Dynamic Link Manager Software ユーザーズガイド(Linux®用)
HDLMデバイス上の論理ボリューム(LVM2)を使ったマルチパス構成のブートディスクの環境で,HDLMをアップグレードインストールする方法を説明します。設定を誤ると,OSが起動できなくなることがあるので,注意してください。
この項では,ブートローダはRed Hat Enterprise Linux,またはSUSE LINUX Enterprise Serverでデフォルトとして使われる,GRUBまたはELILOを用いた場合の設定を示します。
- Linuxに,root権限を持つユーザでログインします。
- /etc/fstabファイルの定義で,/bootにHDLMデバイスが指定されていることを確認します。
: : /dev/sddlmaa1 /boot ext3 defaults 1 2 : :この例はGRUBを使用した場合です。ELILOを使用したIPFの場合は,/bootが記述されている行のマウントポイント/bootは/boot/efiに,ファイルシステムタイプext3はvfatと表示されます。- HDLM構成定義ユティリティ(dlmcfgmgr)に-vパラメタを指定して実行して,HDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を確認します。
# dlmcfgmgr -v HDevName Management Device Host Channel Target Lun /dev/sddlmaa configured /dev/sda 0 0 0 0 KAPL10302-I /sbin/dlmcfgmgr completed normally.HDevName列はHDLMデバイス,Device列はSCSIデバイスを表します。- /etc/fstabファイルを編集します。
手順2で確認した/bootのマウントポイントを,HDLMデバイスからSCSIデバイスに書き換えます。既存のHDLMデバイス指定は先頭に#を付けてコメントアウトして,手順3で確認したHDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を基に,次のようにSCSIデバイス指定を追加します。: : #/dev/sddlmaa1 /boot ext3 defaults 1 2 /dev/sda1 /boot ext3 defaults 1 2 : :- ボリュームグループの情報を更新します。
次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループの情報を更新します。# vgscan Reading all physical volumes. This may take a while... Found volume group "VolGroup00" using metadata type lvm2- ボリュームグループとHDLMデバイスの関係を確認します。
次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループを構成する物理ボリュームがHDLMデバイスであることを確認します。
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- LVM2がHDLMデバイスではなくSCSIデバイスを認識するように,/etc/lvm/lvm.confファイルを編集します。
/etc/lvm/lvm.confファイルの編集例を次に示します。図3-17 /etc/lvm/lvm.confファイルの編集例
既存のfilterとtypesの行をコメントアウトし,図に示した網掛けの行を追加します。
また,md_component_detectionの項目をインストール前の値に戻します。- ブートローダの設定ファイルを編集して,OSの起動時にSCSIデバイスを設定した状態で起動する定義に変更します。
「図3-18 /etc/grub.confファイルの編集例」,「図3-19 /boot/grub/menu.lstファイルの編集例(Xenをサポートしているカーネルを使用している場合)」,および「図3-20 /etc/elilo.confファイルの編集例」に示すように,ブートローダの設定ファイルを編集します。
SUSE LINUX Enterprise Serverを使用しているときは,/etc/grub.confファイルの代わりに/boot/grub/menu.lstファイルを編集してください。
設定ファイルの編集例を次に示します。使用しているブートローダに応じて,どれか1つの編集例を参照してください。
具体的な編集方法については,手順9から手順14で説明します。
網掛けの部分を編集します。
図3-19 /boot/grub/menu.lstファイルの編集例(Xenをサポートしているカーネルを使用している場合)
網掛けの部分を編集します。
網掛けの部分を編集します。
- HDLMデバイスからの起動に使用していた設定をコピーします。
- コピーした設定に名前を付けます。
SCSIデバイス指定用だとわかるような名前を任意に付けます。
titleを変更します。
- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
titleを変更します。- ブートローダとしてELILOを使用している場合
labelを変更します。- /etc/fstabファイルで「/」にマウントされるデバイス名をrootに指定します。
Xenをサポートしているカーネルを使用している場合は,ブートローダ設定ファイルの編集規則に従ってrootデバイスを追記してください。- Red Hat Enterprise Linux 6の場合は,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confに定義されている「hdlm_dracut」の記述を確認します。
「hdlm_dracut=y」の記述があるときは,「hdlm_dracut=n」に変更します。
「hdlm_dracut=y」の記述がないときは,手順14に進んでください。- SCSIデバイス用の初期RAMディスクイメージファイルをinitrdに指定します。
Xenをサポートしているカーネルを使用している場合は,moduleで指定されたinitrdファイル名をSCSIデバイス用の初期RAMディスクイメージファイルに変更してください。
ユーザ環境に依存したオプションが設定されている場合,オプションを削除しないように注意してください。
SCSIデバイス用の初期RAMディスクイメージファイルは,OSのmkinitrdコマンドまたはdracutコマンドのマニュアルを参考に作成してください。- 起動時に使用される設定を記述します。
- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
defaultに何番目の有効なtitleであるかを記述します。- ブートローダとしてELILOを使用している場合
defaultにlabelを記述します。- ホストを停止します。
次に示すコマンドを実行してホストを停止します。# shutdown -h now- マルチパス構成をシングルパス構成に変更します。
- ホストを起動します。
- mountコマンドを実行して,/bootにSCSIデバイスがマウントされていることを確認します。
ブートローダとしてGRUBを使用している場合の実行例を次に示します。# mount : : /dev/sda1 on /boot type ext3 (rw) : :下線部を確認してください。- ボリュームグループの情報を更新します。
次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループの情報を更新します。# vgscan Reading all physical volumes. This may take a while... Found volume group "VolGroup00" using metadata type lvm2- ボリュームグループとHDLMデバイスの関係を確認します。
次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループを構成する物理ボリュームがHDLMデバイスでないことを確認します。
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- HDLMをアップグレードインストールします。
「3.6.6 HDLMのアップグレードインストール」を参照して手順2,および手順4から手順13,および手順14(ホストを再起動する場合だけ実行)を実行し,HDLMデバイスを作成してください。インストール後にホストを再起動する場合と再起動しない場合とで,手順が異なりますので注意してください。- dlmcfgmgrユティリティに-vパラメタを指定して実行して,HDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を確認します。
# dlmcfgmgr -v HDevName Management Device Host Channel Target Lun /dev/sddlmaa configured /dev/sda 0 0 0 0 KAPL10302-I /sbin/dlmcfgmgr completed normally.HDevName列はHDLMデバイス,Device列はSCSIデバイスを表します。- LVM2がSCSIデバイスではなくHDLMデバイスを認識するように,/etc/lvm/lvm.confファイルを編集します。
/etc/lvm/lvm.confファイルの編集例を次に示します。図3-21 /etc/lvm/lvm.confファイルの編集例
既存のfilterとtypesの行をコメントアウトし,図に示した網掛けの行を追加します。
md_component_detectionの項目に0を設定します。HDLMをアンインストール,アップグレードインストールをするときに使用するため,md_component_detectionの元の値は控えてください。- HDLM用の初期RAMディスクイメージファイルを作成します。
ホストのOSに応じて,次の手順を実行してください。
- Red Hat Enterprise Linux 6の場合
- /etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confに定義されている「hdlm_dracut=n」の記述を,「hdlm_dracut=y」に変更します。
- dracutコマンドを実行します。
作成する初期RAMディスクイメージファイルがすでにある場合,初期RAMディスクイメージファイルを上書きするために,-fパラメタを指定してください。
コマンドの実行例を次に示します。# /sbin/dracut /boot/initramfs-hdlm-2.6.32-71.el6.i686.img `uname -r`- 上記以外のOSの場合
ブートディスクサポートユティリティ(dlmmkinitrd)を実行します。
作成する初期RAMディスクイメージファイルがすでにある場合,Red Hat Enterprise Linux AS4/ES4またはRed Hat Enterprise Linux 5を使用しているときは,初期RAMディスクイメージファイルを上書きするために,-fパラメタを指定してください。SUSE LINUX Enterprise Serverを使用しているときは,パラメタを指定しなくても,初期RAMディスクイメージファイルが上書きされます。
dlmmkinitrdユティリティについては,「7.5 dlmmkinitrd ブートディスクサポートユティリティ」を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux AS4/ES4またはRed Hat Enterprise Linux 5を使用している場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例を,次に示します。
- GRUBを使用した場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkinitrd /boot/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz `uname -r` KAPL12329-I The utility for supporting the boot disk started. KAPL12344-I A compressed initial ramdisk image /boot/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz was created. KAPL12330-I The utility for supporting the boot disk completed.SUSE LINUX Enterprise Serverを使用している場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例を,次に示します。
- ELILOを使用したIPFの場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkinitrd /boot/efi/efi/redhat/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz `uname -r` KAPL12329-I The utility for supporting the boot disk started. KAPL12344-I A compressed initial ramdisk image /boot/efi/efi/redhat/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz was created. KAPL12330-I The utility for supporting the boot disk completed.# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkinitrd KAPL12329-I The utility for supporting the boot disk started. KAPL12344-I A compressed initial ramdisk image /boot/initrd-2.6.16.46-0.14-default.hdlm was created. KAPL12330-I The utility for supporting the boot disk completed.- 初期RAMディスクイメージファイルを作成したときにファイルを上書きしていない場合は,不要になった既存の初期RAMディスクイメージファイルを削除します。
次に示すコマンドを実行します。
- GRUBを使用した場合の実行例
# rm /boot/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz- ELILOを使用したIPFの場合の実行例
# rm /boot/efi/efi/redhat/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz- /etc/fstabファイルを編集します。
手順4で変更した/bootのマウントポイントを,SCSIデバイスからHDLMデバイスに書き換えます。既存のSCSIデバイス指定は先頭に#を付けてコメントアウトして,手順22で確認したHDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を基に,次のようにHDLMデバイス指定を追加します。: : #/dev/sda1 /boot ext3 defaults 1 2 /dev/sddlmaa1 /boot ext3 defaults 1 2 : :この例はGRUBを使用した場合です。ELILOを使用したIPFの場合は,/bootが記述されている行のマウントポイント/bootは/boot/efiに,ファイルシステムタイプext3はvfatと表示されます。- ブートローダの設定ファイルを編集して,OSの起動時にHDLMを設定した状態で起動する定義に変更します。
「図3-22 /etc/grub.confファイルの編集例」,「図3-23 /boot/grub/menu.lstファイルの編集例(Xenをサポートしているカーネルを使用している場合)」,および「図3-24 /etc/elilo.confファイルの編集例」に示すように,ブートローダの設定ファイルを編集します。
SUSE LINUX Enterprise Serverを使用しているときは,/etc/grub.confファイルの代わりに/boot/grub/menu.lstファイルを編集してください。
設定ファイルの編集例を次に示します。使用しているブートローダに応じて,どれか1つの編集例を参照してください。
具体的な編集方法については,手順28から手順32で説明します。
網掛けの部分を編集します。
図3-23 /boot/grub/menu.lstファイルの編集例(Xenをサポートしているカーネルを使用している場合)
網掛けの部分を編集します。
網掛けの部分を編集します。
- SCSIデバイスからの起動に使用していた設定をコピーします。
- コピーした設定に,更新後のHDLMデバイス指定用だとわかるような名前を任意に付けます。
- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
titleを変更します。- ブートローダとしてELILOを使用している場合
labelを変更します。- ブートローダの設定ファイルに記載されているrootの指定を編集します。
ホストのOSに応じて,次の手順を実行してください。
- Red Hat Enterprise Linux 6の場合
rootにルートデバイス名,またはUUIDを指定します。
rootにルートデバイス名を指定するときの手順を次に示します。rootにUUIDを指定するときの手順を次に示します。
- mountコマンドを実行して,ルートデバイス名を確認します。
コマンドの実行例を次に示します。下線部がルートデバイス名を示す部分です。# mount /dev/mapper/systemvg-rootlv on / type ext4 (rw) proc on /proc type proc (rw) : :- 手順28でコピーした設定のrootの指定を,先の手順で確認したルートデバイス名に変更します。
root=/dev/mapper/systemvg-rootlv
- mountコマンドを実行して,ルートデバイス名を確認します。
コマンドの実行例を次に示します。下線部がルートデバイス名を示す部分です。# mount /dev/mapper/systemvg-rootlv on / type ext4 (rw) proc on /proc type proc (rw) : :- blkidコマンドを実行して,先の手順で確認したルートデバイス名のUUIDを確認します。
コマンドの実行例を次に示します。下線部がUUIDを示す部分です。# blkid /dev/mapper/systemvg-rootlv /dev/mapper/systemvg-rootlv: UUID="313af869-127e-4923-88af-a5c2056104c4" TYPE="ext4" #- 手順28でコピーした設定のrootの指定を,先の手順で確認したUUIDに変更します。
root=UUID=313af869-127e-4923-88af-a5c2056104c4- 上記以外のOSの場合
手順28でコピーした設定のrootの指定を削除してください。Xenをサポートしているカーネルを使用している場合は,moduleで指定されたrootデバイスの記述を削除してください。- 手順24で作成した初期RAMディスクイメージファイルをinitrdに指定します。
Xenをサポートしているカーネルを使用している場合は,moduleで指定されたinitrdファイル名を手順24で作成した初期RAMディスクイメージファイルに変更してください。
ユーザ環境に依存したオプションが設定されている場合,オプションを削除しないようにしてください。- 起動時に使用される設定を記述します。
- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
defaultに何番目の有効なtitleであるかを記述します。- ブートローダとしてELILOを使用している場合
defaultにlabelを記述します。- ホストを停止します。
次に示すコマンドを実行してホストを停止します。# shutdown -h now- シングルパス構成からマルチパス構成に変更します。
- ホストを起動します。
- mountコマンドを実行して,/bootにHDLMデバイスがマウントされていることを確認します。
ブートローダとしてGRUBを使用している場合の実行例を次に示します。# mount : : /dev/sddlmaa1 on /boot type ext3 (rw) : :下線部を確認してください。- ボリュームグループの情報を更新します。
次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループの情報を更新します。# vgscan Reading all physical volumes. This may take a while... Found volume group "VolGroup00" using metadata type lvm2- ボリュームグループとHDLMデバイスの関係を確認します。
次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループを構成する物理ボリュームがHDLMデバイスであることを確認します。
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