じることがありますので,この点を考慮した上でチューニングなどに使用してください。

(b) 1:1スタンバイレス型系切り替え機能,及び影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合

正規ユニット,及び受け入れユニットで作成したアンロード統計ログファイルを入力情報として,統計解析ユティリティを実行してください。このとき,系切り替え前のファイルはOSのコマンドなどを使用して手動でコピーする必要があります。なお,系切り替え中のサーバの統計情報は,受け入れユニットに属するサーバの情報として処理されます。

ただし,障害などで系が切り替わった場合,切り替わる直前の統計ログのファイルを正しく取得されていません。このため,統計解析ユティリテイを実行しても誤差が発生することがありますので,この点を考慮した上でチューニングなどに使用してください。