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Cosminexus V11 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド


7.7.7 ファイルアダプタ実行時の障害対策

ファイルアダプタで障害が発生した場合,障害対策に必要な情報がログファイルおよびトレースファイルに出力されます。ファイルアダプタで取得できるログおよびトレースの種類を次に示します。

表7‒96 ログ・トレースの種類(ファイルアダプタの場合)

ログ・トレース

出力情報

説明

メッセージログ

ファイルアダプタで発生した各種情報が,メッセージとして出力されます。

稼働情報(起動・停止・障害など)をメッセージとして確認できます。なお,メッセージログの出力先は,アプリケーションサーバおよびサービスプラットフォーム全体で共通なので,システムの稼働状況を一括して確認できます。

メソッドトレース

ファイルアダプタの内部メソッドの開始時と終了時に,次の情報が出力されます。

  • 日付

  • 時刻

  • 実行クラス名

  • 内部メソッド名

  • 発生した例外

  • 指定した引数の情報

内部メソッドの発行時刻およびシーケンスを確認できます。

性能解析トレース(PRFトレース)

アプリケーションサーバおよびサービスプラットフォーム全体の性能解析トレース取得ポイントで,次の情報が出力されます。

  • 日付

  • 時刻

  • リクエスト情報

  • トレース取得元情報

ファイルアダプタの性能解析トレース取得ポイントでは,ファイルアダプタ固有の情報が出力されます。

サービスリクエスタから要求を受け付けて,実行結果を返却するまでの一連の処理で出力される性能解析情報を基に,サービスプラットフォームシステムの性能を検証できます。

ログまたはトレースを出力する場合の注意事項については,「7.3.1(3) ログおよびトレース取得時の注意事項(全般的な注意事項)」を参照してください。

ファイルアダプタのログおよびトレースは,アプリケーションサーバのトラブルシューティングの機能を使用して取得できます。取得方法を次に示します。

また,HCSCサーバのトレースを取得すると,アプリケーションサーバシステム全体のトラブルシュートが容易になります。HCSCサーバで取得できるトレースの情報を次の表に示します。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の障害情報の取得に関する内容を参照してください。

表7‒97 HCSCサーバで取得できるトレースの情報

トレース機能

説明

リクエストトレース

メッセージング基盤での,標準受付,ビジネスプロセス受付,またはサーバ間転送受付で受け付けたリクエストのビジネスプロセスやサービスアダプタの呼び出し先やその結果を把握するための情報が取得できます。

メソッドトレース

HCSCサーバが提供するメソッドトレース情報が取得できます。

性能解析トレース

J2EEアプリケーションを含めたアプリケーションサーバおよびサービスプラットフォームシステム全体の性能ボトルネックを解析するための情報が取得できます。

〈この項の構成〉

(1) 障害処理

ファイルアダプタで障害が発生した場合,停止処理中の障害を除いてHCSCサーバに対して例外が通知されます。

(a) 開始処理の失敗

ファイルアダプタの開始処理が失敗した場合,HCSCサーバに例外が通知され処理が終了します。開始処理失敗の要因としては,ファイルアダプタ実行環境プロパティファイルの解析失敗などが考えられます。

図7‒104 開始処理の失敗

[図データ]

(b) ファイル制御処理の失敗

ファイルアダプタのファイル制御処理の失敗が検知された場合,HCSCサーバに例外が通知され処理が終了します。

図7‒105 ファイル制御処理の失敗

[図データ]

(c) 停止処理の失敗

ファイルアダプタの停止処理の失敗が検知された場合,処理が終了するまで停止処理が継続されます。HCSCサーバに対しては,例外は通知されません。ただし,予期しない障害が発生した場合は,例外が通知されることがあります。

(2) メッセージログ

サービスの起動・停止などのインフォメーション情報および障害時のエラー情報をメッセージログとして取得し,障害の発生を検知したり,障害要因を解析したりできます。

(a) 出力先

メッセージログの出力先を次に示します。

J2EEサーバ稼働ログの出力先に指定されたパス

J2EEサーバ稼働ログの出力先は,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用オプション定義ファイル(usrconf.cfg)のejb.server.log.directoryキーで指定します。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.2 usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)」,および「2.2.3 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」を参照してください。

メッセージログのログファイル名を次の表に示します。

表7‒98 メッセージログのログファイル名

ログファイルの出力モード

ログファイル名

ラップアラウンドモードの場合

cjmessage<面数>.log

シフトモードの場合

cjmessage.log

注※

ログファイルはアプリケーションサーバおよびサービスプラットフォーム全体で共通です。HCSCサーバ上にあるすべての製品の運用情報および障害情報のメッセージログが出力されます。

(b) ファイル面数

出力ファイル面数は,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用ユーザプロパティファイル(usrconf.properties)のejbserver.logger.channels.define.<チャネル名>.filenumキーで指定します。詳細については,次に示すマニュアルを参照してください。

(c) ファイルサイズ

出力ファイルサイズは,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用ユーザプロパティファイル(usrconf.properties)のejbserver.logger.channels.define.<チャネル名>.filesizeキーで指定します。詳細については,次に示すマニュアルを参照してください。

(3) メソッドトレース

内部メソッド発行の時刻やシーケンスを確認できます。保守員が障害解析のために使用します。

(a) 出力先

メソッドトレースの出力先を次に示します。

<J2EEサーバ稼働ログの出力先に指定されたパス>\CSCADP\FFADP\maintenance\<サービスアダプタ名>

J2EEサーバ稼働ログの出力先は,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用オプション定義ファイル(usrconf.cfg)のejb.server.log.directoryキーで指定します。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.2 usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)」を参照してください。

メソッドトレースのトレースファイル名を次の表に示します。

表7‒99 メソッドトレースのトレースファイル名

トレースファイルの出力モード

トレースファイル名

ラップアラウンドモードの場合

mtdtrace<面数>.log

シフトモードの場合

mtdtrace.log

(b) ファイル面数

出力ファイル面数のデフォルトは4面です。出力ファイル面数は,ファイルアダプタ実行環境プロパティファイルのmethodtracefile.numキーで変更できます。変更方法の詳細は,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 受付・アダプタ定義編」の「3.3.7 ファイルアダプタを定義する」のファイルアダプタ実行環境プロパティファイルの作成に関する説明を参照してください。

(c) ファイルサイズ

出力ファイルサイズのデフォルトは4MBです。出力ファイルサイズは,ファイルアダプタ実行環境プロパティファイルのmethodtracefile.sizeキーで変更できます。変更方法の詳細は,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 受付・アダプタ定義編」の「3.3.7 ファイルアダプタを定義する」のファイルアダプタ実行環境プロパティファイルの作成に関する説明を参照してください。

(4) 性能解析トレース(PRFトレース)

サービスリクエスタから要求を受け付けて,実行結果を返却するまでの一連の処理で出力される性能解析情報を基に,アプリケーションサーバおよびサービスプラットフォームシステムの性能を検証できます。ファイルアダプタの性能解析トレース取得ポイントでは,ファイルアダプタ固有の情報が出力されます。保守員が性能ボトルネックの解析のために使用します。

(a) 出力先

性能解析トレースの出力先およびトレースファイル名を次の表に示します。

表7‒100 性能解析トレースの出力先およびトレースファイル名

トレースの出力先パス

トレースファイル名

<環境変数PRFSPOOLの設定ディレクトリ>\utt\prf\<PRF識別子>\dcopltrc

prf_<n>

(凡例)

n:001からファイル面数の最大値までの整数が入ります。

注※

性能解析トレースの出力先は,アプリケーションサーバおよびサービスプラットフォーム全体で共通です。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7.3 Management Serverを利用した性能解析トレースファイルの収集」を参照してください。

(b) ファイル面数

出力ファイル面数のデフォルトは4面です。出力ファイル面数は,運用管理ポータルまたはcprfコマンドで変更できます。運用管理ポータルの詳細はマニュアル「アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」を,cprfコマンドの詳細はマニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」を参照してください。

(c) ファイルサイズ

運用管理ポータルでファイルサイズを設定した場合,ファイルサイズのデフォルトは32MBです。cprfコマンドでファイルサイズを設定した場合,ファイルサイズのデフォルトは8MBです。ファイルサイズは,運用管理ポータルまたはcprfコマンドで変更できます。運用管理ポータルの詳細はマニュアル「アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」を,cprfコマンドの詳細はマニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」を参照してください。

(d) 出力形式

性能解析トレースに出力される形式は,J2EEサーバの性能解析トレースと同様です。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7.3 Management Serverを利用した性能解析トレースファイルの収集」を参照してください。

(e) 性能解析トレースの取得ポイント

ファイルアダプタの性能解析トレース取得ポイントでは,ファイルアダプタ固有の情報が出力されます。

●概要

ファイルアダプタの性能解析トレース取得ポイントを次の図に示します。

図7‒106 性能解析トレース取得ポイント(ファイルアダプタ)

[図データ]

性能解析トレースの取得ポイントには,ポイント固有のイベントIDが割り当てられます。ファイルアダプタで出力されるトレースのイベントIDは0xA000〜0xA0FFです。イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,「図7-106 性能解析トレース取得ポイント(ファイルアダプタ)」中の番号と対応しています。

表7‒101 性能解析トレース取得ポイント(ファイルアダプタ)

イベントID

図中の番号

トレース取得ポイント

レベル※1

0xA000

1

リクエスト受付時

詳細

0xA002

2

ファイル操作処理呼び出し時

標準

0xA003

3

ファイル操作処理完了時※2

標準

0xA001

4

レスポンス送信時

詳細

注※1

性能解析トレースのレベルの変更方法については,「トレース取得レベルの変更」,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」,およびマニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」を参照してください。デフォルトは標準です。

注※2

ファイル操作処理中に例外が発生した場合も,トレース取得ポイントはファイル操作処理完了時と同様です。

●トレース取得レベルの変更

PRFトレース取得レベルを変更する場合,cprflevelコマンドの-PrfChangeLevelオプションに4バイトの16進数(8桁)の値を2つ指定します。それぞれの16進数の値には,インデックス番号(インデックス1,インデックス2)が割り当てられています。トレース情報を取得する場合の指定個所を次の表に示します。

表7‒102 トレース取得レベルの指定個所

インデックス

桁番号

上位レイヤ

下位レイヤ

インデックス1

1桁目

リダイレクタ

Webコンテナ

2桁目

EJBコンテナ

JNDI

3桁目

JTA

JCAコンテナ

4桁目

DB Connector

RMI

5桁目

Web Services - Base

TP1 Connector,TP1/Client/J

6桁目

TP1/Message Queue - Access

Reliable Messaging

7桁目

OTS

8桁目

CTM

インデックス2

1桁目

HCSCサーバ

標準出力/標準エラー出力/ユーザログ

2桁目

DI

3桁目

ファイルアダプタ

(凡例)

−:該当しません。

注※

ファイルアダプタのトレース取得レベルを変更する場合,インデックス2の3桁目の下位レイヤの値を変更します。変更する場合の指定値を次の表に示します。

表7‒103 ファイルアダプタのトレース取得レベルの指定値

指定値

トレース取得レベル

0

標準

1

詳細

注※

-PrfChangeLevelオプションに指定する際は,16進数に変換します。

cprflevelコマンドの詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」を参照してください。