Dynamic Link Manager Software ユーザーズガイド(Linux®用)

[目次][索引][前へ][次へ]


3.7.6 HDLMデバイス上の論理ボリューム(LVM2)をブートディスクとして使用している環境でのアップグレードインストール

HDLMデバイス上の論理ボリューム(LVM2)を使ったマルチパス構成のブートディスクの環境で,HDLMをアップグレードインストールする方法を説明します。設定を誤ると,OSが起動できなくなることがあるので,注意してください。

この項では,ブートローダはRed Hat Enterprise Linux,またはSUSE LINUX Enterprise Serverでデフォルトとして使われる,GRUBまたはELILOを用いた場合の設定を示します。

  1. Linuxに,root権限を持つユーザでログインします。
  2. /etc/fstabファイルの定義で,/bootにHDLMデバイスが指定されていることを確認します。
     
                                :
                                :
    /dev/sddlmaa1             /boot     ext3    defaults        1 2
                                :
                                :
     
    この例はGRUBを使用した場合です。ELILOを使用したIPFの場合は,/bootが記述されている行のマウントポイント/boot/boot/efiに,ファイルシステムタイプext3vfatと表示されます。
  3. HDLM構成定義ユティリティ(dlmcfgmgr)に-vパラメタを指定して実行して,HDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を確認します。
     
    # dlmcfgmgr -v
    HDevName      Management  Device    Host    Channel Target  Lun
    /dev/sddlmaa  configured  /dev/sda     0          0      0    0
    KAPL10302-I /sbin/dlmcfgmgr completed normally.
     
    HDevName列はHDLMデバイス,Device列はSCSIデバイスを表します。
  4. /etc/fstabファイルを編集します。
    手順2で確認した/bootのマウントポイントを,HDLMデバイスからSCSIデバイスに書き換えます。既存のHDLMデバイス指定は先頭に#を付けてコメントアウトして,手順3で確認したHDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を基に,次のようにSCSIデバイス指定を追加します。
     
                                :
                                :
    #/dev/sddlmaa1             /boot     ext3    defaults        1 2
    /dev/sda1                  /boot     ext3    defaults        1 2
                                :
                                :
     
  5. ボリュームグループの情報を更新します。
    次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループの情報を更新します。
     
    # vgscan
      Reading all physical volumes.  This may take a while...
      Found volume group "VolGroup00" using metadata type lvm2
     
  6. ボリュームグループとHDLMデバイスの関係を確認します。
    次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループを構成する物理ボリュームがHDLMデバイスであることを確認します。
    [図]
  7. LVM2がHDLMデバイスではなくSCSIデバイスを認識するように,/etc/lvm/lvm.confファイルを編集します。
    /etc/lvm/lvm.confファイルの編集例を次に示します。

    図3-17 /etc/lvm/lvm.confファイルの編集例

    [図]

    既存のfilterとtypesの行をコメントアウトし,図に示した網掛けの行を追加します。
    また,md_component_detectionの項目をインストール前の値に戻します。
  8. ブートローダの設定ファイルを編集して,OSの起動時にSCSIデバイスを設定した状態で起動する定義に変更します。
    図3-18 /etc/grub.confファイルの編集例」,「図3-19 /boot/grub/menu.lstファイルの編集例(Xenをサポートしているカーネルを使用している場合)」,および「図3-20 /etc/elilo.confファイルの編集例」に示すように,ブートローダの設定ファイルを編集します。
    SUSE LINUX Enterprise Serverを使用しているときは,/etc/grub.confファイルの代わりに/boot/grub/menu.lstファイルを編集してください。
    設定ファイルの編集例を次に示します。使用しているブートローダに応じて,どれか1つの編集例を参照してください。
    具体的な編集方法については,手順9から手順14で説明します。

    図3-18 /etc/grub.confファイルの編集例

    [図]

    網掛けの部分を編集します。

    図3-19 /boot/grub/menu.lstファイルの編集例(Xenをサポートしているカーネルを使用している場合)

    [図]

    網掛けの部分を編集します。

    図3-20 /etc/elilo.confファイルの編集例

    [図]

    網掛けの部分を編集します。
  9. HDLMデバイスからの起動に使用していた設定をコピーします。
  10. コピーした設定に名前を付けます。
    SCSIデバイス指定用だとわかるような名前を任意に付けます。
    titleを変更します。
    • ブートローダとしてGRUBを使用している場合
      titleを変更します。
    • ブートローダとしてELILOを使用している場合
      labelを変更します。
  11. /etc/fstabファイルで「/」にマウントされるデバイス名をrootに指定します。
    Xenをサポートしているカーネルを使用している場合は,ブートローダ設定ファイルの編集規則に従ってrootデバイスを追記してください。
  12. Red Hat Enterprise Linux 6の場合は,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confに定義されている「hdlm_dracut」の記述を確認します。
    hdlm_dracut=y」の記述があるときは,「hdlm_dracut=n」に変更します。
    hdlm_dracut=y」の記述がないときは,手順14に進んでください。
  13. SCSIデバイス用の初期RAMディスクイメージファイルをinitrdに指定します。
    Xenをサポートしているカーネルを使用している場合は,moduleで指定されたinitrdファイル名をSCSIデバイス用の初期RAMディスクイメージファイルに変更してください。
    ユーザ環境に依存したオプションが設定されている場合,オプションを削除しないように注意してください。
    SCSIデバイス用の初期RAMディスクイメージファイルは,OSのmkinitrdコマンドまたはdracutコマンドのマニュアルを参考に作成してください。
  14. 起動時に使用される設定を記述します。
    • ブートローダとしてGRUBを使用している場合
      defaultに何番目の有効なtitleであるかを記述します。
    • ブートローダとしてELILOを使用している場合
      defaultlabelを記述します。
  15. ホストを停止します。
    次に示すコマンドを実行してホストを停止します。
    # shutdown -h now
     
  16. マルチパス構成をシングルパス構成に変更します。
  17. ホストを起動します。
  18. mountコマンドを実行して,/bootにSCSIデバイスがマウントされていることを確認します。
    ブートローダとしてGRUBを使用している場合の実行例を次に示します。
     
    # mount
                  :
                  :
    /dev/sda1 on /boot type ext3 (rw)
                  :
                  :
     
    下線部を確認してください。
  19. ボリュームグループの情報を更新します。
    次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループの情報を更新します。
     
    # vgscan
      Reading all physical volumes.  This may take a while...
      Found volume group "VolGroup00" using metadata type lvm2
     
  20. ボリュームグループとHDLMデバイスの関係を確認します。
    次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループを構成する物理ボリュームがHDLMデバイスでないことを確認します。
    [図]
  21. HDLMをアップグレードインストールします。
    3.6.6 HDLMのアップグレードインストール」を参照して手順2,および手順4から手順13,および手順14(ホストを再起動する場合だけ実行)を実行し,HDLMデバイスを作成してください。インストール後にホストを再起動する場合と再起動しない場合とで,手順が異なりますので注意してください。
  22. dlmcfgmgrユティリティに-vパラメタを指定して実行して,HDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を確認します。
     
    # dlmcfgmgr -v
    HDevName      Management  Device    Host    Channel Target  Lun
    /dev/sddlmaa  configured  /dev/sda     0          0      0    0
    KAPL10302-I /sbin/dlmcfgmgr completed normally.
     
    HDevName列はHDLMデバイス,Device列はSCSIデバイスを表します。
  23. LVM2がSCSIデバイスではなくHDLMデバイスを認識するように,/etc/lvm/lvm.confファイルを編集します。
    /etc/lvm/lvm.confファイルの編集例を次に示します。

    図3-21 /etc/lvm/lvm.confファイルの編集例

    [図]

    既存のfilterとtypesの行をコメントアウトし,図に示した網掛けの行を追加します。
    md_component_detectionの項目に0を設定します。HDLMをアンインストール,アップグレードインストールをするときに使用するため,md_component_detectionの元の値は控えてください。
  24. HDLM用の初期RAMディスクイメージファイルを作成します。
    ホストのOSに応じて,次の手順を実行してください。
    • Red Hat Enterprise Linux 6の場合

      1. /etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confに定義されている「hdlm_dracut=n」の記述を,「hdlm_dracut=y」に変更します。
      2. dracutコマンドを実行します。
        作成する初期RAMディスクイメージファイルがすでにある場合,初期RAMディスクイメージファイルを上書きするために,-fパラメタを指定してください。
        コマンドの実行例を次に示します。
         
        # /sbin/dracut /boot/initramfs-hdlm-2.6.32-71.el6.i686.img `uname -r`
         
    • 上記以外のOSの場合
      ブートディスクサポートユティリティ(dlmmkinitrd)を実行します。
      作成する初期RAMディスクイメージファイルがすでにある場合,Red Hat Enterprise Linux AS4/ES4またはRed Hat Enterprise Linux 5を使用しているときは,初期RAMディスクイメージファイルを上書きするために,-fパラメタを指定してください。SUSE LINUX Enterprise Serverを使用しているときは,パラメタを指定しなくても,初期RAMディスクイメージファイルが上書きされます。
      dlmmkinitrdユティリティについては,「7.5 dlmmkinitrd ブートディスクサポートユティリティ」を参照してください。
      Red Hat Enterprise Linux AS4/ES4またはRed Hat Enterprise Linux 5を使用している場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例を,次に示します。

      GRUBを使用した場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例
       
      # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkinitrd /boot/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz `uname -r`
      KAPL12329-I The utility for supporting the boot disk started.
      KAPL12344-I A compressed initial ramdisk image /boot/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz was created.
      KAPL12330-I The utility for supporting the boot disk completed.
       

      ELILOを使用したIPFの場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例
       
      # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkinitrd /boot/efi/efi/redhat/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz `uname -r`
      KAPL12329-I The utility for supporting the boot disk started.
      KAPL12344-I A compressed initial ramdisk image /boot/efi/efi/redhat/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz was created.
      KAPL12330-I The utility for supporting the boot disk completed.
       
      SUSE LINUX Enterprise Serverを使用している場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例を,次に示します。
       
      # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkinitrd
      KAPL12329-I The utility for supporting the boot disk started.
      KAPL12344-I A compressed initial ramdisk image /boot/initrd-2.6.16.46-0.14-default.hdlm was created.
      KAPL12330-I The utility for supporting the boot disk completed.
       
  25. 初期RAMディスクイメージファイルを作成したときにファイルを上書きしていない場合は,不要になった既存の初期RAMディスクイメージファイルを削除します。
    次に示すコマンドを実行します。
    • GRUBを使用した場合の実行例
      # rm /boot/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz
    • ELILOを使用したIPFの場合の実行例
      # rm /boot/efi/efi/redhat/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz
  26. /etc/fstabファイルを編集します。
    手順4で変更した/bootのマウントポイントを,SCSIデバイスからHDLMデバイスに書き換えます。既存のSCSIデバイス指定は先頭に#を付けてコメントアウトして,手順22で確認したHDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を基に,次のようにHDLMデバイス指定を追加します。
     
                                :
                                :
    #/dev/sda1                 /boot     ext3    defaults        1 2
    /dev/sddlmaa1              /boot     ext3    defaults        1 2
                                :
                                :
     
    この例はGRUBを使用した場合です。ELILOを使用したIPFの場合は,/bootが記述されている行のマウントポイント/boot/boot/efiに,ファイルシステムタイプext3vfatと表示されます。
  27. ブートローダの設定ファイルを編集して,OSの起動時にHDLMを設定した状態で起動する定義に変更します。
    図3-22 /etc/grub.confファイルの編集例」,「図3-23 /boot/grub/menu.lstファイルの編集例(Xenをサポートしているカーネルを使用している場合)」,および「図3-24 /etc/elilo.confファイルの編集例」に示すように,ブートローダの設定ファイルを編集します。
    SUSE LINUX Enterprise Serverを使用しているときは,/etc/grub.confファイルの代わりに/boot/grub/menu.lstファイルを編集してください。
    設定ファイルの編集例を次に示します。使用しているブートローダに応じて,どれか1つの編集例を参照してください。
    具体的な編集方法については,手順28から手順32で説明します。

    図3-22 /etc/grub.confファイルの編集例

    [図]

    網掛けの部分を編集します。

    図3-23 /boot/grub/menu.lstファイルの編集例(Xenをサポートしているカーネルを使用している場合)

    [図]

    網掛けの部分を編集します。

    図3-24 /etc/elilo.confファイルの編集例

    [図]

    網掛けの部分を編集します。
  28. SCSIデバイスからの起動に使用していた設定をコピーします。
  29. コピーした設定に,更新後のHDLMデバイス指定用だとわかるような名前を任意に付けます。
    • ブートローダとしてGRUBを使用している場合
      titleを変更します。
    • ブートローダとしてELILOを使用している場合
      labelを変更します。
  30. ブートローダの設定ファイルに記載されているrootの指定を編集します。
    ホストのOSに応じて,次の手順を実行してください。
    • Red Hat Enterprise Linux 6の場合
      rootにルートデバイス名,またはUUIDを指定します。
      rootにルートデバイス名を指定するときの手順を次に示します。

      1. mountコマンドを実行して,ルートデバイス名を確認します。
        コマンドの実行例を次に示します。下線部がルートデバイス名を示す部分です。
         
        # mount
        /dev/mapper/systemvg-rootlv on / type ext4 (rw)
        proc on /proc type proc (rw)
             :
             :
         
      2. 手順28でコピーした設定のrootの指定を,先の手順で確認したルートデバイス名に変更します。
         
        root=/dev/mapper/systemvg-rootlv
         
      rootにUUIDを指定するときの手順を次に示します。

      1. mountコマンドを実行して,ルートデバイス名を確認します。
        コマンドの実行例を次に示します。下線部がルートデバイス名を示す部分です。
         
        # mount
        /dev/mapper/systemvg-rootlv on / type ext4 (rw)
        proc on /proc type proc (rw)
             :
             :
         
      2. blkidコマンドを実行して,先の手順で確認したルートデバイス名のUUIDを確認します。
        コマンドの実行例を次に示します。下線部がUUIDを示す部分です。
         
        # blkid /dev/mapper/systemvg-rootlv
        /dev/mapper/systemvg-rootlv: UUID="313af869-127e-4923-88af-a5c2056104c4" TYPE="ext4"
        #
         
      3. 手順28でコピーした設定のrootの指定を,先の手順で確認したUUIDに変更します。
         
        root=UUID=313af869-127e-4923-88af-a5c2056104c4
         
    • 上記以外のOSの場合
      手順28でコピーした設定のrootの指定を削除してください。Xenをサポートしているカーネルを使用している場合は,moduleで指定されたrootデバイスの記述を削除してください。
  31. 手順24で作成した初期RAMディスクイメージファイルをinitrdに指定します。
    Xenをサポートしているカーネルを使用している場合は,moduleで指定されたinitrdファイル名を手順24で作成した初期RAMディスクイメージファイルに変更してください。
    ユーザ環境に依存したオプションが設定されている場合,オプションを削除しないようにしてください。
  32. 起動時に使用される設定を記述します。
    • ブートローダとしてGRUBを使用している場合
      defaultに何番目の有効なtitleであるかを記述します。
    • ブートローダとしてELILOを使用している場合
      defaultlabelを記述します。
  33. ホストを停止します。
    次に示すコマンドを実行してホストを停止します。
    # shutdown -h now
     
  34. シングルパス構成からマルチパス構成に変更します。
  35. ホストを起動します。
  36. mountコマンドを実行して,/bootにHDLMデバイスがマウントされていることを確認します。
    ブートローダとしてGRUBを使用している場合の実行例を次に示します。
     
    # mount
                  :
                  :
    /dev/sddlmaa1 on /boot type ext3 (rw)
                  :
                  :
     
    下線部を確認してください。
  37. ボリュームグループの情報を更新します。
    次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループの情報を更新します。
     
    # vgscan
      Reading all physical volumes.  This may take a while...
      Found volume group "VolGroup00" using metadata type lvm2
      
  38. ボリュームグループとHDLMデバイスの関係を確認します。
    次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループを構成する物理ボリュームがHDLMデバイスであることを確認します。
    [図]

[目次] [前へ] [次へ]


All Rights Reserved. Copyright© 2011, 2013, Hitachi, Ltd.