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Cosminexus V11 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド


7.7.12 ファイルイベント連携システムでの障害対策

この項では,ファイルイベント連携の運用時で発生した障害に対して,取得できる情報の種類を説明します。ファイルイベント連携に関する障害情報には次の種類があります。

これらの障害情報について説明します。

〈この項の構成〉

(1) snapshotログ

mngsvrutilコマンドやsnapshotlogコマンドでの採取対象にファイルイベント受付を追加するには,snapshotログ収集対象定義ファイルの修正が必要な場合があります。

サービスプラットフォームのほかの受付と同じレベルのログを収集するには,次に示す内容をそれぞれのファイルに追記してください。すでに記述されている場合は修正不要です。

(a) snapshotlog.conf

${cosminexus.home}/CSC/custom-reception/fileevent/config/.+
${cosminexus.home}/CSC/custom-reception/fileevent/config/common/.+

(b) snapshotlog2.conf

${cosminexus.home}/CC/server/public/ejb/.+/logs/csc/rcp/fileevent/.+/fileeventtrace_.*\.log
&{ejb.public.directory}/ejb/.+/logs/csc/rcp/fileevent/.+/fileeventtrace_.*\.log
&{ejb.server.log.directory}/csc/rcp/fileevent/.+/fileeventtrace_.*\.log

(c) snapshotlog.param.conf

${cosminexus.home}/CSC/custom-reception/fileevent/config/.+
${cosminexus.home}/CSC/custom-reception/fileevent/config/common/.+

(2) メッセージログ

ファイルイベント連携機能の運用時に障害が発生すると,メッセージがメッセージログへ出力されます。ファイルイベント受付のメッセージログは,サービスプラットフォームが出力するメッセージログのうち,J2EEサーバの稼働ログを出力します。

ファイルイベント連携機能で出力されるエラーには次のものがあります。

出力されたメッセージの内容については,マニュアル「サービスプラットフォーム メッセージ」の「2.1 KDEC00001〜KDEC19999のメッセージ」を参照してください。メッセージログの出力内容や出力先については,「7.4.1(3) J2EEサーバの稼働ログ」を参照してください。

(a) ファイルイベント受付にフォルト応答電文が返された場合

ファイルイベント受付にフォルト応答電文が返された場合のエラーの伝わり方については,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 受付・アダプタ定義編」の「付録A.7 カスタム受付でのエラーの伝わり方」の,サービス部品からユーザ定義例外のエラーがリターンした場合に関する説明を参照してください。

この場合は,出力されたメッセージに従って対処したあと,監視対象のファイルに応じて次のように対処してください。

監視対象のファイル

対処

更新完了通知ファイル

取得対象ファイルが残っている場合

ファイル転送・データ連携ソフトウェアで,更新完了通知ファイルを再作成してください。

取得対象ファイルが残っていない場合

ファイル転送・データ連携ソフトウェアで,取得対象ファイルの転送から再実行してください。

取得対象ファイル

次の手順で対処してください。

  1. リネーム後の取得対象ファイルが残っているか確認してください。

    ファイルが残っている場合は,該当するファイルの処理が終了していることをファイルイベントトレースで確認してから削除してください。

  2. ファイル転送・データ連携ソフトウェアで,取得対象ファイルを再作成してください。

(b) カスタム受付フレームワークがエラーをリターンした場合

カスタム受付フレームワークがエラーをリターンした場合のエラーの伝わり方については,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 受付・アダプタ定義編」の「付録A.7 カスタム受付でのエラーの伝わり方」のHCSCサーバからエラーがリターンした場合に関する説明を参照してください。

この場合は,出力されたメッセージに従って対処したあと,次のように対処してください。

エラー発生個所

条件

監視対象のファイル

更新完了通知ファイル

取得対象ファイル

ファイルイベント受付・HCSCメッセージ配送制御

なし

ファイル転送・データ連携ソフトウェアで,監視対象のファイル(更新完了通知ファイルまたは取得対象ファイル)を再作成してください。

上記以外

次に示す条件を満たしている場合

  • ビジネスプロセスの実行履歴を取得している

  • プロセスインスタンスが再実行可能である

プロセスインスタンスを再実行してください。

ただし,再実行時に取得対象ファイルを使用する場合で,かつ取得対象ファイルが残っていない場合は,ファイル転送・データ連携ソフトウェアで取得対象ファイルの転送から再実行してください。

プロセスインスタンスを再実行してください。

上記の条件を満たしていない場合

ファイル転送・データ連携ソフトウェアで,次の作業を実施してください。

  • 取得対象ファイルが残っている場合

    更新完了通知ファイルを再作成してください。

  • 取得対象ファイルが残っていない場合

    取得対象ファイルの転送から再実行してください。

ファイル転送・データ連携ソフトウェアで,取得対象ファイルの転送から再実行してください。

(c) ファイルイベント受付がエラーを検知した場合

ファイルイベント受付が検知するエラーには次の種類があります。

  • 取得対象ファイルが存在しない

  • ロックファイルの作成失敗

  • ロックファイルのロック取得失敗

  • ロックファイルのロック解放失敗

  • 監視対象のファイルのリネーム失敗(更新完了通知ファイルまたは取得対象ファイル)

エラーを検知した場合は,ファイルイベントトレースに取得ポイント「IN」のトレースが出力されているか確認してください。出力の有無に応じて,大まかな発生個所と対処を次に示す表から推測できます。

表7‒161 障害発生個所と対処

取得ポイント「IN」のトレースの出力有無

障害発生個所

対処

出力されている

ビジネスプロセスの呼び出し後

メッセージログに出力されたエラーメッセージを確認し,対策が必要か判断してください。

出力されていない

ビジネスプロセスの呼び出し前

メッセージログに出力されるメッセージに従って対策したあと,次のように対処してください。

  • 監視対象のファイルがリネームされている場合

    ファイル転送・データ連携ソフトウェアで,監視対象のファイルを再作成してください。これによって,次回のファイル監視時に検知され,ファイルイベント受付が呼び出されます。

  • 監視対象のファイルがリネームされていない場合

    次のファイル監視で検知されるため,対処は不要です。

注※

取得対象ファイルの場合は,再作成する前にファイルを削除する必要があります。該当するファイルに関する処理が終了しているかをファイルイベントトレースで確認し,処理が終了している場合はファイルを削除してください。

(3) メソッドトレース

ファイルイベント連携のメソッドトレースは,サービスプラットフォームが出力するメソッドトレースの仕様に従います。

メソッドトレースの出力内容および出力先については,「7.4.7(3) メソッドトレース」の「HCSCサーバ(メッセージング基盤)のメソッドトレース」を参照してください。

(4) 性能解析トレース

ファイルイベント連携機能の性能解析トレースは,性能ボトルネックを解析するための情報が出力されます。ファイルイベント連携機能の性能解析トレースで確認できることを次に示します。

なお,性能解析トレースを取得するには設定が必要です。設定の詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7. 性能解析トレースを使用した性能解析」を参照してください。

(a) 出力形式

性能解析トレースファイルに出力される形式は,J2EEサーバの性能解析トレースと同様です。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7.3 Management Serverを利用した性能解析トレースファイルの収集」を参照してください。

(b) 出力される内容

性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7‒162 性能解析トレースファイルに出力される内容(ファイルイベント連携)

項目

内容

イベントID

取得ポイントのイベントIDが出力されます。

取得ポイントの詳細は,「(c) 性能解析トレースの取得ポイント」を参照してください。

リターンコード

取得ポイント種別が出力されます。

  • 0:正常終了

  • 1:異常終了

インターフェース名

クラス名が出力されます。

オペレーション名

メソッド名が出力されます。

オプション情報

メッセージ共通ID

リクエスト識別情報(親ID)が出力されます。未設定である場合,nullが出力されます。

サービスリクエストID

リクエスト識別情報(子ID)が出力されます。未設定である場合,nullが出力されます。

付加情報

次の付加情報が出力されます。

  • 受付名

  • 受付ID

  • クライアント相関ID

  • サービス名

  • サービスオペレーション名

  • 例外名(障害発生時だけ出力)

注※

オプション情報は最大で256バイトです。「(c) 性能解析トレースの取得ポイント」の図の取得ポイントの1.と2.では出力されません。

(c) 性能解析トレースの取得ポイント

ファイルイベント連携の性能解析トレースの取得ポイントには次に示す種類があります。

  • ファイルイベント受付の処理時に取得

  • ファイル監視処理の開始・終了時に取得

それぞれの取得ポイントを次に示します。

  • ファイルイベント受付の処理時

    図7‒135 性能解析トレースの取得ポイント(ファイルイベント連携)

    [図データ]

    イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図中の番号と対応しています。

    表7‒163 性能解析トレース取得ポイント(ファイルイベント連携)

    イベントID

    図中の番号

    トレース取得ポイント

    レベル

    0x98B0

    1

    カスタム受付の入口

    A

    0x98B1

    2

    カスタム受付の出口

    A

    0x98B2

    3

    カスタム受付フレームワークの呼び出し口

    B

    0x98B3

    4

    カスタム受付フレームワークの応答受信口

    B

    0x9860

    5

    カスタム受付フレームワークの入口

    A

    0x9861

    6

    カスタム受付フレームワークの出口

    A

    0x9864

    7

    メッセージ配送制御の呼び出し口

    A

    0x9865

    8

    メッセージ配送制御の応答受信口

    A

    (凡例)

    A:「標準」であることを示します。

    B:「詳細」であることを示します。

    注※

    性能解析トレースレベルの変更方法の詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」を参照してください。

  • ファイル監視処理の開始・終了時

    図7‒136 性能解析トレースの取得ポイント(ファイルイベント連携)

    [図データ]

    イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図中の番号と対応しています。

    表7‒164 性能解析トレース取得ポイント(ファイルイベント連携)

    イベントID

    図中の番号

    トレース取得ポイント

    レベル

    0x98B4

    9

    ファイル監視処理の開始

    A

    0x98B5

    10

    ファイル監視処理の終了

    A

    (凡例)

    A:「標準」であることを示します。

(5) ファイルイベントトレース

ファイルイベントトレースは,ファイルイベント受付の起動時に初期化されます。ファイルイベントトレースの初期化処理に失敗した場合は,メッセージログに警告メッセージ(KDEC00457-W)が出力され,ファイルイベント受付の起動処理は続行されます。初期化に失敗したファイルイベント受付では,ファイルイベントトレースを取得することはできません。

(a) 出力先

ファイルイベントトレースの出力先を次に示します。

<J2EEサーバのログ出力ディレクトリ>\csc\rcp\fileevent\<受付ID>

<J2EEサーバのログ出力ディレクトリ>は,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用オプション定義ファイル(usrconf.cfg)のejb.server.log.directoryキーで指定します。ファイルイベントトレースのファイル名を次の表に示します。

表7‒165 ファイルイベントトレースのファイル名

トレースファイルの出力モード

トレースファイル名

ラップアラウンドモードの場合

fileeventtrace_<面数>.log

シフトモードの場合

fileeventtrace_.log

(b) ファイル面数

出力ファイルの面数のデフォルトは8面です。面数はファイルイベント受付コンフィグファイルのurecp-fileevent.trace.filenumキーで変更できます。

ファイルイベント受付コンフィグファイルについては,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.9.1 ファイルイベント受付コンフィグファイル」を参照してください。

(c) ファイルサイズ

出力ファイルサイズのデフォルトは2MBです。ファイルサイズはファイルイベント受付コンフィグファイルのurecp-fileevent.trace.filesizeキーで変更できます。

ファイルイベント受付コンフィグファイルについては,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.9.1 ファイルイベント受付コンフィグファイル」を参照してください。

(d) 出力形式

ファイルイベントトレースの出力形式を次に示します。

図7‒137 ファイルイベントトレースの出力形式

[図データ]

(e) 出力される内容

ファイルイベントトレースに出力される内容を次の表に示します。

表7‒166 ファイルイベントトレースに出力される内容(ファイルイベント連携)

項目

内容

番号

ファイルイベントトレースの出力通番が表示されます。

日付

ファイルイベントトレースの取得日付がyyyy/mm/ddの形式で出力されます。

時刻

ファイルイベントトレースの取得時刻がhh:mm:ss.SSSの形式で出力されます。

製品ID

製品を特定するための識別子として「CSCMSG」が出力されます。

pid

プロセスを識別するためのIDが出力されます。

tid

スレッドを識別するためのIDが出力されます。

ID

空白

受付ID

リクエスト処理を行ったファイルイベント受付の受付ID

取得ポイント

取得ポイント情報として次に示す情報が出力されます。

  • IN:ファイルイベント受付入口

  • OUT:ファイルイベント受付出口(応答電文のsuccess要素値がtrueの場合)

  • FAULT:エラー(応答電文のsuccess要素値がfalseの場合)

  • ERROR:エラー(ファイルイベント受付呼び出し先からのエラーリターン,またはファイルイベント受付内でのエラー)

RootAP情報

ルートアプリケーション情報

付加情報

  • 取得ポイント情報が「IN」の場合

    ファイルの作成を検知したファイル名と,取得対象ファイルのファイルサイズが出力されます。

  • 取得ポイント情報が「IN」でない場合

    応答電文のmessage要素に値が格納されている場合は要素値が出力されます。

    例外が返ってきた場合は,例外から取得したエラーメッセージが出力されます。

CRLF

レコードの終端符号が出力されます。

(f) ファイルイベントトレースの取得ポイント

ファイルイベントトレースの取得ポイントを次に示します。

図7‒138 ファイルイベントトレースの取得ポイント

[図データ]

ファイルイベントトレースの取得ポイントと,および取得ポイント情報を次の表に示します。表の「図中の番号」は,上の図の番号と対応しています。

表7‒167 ファイルイベントトレースの取得ポイント

図中の番号

トレース取得ポイント

取得ポイント情報

1

ファイルイベント受付の入口

IN

2

ファイルイベント受付の出口

OUT

FAULT

ERROR