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Cosminexus V11 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド


付録H.4 ローリングアップデートで運用環境のリポジトリを移行する手順

ローリングアップデートとは,システムを全面停止しないで,更新インストールで移行する方法です。

ローリングアップデートで移行する場合,2台以上のHCSCサーバでロードバランスクラスタを構成している必要があります。

次の図に示す「(1) リポジトリのエクスポート(運用環境)」〜「(13) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)」の手順に従って,サービスプラットフォームを旧バージョンから11-20へ移行してください。

図H‒3 ローリングアップデートの場合の移行手順(運用環境だけを移行する場合)

[図データ]

図H-3の「(1) リポジトリのエクスポート(運用環境)」〜「(13) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)」の手順の詳細と,2台目以降のHCSCサーバ(実行環境)に対して実施する作業を次に示します。

なお,手順内で使用するコマンドの詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「5. コマンド(運用環境・実行環境)」を参照してください。

注意事項

ローリングアップデートでの移行が完了するまで,旧バージョンのシステムに対して,次の操作はできません。

  • cscsvsetupコマンドで,新規にHCSCサーバをセットアップする

  • csccompodeployコマンドで,新規にHCSCコンポーネントを配備する

〈この項の構成〉

(1) リポジトリのエクスポート(運用環境)

バージョンアップ前の運用環境のリポジトリをエクスポートして,いったん退避します。複数のリポジトリを使用している場合は,すべてのリポジトリをエクスポートして退避します。

cscrepctlコマンド(-exportオプション)を運用環境で実行して,バージョンアップ前のリポジトリをエクスポートしてください。

リポジトリのエクスポート方法の詳細については,「4.2 リポジトリのエクスポート」を参照してください。

(2) 運用環境のインストール

運用環境で11-20のサービスプラットフォームをインストールしてバージョンアップします。運用環境は,新規インストールまたは更新インストールでインストールします。

新規にインストールする場合

付録H.2 新規にインストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の「(2) HCSCコンポーネントの削除(運用環境)」〜「(5) 各環境のインストール」の作業を実施します。

更新インストールする場合

付録H.3 更新インストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の「(1) 各環境の更新インストール」の作業を実施します。

注意

更新インストールする場合,インストールする環境で,J2EEサーバ,Management Server,PRFなどのサービスプラットフォーム実行環境が稼働中の場合は,すべていったん停止してから更新インストールしてください。

インストールするときの前提条件を次に示します。

前提条件
  • HCSCサーバがセットアップ済みであること

  • サービスプラットフォームおよびReliable Messagingが停止していること

  • 組み込みデータベースを使用している場合,組み込みデータベースを停止していること

  • HCSCサーバ,J2EEサーバ,およびHCSCコンポーネントが停止していること

(3) 製品のアンインストール(運用環境)

09-00より前のバージョンから移行する場合,次の製品をアンインストールします。これらは09-00以降でサービスプラットフォームに同梱されるため,アンインストールすることをお勧めします。

(4) リクエストの送信制御(ロードバランサ)

バージョンアップするHCSCサーバに対してリクエストを送信しないように,ロードバランサを設定します。その際,仕掛かり中のリクエストがないことを確認してください。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。

(5) 実行環境のインストール(実行環境)

実行環境で,11-20のサービスプラットフォームをインストールしてバージョンアップします。

実行環境は,新規インストールまたは更新インストールのどちらかの方法でインストールします。

新規にインストールする場合

付録H.2 新規にインストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の「(2) HCSCコンポーネントの削除(運用環境)」〜「(6) HCSCサーバの構築(運用環境)」の作業を実施します。

更新インストールする場合

付録H.3 更新インストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の「(1) 各環境の更新インストール」の作業を実施します。

(6) J2EEサーバのクラスパスの変更(実行環境)

09-00より前のバージョンから移行する場合,J2EEサーバ用オプション定義ファイル(usrconf.cfg)に次に示す定義があれば削除してください。定義の変更はSmart Composer機能または運用管理ポータルの使用をお勧めします。

(7) 旧オプションアダプタの定義ファイルの移行(実行環境)

09-00より前で使用していたオプションアダプタを移行する場合,次の作業を実施してください。

(a) TP1アダプタの定義ファイルの移行

TP1アダプタ実行環境プロパティファイルをコピーします。コピー対象のファイルと,コピー先のディレクトリを次に示します。

コピー対象:<TP1アダプタのインストールディレクトリ>\config\*.properties

コピー先:<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\custom-adapter\TP1\config\

(b) ファイルアダプタの定義ファイルの移行

ファイルアダプタ実行環境プロパティファイルをコピーします。コピー対象のファイルと,コピー先のディレクトリを次に示します。

コピー対象:<ファイルアダプタのインストールディレクトリ>\config\*.properties

コピー先:<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\custom-adapter\File\config\

(c) Object Accessアダプタの定義ファイルの移行

Object Accessアダプタ実行環境プロパティファイルをコピーします。コピー対象のファイルと,コピー先のディレクトリを次に示します。

コピー対象:<Object Accessアダプタのインストールディレクトリ>\config\*.properties

コピー先:<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\custom-adapter\OA\config\

(d) Message Queueアダプタの定義ファイルの移行

Message Queueアダプタ実行環境プロパティファイルをコピーします。コピー対象のファイルと,コピー先のディレクトリを次に示します。

コピー対象:<Message Queueアダプタのインストールディレクトリ>\config\*.properties

コピー先:<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\custom-adapter\MQ\config\

(e) FTPアダプタの定義ファイルの移行

FTPアダプタコマンド定義ファイルとFTPアダプタ実行環境プロパティファイルをコピーします。コピー対象のファイルと,コピー先のディレクトリを次に示します。

コピー対象:<FTPアダプタのインストールディレクトリ>\config\*.properties

コピー先:<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\custom-adapter\FTP\config\

(8) 製品のアンインストール(実行環境)

09-00より前のバージョンから移行する場合,次の製品をアンインストールします。これらは09-00以降でサービスプラットフォームに同梱されるため,アンインストールすることをお勧めします。

(9) サービスプラットフォームおよびReliable Messagingの移行(実行環境)

次の手順でサービスプラットフォームおよびReliable Messagingを移行してください。09-00より前のバージョンから移行する場合は,次の作業も必要です。

サービスプラットフォームの移行方法の詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「10. 旧バージョンのアプリケーションサーバからの移行(J2EEサーバモードの場合)」を参照してください。

(10) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)

運用環境から実行環境のバージョンアップを実施します。

(a) 前提条件

実行環境をバージョンアップするには,次の条件を満たしている必要があります。

  • Management Serverが起動していること

  • 組み込みデータベースを使用している場合,組み込みデータベースが起動していること

  • リポジトリのバージョンがインストールバージョンより古いか,一致していること

  • リポジトリのバージョンがインストールバージョンより古い場合,リポジトリのバージョンが08-00以降であること

前提条件を満たしていない場合,上記の順番で起動,停止,およびバージョンアップを実施してください。

(b) バージョンアップ方法

cscenvupdateコマンドを実行して,リポジトリとHCSCサーバをバージョンアップします。

cscenvupdate -csc <バージョンアップするHCSCサーバ名>

(11) HCSCサーバの起動(運用環境)

バージョンアップしたHCSCサーバを起動します。

(12) HCSCコンポーネントの開始(運用環境)

(10) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)」で起動したHCSCサーバに配備されているHCSCコンポーネントを開始します。

(13) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)

バージョンアップしたHCSCサーバに対してリクエストを送信するように,ロードバランサを設定します。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。

(14) 2台目以降のHCSCサーバ(実行環境)に対しての作業

ロードバランスクラスタを構成しているすべてのHCSCサーバに対して,「(4) リクエストの送信制御(ロードバランサ)」〜「(13) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)」の作業を実施します。

なお,旧バージョンで使用していたリポジトリ情報を開発環境でバージョンアップ前後に変更し,そのリポジトリ情報を使用して運用する場合のバージョンアップ方法については,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 基本開発編」の「付録A 旧バージョンからの移行」を参照してください。

(15) ローリングアップデートで移行する場合の注意事項

ローリングアップデートで移行する場合の注意事項は,開発環境,運用環境および実行環境のバージョンアップ時と同じです。ローリングアップデートで移行する場合の注意事項については,「付録G.4(15) ローリングアップデートで移行する場合の注意事項」を参照してください。