Dynamic Link Manager Software ユーザーズガイド(Linux®用)
HDLMデバイスを使ったマルチパス構成のブートディスクの環境に,HDLMをアップグレードインストールして環境を設定する方法について説明します。
設定を誤ると,OSが起動できなくなることがあるので,注意してください。HDLMデバイスからのOSの起動に失敗した場合の対処については,「3.7.7 HDLMデバイスからのOSの起動に失敗した場合の対処」を参照してください。
この手順で使用するブートローダの設定ファイル名は,ブートローダまたはOSによって異なります。ブートローダの設定ファイル名を次の表に示します。
ブートローダ 設定ファイル名 GRUB Red Hat Enterprise Linuxの場合 /etc/grub.conf SUSE LINUX Enterprise Serverの場合 /boot/grub/menu.lst LILO /etc/lilo.conf ELILO /etc/elilo.conf
- Linuxに,root権限を持つユーザでログインします。
- /etc/fstabファイルの定義にHDLMデバイスが指定されていることを確認します。
次に示すHDLM管理対象デバイスのマウントポイントが,HDLMデバイスをマウントする定義になっていることを確認します。/etc/fstabファイルの例を次に示します。
- ブートローダとしてELILOを使用している場合
ルートディレクトリ「/」,/boot/efi,/tmp,/usr,/var,swap- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
ルートディレクトリ「/」,/boot,/tmp,/usr,/var,swap- ブートローダとしてLILOを使用している場合
ルートディレクトリ「/」,/tmp,/usr,/var,swap: : /dev/sddlmaa2 / ext2 defaults 1 1 : : /dev/sddlmaa4 /tmp ext2 defaults 1 2 : :- HDLM構成定義ユティリティ(dlmcfgmgr)に-vパラメタを指定して実行して,HDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を確認します。
# dlmcfgmgr -v HDevName Management Device Host Channel Target Lun /dev/sddlmaa configured /dev/sda 0 0 0 0 KAPL10302-I /sbin/dlmcfgmgr completed normally.HDevName列はHDLMデバイス,Device列はSCSIデバイスを表します。- /etc/fstabファイルを編集します。
手順2で確認したHDLM管理対象デバイスのマウントポイントを,HDLMデバイスからSCSIデバイスに書き換えます。既存のHDLMデバイス指定は先頭に#を付けてコメントアウトして,手順3で確認したHDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係を基に,次のようにSCSIデバイス指定を追加します。: : #/dev/sddlmaa2 / ext2 defaults 1 1 /dev/sda2 / ext2 defaults 1 1 : : #/dev/sddlmaa4 /tmp ext2 defaults 1 2 /dev/sda4 /tmp ext2 defaults 1 2 : :- HDLMデバイスからの起動に使用していた,ブートローダの設定ファイルに記載されている設定をコピーします。
設定の内容例を,次に示します。なお,内容例の「オプション」は,ユーザ環境に応じた任意指定のオプションを表します。
- Xen対応のカーネルで,ブートローダとしてGRUBを使用している場合
Xen対応のカーネルは,「表3-61 HDLMがサポートするXenハイパーバイザの動作環境」を参照してください。: : title XEN root (hd0,1) kernel /boot/xen.gz module /boot/vmlinuz-2.6.16.60-0.21-xen vga=0x31a splash=silent showopts module /boot/initrd-2.6.16.60-0.21-xen.hdlm- Xen非対応のカーネルで,ブートローダとしてGRUBを使用している場合
HDLMでサポートしているカーネルは,「3.1.1 HDLMがサポートするホストとOS」を参照してください。: : title Red Hat Enterprise Linux (2.6.18-194.el5) root (hd0,0) kernel /vmlinuz-2.6.18-194.el5 ro オプション ramdisk_size=18958 オプション initrd /initrd-hdlm-2.6.18-194.el5.gz- ブートローダとしてLILOまたはELILOを使用している場合
: : image=/boot/vmlinuz-2.6.18-194.el5 label=HDLM_194.EL initrd=/boot/initrd-hdlm-2.6.18-194.el5.gz read-only append="オプション ramdisk_size=18958 オプション"- ブートローダの設定ファイルに記載されている設定の名前を変更します。
手順5でコピーした設定の名前を変更してください。SCSIデバイス指定用だとわかるような名前を任意に付けます。
- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
次の下線部を変更します。
変更前title Red Hat Enterprise Linux (2.6.18-194.el5)変更後title sd-Red Hat Enterprise Linux (2.6.18-194.el5)- ブートローダとしてLILOまたはELILOを使用している場合
次の下線部を変更します。
変更前label= HDLM_194.EL変更後label= sd-HDLM_194.EL- 手順3で確認したSCSIデバイスをブートローダの設定ファイルのrootに指定します。
手順5でコピーした設定のrootの指定を変更してください。
- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
kernelの行に「root=SCSIデバイス」を追加してください。: : title Red Hat Enterprise Linux (2.6.18-194.el5) root (hd0,0) kernel /vmlinuz-2.6.18-194.el5 ro オプション ramdisk_size=18958 root=/dev/sda2 オプション- ブートローダとしてLILOまたはELILOを使用している場合
設定の最後の行に「root=SCSIデバイス」を追加してください。- Red Hat Enterprise Linux 6の場合は,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confに定義されている「hdlm_dracut」の記述を確認します。
「hdlm_dracut=y」の記述があるときは,「hdlm_dracut=n」に変更します。
「hdlm_dracut=y」の記述がないときは,手順9に進んでください。- SCSIデバイス用の初期RAMディスクイメージファイルをブートローダの設定ファイルのinitrdに指定します。
手順5でコピーした設定のinitrdの指定を変更してください。Xen対応のカーネルを使用している場合は,moduleで指定されたinitrdファイル名をSCSIデバイス用の初期RAMディスクイメージファイルに変更してください。Xen対応のカーネルは,「表3-61 HDLMがサポートするXenハイパーバイザの動作環境」を参照してください。
また,ユーザ環境に応じた任意指定のオプションが設定されている場合,オプションを削除しないように注意してください。
SCSIデバイス用の初期RAMディスクイメージファイルは,OSのmkinitrdコマンドまたはdracutコマンドのマニュアルを参考に作成してください。- ブートローダの設定ファイルを編集して,起動時に使用する設定を指定します。
- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
手順5でコピーした設定で起動できるように,defaultの数字を変更します。default= 2- ブートローダとしてLILOまたはELILOを使用している場合
defaultにlabelを記述します。default sd-HDLM_194.EL- ブートローダとしてLILOを使用している場合は,/sbin/liloコマンドを実行して,変更を有効にします。
- ホストを停止します。
次に示すコマンドを実行して,ホストを停止します。# shutdown -h now- マルチパス構成をシングルパス構成に変更します。
- ホストを起動します。
- mountコマンドを実行して,SCSIデバイスがマウントされていることを確認します。
ブートローダとしてGRUBを使用している場合の実行例を次に示します。# mount /dev/sda2 on / type ext2 (rw) : : /dev/sda1 on /boot type ext2 (rw) /dev/sda4 on /tmp type ext2 (rw) /dev/sda5 on /var type ext2 (rw) /dev/sda6 on /usr type ext2 (rw) none on /dev/shm type tmpfs (rw)下線部を確認してください。- Red Hat Enterprise Linux,またはSUSE LINUX Enterprise Serverを使用している場合は,swapパーティションにSCSIデバイスが割り当てられていることを確認します。
/proc/swapsファイルを参照して,Filename列の部分に指定したSCSIデバイス名が表示されていることを確認してください。- HDLMをアップグレードインストールします。
「3.6.6 HDLMのアップグレードインストール」を参照して手順2,および手順4から手順13,および手順14(ホストを再起動する場合だけ実行)を実行し,HDLMデバイスを作成してください。インストール後にホストを再起動する場合と再起動しない場合とで,手順が異なりますので注意してください。- dlmcfgmgrユティリティに-vパラメタを指定して実行して,SCSIデバイスとHDLMデバイスの対応関係を確認します。
# dlmcfgmgr -v HDevName Management Device Host Channel Target Lun /dev/sddlmaa configured /dev/sda 0 0 0 0 KAPL10302-I /sbin/dlmcfgmgr completed normally.HDevName列はHDLMデバイス,Device列はSCSIデバイスを表します。- HDLM用の初期RAMディスクイメージファイルを作成します。
ホストのOSに応じて,次の手順を実行してください。
- Red Hat Enterprise Linux 6の場合
- /etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confに定義されている「hdlm_dracut=n」の記述を,「hdlm_dracut=y」に変更します。
- dracutコマンドを実行します。
作成する初期RAMディスクイメージファイルがすでにある場合,初期RAMディスクイメージファイルを上書きするために,-fパラメタを指定してください。
コマンドの実行例を次に示します。# /sbin/dracut /boot/initramfs-hdlm-2.6.32-71.el6.i686.img `uname -r`- 上記以外のOSの場合
ブートディスクサポートユティリティ(dlmmkinitrd)を実行します。
作成する初期RAMディスクイメージファイルがすでにある場合,Red Hat Enterprise Linux AS4/ES4またはRed Hat Enterprise Linux 5を使用しているときは,初期RAMディスクイメージファイルを上書きするために,-fパラメタを指定してください。SUSE LINUX Enterprise Serverを使用しているときは,パラメタを指定しなくても,初期RAMディスクイメージファイルが上書きされます。
dlmmkinitrdユティリティについては,「7.5 dlmmkinitrd ブートディスクサポートユティリティ」を参照してください。- 初期RAMディスクイメージファイルを作成したときにファイルを上書きしていない場合は,不要になった既存の初期RAMディスクイメージファイルを削除します。
- HDLMデバイスからの起動に使用していた,ブートローダの設定ファイルに記載されている設定をコピーします。
- ブートローダの設定ファイルに記載されている設定の名前を変更します。
手順21でコピーした設定の名前を変更してください。更新後のHDLMデバイス指定用だとわかるような名前を任意に付けます。
- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
次の下線部を変更します。
変更前title sd-Red Hat Enterprise Linux (2.6.18-194.el5)変更後title HDLM-Red Hat Enterprise Linux (2.6.18-194.el5)- ブートローダとしてLILOまたはELILOを使用している場合
次の下線部を変更します。
変更前label=sd-HDLM_194.EL変更後label=HDLM-HDLM_194.EL- ブートローダの設定ファイルに記載されているrootの指定を編集します。
ホストのOSに応じて,次の手順を実行してください。
- Red Hat Enterprise Linux 6の場合
次の手順を実行して,rootにルートデバイスのUUIDを指定します。
- mountコマンドを実行して,ルートパーティション「/」にマウントされたデバイス名を確認します。
コマンドの実行例を次に示します。# mount /dev/sda2 on / type ext4 (rw) proc on /proc type proc (rw) : :下線部のデバイス名を確認してください。- blkidコマンドを指定して,先の手順で確認したデバイスのUUIDを確認します。
コマンドの実行例を次に示します。# blkid /dev/sda2 /dev/sda2: UUID="19597725-5d20-4d1d-9906-f9f891b7711a" TYPE="ext4" #- 手順21でコピーした設定のrootの指定を,先の手順で確認したUUIDに変更します。
root=UUID=19597725-5d20-4d1d-9906-f9f891b7711a- 上記以外のOSの場合
手順21でコピーした設定のrootの指定を削除してください。Xen対応のカーネルを使用している場合は,moduleで指定されたrootデバイスの記述を削除してください。Xen対応のカーネルは,「表3-61 HDLMがサポートするXenハイパーバイザの動作環境」を参照してください。- 手順19で作成した初期RAMディスクイメージファイルをブートローダの設定ファイルに記載されているinitrdに指定します。
手順21でコピーした設定のinitrdの指定を変更してください。Xen対応のカーネルを使用している場合は,moduleで指定されたinitrdファイル名を手順19で作成した初期RAMディスクイメージファイルに変更してください。Xen対応のカーネルは,「表3-61 HDLMがサポートするXenハイパーバイザの動作環境」を参照してください。
initrdはブートローダによって指定の方法が異なるので注意してください。
また,ユーザ環境に応じた任意指定のオプションが設定されている場合,オプションを削除しないように注意してください。- ブートローダの設定ファイルを編集して,起動時に使用する設定を指定します。
- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
手順21でコピーした設定で起動できるように,defaultの数字を変更します。default= 3- ブートローダとしてLILOまたはELILOを使用している場合
defaultにlabelを記述します。default HDLM-HDLM_194.EL- ブートローダとしてLILOを使用している場合は,/sbin/liloコマンドを実行して,変更を有効にします。
- /etc/fstabファイルを編集します。
次に示すHDLM管理対象デバイスのマウントポイントを,SCSIデバイスからHDLMデバイスに書き換えます。既存のSCSIデバイス指定は先頭に#を付けてコメントアウトして,手順18で確認したSCSIデバイスとHDLMデバイスの対応関係を基に,次のようにHDLMデバイス指定を追加します。
- ブートローダとしてELILOを使用している場合
ルートディレクトリ「/」,/boot/efi,/tmp,/usr,/var,swap- ブートローダとしてGRUBを使用している場合
ルートディレクトリ「/」,/boot,/tmp,/usr,/var,swap- ブートローダとしてLILOを使用している場合
ルートディレクトリ「/」,/tmp,/usr,/var,swap: : #/dev/sddlmaa2 / ext2 defaults 1 1 #/dev/sda2 / ext2 defaults 1 1 /dev/sddlmaa2 / ext2 defaults 1 1 : : #/dev/sddlmaa4 /tmp ext2 defaults 1 2 #/dev/sda4 /tmp ext2 defaults 1 2 /dev/sddlmaa4 /tmp ext2 defaults 1 2 : :- ホストを停止します。
次に示すコマンドを実行してホストを停止します。# shutdown -h now- シングルパス構成からマルチパス構成に変更します。
- ホストを起動します。
- mountコマンドを実行して,HDLMデバイスがマウントされていることを確認します。
ブートローダとしてGRUBを使用している場合の実行例を次に示します。# mount /dev/sddlmaa2 on / type ext2 (rw) : : /dev/sddlmaa1 on /boot type ext2 (rw) /dev/sddlmaa4 on /tmp type ext2 (rw) /dev/sddlmaa5 on /var type ext2 (rw) /dev/sddlmaa6 on /usr type ext2 (rw) none on /dev/shm type tmpfs (rw)下線部を確認してください。- Red Hat Enterprise Linux,またはSUSE LINUX Enterprise Serverを使用している場合は,swapパーティションにHDLMデバイスが割り当てられていることを確認します。
/proc/swapsファイルを参照して,Filename列の部分にHDLMデバイス名が表示されていることを確認してください。
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