分散トランザクション処理機能 OpenTP1 解説

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6.2.1 マルチノード機能の概要

クラスタ/並列システムとは,LANで接続した複数のサーバマシンを並行に処理させて,大規模システムを構築する形態です。このクラスタ/並列システム形態で,一つのノードからすべてのOpenTP1システムを運用できるようにする機能をマルチノード機能といいます。マルチノード機能を使うと,ノードごとにOpenTP1システムを管理する必要がなくなります。

マルチノード機能を使う場合には,すべてのOpenTP1システムにTP1/Multiが必要です。

マルチノード機能を使ったOpenTP1のソフトウェア構成を次の図に示します。

図6-4 マルチノード機能を使ったOpenTP1のソフトウェア構成

[図データ]

<この項の構成>
(1) マルチノード機能を使用する前提条件
(2) マルチノード機能とOpenTP1の機能の関係
(3) クラスタ/並列システムを構成する要素

(1) マルチノード機能を使用する前提条件

マルチノード機能を使用する場合は,次のことが前提となります。

(2) マルチノード機能とOpenTP1の機能の関係

クラスタ/並列システム形態でOpenTP1を使用した場合の機能を,次に示します。

(a) 単一のOpenTP1の場合

通常のOpenTP1の機能で運用できます。UAPも,各OpenTP1のノードで設定した環境で起動します。複数のUAPプロセスを並行して起動すること(マルチサーバ機能)も,複数のノード間でユーザサーバのサービスグループ単位で処理を振り分けること(ノード間負荷バランス機能)もできます。

(b) 系切り替え機能を使用したOpenTP1の場合

系切り替え構成のOpenTP1の場合,系切り替えの組み合わせの単位を一つのノード(現用系と待機系が同じノード)と見なして処理します。系切り替えが起こっても,ノードが切り替わったことを意識しません。

系切り替え機能を使う場合は,保守用LAN(系切り替えとは関係ない,OpenTP1の通信に使わないLAN)が必要です。また,マルチノード物理定義のホスト名には,保守用LANのホスト名を指定してください。

メッセージキューイング機能(TP1/Message Queue)を使ったOpenTP1システムでも,マルチノード機能を使えます。

(3) クラスタ/並列システムを構成する要素

クラスタ/並列システムのOpenTP1では,各ノードを管理するため,複数システムで構成される領域を,次のように管理しています。

クラスタ/並列システムにOpenTP1を使用した形態を次の図に示します。

図6-5 クラスタ/並列システムにOpenTP1を使用した形態

[図データ]

(a) マルチノードエリア

クラスタ/並列システムを構成しているOpenTP1のまとまりを,マルチノードエリアといいます。クラスタ/並列システム内で一元的に管理したい範囲のOpenTP1ノードを,すべてマルチノードエリアとします。

一つのクラスタ/並列システム内には,マルチノードエリアは一つだけです。

(b) マルチノードサブエリア

マルチノードエリアを論理的に分割したまとまりをマルチノードサブエリアといいます。マルチノードエリアに属するOpenTP1のノードを,共通する業務ごとにサブエリアに分割します。マルチノードサブエリアとして分割する例を次に示します。

グローバルアーカイブジャーナル機能については,「6.2.3 グローバルアーカイブジャーナル機能」を参照してください。

(c) OpenTP1ノード

マルチノードエリア,またはマルチノードサブエリアを構成する個々のOpenTP1システムをOpenTP1ノードといいます。それぞれのOpenTP1ノードは,OpenTP1のシステム共通定義で指定したノード識別子で区別されます。

(d) システム定義の指定

マルチノード構成定義で,それぞれのエリアに属するOpenTP1ノードを指定します。OpenTP1ノードのノード識別子として指定する値は,システム共通定義に指定したノード識別子です。