3.3.5 CTMドメインとCTMドメインマネジャ
CTMドメインとは,複数のCTMデーモン間で,それぞれに登録された業務処理プログラムの情報やスケジュールキューの負荷情報を交換して,情報共有と負荷分散をする範囲のことです。CTMドメイン名称で識別されます。CTMデーモンは,同じCTMドメイン内に存在するCTMデーモン間で,リクエストの振り分けやスケジューリングをします。CTMドメインの範囲と,CTMドメイン内の各CTMデーモンの情報は,CTMドメインマネジャによって管理されます。
- ポイント
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CTMドメインは,Management Serverが管理する運用管理ドメイン内に含まれます。
- 注意事項
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CTMドメインを新しく増やすと,ファイルシステム中に情報が増えます。使用しなくなったCTMドメインに対するCTMドメイン情報は,ctmdminfoコマンドを使用して適宜削除してください。
CTMドメインマネジャは,同じCTMドメイン内のCTMデーモンの情報を管理するデーモンプロセスです。CTMデーモンを配置したホスト上に一つずつ配置します。
対象となるCTMドメインマネジャが同じネットワークセグメント内にあるか,異なるネットワークセグメントにあるかによって,CTMドメインマネジャによる情報の配布方法が異なります。
なお,CTMドメインマネジャの機能を使用するための設定は,CTMドメインマネジャを起動するときにctmdmstartコマンドの引数として指定します。また,運用管理ポータルで構築したシステムを運用している場合は,論理CTMドメインマネジャにあらかじめ設定しておくことができます。コマンドについては,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「ctmdmstart(CTMドメインマネジャの開始)」を参照してください。運用管理ポータルについては,マニュアル「アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」の「10.6.2 CTMドメインマネジャのネットワーク設定」を参照してください。
- 注意事項
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Windowsのサービスから起動する場合は,開始コマンドのオプションに,「-Dvbroker.orb.isNTService=true」を指定してください。
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WindowsでCTMデーモンが異常終了した場合,CTMドメインマネジャはCTMデーモンの子プロセスを強制停止します。
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CTMドメインマネジャが異常終了した場合,CTMドメインマネジャの正常起動コマンド(ctmdmstartコマンド)に,-CTMForceStartオプション,または-CTMAutoForceオプションを指定してください。
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- 〈この項の構成〉
(1) 対象のCTMドメインマネジャが同じネットワークセグメント内にある場合の情報共有
CTMドメインマネジャは,ホスト内のCTMデーモンの情報を,ほかのホスト上のCTMドメインマネジャにブロードキャストで配布します。対象のCTMドメインマネジャが同じネットワークセグメント内にある場合の情報共有について,次の図に示します。
既存のCTMドメインに新しくCTMデーモンを登録したい場合は,CTMドメイン内のホスト上で,ほかのCTMドメインマネジャと同じドメイン名称とポート番号を持つCTMドメインマネジャを開始するだけで参加できます。既存のCTMドメインで環境の定義などを更新する必要がないので,システム環境をコピーするだけで,容易にシステムのスケールアウトができます。
(2) 対象のCTMドメインマネジャが異なるネットワークセグメントにある場合の情報共有
ブロードキャストされた情報はルータを越えられないため,異なるネットワークセグメントにあるCTMドメインマネジャには届きません。この場合には,スマートエージェントを使用して情報を配布する必要があります。
対象のCTMドメインマネジャが異なるネットワークセグメントにある場合の情報共有について,次の図に示します。
複数のネットワークセグメントでCTMドメインを構成する場合に必要な設定は次のとおりです。
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CTMドメインマネジャを開始するときに,情報共有の対象になるCTMドメインマネジャのホスト名またはIPアドレスを指定します。
登録できるリクエストキューは,CTMドメインマネジャを起動するときにctmdmstartコマンドの引数-CTMSendHostに指定します。また,運用管理ポータルで構築したシステムを運用している場合は,論理CTMドメインマネジャにあらかじめ設定しておくことができます。
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スマートエージェントを,異なるネットワークセグメント上のスマートエージェントと接続するように設定します。
スマートエージェントの設定については,マニュアル「Borland(R) Enterprise Server VisiBroker(R) デベロッパーズガイド」を参照してください。
(3) CTMドメインマネジャの部分再開始
CTMドメインマネジャが異常終了した場合,CTMドメインマネジャだけを部分再開始できるときがあります。再開始できる障害かどうかは,CTMドメインマネジャが再開始する時に,自動的に判断されます。部分再開始ができない場合は,システム全体が異常終了します。この場合は,システムを全面的に再開始してください。
(4) CTMドメインマネジャの稼働状態の確認
CTMドメインマネジャは,ほかのホストのCTMドメインマネジャが稼働しているかどうかを確認しています。このとき,稼働状態を確認する間隔に,任意の時間を指定できます。稼働状態の確認間隔の指定は,ctmdmstartコマンドの-CTMAliveCheckCountオプションで指定します。
なお,稼働状況の確認間隔で,CTMノード情報が送信されなかった場合は,送信元のCTMドメインマネジャが停止したと判断され,送信元に対するCTMの情報が削除されます。CTMノード情報を削除した場合,そのCTMデーモンへのリクエストの振り分けは実施されません。CTMドメインマネジャの稼働状況確認について,次の図に示します。
ホストBのCTMドメインマネジャは,ホストAのCTMドメインマネジャからホストAのCTMデーモンの情報を受信します。「CTMデーモンの情報の送信間隔に指定した値×生存判定監視係数」の間にCTMデーモンの情報が受信されない場合,ホストAのCTMデーモンの情報を削除し,そのことをホストBのCTMデーモンに通知します。これによって,ホストBのCTMデーモンは,ホストAのCTMデーモンにリクエストを振り分けなくなります。