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Cosminexus V11 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド


7.7.13 メールアダプタ実行時の障害対策

メールアダプタでは,システムの性能を検証したり,障害の原因を解析したりするための情報が,ログファイルまたはトレースファイルに出力されます。メールアダプタで出力されるログおよびトレースの種類を次の表に示します。

表7‒168 ログ・トレースの種類(メールアダプタの場合)

ログ・トレース

出力情報

説明

メッセージログ

メールアダプタで発生した各種情報が,メッセージとして出力されます。

稼働情報(起動・停止・障害など)をメッセージとして確認できます。なお,メッセージログの出力先は,アプリケーションサーバおよびサービスプラットフォーム全体で共通のため,システムの稼働状況を一括して確認できます。

メンテナンスログ

メールアダプタ内部の保守情報として,次の情報が出力されます。

  • 日付

  • 時刻

  • 実行クラス名

  • 内部メソッド名

  • 発生した例外

  • 指定した引数の情報

内部メソッドの発行時刻およびシーケンスを確認できます。

性能解析トレース

サービスプラットフォームシステム全体の性能解析トレース取得ポイントで,次の情報が出力されます。

  • 日付

  • 時刻

  • リクエスト情報

  • トレース取得元情報

メールアダプタの性能解析トレース取得ポイントでは,メールアダプタ固有の情報が出力されます。

サービスリクエスタから要求を受け付けて,実行結果を返却するまでの一連の処理で出力される性能解析情報を基に,サービスプラットフォームシステムの性能を検証できます。

例外ログ

メールアダプタで発生した例外情報(スタックトレース)が出力されます。

メールアダプタの例外情報を確認できます。障害要因の解析に利用できます。

コマンドメッセージログ

メールアダプタのコマンド実行時に発生した各種情報が出力されます。

メールアダプタのコマンドの開始時,停止時,およびコマンド実行中にエラーが発生した場合の情報をメッセージとして確認できます。

このうち,メッセージログ,メンテナンスログ,および性能解析トレースに出力されるメール情報を次の表に示します。

表7‒169 ログおよびトレースに出力されるメール情報

分類

項目

メッセージログ

メンテナンスログ

性能解析トレース

出力レベル3以下

出力レベル4

出力レベル5

サーバ情報

メールサーバのホスト名

メールサーバのポート番号

電子メールアドレス

TO

×

×

×

CC

×

×

×

BCC

×

×

×

FROM

×

×

×

ファイルパス

メール本文のパス

添付ファイルのパス

メールアダプタアカウント定義ファイルのパス

メールヘッダ定義ファイルのパス

メールのフォーマット

メールの内容

件名

×

×

×

×

×

メール本文

×

×

×

×

×

添付ファイル

×

×

×

×

×

エンコード

認証情報

認証形式

ユーザ名

パスワード

メッセージID

(凡例)

○:出力されます。

×:出力されません。

−:該当する項目はありません。

注※

8桁のアスタリスク(*)が出力されます。

このほかに,アプリケーションサーバのJavaMailで出力されるエラーメッセージおよびトレースもトラブルシュート時に必要になります。アプリケーションサーバが出力する障害情報の取得方法などについては,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」を参照してください。

ログおよびトレースの取得方法や出力内容などについて,次に示します。

〈この項の構成〉

(1) メッセージログ

(a) 出力形式

メッセージログの出力形式を次の図に示します。

図7‒139 メッセージログの出力形式(メールアダプタ)

[図データ]

(b) 出力される内容

メッセージログに出力される内容を次の表に示します。

表7‒170 メッセージログに出力される内容(メールアダプタ)

項目

内容

番号

メッセージログの出力通番が表示されます。

日付

メッセージログの取得日付がyyyy/mm/ddの形式で出力されます。

  • yyyy:西暦年

  • mm:月

  • dd:日

時刻

メッセージログの取得時刻がhh:mm:ss.SSSの形式で出力されます。

  • hh:時

  • mm:分

  • ss:秒

  • SSS:ミリ秒

製品ID

製品を特定するための識別子として,Component Containerを示す「HEJB」が出力されます。

pid

プロセスを識別するためのIDが出力されます。

tid

スレッドを識別するためのIDが出力されます。

メッセージID

メッセージIDが「KDECnnnnn-X」の形式で出力されます。

メッセージテキスト

メッセージの内容が出力されます。

CRLF

レコードの終端符号が出力されます。

(c) 出力先

メッセージログの出力先を次に示します。

J2EEサーバの稼働ログの出力先に指定されたパス

J2EEサーバの稼働ログの出力先は,usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)のejb.server.log.directoryキーで指定します。デフォルトの出力先は,<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CC\server\public\ejb\<J2EEサーバ名>\logsです。usrconf.cfgの詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.2 usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)」を参照してください。

メッセージログのログファイル名を次の表に示します。

表7‒171 メッセージログのログファイル名(メールアダプタ)

ログファイルの出力モード

ログファイル名

ラップアラウンドモードの場合

cjmessage<面数>.log

シフトモードの場合

cjmessage.log

なお,ログファイルの面数は,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用オプション定義ファイル(usrconf.cfg)のejbserver.logger.channels.define.<チャネル名>.filenumキーで指定します。ログファイルのサイズは,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用オプション定義ファイル(usrconf.cfg)のejbserver.logger.channels.define.<チャネル名>.filesizeキーで指定します。

(2) メンテナンスログ

(a) 出力形式

メンテナンスログの出力形式を次の図に示します。

図7‒140 メンテナンスログの出力形式(メールアダプタ)

[図データ]

(b) 出力される内容

メンテナンスログに出力される内容を次の表に示します。

表7‒172 メンテナンスログに出力される内容(メールアダプタ)

項目

内容

番号

メンテナンスログの出力通番が表示されます。

日付

メンテナンスログの取得日付がyyyy/mm/ddの形式で出力されます。

  • yyyy:西暦年

  • mm:月

  • dd:日

時刻

メンテナンスログの取得時刻がhh:mm:ss.SSSの形式で出力されます。

  • hh:時

  • mm:分

  • ss:秒

  • SSS:ミリ秒

製品ID

製品を特定するための識別子として,メールアダプタを示す「MAILADP」が出力されます。また,バージョン情報が出力されます。

pid

プロセスを識別するためのIDが出力されます。

tid

スレッドを識別するためのIDが出力されます。

ID,種別

表示されません。

出力種別

メンテナンスログの取得ポイント情報(取得位置)が出力されます。

  • BGN:メソッドの開始

  • END:メソッドの終了

  • CAL:メソッドの呼び出し

  • RET:メソッドの戻り

  • THR:例外のスロー

  • CTH:例外のキャッチ

クラス名

メンテナンスログを取得するクラス名が出力されます。

メソッド名

メンテナンスログを取得するメソッド名が出力されます。

入出力情報

メンテナンスログを取得するメソッドの入出力情報が出力されます。

CRLF

レコードの終端符号が出力されます。

(c) 出力先

メンテナンスログの出力先を次に示します。このディレクトリに例外ログも出力されます。

メールアダプタ実行環境プロパティファイルのmailadp.methodtrace.filepathキーで指定したパス

メンテナンスログのログファイル名を次の表に示します。

表7‒173 メンテナンスログのログファイル名(メールアダプタ)

ログファイルの出力モード

ログファイル名

ラップアラウンドモードの場合

cscmailadpmtd_<HCSCサーバ名>_<面数>.log

シフトモードの場合

cscmailadpmtd_<HCSCサーバ名>_.log

なお,ログファイルの面数は,メールアダプタ実行環境プロパティファイルのmailadp.methodtrace.filenumキーで指定します。ログファイルのサイズは,メールアダプタ実行環境プロパティファイルのmailadp.methodtrace.filesizeキーで指定します。

メールアダプタ実行環境プロパティファイルの詳細は,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.13.3 メールアダプタ実行環境プロパティファイル」を参照してください。

(3) 性能解析トレース

性能解析トレースを取得するには設定が必要です。設定の詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7. 性能解析トレースを使用した性能解析」を参照してください。

(a) 出力形式

性能解析トレースファイルに出力される形式は,J2EEサーバの性能解析トレースと同様です。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7.3 Management Serverを利用した性能解析トレースファイルの収集」を参照してください。

(b) 出力される内容

性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7‒174 性能解析トレースファイルに出力される内容(メールアダプタ)

項目

内容

イベントID

取得ポイントのイベントIDが出力されます。

取得ポイントの詳細は,「(c) 性能解析トレースの取得ポイント」を参照してください。

リターンコード

取得ポイント種別が出力されます。

  • 0:正常終了

  • 1:異常終了

インターフェース名

クラス名が出力されます。

オペレーション名

メソッド名が出力されます。

オプション情報

サービスID

HCSCコンポーネントのサービスIDが出力されます。

オペレーション

SENDが出力されます。

メール送信(メールサーバとの接続およびメール送信を含む)

接続先メールサーバのホスト名,ポート番号,日付,メッセージIDなどが出力されます。

例外クラス名

例外が発生したクラス名が出力されます。

(c) 性能解析トレースの取得ポイント

性能解析トレースの取得ポイントを次の図に示します。

図7‒141 性能解析トレースの取得ポイント(メールアダプタ)

[図データ]

イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は上の図の番号と対応しています。

表7‒175  性能解析トレースの取得ポイント(メールアダプタ)

イベントID

図中の番号

トレース取得ポイント

レベル

0x9B90

1

リクエスト受付時

B

0x9B92

2

メール送信時(メールサーバとの接続も含む)

A

0x9B93

3

メール送信応答時(メールサーバとの接続も含む)

A

0x9B91

4

レスポンス送信時

B

(凡例)

A:「標準」であることを示します。

B:「詳細」であることを示します。

(4) 例外ログ

例外ログは,メンテナンスログと同じタイミングで開始・終了し,例外情報(スタックトレース)を採取してファイルに出力します。例外ログファイルの出力先はメールアダプタのメンテナンスログと同じディレクトリであるため,個別には変更できません。

(a) 出力形式

例外ログの出力形式を次の図に示します。

図7‒142 例外ログの出力形式(メールアダプタ)

[図データ]

(b) 出力される内容

例外ログに出力される内容を次の表に示します。

項目

内容

番号

例外ログの出力通番が表示されます。

日付

例外ログの取得日付がyyyy/mm/ddの形式で出力されます。

  • yyyy:西暦年

  • mm:月

  • dd:日

時刻

例外ログの取得時刻がhh:mm:ss.SSSの形式で出力されます。

  • hh:時

  • mm:分

  • ss:秒

  • SSS:ミリ秒

製品ID

製品を特定するための識別子として,メールアダプタを示す「MAILADP」が出力されます。

pid

プロセスを識別するためのIDが出力されます。

tid

スレッドを識別するためのIDが出力されます。

ID

空白

スタックトレース情報

スタックトレース情報が出力されます。

CRLF

レコードの終端符号が出力されます。

(c) 出力先

例外ログの出力先を次に示します。メンテナンスログと同じパスです。

<メールアダプタ実行環境プロパティファイルのmailadp.methodtrace.filepathプロパティで指定したパス>\<サービスID>

例外ログのログファイル名を次の表に示します。

表7‒176 例外ログのログファイル名(メールアダプタ)

ログファイルの出力モード

ログファイル名

ラップアラウンドモードの場合

cscmailadpexp_<HCSCサーバ名>_<面数>.log

シフトモードの場合

cscmailadpexp_<HCSCサーバ名>_.log

なお,ログファイルの面数は,メールアダプタ実行環境プロパティファイルのmailadp.exptrace.filenumプロパティで指定します。ログファイルのサイズは,メールアダプタ実行環境プロパティファイルのmailadp.exptrace.filesizeプロパティで指定します。

メールアダプタ実行環境プロパティファイルの詳細は,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.13.3 メールアダプタ実行環境プロパティファイル」を参照してください。

(5) コマンドメッセージログ

(a) 出力形式

コマンドメッセージログの出力形式を次の図に示します。

図7‒143 コマンドメッセージログの出力形式(メールアダプタ)

[図データ]

(b) 出力される内容

コマンドメッセージログに出力される内容を次の表に示します。

表7‒177 コマンドメッセージログに出力される内容(メールアダプタ)

項目

内容

番号

コマンドメッセージログの出力通番が表示されます。

日付

コマンドメッセージログの取得日付がyyyy/mm/ddの形式で出力されます。

  • yyyy:西暦年

  • mm:月

  • dd:日

時刻

コマンドメッセージログの取得時刻がhh:mm:ss.SSSの形式で出力されます。

  • hh:時

  • mm:分

  • ss:秒

  • SSS:ミリ秒

製品ID

製品を特定するための識別子として,メールアダプタを示す「MAILADP」の後ろに,実行したコマンドの名前を示す「add」,「del」または「ls」が出力されます。

  • MAILADP:add

  • MAILADP:del

  • MAILADP:ls

pid

プロセスを識別するためのIDが出力されます。

tid

スレッドを識別するためのIDが出力されます。

メッセージID

メッセージIDが「KDECnnnnn-X」の形式で出力されます。

メッセージテキスト

メッセージの内容が出力されます。

CRLF

レコードの終端符号が出力されます。

(c) 出力先

コマンドメッセージログの出力先およびログファイル名を次に示します。

<メールアダプタコマンド定義ファイルのmailadp.command.messagelog.filepathキーに指定されたパス>\adpmailcommand<面数>.log

なお,ログファイルの面数は,メールアダプタコマンド定義ファイルのmailadp.command.messagelog.filenumキーで指定します。ログファイルのサイズは,メールアダプタコマンド定義ファイルのmailadp.command.messagelog.filesizeキーで指定します。