Dynamic Link Manager Software ユーザーズガイド(Linux®用)
SCSIデバイス上の論理ボリューム(LVM2)を使ったシングルパス構成のブートディスクの環境を,HDLMデバイス上の論理ボリュームを使ったマルチパス構成のブートディスク環境に移行する方法について説明します。設定を誤ると,OSが起動できなくなることがあるので,注意してください。
この項では,ブートローダはRed Hat Enterprise Linux,またはSUSE LINUX Enterprise Serverでデフォルトとして使われる,GRUBまたはELILOを用いた場合の設定を示します。
- Linuxに,root権限を持つユーザでログインします。
- SUSE LINUX Enterprise Server 10にSP3以降を適用している場合は,ブートローダの設定ファイルに「multipath=off」を設定します。
ブートローダの設定ファイルのカーネルパラメタに「multipath=off」が設定されていない場合は,「multipath=off」を設定してください。「multipath=off」の設定例を次に示します。
- ブートローダとしてELILOを使用している場合
: : image = vmlinuz-2.6.16.60-0.54.5-default label = 51 append = "splash=silent multipath=off " description = Linux initrd = initrd-2.6.16.60-0.54.5-default root = /dev/disk/by-id/scsi-35001862001472c70-part12下線部に,「multipath=off」が設定されています。- Xen対応のカーネルで,ブートローダとしてGRUBを使用している場合
Xen対応のカーネルは,「表3-61 HDLMがサポートするXenハイパーバイザの動作環境」を参照してください。: : title XEN root (hd0,0) kernel /xen-pae.gz module /vmlinuz-2.6.16.60-0.54.5-xenpae \ root=/dev/disk/by-id/scsi-SFUJITSU_MAS3735NC_A050P360007N-part6 vga=0x317 \ resume=/dev/disk/by-id/scsi-SFUJITSU_MAS3735NC_A050P3600077-part2 \ splash=silent showopts multipath=off module /initrd-2.6.16.60-0.54.5-xenpae下線部に,「multipath=off」が設定されています。- Xen非対応のカーネルで,ブートローダとしてGRUBを使用している場合
HDLMでサポートしているカーネルは,「3.1.1 HDLMがサポートするホストとOS」を参照してください。: : title SUSE LINUX Enterprise Server 10 SP3 root (hd0,0) kernel /vmlinuz-2.6.16.60-0.54.5-smp root=/dev/VG/root vga=0x31a \ resume=/dev/VG/swap splash=silent showopts multipath=off initrd /initrd-2.6.16.60-0.54.5-smp下線部に,「multipath=off」が設定されています。- /etc/fstabファイルの定義を確認します。
/etc/fstabファイルの内容例を次に示します。図3-10 LVM2を使用している場合の/etc/fstabファイルの内容例
網掛けの部分に,LABELが設定されています。
この例はGRUBを使用した場合です。ELILOを使用したIPFの場合は,/bootが記述されている行のマウントポイント/bootは/boot/efiに,ファイルシステムタイプext3はvfatと表示されます。
Red Hat Enterprise Linux 6を使用している場合は,次の下線部のようにUUID=から始まるブロックデバイス名(udev名)が指定されていることも確認してください。UUID=33ef8ca1-595a-4fbf-8567-76f70760d743 /boot ext4 defaults 1 2SUSE LINUX Enterprise Serverを使用している場合は,次の下線部のように/dev/diskディレクトリから始まるデバイス名(udev名)が指定されていることも確認してください。/dev/disk/by-id/scsi-1HITACHI_D60H03750019-part1 /boot reiserfs defaults 1 2/etc/fstabファイルでLABELまたはデバイス名(udev名)が使用されていなかった場合は,手順10に進んでHDLMをインストールしてください。/etc/fstabファイルでLABELまたはデバイス名(udev名)が使用されていた場合は,手順4から手順8を実行して,マウントされているファイルシステムを確認してからLABELの設定を解除してください。
また,デバイス名(udev名)が使用されていた場合,以降の手順では「LABEL」を「デバイス名(udev名)」に読み替えて実行してください。- mountコマンドを実行してマウントされているファイルシステムを確認します。
手順3で確認したLABELとSCSIデバイスの対応関係を確認します。この情報は,LABELの設定を解除するときに必要になります。
mountコマンドの実行例を次に示します。
網掛けの部分は,LABELが設定されているSCSIデバイスです。
この例はGRUBを使用した場合です。ELILOを使用したIPFの場合は,/bootが記述されている行のマウントポイント/bootは/boot/efiに,ファイルシステムタイプext3はvfatと表示されます。
マウントされているファイルシステムの情報を参考に,手順6から手順8で,/etc/fstabファイルのLABELの設定を解除します。
また,手順3でデバイス名(udev名)が使用されていた場合は,手順5を参照してSCSIデバイス名を確認してください。- 手順3でブロックデバイス名またはudev名が指定されていた場合は,次のコマンドを実行して,SCSIデバイスを確認します。
- Red Hat Enterprise Linux 6の場合
udevadmコマンドを実行します。-nにはブロックデバイス名を指定してください。# udevadm info --query name -n /dev/disk/by-uuid/55574d05-07dc-4c94-a585-5599c284d79b sda1出力されたsda1が,55574d05-07dc-4c94-a585-5599c284d79bと対応するSCSIデバイス名です。- SUSE LINUX Enterprise Serverの場合
udevinfoコマンドを実行します。-nには/dev/diskディレクトリ以下のデバイス名(udev名)を指定してください。# udevinfo -q name -n /dev/disk/by-id/scsi-2000c50fffecb6ae0-part1 sda1出力されたsda1が,/dev/disk/by-id/scsi-2000c50fffecb6ae0-part1と対応するSCSIデバイス名です。- /etc/fstabファイルを編集してLABELの設定を解除します。
具体的な編集方法を,手順7および手順8に示します。
/etc/fstabファイルの編集例を次に示します。
LABELの行をコメントアウトします。網掛けの行を追加します。
この例はGRUBを使用した場合です。ELILOを使用したIPFの場合は,/bootが記述されている行のマウントポイント/bootは/boot/efiに,ファイルシステムタイプext3はvfatと表示されます。- 必要に応じて/etc/fstabファイルをバックアップします。
- /etc/fstabファイルを編集します。
手順4で確認したLABELとSCSIデバイスの対応関係を参考にします。
LABEL指定の登録をコピーします。
既存の設定内容はコメントアウトします。
LABEL指定が無効になり,SCSIデバイス指定が有効になるように編集します。- ホストを再起動してSCSIデバイスからの起動ができることを確認します。
以上で,LABELの設定の解除は終了です。- HDLMをインストールします。
「3.6.3 HDLMの新規インストール」を参照して手順2,手順4から手順13,および手順14(ホストを再起動する場合だけ実行)を実行し,HDLMデバイスを作成してください。インストール後にホストを再起動する場合と再起動しない場合とで,手順が異なりますので注意してください。
次に示す手順12から手順27では,設定ファイルを編集して,HDLMデバイスをブートディスクとして使用するための設定をします。- HDLM構成定義ユティリティ(dlmcfgmgr)に-vパラメタを指定して実行して,HDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を確認します。
# dlmcfgmgr -v HDevName Management Device Host Channel Target Lun /dev/sddlmaa configured /dev/sda 0 0 0 0 KAPL10302-I /sbin/dlmcfgmgr completed normally.HDevName列はHDLMデバイス,Device列はSCSIデバイスを表します。- LVM2がSCSIデバイスではなくHDLMデバイスを認識するように,/etc/lvm/lvm.confファイルを編集します。
/etc/lvm/lvm.confファイルの編集例を次に示します。図3-13 /etc/lvm/lvm.confファイルの編集例
既存のfilterとtypesの行をコメントアウトし,図に示した網掛けの行を追加します。
md_component_detectionの項目に0を設定します。HDLMをアンインストール,アップグレードインストールをするときに使用するため,md_component_detectionの元の値は控えてください。- HDLM用の初期RAMディスクイメージファイルを作成します。
ホストのOSに応じて,次の手順を実行してください。
パラメタに指定する初期RAMディスクイメージファイル名は,現在使用しているものと異なる名前を指定してください。
- Red Hat Enterprise Linux 6の場合
- /etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confに定義されている「hdlm_dracut=n」の記述を,「hdlm_dracut=y」に変更します。
- dracutコマンドを実行します。
コマンドの実行例を次に示します。# /sbin/dracut /boot/initramfs-hdlm-2.6.32-71.el6.i686.img `uname -r`- 上記以外のOSの場合
ブートディスクサポートユティリティ(dlmmkinitrd)を実行します。
dlmmkinitrdユティリティについては,「7.5 dlmmkinitrd ブートディスクサポートユティリティ」を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux AS4/ES4またはRed Hat Enterprise Linux 5を使用している場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例を,次に示します。
- GRUBを使用した場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkinitrd /boot/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz `uname -r` KAPL12329-I The utility for supporting the boot disk started. KAPL12344-I A compressed initial ramdisk image /boot/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz was created. KAPL12330-I The utility for supporting the boot disk completed.SUSE LINUX Enterprise Serverを使用している場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例を,次に示します。
- ELILOを使用したIPFの場合のdlmmkinitrdユティリティの実行例
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkinitrd /boot/efi/efi/redhat/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz `uname -r` KAPL12329-I The utility for supporting the boot disk started. KAPL12344-I A compressed initial ramdisk image /boot/efi/efi/redhat/initrd-hdlm-2.6.9-11.EL.gz was created. KAPL12330-I The utility for supporting the boot disk completed.# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkinitrd KAPL12329-I The utility for supporting the boot disk started. KAPL12344-I A compressed initial ramdisk image /boot/initrd-2.6.16.46-0.14-default.hdlm was created. KAPL12330-I The utility for supporting the boot disk completed.- /etc/fstabファイルをバックアップします。
- /etc/fstabファイルを編集します。
手順8で変更した/bootのマウントポイントを,SCSIデバイスからHDLMデバイスに書き換えます。既存のSCSIデバイス指定は先頭に#を付けてコメントアウトして,手順11で確認したHDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を基に,次のようにHDLMデバイス指定を追加します。: : #LABEL=/boot /boot ext3 defaults 1 2 #/dev/sda1 /boot ext3 defaults 1 2 /dev/sddlmaa1 /boot ext3 defaults 1 2 : :この例はGRUBを使用した場合です。ELILOを使用したIPFの場合は,/bootが記述されている行のマウントポイント/bootは/boot/efiに,ファイルシステムタイプext3はvfatと表示されます。- ブートローダの設定ファイルを編集して,OSの起動時にHDLMを設定した状態で起動する定義に変更します。
「図3-14 /etc/grub.confファイルの編集例」「図3-15 /boot/grub/menu.lstファイルの編集例(Xenをサポートしているカーネルを使用している場合)」,および「図3-16 /etc/elilo.confファイルの編集例」に示すように,ブートローダの設定ファイルを編集します。
SUSE LINUX Enterprise Serverを使用しているときは,/etc/grub.confファイルの代わりに/boot/grub/menu.lstファイルを編集してください。
設定ファイルの編集例を次に示します。使用しているブートローダに応じて,どれか1つの編集例を参照してください。
具体的な編集方法については,手順17から手順22で説明します。
網掛けの部分を編集します。
図3-15 /boot/grub/menu.lstファイルの編集例(Xenをサポートしているカーネルを使用している場合)
網掛けの部分を編集します。
網掛けの部分を編集します。
- 必要に応じてファイルをバックアップします。
- SCSIデバイスからの起動に使用していた設定をコピーします。
- コピーした設定に,HDLMデバイス指定用だとわかるような名前を任意に付けます。
- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
titleを変更します。- ブートローダとしてELILOを使用している場合
labelを変更します。- ブートローダの設定ファイルに記載されているrootの指定を編集します。
ホストのOSに応じて,次の手順を実行してください。
- Red Hat Enterprise Linux 6の場合
rootにルートデバイス名,またはUUIDを指定します。
rootにルートデバイス名を指定するときの手順を次に示します。rootにUUIDを指定するときの手順を次に示します。
- mountコマンドを実行して,ルートデバイス名を確認します。
コマンドの実行例を次に示します。下線部がルートデバイス名を示す部分です。# mount /dev/mapper/systemvg-rootlv on / type ext4 (rw) proc on /proc type proc (rw) : :- 手順18でコピーした設定のrootの指定を,先の手順で確認したルートデバイス名に変更します。
root=/dev/mapper/systemvg-rootlv
- mountコマンドを実行して,ルートデバイス名を確認します。
コマンドの実行例を次に示します。下線部がルートデバイス名を示す部分です。# mount /dev/mapper/systemvg-rootlv on / type ext4 (rw) proc on /proc type proc (rw) : :- blkidコマンドを実行して,先の手順で確認したルートデバイス名のUUIDを確認します。
コマンドの実行例を次に示します。下線部がUUIDを示す部分です。# blkid /dev/mapper/systemvg-rootlv /dev/mapper/systemvg-rootlv: UUID="313af869-127e-4923-88af-a5c2056104c4" TYPE="ext4" #- 手順18でコピーした設定のrootの指定を,先の手順で確認したUUIDに変更します。
root=UUID=313af869-127e-4923-88af-a5c2056104c4- 上記以外のOSの場合
手順18でコピーした設定のrootの指定を削除してください。Xenをサポートしているカーネルを使用している場合は,moduleで指定されたrootデバイスの記述を削除してください。- 手順13で作成した初期RAMディスクイメージファイルをinitrdに指定します。
Xenをサポートしているカーネルを使用している場合は,moduleで指定されたinitrdファイル名を手順13で作成した初期RAMディスクイメージファイルに変更してください。
ユーザ環境に依存したオプションが設定されている場合,オプションを削除しないように注意してください。
SUSE LINUX Enterprise Serverを使用している場合,resumeが指定されていることがあります。この場合はresumeを削除してください。- 起動時に使用される設定を記述します。
- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
defaultに何番目の有効なtitleであるかを記述します。- ブートローダとしてELILOを使用している場合
defaultにlabelを記述します。- ホストを停止します。
次に示すコマンドを実行してホストを停止します。# shutdown -h now- シングルパス構成からマルチパス構成に変更します。
- ホストを起動します。
- ボリュームグループの情報を更新します。
次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループの情報を更新します。# vgscan Reading all physical volumes. This may take a while... Found volume group "VolGroup00" using metadata type lvm2- ボリュームグループとHDLMデバイスの関係を確認します。
次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループを構成する物理ボリュームがHDLMデバイスであることを確認します。
![]()
All Rights Reserved. Copyright© 2011, 2013, Hitachi, Ltd.