スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド(UNIX(R)用)

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21.3 AIXのオペレーティングシステムパラメタの見積もり

ここでは,AIXのオペレーティングシステムパラメタ(カーネルパラメタ)の見積もりについて説明します。オペレーティングシステムパラメタの値が小さいと,HiRDBが正しく動作しないことがあります。AIXのオペレーティングシステムパラメタの指定値の目安を次の表に示します。

表21-3 AIXのオペレーティングシステムパラメタの指定値の目安

オペレーティングシステムパラメタ 指定値の目安
data_hard パラメタの省略値が-1(unlimit)のため,特に必要がなければ変更しないでください。
stack_hard -1(unlimit)を指定してください。
nofiles HiRDBが計算して設定するため,指定する必要はありません。
nofiles_hard パラメタの省略値が-1(unlimit)のため,特に必要がなければ変更しないでください。
maxuproc MAX(pd_max_server_processの値+e,512)以上を指定してください。
ただし,サーバマシン上で稼働するほかのプログラムが必要とする値の方が大きい場合は,その値を指定してください。
EXTSHM環境変数 32ビットモードの場合,ONを指定してください(ただし,1プロセスでアタッチする共用メモリセグメント数が11未満の場合は指定しないでください)。64ビットモードの場合,使用する機能によって設定値が変わります。

e:同時実行するコマンド(ユティリティを含む)の最大数

  • システムで同時にオープンできる最大ファイル数は,「maxuproc×nofiles×固定ライセンス数」で調整できます。
  • システムにログインするユーザの最大数は固定ライセンス数で調整できます。
  • システム全体で同時に実行するプロセスの総数の最大数は,「maxuproc×固定ライセンス数」で調整できます。
<この節の構成>
(1) AIX固有のパラメタ指定

(1) AIX固有のパラメタ指定

(a) 環境変数の指定

AIXの場合,システム共通定義に,次に示す環境変数を指定する必要があります。

(凡例)
○:使用時
×:未使用時
−:該当しません。

注※1
共用メモリのページ固定は,pd_shmpool_attributeオペランド又はpd_dbbuff_attributeオペランドにfixedを設定した場合に使用します。詳細は,マニュアル「HiRDB Version 8 システム定義」の「pd_shmpool_attributeオペランド」又は「pd_dbbuff_attributeオペランド」を参照してください。

注※2
サポートしていません。

注※3
共用メモリサイズが256メガバイト未満の場合は,プロセス停止時の共用メモリデタッチ処理で,OSが4キロバイト単位の共用メモリページ解放を行います。そのため,CPU使用率が上がり,系切り替えが発生することがあります。1プロセスでアタッチする共用メモリセグメント数(pdls -d memコマンドで確認できる共用メモリセグメント数)が11未満の場合は,EXTSHM=ONの指定をしないでください。

注※4
共用メモリのページ固定機能と32ビットモードのクライアントプロセスとの間のプロセス間メモリ通信機能を同時に使用できません。

注※5
指定不要です。
(b) /etc/security/limitsファイルの指定値の注意事項

rootユーザとHiRDB管理者は,次の指定値に注意してください。

(c) 仮想メモリマネージャ(VMM)のチューニングパラメタの指定

特定の機能を使用する場合,次のパラメタを指定します。VMMパラメタはAIXのvmoコマンド(AIX 5L V5.2以降)又はvmtuneコマンド(AIX 5L V5.1)で設定できます。vmoコマンド及びvmtuneコマンドについてはAIXのマニュアルを参照してください。

(d) coreファイルの出力情報の制限

AIX 5L V5.2以降で,プロセス障害時に出力されるcoreファイルに,共用メモリ領域を含まないように設定します。

(e) JFS/JFS2ファイルシステムへのI/O高負荷によるプログラムの沈み込みについての注意事項

JFS/JFS2ファイルシステムへ大量の出力要求を出すプログラム(pdcopyや大きなサイズのファイルに対するcompress,cp,ddコマンドなど)の実行によって,システムのディスク入出力の性能が飽和状態となって,同一システム上で動作するプログラムが数秒から数十秒沈み込む場合があります。

特に,システムの応答時間を監視するHAモニタやHACMPによってクラスタシステム運用を行っている場合,系切り替え動作となる場合があります。

そのため,システムパラメタ(sys0)にOSパラメタを設定してアプリケーションプログラムからの書き込み要求の頻度を平準化できます。次に示すOSパラメタを指定することでファイルキャッシュにディスク装置への書き込みが完了していないI/O要求が大量に滞留しないように制御できます。

OSパラメタ 指定値の目安
maxpout 33
minpout 16

注※
maxpout/minpoutパラメタの最適な設定値は,システムの構成やアプリケーションプログラムの入出力特性に依存します。
そのため,上記の目安値を設定してアプリケーションプログラムのI/O性能への影響が少ない値となるまで増加させる方法が有効です。
maxpout/minpoutパラメタの設定値の詳細については,OSのマニュアルを参照してください。