スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド(UNIX(R)用)

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10.1.1 システム設計

<この項の構成>
(1) サーバ構成
(2) システムマネジャの設置
(3) フロータブルサーバの設置
(4) フロントエンドサーバの複数化
(5) HiRDB/パラレルサーバが使用するメモリ

(1) サーバ構成

フロントエンドサーバ,ディクショナリサーバ及びバックエンドサーバをそれぞれ一つのサーバマシンに配置するのが,HiRDB/パラレルサーバの基本的なサーバ構成です。ただし,各サーバマシンのCPUの処理負荷が高くない場合,一つのサーバマシンに複数のサーバを配置してもかまいません。一つのサーバマシンに複数のサーバを配置すると,必要とする共用メモリが増加します。共用メモリが不足すると,ユニットが開始できなくなるため,メモリ所要量を十分見積もってください。

設置できるサーバ数の範囲を次の表に示します。

表10-1 設置できるサーバ数の範囲

項目 設置できるサーバ数の範囲
システムマネジャ数 1
フロントエンドサーバ数 1〜1,024
ディクショナリサーバ数 1
バックエンドサーバ数 1〜16,382
1ユニットに作成できるサーバ数 1〜34

(2) システムマネジャの設置

次に示す理由のため,システムマネジャを定義するサーバマシンはHiRDB管理者が運用しやすい場所に設置することをお勧めします。

(3) フロータブルサーバの設置

HiRDBは結合処理のような複雑な検索処理をする場合,データベースを持たないバックエンドサーバを優先的に使用して,処理性能を向上します。サーバマシンに余裕があり,複雑な検索処理をする場合にフロータブルサーバの設置を検討してください。フロータブルサーバを設置する場合,作業表用ファイル用のHiRDBファイルシステム領域を作成してください。作業表用ファイル用のHiRDBファイルシステム領域の名称は,バックエンドサーバ定義のpdworkオペランドで指定します。

(4) フロントエンドサーバの複数化

SQL処理のCPU負荷が高く,一つのフロントエンドサーバで処理しきれない場合,フロントエンドサーバを複数設定します。これをマルチフロントエンドサーバといいます。マルチフロントエンドサーバについては,「10.1.3 マルチフロントエンドサーバの設定」を参照してください。

(5) HiRDB/パラレルサーバが使用するメモリ

HiRDB/パラレルサーバが使用するメモリについて説明します。

HiRDB/パラレルサーバは次に示すメモリを使用します。

(a) メモリ所要量

HiRDB/パラレルサーバが必要とするメモリ所要量をサーバマシンごとに見積もってください。HiRDB/パラレルサーバのメモリ所要量については,「16.2 HiRDB/パラレルサーバのメモリ所要量の見積もり」を参照してください。

(b) 共用メモリの割り当て先

HiRDBでは,共用メモリを次の場所に割り当てできます。

(c) 共用メモリのページ固定

HiRDBでは,次に示す共用メモリを実メモリ上に固定できます。

共用メモリを実メモリ上に固定すると,ページの入出力が少なくなるため,性能が安定します。

前提条件
共用メモリのページ固定をするための,OSごとの前提条件を次に示します。
OS 前提条件
HP-UX なし。
Solaris なし。
AIX 64ビットモードであること。
Linux なし。

動作環境の設定
AIXの場合,オペレーティングシステムパラメタの設定が必要となります。オペレーティングシステムパラメタの設定については,「21.3(1) AIX固有のパラメタ指定」を参照してください。

ページ固定の方法
共用メモリのページ固定の方法について,共用メモリの種別ごとに説明します。
  • ユニットコントローラ用共用メモリ
    システム共通定義,又はユニット制御情報定義のpd_shmpool_attributeオペランドにfixedを指定します。
  • グローバルバッファ用共用メモリ
    システム共通定義,又はユニット制御情報定義のpd_dbbuff_attributeオペランドにfixedを指定します。
  • 動的変更したグローバルバッファが使用する共用メモリ
    システム共通定義,又はユニット制御情報定義のpd_dbbuff_attributeオペランドにfixedを指定します。これによって,pdbufmodコマンドを実行して動的変更したグローバルバッファが使用する共用メモリも実メモリ上に固定されます。
  • インメモリデータバッファ用共用メモリ
    pdmemdbコマンドの-pオプションにfixedを指定します。
    注意
    実メモリ上に連続した領域が確保できなかった場合,共用メモリのページ固定ができません。ページ固定に失敗した場合のHiRDBの動作を次に示します。
    OS ページ固定に失敗した場合のHiRDBの動作
    ユニットコントローラ用 グローバルバッファ用 動的変更したグローバルバッファ用 インメモリデータバッファ用
    HP-UX × × ×
    Solaris × × ×
    AIX
    Linux × × ×

    (凡例)
    ○:ページ固定をしないで共用メモリを確保し,処理を続行します。
    ×:HiRDB,又はコマンドが異常終了します。

    注※
    AIXの場合,ページ固定に失敗したときでもシステムコールは正常終了します。そのため,HiRDBからはページ固定に失敗したことが分かりません。ページ固定ができているかどうかは,次の手順で確認してください。
    1. HiRDB稼働中にpdls -d memコマンドを実行し,次の共用メモリセグメントの識別子を確認します。
    ・ユニットコントローラ用共用メモリの場合は,SHM-OWNERにMANAGERと表示されている共用メモリセグメント
    ・上記以外の共用メモリの場合は,SHM-OWNERにユニット名を()で囲んだ文字列,又はHiRDBサーバ名が表示されている共用メモリセグメント
    2. OSのipcs -sコマンドを実行して,1.で確認した共用メモリセグメントの識別子を持つ共用メモリのSID値を確認します。
    3. 2.で確認したSID値に対してOSのsvmonコマンドを実行して,該当する共用メモリの実メモリページ数と固定されているページ数が一致するかどうかを確認します。