トランザクショナル分散オブジェクト基盤 TPBroker Object Transaction Monitor ユーザーズガイド

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tscstartTSCデーモンの開始

形式

 
tscstart  [-h] [-TSCDomain TSCドメイン名称] [-TSCID TSC識別子]
          [-TSCPort ポート番号]
          [-TSCMyHost ホスト名称またはIPアドレス]
          [-TSCEntryCount 登録プロセス数] [-TSCNice nice値]
          [-TSCRegStart プロセス数]
          [-TSCRegOption コマンドオプションファイル名称]
          [-TSCEnviron ユーザ環境変数定義ファイル名称]
          [-TSCStartTimeOut タイムアウト値]
          [-TSCClientConnectCount 接続クライアントの最大数]
          [-TSCServerConnectCount 接続サーバアプリケーションの最大数]
          [-TSCLogFileSize TSCログファイル最大サイズ]
          [-TSCLogFileCount TSCログファイル最大数]
          [-TSCRootAcceptorCount TSCルートアクセプタ数]
          [-TSCRootAcceptorRegistCount TSCルートアクセプタ登録可能数]
          [-TSCServerCacheSize サーバキャッシュサイズ]
          [-TSCDispatchPolicy normalDispatch | priorDispatch]
          [-TSCDispatchParallelCount スレッドの最大値]
          [-TSCMaxRequestCount リクエスト数]
          [-TSCQueueDeleteWait TSCルートアクセプタキュー保留時間]
          [-TSCHighPriorRequestCount 高プライオリティリクエスト数]
          [-TSCHighPriorBorder 高プライオリティしきい値]
          [-TSCStatsUse Y | N] [-TSCStatsFileCount ファイル数]
          [-TSCStatsFileSize ファイルサイズ]

機能

リクエストのキューイングや振り分けをするためのTSCデーモンを開始します。

オプション

●-h

コマンドの使用方法が表示されます。

●-TSCDomain TSCドメイン名称

〜<1〜31文字の英数字>《TSCDOMAIN》

TSCデーモンが属するTSCドメイン名称を指定します。"TSC"または"tsc"で始まるTSCドメイン名称は指定しないでください。また,TSC識別子とTSCドメイン名称には同じ値を指定しないでください。省略した場合は"TSCDOMAIN"が設定されます。

●-TSCID TSC識別子

〜<1〜31文字の英数字,およびピリオド(.)>《IPアドレス》

TSCデーモンの識別子を指定します。"TSC"または"tsc"で始まるTSC識別子は指定しないでください。また,同一TSCドメイン内で重複するTSC識別子は使用できません。ピリオド(.)は,IPアドレスを指定する場合だけ使用できます。省略した場合は,IPアドレスがTSC識別子に設定されます。例えば,ホストのIPアドレスが"172.17.112.43"のときは,"172.17.112.43"という文字列がTSC識別子となります。

●-TSCPort ポート番号

〜<符号なし整数>((5001〜65535))《20138》

TSCデーモンの新しいコネクションを探すときに使用するポート番号を指定します。省略した場合はサービス名ファイルが参照されます。サービス名ファイルに指定がないときは"20138"が設定されます。

サービス名ファイルへの記述の形式を次に示します。

 
TSC_TSCドメイン名称TSC識別子       ポート番号/tcp
 

例えば,"tscstart -TSCDomain JAPAN -TSCID Hitachi"と指定してTSCデーモンを開始する場合,サービス名ファイルの,次のように指定したエントリが読み込まれます。

 
TSC_JAPANHitachi                     10021/tcp

●-TSCMyHost ホスト名称またはIPアドレス

〜<1〜64文字の文字列>《hostnameコマンドで取得されるホスト名称》

マルチホームドホスト環境でOTMが使用するホスト名称またはIPアドレスを指定します。省略した場合は,hostnameコマンドで取得されるホスト名称が設定されます。

-TSCMyHostオプションを指定する場合は,-OAipAddrオプションに-TSCMyHostオプションと同じコマンドオプション引数を指定してください。同じコマンドオプション引数を指定しないと,異常終了や例外発生などの予期しない動作が発生することがあります。-OAipAddrオプションについては,マニュアル「VisiBroker for C++ リファレンス」または「VisiBroker for Java リファレンス」を参照してください。

-TSCIDオプションを省略して-TSCMyHostオプションを指定した場合,デフォルトのTSC識別子は-TSCMyHostオプションで指定したIPアドレスになります。

●-TSCEntryCount 登録プロセス数

〜<符号なし整数>((32〜32767))《オプションの合計値+TSCシステムプロセス数》

TSCデーモンで管理するプロセスの数を指定します。管理するプロセスについては,「2.4.3 プロセスの管理」を参照してください。

-TSCEntryCountオプションを省略した場合,-TSCServerConnectCountオプションと-TSCClientConnectCountオプションの指定値の合計に,1(TSCシステムプロセス数)を加算した値が設定されます。

●-TSCNice nice値

〜<符号なし整数>《0》

TSCデーモンが管理するサーバで使用する-TSCNiceオプションの指定値のデフォルトを指定します。省略した場合は"0"が設定されます。指定値の範囲はOSが提供するniceの指定範囲に従います。

●-TSCRegStart プロセス数

〜<符号なし整数>((1〜32767))

TSCデーモン開始時に自動開始するTSCレギュレータのプロセス数を指定します。TSCデーモンはTSCレギュレータの動作を監視し,終了を検出すると再開始します。省略した場合は,TSCデーモン開始時にTSCレギュレータは自動開始されません。

●-TSCRegOption コマンドオプションファイル名称

UNIXの場合〜<英数字,ピリオド(.),スラント(/),プラス(+),およびハイフン(-)>

Windowsの場合〜<英数字,ピリオド(.),円符号(\),コロン(:),プラス(+),およびハイフン(-)>

TSCレギュレータを自動開始するときに指定するコマンドオプションを記述したファイル名称を指定します。コマンドオプションファイル名称はユーザ任意の名称です。コマンドオプションファイルには英数字,空白,ハイフン(-),ピリオド(.),およびスラント(/)だけを記述できます。コマンドオプション以外は記述しないでください。例えば,次のように指定します。

 
-TSCClientConnectCount 64
 

コマンドオプションファイル名称を"regoption"とする場合は,TSCデーモン開始時に次のように指定します。

 
tscstart -TSCRegOption regoption -TSCRegStart 10
 

自動開始する複数のTSCレギュレータのポート番号を固定の番号にしたい場合は,コマンドオプションファイル内で-TSCPortオプションを指定します。指定された-TSCPortオプションの値を基底値とし,1ずつ加算した値が各TSCレギュレータへの-TSCPortオプションに指定されます。

-TSCRegOptionオプションを省略した場合,TSCレギュレータには-TSCDomainオプション,-TSCIDオプション,および-TSCMyHostオプション以外のコマンドオプションは指定されません。-TSCDomainオプション,-TSCIDオプション,および-TSCMyHostオプションには,tscstartコマンドで指定したTSCドメイン名称,TSC識別子,およびホスト名称がそれぞれ設定されます。なお,-TSCRegStartオプションが指定されていない場合は,-TSCRegOptionオプションは無視されます。

●-TSCEnviron ユーザ環境変数定義ファイル名称

UNIXの場合〜<英数字,ピリオド(.),スラント(/),プラス(+),およびハイフン(-)>

Windowsの場合〜<英数字,ピリオド(.),円符号(\),コロン(:),プラス(+),およびハイフン(-)>

開始するプロセスが使用する環境変数を記述したユーザ環境変数定義ファイル名称をフルパスで指定します。ユーザ環境変数定義ファイルの詳細については,「4.1.4 ユーザ環境変数定義ファイル」を参照してください。

●-TSCStartTimeOut タイムアウト値

〜<符号なし整数>((0〜2147483647))≪180≫(単位:秒)

TSCデーモンの開始処理の待ち時間を指定します。"0"を指定した場合,無限に待ち続けます。省略した場合は"180(秒)"が設定されます。

●-TSCClientConnectCount 接続クライアントの最大数

〜<符号なし整数>((0〜32767))《64》

自TSCデーモンに接続するクライアントアプリケーションおよびTSCレギュレータの最大数を指定します。省略した場合は"64"が設定されます。

-TSCServerConnectCount 接続サーバアプリケーションの最大数

〜<符号なし整数>((0〜32767))《64》

自TSCデーモンに接続するサーバアプリケーションの最大数を指定します。省略した場合は"64"が設定されます。

-TSCLogFileSize TSCログファイル最大サイズ

〜<符号なし整数>((1〜3))《1》(単位:メガバイト)

TSCログファイルの1ファイルの最大サイズをメガバイト単位で指定します。省略した場合は"1(メガバイト)"が設定されます。(-TSCLogFileSizeオプションの指定値)×(-TSCLogFileCountオプションの指定値)メガバイト分のメッセージをTSCログファイルに保存できます。TSCログファイルに保存するメッセージの容量を変更するには,まず-TSCLogFileCountオプションの指定値を変更してください。-TSCLogFileCountオプションの指定値の変更だけでは不十分な場合にだけ,-TSCLogFileSizeオプションを指定してください。

-TSCLogFileCount TSCログファイル最大数

〜<符号なし整数>((2〜32))《2》

TSCログファイルの最大ファイル数を指定します。省略した場合は"2"が設定されます。(-TSCLogFileSizeオプションの指定値)×(-TSCLogFileCountオプションの指定値)メガバイト分のメッセージをTSCログファイルに保存できます。TSCログに保存するメッセージの容量を変更するには,まず-TSCLogFileCountオプションの指定値を変更してください。-TSCLogFileCountオプションの指定値の変更だけでは不十分な場合にだけ,-TSCLogFileSizeオプションを指定してください。

TSCログファイルのサイズが-TSCLogFileSizeオプションの指定値を超えると,TSCログファイルは次のファイルに切り替えられます。TSCログファイルの切り替え時に,TSCログファイルの総数が-TSCLogFileCountオプションの指定値を超えていると,最も古いTSCログファイルの内容が削除されます。

上記の内容に留意し,TSCログファイルの容量を見積もってください。

●-TSCRootAcceptorCount TSCルートアクセプタ数

〜<符号なし整数>((1〜32767))《128》

TSCデーモンに登録できるTSCルートアクセプタ数を指定します。省略した場合は"128"が設定されます。

●-TSCRootAcceptorRegistCount TSCルートアクセプタ登録可能数

〜<符号なし整数>((1〜32767))《64》

同じTSCルートアクセプタの重複登録可能数を指定します。省略した場合は"64"が設定されます。

●-TSCServerCacheSize サーバキャッシュサイズ

〜<符号なし整数>((1〜32767))《128》(単位:キロバイト)

TSCドメイン内のサーバ情報を格納するキャッシュテーブルのサイズを指定します。省略した場合は"128(キロバイト)"が設定されます。

サーバキャッシュテーブルのサイズは次に示す計算式で求めてください。

 
{ 208×同じTSCドメイン内のTSCID数
 +144×同じTSCドメイン内の全TSCルートアクセプタ数
 +144×同じTSCドメイン内のTSCルートアクセプタに登録する全TSCユーザアクセプタ数
 +(128+最大インタフェース名長)×同じTSCドメイン内のインタフェース数
}×1.5 (バイト)
 

-TSCDispatchPolicy normalDispatch | priorDispatch

〜<英字>((normalDispatch | priorDispatch))《normalDispatch》

リクエストのスケジュールポリシーを次の値で指定します。

"normalDispatch"を指定すると,TSCルートアクセプタの負荷状況に応じたリクエストをスケジュールします。

"priorDispatch"を指定すると,リクエストを受け付けたTSCデーモンに登録されているTSCルートアクセプタに,優先的にリクエストをスケジュールします。ただし,そのTSCデーモンに登録されているTSCルートアクセプタが高負荷状態,および閉塞状態の場合は,ほかのTSCデーモンに登録しているTSCルートアクセプタにリクエストをスケジュールします。

省略した場合は"normalDispatch"が設定されます。

●-TSCDispatchParallelCount スレッドの最大値

〜<符号なし整数>((0〜32767))《255》

自TSCデーモン内でクライアントからの要求メッセージをサーバアプリケーションに振り分けるスレッドの最大値,つまり,自TSCデーモンに登録されるRootAcceptorオブジェクトのパラレルカウント(常駐するスレッド数)の和を指定します。省略した場合は"255"が設定されます。

-TSCMaxRequestCount リクエスト数

〜<符号なし整数>((1〜32767))《50》

TSCデーモンに登録するTSCルートアクセプタが,同時に登録できるリクエスト数を指定します。省略した場合は"50"が設定されます。

●-TSCQueueDeleteWait TSCルートアクセプタキュー保留時間

〜<符号なし整数>((0〜2147483647))《0》(単位:秒)

異常終了したサーバアプリケーションが登録していたTSCルートアクセプタのスケジュール用キューを削除しないで保留し,サーバアプリケーションの再開始を待つ場合の待ち時間を指定します。

指定した時間内にサーバアプリケーションが再開始された場合は,保留中のスケジュール用キューを再利用し,キューイングされていたリクエストがスケジュールされます。

指定時間を経過してもサーバアプリケーションが再開始されない場合は,TSCルートアクセプタのスケジュール用キューを閉塞したあと,TSCルートアクセプタの登録を削除します。なお,スケジュール用キューの閉塞,およびTSCルートアクセプタの登録の削除は,インターバル処理で実行されるため,指定時間よりも遅れることがあります。

省略した場合,または"0"が指定された場合は,スケジュール用キューを保留しないでTSCルートアクセプタの登録を削除します。

-TSCHighPriorRequestCount 高プライオリティリクエスト数

〜<符号なし整数> ((0〜32766))《0》

スケジュール用キューに登録できるリクエスト数のうち,プライオリティの高いリクエストだけを登録する数を指定します。-TSCHighPriorBorderオプションの指定値以下のプライオリティ値が設定された,プライオリティの高いリクエストが対象となります。

-TSCHighPriorRequestCountオプションを指定すると,プライオリティの低いリクエストを登録できる数に制限が発生します。つまり,-TSCMaxRequestCountオプションの指定値から-TSCHighPriorRequestCountオプションの指定値を差し引いた値を超えて,プライオリティの低いリクエストが発生した場合は例外が返ります。一方,プライオリティの高いリクエストは,-TSCMaxRequestCountオプション指定値を超えて発生した場合にだけ例外が返ります。

-TSCHighPriorRequestCountオプションには,-TSCMaxRequestCountオプション指定値以上の値は指定できません。省略した場合は"0"が設定されます。

-TSCHighPriorRequestCountオプションは,-TSCMaxRequestCountオプションの指定値(省略した場合"50")で作成されたキューに対して有効になります。ただし,tscstartprcコマンドもしくはサーバアプリケーションの開始コマンドの-TSCQueueLengthオプション,またはsetQueueLength()メソッドの指定値で作成されたキューに対しては無効になります。

-TSCHighPriorBorder 高プライオリティしきい値

〜<符号なし整数>((1〜7))《3》

-TSCHighPriorBorderオプションに指定するプライオリティ値以下の値を持つ,プライオリティの高いリクエストを-TSCHighPriorRequestCountオプションで指定する対象とします。省略した場合は"3"が設定されます。

-TSCHighPriorBorderオプションは,-TSCMaxRequestCountオプションの指定値(省略した場合"50")で作成されたキューに対して有効になります。ただし,tscstartprcコマンドもしくはサーバアプリケーションの開始コマンドの-TSCQueueLengthオプション,またはsetQueueLength()メソッドの指定値で作成されたキューに対しては無効になります。

-TSCStatsUse Y | N

〜<英字>((Y | N))《Y》

該当するTSCノードで稼働統計情報を取得するかどうかを指定します。小文字での指定もできます。省略した場合は"Y"が設定され,該当するTSCノードで稼働統計情報を取得します。

-TSCStatsFileCount ファイル数

〜<符号なし整数>((3〜256))《3》

稼働統計情報ファイルの世代数を指定します。省略した場合は"3"が設定されます。

●-TSCStatsFileSize ファイルサイズ

〜<符号なし整数>((1〜1024))《1》(単位:メガバイト)

稼働統計情報ファイルのサイズをメガバイト単位で指定します。省略した場合は"1(メガバイト)"が設定されます。

戻り値

このコマンドは次に示す戻り値をシェルに返してから,処理を終了します。

戻り値 意味
0 正常終了しました。
0以外 コマンド処理中にエラーが発生したために異常終了しました。
出力されたメッセージに従って対策したあと,再度,コマンドを実行してください。

注意事項