4.7.2 負荷分散機とは
負荷分散機を使用すると,一つの仮想IPアドレスで複数のサーバを管理するロードバランシング機能によって,トラフィックを効率的に分散し,処理性能を向上できます。負荷分散機としてBIG-IP(BIG-IP v9,BIG-IP v10.1,BIG-IP v10.2,BIG-IP v11)またはACOS(AX2000,AX2500,BS320)が使用できます。
Smart Composer機能で構築したシステムは,負荷分散機のCookieスイッチング機能を使用して運用することもできます。Cookieスイッチング機能とは,Cookieを利用してセッションを維持する機能です。プロキシ経由などで要求元IPアドレスからクライアントが特定できない場合でも,同じクライアントからの一連のHTTPリクエストを同じサービスユニットに振り分けることができます。
- 参考
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スイッチングモードについて
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08-53以降では,BIG-IPのCookieスイッチング機能のうち,Smart Composer機能で対応しているスイッチングモードはインサートモードだけです。
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ACOSの場合,サーバからのレスポンスに対してACOSがcookieを設定します。設定するcookieの形式は次のとおりです。
Set-Cookie:<cookie名>-<仮想ポート>=<実サーバIPアドレス>_<実ポート>
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また,Smart Composer機能で構築したシステムでは,異なるWebシステム間や,異なる運用管理ドメインの同じWebシステム間で負荷分散機を共有したり,一つのWebシステム内で負荷分散機を冗長化構成で配置したりできます。
- 注意事項
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Webサーバ連携を使用しないパターン(j2ee-tier),およびfree-tierの場合,負荷分散機を配置できません。
(1) 負荷分散機の制御方法
アプリケーションサーバから負荷分散機を制御するには,CLIコマンドまたはAPIを使用します。この場合,lb.properties(負荷分散機定義プロパティファイル)で,負荷分散機への接続情報を設定します。設定方法については,「4.7.5 負荷分散機へ接続する環境を設定する」を参照してください。
(2) Webシステム間での負荷分散機の共有
Smart Composer機能で構築するWebシステムでは,異なるWebシステム間で,同じ(1台の)負荷分散機を共有できます。なお,1ホスト内の異なるWebシステムで,1台の負荷分散機を共有する場合は,それぞれのWebシステムで使用する負荷分散機の仮想サーバを分ける必要があります。
負荷分散機を共有する場合の注意事項については,「4.7.6 負荷分散機を制御するときの注意事項」を参照してください。
(3) 負荷分散機の冗長化
Smart Composer機能で構築するWebシステムでは,一つのWebシステム内に,負荷分散機を冗長化構成(アクティブ・スタンバイ構成)で配置できます。配置できる負荷分散機の台数は,2台です。負荷分散機を冗長化構成で配置すると,実行系(アクティブ)の負荷分散機で障害が発生した場合に,リクエストの振り分け処理が自動的に待機系(スタンバイ)の負荷分散機に切り替わって,業務を続行できます。負荷分散機を冗長化する場合の注意事項については,「4.7.6 負荷分散機を制御するときの注意事項」を参照してください。
- 参考
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既存のWebシステムの負荷分散機を冗長化構成に変更したい場合は,既存のWebシステムを削除してから,負荷分散機を冗長化したWebシステムを再構築してください。