Cosminexus V9 アプリケーションサーバ 機能解説 互換編

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7.2.4 構築済み実行環境の切り替え手順

ここでは,構築済み実行環境を切り替える場合の手順と,退避環境作成時に退避されるファイルについて説明します。

<この項の構成>
(1) 構築済み実行環境の切り替え手順の例
(2) 退避環境作成時に退避対象となるファイル

(1) 構築済み実行環境の切り替え手順の例

ここでは,1台のマシンに実行環境Aを構築し,実行環境Bにバージョンアップして動作検証したあと,実行環境Aに戻す手順を例に説明します。

各実行環境の設定内容の例を次の表に示します。

表7-6 各実行環境の設定内容の例

設定内容 実行環境A 実行環境B
退避環境の格納先 /home/CosmiBackup
退避対象外のファイルの格納先 /home/CosmiBackup/apsvAfiles /home/CosmiBackup/apsvBfiles
退避環境の識別子 apsvA apsvB

実行環境の切り替え手順を次に示します。

  1. 実行環境Aを構築します。
    Application Serverをインストールして,環境設定を実施し,システムを構築します。
    実行環境Aが稼働可能状態となります。

    [図データ]

  2. 実行環境Aの退避対象外のファイルを任意の場所に格納します。
    ここでは,「/home/CosmiBackup/apsvAfiles」に格納します。退避対象外のファイルについては,「7.2.3(1) 退避対象外のファイルの退避」を参照してください。
  3. 実行環境Aを退避するために必要なディスク容量を確認します。
    製品ごとに必要なディスク容量については,「7.2.3(2) ディスク容量の確認」を参照してください。
  4. cosmienvコマンドに引数-sを指定して,実行環境Aの退避環境を作成します。
    コマンドの入力例を次に示します。
    cosmienv -s -I apsvA -P /home/CosmiBackup
    退避環境作成時に退避されるファイルについては,「7.2.4(2) 退避環境作成時に退避対象となるファイル」を参照してください。
    cosmienvコマンドを実行しても,実行環境Aは稼働可能状態のまま残ります。

    [図データ]

  5. 実行環境Bを構築します。
    実行環境Aにアップグレードインストールと環境設定を実施します。
    実行環境Bが稼働可能状態となり,実行環境Aは退避環境だけとなります。

    [図データ]

  6. 実行環境Bの退避対象外のファイルを任意の場所に格納します。
    ここでは,「/home/CosmiBackup/apsvBfiles」に格納します。退避対象外のファイルについては,「7.2.3(1) 退避対象外のファイルの退避」を参照してください。
  7. 実行環境Bを退避するために必要なディスク容量を確認します。
    製品ごとに必要なディスク容量については,「7.2.3(2) ディスク容量の確認」を参照してください。
  8. cosmienvコマンドに引数-sを指定して,実行環境Bの退避環境を作成します。
    コマンドの入力例を次に示します。
    cosmienv -s -I apsvB -P /home/CosmiBackup
    退避環境作成時に退避されるファイルについては,「7.2.4(2) 退避環境作成時に退避対象となるファイル」を参照してください。
    cosmienvコマンドを実行しても,実行環境Bは稼働可能状態のまま残ります。

    [図データ]

  9. 実行環境Bで動作検証をします。
  10. 実行環境B(Application Server)をアンインストールします。
  11. cosmienvコマンドに引数-rを指定して,実行環境Aに戻します。
    コマンドの入力例を次に示します。
    cosmienv -r -I apsvA
    実行環境Aが稼働可能状態となり,実行環境Bは退避環境だけとなります。回復元の退避環境Aはそのまま残ります。

    [図データ]

  12. 手順2.で退避したファイルを該当個所(退避元ディレクトリ)に格納します。
    退避対象外のファイルを実行環境Aの退避元ディレクトリにそれぞれ格納します。

cosmienvコマンドの詳細については,「7.2.5 構築済み実行環境の切り替えで使用するコマンド(cosmienv(構築済み実行環境の退避,回復,削除,一覧出力))」を参照してください。

(2) 退避環境作成時に退避対象となるファイル

退避環境作成時に退避対象となるファイルを次の表に示します。

表7-7 退避環境作成時に退避対象となるファイル

項番 ファイルまたはディレクトリ名 説明 構成ソフトウェア
1 /opt/Cosminexus/XMLSEC Web Services - Securityに含まれるXML Security - Coreの製品,設定ファイルなど Web Services - Security
2 /opt/Cosminexus/.HTC_xxxx.inf 製品情報ファイル
3 /opt/Cosminexus/common以下すべて 共通モジュール群
4 /opt/Cosminexus/CC Component Containerのインストールディレクトリ Component Container
5 /opt/Cosminexus/CWC Component ContainerのWebアプリケーション開発に利用する機能のインストールディレクトリ Component Container
6 /opt/Cosminexus/c4web Component ContainerのSOAPアプリケーション開発支援機能,SOAP通信基盤のファイルがインストールされているディレクトリ Component Container
7 /opt/Cosminexus/manager Component Containerの運用管理機能のインストールディレクトリ Component Container
8 /sbin/init.d/MngSvr インストール時に作成されるComponent Containerの運用管理機能のrcスクリプトファイル(HP-UXの場合) Component Container
9 /sbin/init.d/AdminAgent インストール時に作成されるComponent Containerの運用管理機能のrcスクリプトファイル(HP-UXの場合) Component Container
10 /etc/rc.d/init.d/MngSvr インストール時に作成されるComponent Containerの運用管理機能のrcスクリプトファイル(Linuxの場合) Component Container
11 /etc/rc.d/init.d/AdminAgent インストール時に作成されるComponent Containerの運用管理機能のrcスクリプトファイル(Linuxの場合) Component Container
12 /opt/Cosminexus/CTM/bin以下すべて Component Transaction Monitorのロードモジュール Component Transaction Monitor
13 /opt/Cosminexus/CTM/lib以下すべて Component Transaction Monitorのライブラリ Component Transaction Monitor
14 /opt/Cosminexus/CTM/.HTC_xxxx.inf Component Transaction Monitorの製品情報ファイル Component Transaction Monitor
15 /opt/Cosminexus/PRF/bin以下すべて Performance Tracerのロードモジュール Performance Tracer
16 /opt/Cosminexus/PRF/lib以下すべて Performance Tracerのライブラリ Performance Tracer
17 /opt/Cosminexus/PRF/.HTC_xxxx.inf Performance Tracerの製品情報ファイル Performance Tracer
18 /opt/Cosminexus/jaxp XML Processorのインストールディレクトリ XML Processor
19 /opt/Cosminexus/jdk Developer's Kit for Javaのインストールディレクトリ Developer's Kit for Java
20 /opt/Cosminexus/RM Reliable Messagingのインストールディレクトリ Reliable Messaging
21 /opt/Cosminexus/TPB以下すべて TPBroker インストールディレクトリ TPBroker
22 /opt/hitachi/httpsd HTTP Serverのインストールディレクトリ HTTP Server
23 簡易構築定義ファイルの論理J2EEサーバ(j2ee-server)のejb.public.directoryパラメタで指定するディレクトリパス J2EEサーバの作業ディレクトリ Component Container
24 /opt/Cosminexus/wss Web Services - Securityのインストールディレクトリ Web Services - Security
25 /opt/Cosminexus/sinagent サーバ通信エージェントのインストールディレクトリ Component Container
26 /etc/rc.d/init.d/SINaviAgent インストール時に作成されるサーバ通信エージェントのrcスクリプトファイル(Linuxの場合) Component Container

(凡例)−:Application Serverの製品が該当します。