Hitachi

uCosminexus Grid Processing Server 使用の手引


4.4.7 実行環境の構築

環境構築時の注意

環境構築で各ホストに定義ファイル(サーバ定義および設定ファイル)が転送される際,転送先のホストにファイルが存在すると,上書きして処理を実行します。そのため,全ホストの定義ファイルは,定義ファイル管理ディレクトリ(gpdefgenコマンドの-oオプションで指定したディレクトリ)で一元管理し,各ホストに存在する定義ファイルの内容を個別に変更しないようにしてください。

LinuxではuGPS管理者権限で管理ホスト(定義ファイル管理ディレクトリを作成したホスト)から環境構築用のgpmgrsetupコマンドを実行することで,管理ホストおよび実行ノードに各種定義ファイルが転送され,環境が構築されます。AIXではgpmgrsetupコマンドによって管理ホストおよび実行ノードに各種定義ファイルを転送して環境構築を行う場合は,root権限でgpmgrsetupコマンドを実行する必要があります。

リモートログインを使用しないで自ホストだけをセットアップする場合は,uGPS管理者権限でgpmgrsetupコマンドを実行できます。

gpmgrsetupコマンドの詳細については,8章の「gpmgrsetup(環境構築/削除コマンド)(Linux・AIX)」を参照してください。

リモートログインを使用して環境構築する場合は,sshまたはrshの設定が必要です。設定内容の詳細については,「3.1.2(2) sshの設定(任意)(Linux)」または「3.1.2(3) rshの設定(任意)(Linux・AIX)」を参照してください。

Linuxでは,uGPS管理者権限で環境構築する場合はsudoコマンドの設定が必要です。設定内容の詳細については,「3.1.2(4) root権限で実行するコマンドの登録(任意)(Linux)」を参照してください。

また,AIXでは,root権限でのコマンド実行にOSのsuコマンドを利用します。必要に応じて,suコマンドの設定をしてください。

なお,リモートログインを許可しない環境,またはroot権限で実行するコマンドを登録できない環境の場合は,次に示す対処を実行してください。

リモートログインを許可しない環境の場合

gpmgrsetupコマンドは,環境構築対象となるホストにリモートログインして環境を構築します。そのため,リモートログインを許可しない環境の場合,次の手順で環境を構築してください。

  1. 定義ファイルを管理するホストに生成した定義ファイル管理ディレクトリ全体を,手動で構築対象ホストの任意の場所に配置する。

  2. 構築対象ホストにログインし,gpmgrsetupコマンドの-hオプションにログインしたホストだけを指定してコマンドを実行する。

root権限で実行するコマンドを登録できない環境の場合(Linux)

gpmgrsetupコマンドはroot権限で実行するため,OSのsudoコマンドを利用します。そのため,次の条件をすべて満たす場合には,環境構築対象のホストのuGPS管理者のパスワードを要求されます。

  • root権限を持たないユーザでgpmgrsetupコマンドを実行した

  • root権限で実行するコマンドをuGPS管理者がパスワードなしで実行することを許可していない

  • コマンド内で,初回のsudoコマンド使用時,または2回目以降のsudoコマンド使用時にパスワードの使用期限を超えている

このパスワード要求を回避するため,環境構築は次のどちらかの方法で実行してください。

  • root権限を持つユーザでgpmgrsetupコマンドを実行する

  • root権限で実行するコマンドをuGPS管理者がパスワードなしで実行することを許可する

gpmgrsetupコマンドの実行によって作成されるファイルおよびディレクトリを次の表に示します。

表4‒5 生成される定義ファイルまたはディレクトリと設定内容

定義ファイルまたはディレクトリ

ファイルまたはディレクトリ名

所有者/パーミッション

対象ホスト

管理ホスト

実行ノード

設定ファイル

/opt/hitachi/ugpsm/conf/ugpsm.conf

uGPS管理者/0644

メッセージログ用ディレクトリ

設定ファイル(ugpsm.conf)のLOG_DIRパラメータに指定した内容

root/0777

トレース用ディレクトリ

設定ファイル(ugpsm.conf)のTRACE_DIRパラメータに指定した内容

root/0777

スプール用ディレクトリ

設定ファイル(ugpsm.conf)のSPOOL_DIRパラメータに指定した内容

root/1777

クライアント用ログディレクトリ

設定ファイル(ugpsm.conf)のCLT_TRC_PATHパラメータに指定した内容

root/0777

分割ファイル格納ディレクトリ

設定ファイル(ugpsm.conf)のDISTRIBUTE_DIRパラメータに指定した内容

root/1777

ファイル分割用一時ファイル格納ディレクトリ

設定ファイル(ugpsm.conf)のSORT_TMPDIRパラメータに指定した内容

root/1777

グリッドプロパティ格納用ディレクトリ

データマネージャSPPのユーザサービス定義(UGPSMdtm)のUGPSM_DIR環境変数に指定した内容

uGPS管理者/0755

ジョブマネージャステータスファイル格納用ディレクトリ

ジョブマネージャSPPのユーザサービス定義(UGPSMjbm)のUGPSM_DIR環境変数に指定した内容

uGPS管理者/0755

ノードマネージャステータスファイル格納用ディレクトリ

ノードマネージャSPPのユーザサービス定義(UGPSMndm)のUGPSM_DIR環境変数に指定した内容

uGPS管理者/0755

uGPSディレクトリ

gpdefgenコマンドの-gオプションで指定した内容

uGPS管理者/0755

(凡例)○:生成する −:生成しない

gpmgrsetupコマンドを実行すると,次の表に示す内容でデーモンの自動起動が設定されます。

表4‒6 gpmgrsetupコマンドで設定されるデーモンの自動起動

デーモン

設定内容

ホスト

管理ホスト

実行ノード

ジョブマネージャデーモン(ugpsmjbmd)

(Linux 6(RHEL6)以前の場合)

  1. gpjmdctlコマンドを/etc/init.d以下に複製

    なお,/etc/init.d以下に同一名称のファイルがあった場合は上書きします。

  2. chkconfigコマンドで登録(/sbin/chkconfig --add gpjmdctl)

(Linux 7(RHEL7)以降の場合)

  1. gpjmdctl.serviceファイルを/usr/lib/systemd/system以下に複製

    なお,/usr/lib/systemd/system以下に同一名称のファイルがあった場合は上書きします。

  2. systemctlコマンドで登録(/bin/systemctl enable gpjmdctl.service)

(AIXの場合)

  1. gpjmdctlコマンドを/etc/inittabに登録

    mkitabコマンドで登録

    (/usr/sbin/mkitab gpjmdctl:2:wait:/opt/hitachi/ugpsm/bin/gpjmdctl start)

ノードマネージャデーモン(ugpsmndmd)

(Linux 6(RHEL6)以前の場合)

  1. gpnmdctlコマンドを/etc/init.d以下に複製

    なお,/etc/init.d以下に同一名称のファイルがあった場合は上書きします。

  2. chkconfigコマンドで登録(/sbin/chkconfig --add gpnmdctl)

(Linux 7(RHEL7)以降の場合)

  1. gpnmdctl.serviceファイルを/usr/lib/systemd/system以下に複製

    なお,/usr/lib/systemd/system以下に同一名称のファイルがあった場合は上書きします。

  2. systemctlコマンドで登録(/bin/systemctl enable gpnmdctl.service)

(AIXの場合)

  1. gpnmdctlコマンドを/etc/inittabに登録

    mkitabコマンドで登録

    (/usr/sbin/mkitab gpnmdctl:2:wait:/opt/hitachi/ugpsm/bin/gpnmdctl start)

(凡例)○:設定する −:設定しない

この設定は,次のシステム開始時(リブート後)から有効となります。また,システム起動時の自動起動の設定をしておくと,システム終了時に各デーモンは自動終了されます。なお,自動起動の設定後にOSが提供するserviceコマンドおよびsystemctlコマンドでデーモンの起動や停止などの操作はしないでください。