(a)　.NETインタフェース定義に使用する言語

SPP.NETの.NETインタフェース定義は，SPP.NETを開発するプログラム言語で定義します。.NETインタフェース定義を定義する場合，次のプログラム言語が使用できます。COBOL言語は使用できません。

• C#
• J#^※
• Visual Basic

注※

Visual Studio 2008では，J#を使用して開発できません。

各プログラム言語でのインタフェースの定義文法は，Visual Studioや.NET Framework SDKのドキュメントを参照してください。

なお，.NETインタフェース定義は，Visual Studioや.NET Framework SDKが提供する各プログラム言語のコンパイラで，.NET FrameworkおよびOpenTP1 for .NET Frameworkが提供するクラスライブラリだけを参照してコンパイルできる必要があります。

(b)　.NETインタフェース定義の定義規則

SPP.NETのインタフェースを定義する場合，次の規則があります。これらの規則に従っていない場合，SPP.NETの.NETインタフェース定義として使用できません。

• 名前空間名，インタフェース名，メソッド名には，半角英数字および半角アンダスコア（_）が使用できます。なお，名前空間の区切り文字として半角ピリオド（.）が使用できます。
• メソッドの引数および戻り値に使用できるデータ型を次の表に示します。
  

  表3-1　メソッドの引数および戻り値で使用できるデータ型

  共通型システム	プログラム言語
  	C#	J#	Visual Basic
  System.Void※	void	void	−
  System.Byte	byte	ubyte	Byte
  System.Int16	short	short	Short
  System.Int32	int	int	Integer
  System.Int64	long	long	Long
  System.String	string	String	String
  System.Byte[]	byte[]	ubyte[]	Byte()
  System.Int16[]	short[]	short[]	Short()
  System.Int32[]	int[]	int[]	Integer()
  System.Int64[]	long[]	long[]	Long()
  System.String[]	string[]	String[]	String()
  TP1ユーザ構造体	−	−	−
  TP1ユーザ構造体配列	−	−	−

  （凡例）

  −：プログラム言語による差異はありません。

  注※

  System.Voidはメソッドの戻り値にだけ指定できます。

  　

  
  
• メソッドの引数に使用できるパラメタ属性を次の表に示します。
  

  表3-2　メソッドの引数に使用できるパラメタ属性

  意味	プログラム言語
  	C#	J#※2	Visual Basic
  値渡し	var（省略可）	なし	ByVal（省略可）
  出力渡し	out	指定不可※1	指定不可※1
  参照渡し	ref	Holderクラス※2	ByRef

  注※1

  out属性はC#固有の属性です。C#以外では指定できません。C#以外のプログラム言語で使用する場合は，代わりに参照渡しを使用してください。

  注※2

  J#ではパラメタ属性の代わりにデータ型で表現します。J#では値型の参照渡しができないため，OpenTP1が提供するHolderクラスを使用してください。

  
  
• OpenTP1が提供するHolderクラスを次の表に示します。
  

  Holderクラス名	保持する値の型
  	J#	共通型システム
  Hitachi.OpenTP1.UByteHolder	ubyte	System.Byte
  Hitachi.OpenTP1.ShortHolder	short	System.Int16
  Hitachi.OpenTP1.IntHolder	int	System.Int32
  Hitachi.OpenTP1.LongHolder	long	System.Int64
  Hitachi.OpenTP1.StringHolder	String	System.String
  Hitachi.OpenTP1.UByteArrayHolder	ubyte[]	System.Byte[]
  Hitachi.OpenTP1.ShortArrayHolder	short[]	System.Int16[]
  Hitachi.OpenTP1.IntArrayHolder	int[]	System.Int32[]
  Hitachi.OpenTP1.LongArrayHolder	long[]	System.Int64[]
  Hitachi.OpenTP1.StringArrayHolder	String[]	System.String[]

  注1

  これらのHolderクラスはJ#でだけ使用できます。C#およびVisual Basicではref，ByRefなどのパラメタ属性を使用してください。

  注2

  これらのHolderクラスは，メソッドの引数としてだけ使用できます。メソッドの戻り値には使用できません。

  
  　
  
• メソッド名の長さは31文字以内でなければなりません。なお，メソッド名はSPP.NETのサービス名になります。
• メソッド名は英字で始まる必要があります。
• メソッドのオーバロードはできません。
• 大文字，小文字だけが異なる同じ名称のメソッドを定義することはできません。

(a)　TP1ユーザ構造体とは

TP1ユーザ構造体は，複数の値をまとめて保持できるクラスのことです。

(b)　TP1ユーザ構造体の定義規則

TP1ユーザ構造体を定義する場合の規則を次に示します。

• TP1ユーザ構造体として利用するクラスは，Hitachi.OpenTP1.TP1UserStructクラスを継承します。
• デフォルトコンストラクタ（アクセス修飾子がpublicで，引数のないコンストラクタ）を持つ必要があります。
• set，get両方のアクセサを持つpublicプロパティが一つ以上必要です。
• 大文字，小文字だけが異なる同一名称のプロパティを定義することはできません。

注意

publicプロパティ以外のすべてのメンバはRPCで送受信されるデータには含まれません。

(c)　TP1ユーザ構造体のプロパティとして利用できるデータ型

TP1ユーザ構造体のプロパティとして利用できるデータ型，およびメソッドの引数として使用できるパラメタ属性を次の表に示します。

表3-3　TP1ユーザ構造体のプロパティとして利用できるデータ型

共通型システム	プログラム言語
	C#	J#	Visual Basic
System.Byte	byte	ubyte	Byte
System.Int16	short	short	Short
System.Int32	int	int	Integer
System.Int64	long	long	Long
System.String	string	String	String
System.Byte[]	byte[]	ubyte[]	Byte()
System.Int16[]	short[]	short[]	Short()
System.Int32[]	int[]	int[]	Integer()
System.Int64[]	long[]	long[]	Long()
System.String[]	string[]	String[]	String()
TP1ユーザ構造体	−	−	−
TP1ユーザ構造体配列	−	−	−

（凡例）

−：プログラム言語による差異はありません。

(d)　TP1ユーザ構造体の参照渡しの方法

TP1ユーザ構造体の参照渡しをするには，パラメタ属性を使用します。ただし，J#の場合は参照渡しができないため，Hitachi.OpenTP1.ITP1UserStructHolderを実装する必要があります。実装上の規則を次に示します。

• プロパティとして利用できるデータ型はTP1ユーザ構造体，またはTP1ユーザ構造体の配列に限られます。
• プロパティはset，get両方のアクセサを持ち，アクセス修飾子がpublicである必要があります。
• プロパティは一つしか定義してはいけません。
• 実装クラスの名称規則を，次の表に示します。
  

  プロパティのデータ型	実装クラスの名称
  TP1ユーザ構造体	TP1ユーザ構造体クラス名称＋"Holder"
  TP1ユーザ構造体配列	TP1ユーザ構造体クラス名称＋"ArrayHolder"

  　
  
• 実装クラスの名前空間は，プロパティのデータ型と同じ名前空間である必要があります。

なお，プロパティ以外のすべてのメンバはRPCで送受信されるデータには含まれません。TP1ユーザ構造体の参照渡しの使用例については，「(3)(b)　J#での定義例」を参照してください。

(a)　C#での定義例

　
using System;
using Hitachi.OpenTP1;
namespace MyCompany
{
 
  public interface IGyoumuA
  {
    void Service1(string dataId, byte[] data);
    string[] Service2(string key);
    int Service3(int inCount, ref string[] ids);
    short Service4(MyStruct inStruct);
  }
  public class MyStruct : TP1UserStruct
  {
      private int id;
      private string name;
 
      public MyStruct(){}
 
      public int Id
      {
        set{
           id = value;
        }
        get{
           return id;
        }
      }
 
      public string Name
      {
         set{
            name = value;
         }
         get{
            return name;
         }
      }
  }
}

(b)　J#での定義例

　
package MyCompany;
import System.*;
import Hitachi.OpenTP1.*;
 
public interface IGyoumuA
{
    void Service1(String dataId, ubyte[] data);
    String[] Service2(String key);
    int Service3(int inCount, StringArrayHolder ids);
    short Service4(MyStruct inStruct, MyStructHolder outStruct);
}
 
//TP1ユーザ構造体の参照渡しをするためのクラス
public class MyStructHolder implements ITP1UserStructHolder
{
   private MyStruct val;
   /** @property */
   public void set_Value(MyStruct value)
   {
          val = value;
   }
   /** @property */
   public MyStruct get_Value()
   {
          return val;
   }
}
 
//TP1ユーザ構造体
public class MyStruct extends TP1UserStruct
{
   private int id;
   private String name;
 
   public MyStruct()
   {
   }
 
   /** @property */
   public void set_Id(int value)
   {
          id = value;
   }
   /** @property */
   public int get_Id()
   {
          return id;
   }
   /** @property */
   public void set_Name(String value)
   {
          name = value;
   }
   /** @property */
   public String get_Name()
   {
          return name;
   }
}

(c)　Visual Basicでの定義例

　
Imports System
Imports Hitachi.OpenTP1
Namespace MyCompany
  Public Interface IGyoumuA
    Sub Service1(ByVal dataId As String, ByVal data() As Byte)
    Function Service2(ByVal key As String) As String()
    Function Service3(ByVal inCount As Integer, _
                      ByRef ids() As String) As Integer
    Function Service4(ByVal inStruct As MyStruct) As Short
  End Interface
 
  Public Class MyStruct
      Inherits TP1UserStruct
      Private idValue As Integer
      Private nameValue As String
 
      Public Sub New()
      End Sub
 
      Public Property Id() As Integer
          Set(ByVal value As Integer)
               idValue = value
          End Set
          Get
               Return idValue
          End Get
      End Property
 
      Public Property Name() As String
          Set(ByVal value As String)
               nameValue = value
          End Set
          Get
               Return nameValue
          End Get
      End Property
  End Class
End Namespace

クライアントスタブ生成コマンド（if2cstub）で-Xオプションを指定して，.NETインタフェース定義からクライアントスタブを生成すると，引数および戻り値がXmlDocumentクラス（System.Xml.XmlDocument）となるサービスメソッドがクライアントスタブに追加されます。サービスメソッドの引数および戻り値のXmlDocumentクラスに指定できるXMLの形式は，クライアントスタブと一緒に生成される入力データ用XMLスキーマおよび出力データ用XMLスキーマで定義されます。

.NETインタフェース定義のサービスメソッドの引数および戻り値は，次の図のように入力データ用XMLスキーマおよび出力データ用XMLスキーマに定義されます。入力データ用XMLスキーマのファイル名は，「〈.NETインタフェース定義のインタフェース名称〉_〈.NETインタフェース定義のサービスメソッド名称〉_InData.xsd」となり，出力データ用XMLスキーマのファイル名は，「〈.NETインタフェース定義のインタフェース名称〉_〈.NETインタフェース定義のサービスメソッド名称〉_OutData.xsd」となります。

クライアントスタブ生成コマンド（if2cstub）によって出力されるXMLスキーマは，XMLスキーマ仕様「XML Schema Definition language（XSD）1.0」に従います。なお，名前空間URIとして「http://www.w3.org/2001/XMLSchema」が指定されます。

図3-1　.NETインタフェース定義とサービスメソッド用スキーマの関係

注※

入力データ用XMLスキーマおよび出力データ用XMLスキーマに定義されたサービスメソッドごとに生成されます。