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Cosminexus V11 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド


7.7.15 HTTPアダプタ実行時の障害対策

HTTPアダプタでは,システムの性能を検証したり,障害の原因を解析したりするための情報が,ログファイルまたはトレースファイルに出力されます。HTTPアダプタで出力されるログおよびトレースの種類を次の表に示します。

表7‒180 ログ・トレースの種類(HTTPアダプタの場合)

ログ・トレース

出力情報

説明

メッセージログ

HTTPアダプタで発生した各種情報が,メッセージとして出力されます。

稼働情報(起動・停止・障害など)をメッセージとして確認できます。なお,メッセージログの出力先は,アプリケーションサーバおよびサービスプラットフォーム全体で共通のため,システムの稼働状況を一括して確認できます。

メンテナンスログ

HTTPアダプタ内部の保守情報として,次の情報が出力されます。

  • 日付

  • 時刻

  • 実行クラス名

  • 内部メソッド名

  • 発生した例外

  • 指定した引数の情報

内部メソッドの発行時刻およびシーケンスを確認できます。

性能解析トレース

サービスプラットフォームシステム全体の性能解析トレース取得ポイントで,次の情報が出力されます。

  • 日付

  • 時刻

  • リクエスト情報

  • トレース取得元情報

HTTPアダプタの性能解析トレース取得ポイントでは,HTTPアダプタ固有の情報が出力されます。

サービスリクエスタから要求を受け付けて,実行結果を返却するまでの一連の処理で出力される性能解析情報を基に,サービスプラットフォームシステムの性能を検証できます。

例外ログ

HTTPアダプタで発生した例外情報(スタックトレース)が出力されます。

HTTPアダプタの例外情報を確認できます。障害要因の解析に利用できます。

通信ログ

HTTP通信で送受信したメッセージが出力されます。

障害調査時などで,送受信した内容を確認するために使用します。

ユーザ認証情報管理コマンドのメッセージログ

ユーザ認証情報管理コマンドの実行時の情報(通知・エラーなど)が,メッセージとして出力されます。

ユーザ認証情報管理コマンドの実行時の情報(通知・エラーなど)をメッセージとして確認できます。なお,ユーザ認証情報管理コマンドのメッセージログの出力先は,サービスプラットフォーム全体で共通のため,過去に実行したコマンドの障害情報や稼働情報を把握できます。

ログおよびトレースの取得方法や出力内容などの詳細は,以降の記述を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) メッセージログ

HTTPアダプタのメッセージログは,サービスプラットフォームが出力するメッセージログのうち,J2EEサーバの稼働ログを出力します。

メッセージログに出力されるメッセージの内容については,マニュアル「サービスプラットフォーム メッセージ」の「2.8 KDEC81000〜KDEC81499のメッセージ」を参照してください。

メッセージログの出力内容や出力先については,「7.4.1 メッセージログ」を参照してください。

(2) メンテナンスログ

(a) 出力形式

メンテナンスログの出力形式を次の図に示します。

図7‒145 メンテナンスログの出力形式(HTTPアダプタ)

[図データ]

(b) 出力される内容

メンテナンスログに出力される内容を次の表に示します。

表7‒181 メンテナンスログに出力される内容(HTTPアダプタ)

項目

内容

番号

メンテナンスログの出力通番が表示されます。

日付

メンテナンスログの取得日付がyyyy/mm/ddの形式で出力されます。

  • yyyy:西暦年

  • mm:月

  • dd:日

時刻

メンテナンスログの取得時刻がhh:mm:ss.SSSの形式で出力されます。

  • hh:時

  • mm:分

  • ss:秒

  • SSS:ミリ秒

製品ID

製品を特定するための識別子として,HTTPアダプタを示す「ADPHTTP」と,バージョン情報が出力されます。

バージョン情報の形式は次のとおりです。

  • 正規版製品:VV-RR

  • 修正版製品:VV-RR-SS

pid

プロセスを識別するためのIDが出力されます。

tid

スレッドを識別するためのIDが出力されます。

メッセージID 種別

表示されません。

出力種別

メンテナンスログの取得ポイント情報(取得位置)が出力されます。

  • BGN:メソッドの開始

  • END:メソッドの終了

  • CAL:メソッドの呼び出し

  • RET:メソッドの戻り

  • THR:例外のスロー

  • CTH:例外のキャッチ

クラス名

メンテナンスログを取得するクラス名が出力されます。

メソッド名

メンテナンスログを取得するメソッド名が出力されます。

入出力情報

メンテナンスログを取得するメソッドの入出力情報またはスタックトレースが出力されます。

CRLF

レコードの終端符号が出力されます。

(c) 出力先

メンテナンスログの出力先を次に示します。

<adphttp.config.trace.pathプロパティで指定したパス>\CSCADP\ADPHTTP\maintenance\<サービスID>
注※

adphttp.config.trace.pathプロパティは,HTTPアダプタ実行環境プロパティファイルまたはHTTPアダプタ実行環境共通プロパティファイルで指定します。

メンテナンスログのログファイル名を次の表に示します。

表7‒182 メンテナンスログのログファイル名(HTTPアダプタ)

ログファイルの出力モード

ログファイル名

ラップアラウンドモードの場合

cscadphttpmnt_<HCSCサーバ名>_<面数>.log

シフトモードの場合

cscadphttpmnt_<HCSCサーバ名>_.log

なお,ログファイルの面数はHTTPアダプタ実行環境プロパティファイルまたはHTTPアダプタ実行環境共通プロパティファイルのadphttp.config.methodtrace.filenumプロパティ,ログファイルのサイズはadphttp.config.methodtrace.filesizeプロパティで指定します。

HTTPアダプタ実行環境プロパティファイルの詳細は,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.14.2 HTTPアダプタ実行環境プロパティファイル」を参照してください。HTTPアダプタ実行環境共通プロパティファイルについては,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.14.3 HTTPアダプタ実行環境共通プロパティファイル」を参照してください。

(3) 性能解析トレース

性能解析トレースを取得するには設定が必要です。設定の詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7. 性能解析トレースを使用した性能解析」を参照してください。

(a) 出力形式

性能解析トレースファイルに出力される形式は,J2EEサーバの性能解析トレースと同様です。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7.3 Management Serverを利用した性能解析トレースファイルの収集」を参照してください。

(b) 出力される内容

性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7‒183 性能解析トレースファイルに出力される内容(HTTPアダプタ)

項目

内容

イベントID

取得ポイントのイベントIDが出力されます。

取得ポイントの詳細は,「(c) 性能解析トレースの取得ポイント」を参照してください。

リターンコード

取得ポイント種別が出力されます。

  • 0:正常終了

  • 1:異常終了

インターフェース名

クラス名が出力されます。

オペレーション名

メソッド名が出力されます。

オプション情報

サービスID

HCSCコンポーネントのサービスIDが出力されます。

オペレーション

HTTPアダプタに定義されたオペレーション名が出力されます。

リクエストID※1

要求電文(ヘッダ)に指定したリクエストIDが出力されます。

任意時刻からのナノ秒

java.lang.SystemクラスのnanoTimeメソッドの戻り値が出力されます。

例外クラス名

例外が発生したクラス名が出力されます。

転送サイズ※2※3

受信したデータサイズが出力されます(単位:バイト)。

HTTPメソッド※4

呼び出したHTTPリクエストのHTTPメソッドが出力されます。

URI※4※5

リクエスト送信時のURIが出力されます。

注※1

要求電文(ヘッダ)で指定しなかった場合や,値の取得前にエラーが発生した場合は出力されません。

注※2

イベントIDが0x9894の場合は,HTTPレスポンスヘッダから取得した値がそのまま出力されます。HTTPレスポンスヘッダから値が取得できなかった場合や値が不正な形式の場合などは,0以下の数値になる場合があります。エラーなどで値を取得できない場合は出力されません。

注※3

イベントIDが0x9893の場合は,HTTPアダプタが受信した値が出力されます。エラーなどで値を取得できない場合は出力されません。

注※4

要求電文(ヘッダ),HTTPアダプタ実行環境プロパティファイル,およびHTTPアダプタ実行環境共通プロパティファイルに指定がない場合や,値の取得前にエラーが発生した場合は出力されません。

注※5

要求電文(ヘッダ),HTTPアダプタ実行環境プロパティファイル,およびHTTPアダプタ実行環境共通プロパティファイルに指定した,スキーム・オーソリティ(ユーザ情報を除く)とパス部分だけが出力されます。

(c) 性能解析トレースの取得ポイント

性能解析トレースの取得ポイントを次の図に示します。

図7‒146 性能解析トレースの取得ポイント(HTTPアダプタ)

[図データ]

イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図中の番号と対応しています。

表7‒184  性能解析トレースの取得ポイント(HTTPアダプタ)

イベントID

図中の番号

トレース取得ポイント

レベル

0x9890

1

リクエスト受付時

A

0x9891

2

レスポンス送信時

A

0x9892

3

HTTPリクエスト送信時

A

0x9893

4

HTTPレスポンス受信完了時

A

0x9894

5

HTTPレスポンスヘッダ受信時

A

(凡例)

A:「標準」であることを示します。

(4) 例外ログ

例外ログは,メンテナンスログと同じタイミングで開始・終了し,例外情報(スタックトレース)を採取してファイルに出力します。例外ログファイルの出力先はHTTPアダプタのメンテナンスログと同じディレクトリであるため,個別には変更できません。

(a) 出力形式

例外ログの出力形式を次の図に示します。

図7‒147 例外ログの出力形式(HTTPアダプタ)

[図データ]

(b) 出力される内容

例外ログに出力される内容を次の表に示します。

項目

内容

番号

例外ログの出力通番が表示されます。

日付

例外ログの取得日付がyyyy/mm/ddの形式で出力されます。

  • yyyy:西暦年

  • mm:月

  • dd:日

時刻

例外ログの取得時刻がhh:mm:ss.SSSの形式で出力されます。

  • hh:時

  • mm:分

  • ss:秒

  • SSS:ミリ秒

製品ID

製品を特定するための識別子として,HTTPアダプタを示す「ADPHTTP」と,バージョン情報が出力されます。

バージョン情報の形式は次のとおりです。

  • 正規版製品:VV-RR

  • 修正版製品:VV-RR-SS

pid

プロセスを識別するためのIDが出力されます。

tid

スレッドを識別するためのIDが出力されます。

ID

空白

スタックトレース情報

スタックトレース情報が出力されます。

CRLF

レコードの終端符号が出力されます。

(c) 出力先

例外ログの出力先を次に示します。メンテナンスログと同じパスです。

<adphttp.config.trace.pathプロパティで指定したパス>\CSCADP\ADPHTTP\maintenance\<サービスID>
注※

adphttp.config.trace.pathプロパティは,HTTPアダプタ実行環境プロパティファイルまたはHTTPアダプタ実行環境共通プロパティファイルで指定します。

例外ログのログファイル名を次の表に示します。

表7‒185 例外ログのログファイル名(HTTPアダプタ)

ログファイルの出力モード

ログファイル名

ラップアラウンドモードの場合

cscadphttpexp_<HCSCサーバ名>_<面数>.log

シフトモードの場合

cscadphttpexp_<HCSCサーバ名>_.log

なお,ログファイルの面数はHTTPアダプタ実行環境プロパティファイルのadphttp.config.exptrace.filenumプロパティで,ログファイルのサイズはadphttp.config.exptrace.filesizeプロパティで指定します。なお,これらのプロパティはHTTPアダプタ実行環境共通プロパティファイルでも指定できます。

HTTPアダプタ実行環境プロパティファイルについては,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.14.2 HTTPアダプタ実行環境プロパティファイル」を参照してください。HTTPアダプタ実行環境共通プロパティファイルについては,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.14.3 HTTPアダプタ実行環境共通プロパティファイル」を参照してください。

(5) 通信ログ

HTTPアダプタでは,アプリケーションサーバのJAX-RS機能を利用してHTTP通信を処理しています。V9互換モードでは,HTTP通信で送受信されたデータは,JAX-RS機能によって通信ログとして出力されます。

通信ログの出力レベル,面数,最大サイズ,および文字エンコーディングは,アプリケーションサーバの共通定義ファイルで設定できます。通信ログの設定については,マニュアル「アプリケーションサーバ Webサービス開発ガイド」の「13.1.2 共通定義ファイルの設定項目」を参照してください。

(6) ユーザ認証情報管理コマンドのメッセージログ

ユーザ認証情報管理コマンドを実行した場合,実行時の情報(通知・エラーなど)を出力します。

出力されるメッセージの内容については,マニュアル「サービスプラットフォーム メッセージ」の「2.8 KDEC81000〜KDEC81499のメッセージ」を参照してください。

メッセージログの出力内容や出力先については,「7.4.8 ユーザ認証情報管理コマンドのメッセージログ」を参照してください。