スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)
監査証跡表の自動データロード機能を適用すると,pdloadコマンドがデータロード中でもNOWAIT検索で監査証跡表が参照できます※。監査証跡表を参照するときは,SQLの排他オプションにWITHOUT LOCK NOWAITを指定してください。SQLの排他オプションを指定しないで監査証跡表を参照した場合,pdloadコマンドの実行中に監査証跡表にアクセスしようとしたSQLが排他解除待ちになることや,SQLで検索中の監査証跡表にデータロードしようとしたpdloadコマンドが排他解除待ちタイムアウトになることがあり,pdloadコマンドが異常終了するおそれがあります。
自動データロード機能では,排他解除待ちタイムアウトのようなリトライ可能なエラーが発生した場合,再度データロードを行いますが,エラーが繰り返し発生した場合は機能を停止します。この場合,自動データロード機能を手動で再開始する必要があります。エラーの内容に応じた対処方法については,「表23-36 自動データロード実行中の障害内容と対処方法」を参照してください。
検索方法 | データロード中でない場合 | データロード中の場合 | |||
---|---|---|---|---|---|
pdloadコマンドが使用するバッファ | pdloadコマンドのインデクス作成方法 | ||||
グローバル | ローカル | 同時作成 | 一括作成 | ||
NOWAIT検索 | ○ | ○ | × | ○ | × |
上記以外の検索 | ○ | × | × | × | × |
監査証跡表の自動データロード機能を適用した場合の,機能の開始及び停止のタイミングを次に示します。
次の場合,自動データロード機能は即時に停止します。データロードされなかった監査証跡ファイルは,次回pdstartコマンド又はpdaudatldコマンドを実行した時にデータロードを実行します。
pdaudatldコマンドは,監査証跡表の自動データロード機能の再開始と停止を制御するコマンドです。詳細については,マニュアル「HiRDB Version 8 コマンドリファレンス」を参照してください。
監査人は,pdaudatldコマンドで自動データロード機能を任意の時点で一時停止できます。ここでは運用例として,自動データロード機能を一時停止し,機能を停止した時点又は一日の業務終了時点での監査証跡表の内容をアンロードログファイルに退避し,バックアップを取得する方法について説明します。
監査証跡表の自動データロード機能を適用している場合,HiRDBの停止処理の動作が変わることがあります。停止処理ごとのHiRDBの動作内容と,対処方法を次の表に示します。
表23-13 監査証跡表の自動データロード機能を適用した場合のHiRDBの停止処理動作
停止処理の種類 | 自動データロードの 実行状態 |
HiRDBの動作 | 対処方法 | ||
---|---|---|---|---|---|
停止処理 | 自動データロード機能の動作状態※1 | ||||
システム正常停止(pdstop実行) 又は システム計画停止(pdstop -P実行) |
未実行 | 自動データロード機能を適用していない場合と動作は同じです。 | 「ENABLE」を保ちます。 | − | |
実行中 |
|
|
|||
システム強制停止(pdstop -f実行) | 未実行 | 自動データロード機能を適用していない場合と動作は同じです。 | 「ENABLE」を保ちます。 | − | |
実行中 |
|
||||
非MGRユニット正常停止(pdstop -u又は-x)※4 | 監査証跡表のあるユニット,又は自動データロード中の監査証跡ファイルのあるユニット | 未実行 | 自動データロード機能を適用していない場合と動作は同じです。 | 「ENABLE」を保ちます。 | − |
実行中 | ユニットは正常停止しません。KFPS05070-E又はKFPS05234-Eメッセージを表示し,pdstopコマンドはエラー終了します。 | 該当するユニットを正常停止する場合は,pdaudatld -tコマンドで自動データロード機能を停止させた後,pdstop -u/-xコマンドを実行してください。 | |||
上記以外のユニット | 未実行 | 自動データロード機能を適用していない場合と動作は同じです。 | 「ENABLE」を保ちます。 | − | |
実行中 | |||||
非MGRユニット強制停止(pdstop -z又は-z -q) 異常終了 ※2※4 |
監査証跡表のあるユニット,又は自動データロード中の監査証跡ファイルのあるユニット | 未実行 | 自動データロード機能を適用していない場合と動作は同じです。 | 「ENABLE」を保ちます。 | − |
実行中 |
|
自動データロード機能を再開始する場合は,pdaudatld -bコマンドを実行してください。 | |||
上記以外のユニット | 未実行 | 自動データロード機能を適用していない場合と動作は同じです。 | 「ENABLE」を保ちます。 | − | |
実行中 | |||||
MGRユニット強制停止(pdstop -z又は-z -q) 異常終了 ※2※4 |
未実行 | 自動データロード機能を適用していない場合と動作は同じです。 | MGRユニットを再開始した後も,動作状態は「ENABLE」を保ちます。 | − | |
実行中 |
|
||||
サーバ正常停止(pdstop -s又は-u -s)※4 | 監査証跡表のあるサーバ | 未実行 | 自動データロード機能を適用していない場合と動作は同じです。 | 「ENABLE」を保ちます。 | − |
実行中 | サーバは正常停止しません。KFPS05071-E又はKFPS05235-Eメッセージを表示し,pdstopコマンドはエラー終了します。 | 該当するサーバを正常停止する場合は,pdaudatld -tコマンドで自動データロード機能を停止させた後,pdstop -s/-u -sコマンドを実行してください。 | |||
上記以外のサーバ | 未実行 | 自動データロード機能を適用していない場合と動作は同じです。 | 「ENABLE」を保ちます。 | − | |
実行中 | |||||
サーバ強制停止(pdstop -s -f,-s -z又は-u -s -z)※3※4 | 監査証跡表のあるサーバ | 未実行 | 自動データロード機能を適用していない場合と動作は同じです。 | 「ENABLE」を保ちます。 | − |
実行中 |
|
自動データロード機能を再開始する場合は,pdaudatld -bコマンドを実行してください。 | |||
上記以外のサーバ | 未実行 | 自動データロード機能を適用していない場合と動作は同じです。 | 「ENABLE」を保ちます。 | − | |
実行中 |
監査証跡表の自動データロード機能を適用している場合,pdaudatld -tコマンドで機能を停止できますが,自動データロードの実行状態によって,機能を停止するタイミングが変わります。自動データロード機能を停止した場合のHiRDBの動作を,次の表に示します。
表23-14 自動データロード機能を停止した場合のHiRDBの動作
自動データロードの 実行状態 |
HiRDBの動作 | |
---|---|---|
pdaudatld -tコマンド実行時の動作 | 自動データロードの動作 | |
未実行 |
|
− |
実行中 |
|
|
(4)及び(5)で,ほかのコマンド(pdstop及びpdaudatld -t)が監査証跡表へのデータロード完了を待ち合わせている場合があります。データロードが完了するとコマンドの実行を再開しますが,データロードがエラー終了した場合は,データロードを待ち合わせないでコマンドの実行を再開します。このときのHiRDBの動作を次の表に示します。
表23-15 監査証跡表へのデータロード完了を待ち合わせている状態で,データロードが終了した場合のHiRDBの動作
監査証跡表への データロード完了を 待ち合わせている コマンド |
データロードの終了状態 | |
---|---|---|
正常終了した場合 | エラー終了した場合 | |
pdstop |
|
|
pdaudatld -t |
|
|
監査証跡表の自動データロード機能を適用することで,監査証跡ファイルの管理は不要となります(I/Oエラーが発生した場合を除きます)が,監査証跡表を格納するRDエリアの容量が不足しないように注意する必要があります。
監査証跡ファイルに監査証跡が記録される限り,データロードは自動的に続くため,監査証跡表を格納するRDエリアの容量が不足するとデータロードができなくなり,自動データロード機能が停止します。
自動データロード機能が停止した場合は,不要なデータを削除,又はRDエリアを拡張した後に,自動データロード機能を再開始する必要があります。対処方法については,「表23-36 自動データロード実行中の障害内容と対処方法」を参照してください。
監査証跡ファイルをデータロードしている途中で別の監査証跡ファイルがスワップした場合,先行の監査証跡ファイルの処理が完了するまでは排他待ち状態となり,データロードできません。
先行するデータロード処理に障害が発生した場合など,排他待ち状態が長時間に及ぶと,データロード待ちの監査証跡ファイルが増えるおそれがあります。pd_lck_wait_timeoutオペランドの値を0としている場合は,排他待ち状態が解除されるまで待ち続けるため,pdaudatldコマンドで監査証跡ファイルの状態を随時監視するようにしてください。
HiRDBが監査証跡ファイルをデータロードする場合,pdloadコマンドでは実行ユーザの権限チェックをしないため,権限チェック時の監査記録は出力しません。また,イベント終了時の監査記録に出力されるユーザ識別子の長さは0バイトです。
監査証跡表の自動データロード機能を適用する場合,システムマネジャを配置したユニットにpd_aud_file_nameオペランドで監査証跡ファイルのパス名を設定してください。設定方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム定義」のpd_aud_file_nameオペランドを参照してください。
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