Cosminexus V9 アプリケーションサーバ 機能解説 互換編

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7.2.3 構築済み実行環境を切り替えるための準備

ここでは,構築済み実行環境を切り替えるために必要な準備について説明します。

準備として次の作業が必要です。

<この項の構成>
(1) 退避対象外のファイルの退避
(2) ディスク容量の確認

(1) 退避対象外のファイルの退避

構築済み実行環境を切り替える場合,cosmienvコマンドを使用して,構築済み実行環境から退避環境を作成します。cosmienvコマンドによって作成される退避環境には,ユーザ任意の定義ファイルや,ログファイル,プロパティの設定によって作成されたファイルなどは含まれません。このため,cosmienvコマンドを実行する前に,退避対象外のファイルのうち,アプリケーションサーバの動作に必要なファイルは,あらかじめ退避しておく必要があります。

なお,実行環境の回復時には,退避したファイルを回復した実行環境に戻す作業が必要になります。

(a) 退避作業が必要なファイル

退避対象外のファイルのうち,退避作業が必要なファイルと作業方法を次の表に示します。これらのファイルは,アプリケーションサーバの動作に影響があるため,必ず退避作業を実施してください。なお,実行環境の回復時には,退避したファイルを回復した実行環境の退避元フォルダに戻す作業が必要になります。

表7-4 退避作業が必要なファイルと作業方法

項番 ファイルまたはディレクトリ名 作業方法 備考 構成ソフトウェア
1 簡易構築定義ファイルの論理J2EEサーバ(j2ee-server)のwebserver.connector.inprocess_http.error_custom.<エラーページカスタマイズ定義名>.fileパラメタに指定しているファイル 退避してください。 エラーステータスコードに対応するファイルを送信する場合に,レスポンスボディとしてクライアントに返すファイル Component Container
2 簡易構築定義ファイルの論理J2EEサーバ(j2ee-server)のwebserver.connector.inprocess_http.redirect.<リダイレクト定義名>.fileで指定しているファイル 退避してください。 特定のファイルをレスポンスとしてクライアントに返す場合にレスポンスボディとして使用するファイル Component Container
3 展開ディレクトリ形式のアプリケーション 退避してください。 Component Container
4 コンテナ拡張ライブラリ 退避してください。 Component Container
5 アプリケーションサーバの構築・運用・アプリケーション開発で使用するファイルの形式や定義で,パスにデフォルト以外を設定しているディレクトリおよびファイル 退避してください。 Component Container
6 Reliable Messagingの管理情報テーブル 退避してください。 DBMS上に作成したReliable Messagingの管理情報テーブル Reliable Messaging
7 Reliable MessagingのQueueConfigFileNameプロパティに指定しているファイル プロパティを指定している場合は,退避してください。 Reliable Messagingのキュー定義ファイル Reliable Messaging
8 Reliable MessagingのRMTRTransferControlDirプロパティに指定しているディレクトリ プロパティを指定している場合は,退避してください。 Reliable Messagingで使用するクライアント定義ファイルを格納したディレクトリ Reliable Messaging
9 Reliable MessagingのQueueMakeFileNameプロパティに指定しているファイル プロパティを指定している場合は,退避してください。 Reliable Messagingのキュー作成ファイル Reliable Messaging
10 Webサービスセキュリティの環境設定ファイル(cwsscfg.properties)のcwss.binding.KeyLocator.KeystoreDirプロパティに指定しているディレクトリ以下すべて プロパティを指定している場合は,退避してください。 署名付与/検証で使用するキーストアファイルを格納するディレクトリ Web Services - Security
11 Webサービスセキュリティの環境設定ファイル(cwsscfg.properties)のcwss.binding.KeyLocator.CertificateDirプロパティに指定しているディレクトリ以下すべて プロパティを指定している場合は,退避してください。 証明書検証で使用する証明書ファイルを格納するディレクトリ Web Services - Security
12 Webサービスセキュリティの環境設定ファイル(cwsscfg.properties)のcwss.binding.KeyLocator.SecretKeyDirプロパティに指定しているディレクトリ以下すべて プロパティを指定している場合は,退避してください。 暗号化/復号化で使用する共通鍵ファイルを格納するディレクトリ Web Services - Security
13 環境変数「VBROKER_ADM」またはTPBrokerのvbroker.orb.admDirプロパティに/opt/Cosminexus/TPB/adm以外を設定している場合に,環境変数「VBROKER_ADM」またはvbroker.orb.admDirプロパティに設定しているディレクトリ以下にあるagentaddr,localaddr,HVMGTEE_DEF,htc.props,htc.clienthandleraddr,およびHVIORB_DEF 環境変数またはプロパティを指定している場合は,退避してください。 ユーザ作成の定義ファイル TPBroker
14 環境変数「OSAGENT_ADDR_FILE」またはvbroker.agent.addrFileプロパティに指定しているファイル 環境変数またはプロパティを指定している場合は,退避してください。 ユーザ作成の定義ファイル TPBroker
15 環境変数「OSAGENT_LOCAL_FILE」,またはvbroker.agent.localFileプロパティに指定しているファイル 環境変数またはプロパティを指定している場合は,退避してください。 ユーザ作成の定義ファイル TPBroker
16 -ORBpropStorageオプション,またはvbroker.orb.propStorageプロパティで指定しているファイル オプションまたはプロパティを指定している場合は,退避してください。 ユーザ作成の定義ファイル TPBroker
17 httpsd.confで指定した各種設定ファイル(Includeディレクティブ,TypeConfigディレクティブ,SSLによる暗号化,認証の定義など)のうち,opt/hitachi/httpsd以外にあるファイルすべて opt/hitachi/httpsd以外を指定している場合は,退避してください。 HTTP Server
18 httpsd.confで指定したコンテンツディレクトリのうち,opt/hitachi/httpsd以外にあるディレクトリすべて opt/hitachi/httpsd以外を指定している場合は,退避してください。 HTTP Server
(b) 退避作業が不要なファイル

退避対象外のファイルのうち,退避作業が不要なファイルを次の表に示します。これらのファイルは,アプリケーションサーバの動作に影響はありません。必要に応じて退避してください。なお,退避作業が不要なファイルの場合,実行環境の回復時に退避したファイルを戻す作業は不要です。

表7-5 退避作業が不要なファイル

項番 ファイルまたはディレクトリ名 説明 構成ソフトウェア
1 /opt/Cosminexus/XMLSEC/logs/* Web Services - Securityに含まれるXML Security - Coreのログ Web Services - Security
2 /opt/Cosminexus/env以下すべて 構築済み実行環境の切り替え機能のコマンド(cosmienvコマンド)の格納先ディレクトリ
3 <製品の作業ディレクトリ>/ejb/<サーバ名称>/logs以下すべて
/opt/Cosminexus/CC/server/public/ejb/<サーバ名称>/logs以下すべて
/opt/Cosminexus/CC/server/public/public_old/ejb/<サーバ名称>/logs以下すべて
J2EEサーバのログ出力先ディレクトリ Component Container
4 <製品の作業ディレクトリ>/ejb/<サーバ名称>/以下のcore*,およびjavacore*
/opt/Cosminexus/CC/server/public/ejb/<サーバ名称>/以下のcore*,およびjavacore*
/opt/Cosminexus/CC/server/public/public_old/ejb/<サーバ名称>/以下のcore*,およびjavacore*
J2EEサーバのcoreファイル,およびJavaCoreファイル Component Container
5 <製品の作業ディレクトリ>/ejb/<サーバ名称>/stats以下すべて
/opt/Cosminexus/CC/server/public/ejb/<サーバ名称>/stats以下すべて
/opt/Cosminexus/CC/server/public/public_old/ejb/<サーバ名称>/stats以下すべて
J2EEサーバとSFOサーバの稼働情報ファイルの格納先ディレクトリ Component Container
6 /opt/Cosminexus/CC/logs以下すべて Component Containerのログ格納用ディレクトリ Component Container
7 /opt/Cosminexus/CC/admin/logs以下すべて サーバ管理コマンドのログ格納用ディレクトリ Component Container
8 /opt/Cosminexus/CC/client/logs以下すべて EJBクライアントアプリケーションのログ出力用ディレクトリ Component Container
9 /opt/Cosminexus/CC/web/containers/<サーバ名称>/以下のcore*,およびjavacore* Webコンテナサーバのcoreファイル,およびJavaCoreファイル Component Container
10 /opt/Cosminexus/CC/web/containers/<サーバ名称>/logs以下すべて Webコンテナサーバのログ出力先ディレクトリ Component Container
11 /opt/Cosminexus/manager/log以下すべて Component Containerの運用管理機能のログ出力先ディレクトリ Component Container
12 /opt/Cosminexus/manager/tmp Component Containerの運用管理機能の一時的なワークディレクトリ Component Container
13 /opt/Cosminexus/manager/bin/以下のcore*,およびjavacore* Component Containerの運用管理機能のcoreファイル,およびJavaCoreファイル Component Container
14 /opt/Cosminexus/sinagent/log サーバ通信エージェントのログ出力先ディレクトリ Component Container
15 /opt/Cosminexus/CC/web/redirector/logsおよび/opt/Cosminexus/CC/web/redirector/servers/<論理Webサーバ名>/logs以下すべて リダイレクタのメッセージログ出力先ディレクトリおよび保守用トレースログ出力先ディレクトリ Component Container
16 <製品の作業ディレクトリ>/ejb/<サーバ名称>/otsstatus以下すべて
/opt/Cosminexus/CC/server/public/ejb/<サーバ名称>/otsstatus以下すべて
/opt/Cosminexus/CC/server/public/public_old/ejb/<サーバ名称>/otsstatus以下すべて
インプロセストランザクションサービスのステータスファイルの格納ディレクトリ Component Container
17 /var/spool/TPBrokerOTM以下すべて ドメイン情報ファイル格納ディレクトリ Component Transaction Monitor
18 CTMSPOOL環境変数で指定したディレクトリ以下すべて CTMSPOOLディレクトリ Component Transaction Monitor
19 PRFSPOOL環境変数で指定したディレクトリ以下すべて PRFSPOOLディレクトリ Performance Tracer
20 /opt/Cosminexus/RM/logs以下すべて Reliable Messagingコマンドのログ出力先ディレクトリ Reliable Messaging
21 /opt/Cosminexus/c4web/logs以下すべて Component ContainerのSOAPアプリケーション開発支援機能のログ出力先ディレクトリ Web Services - Security
22 /opt/Cosminexus/TPB/adm/hgtfifo/以下すべて バーボースログ出力用一時ディレクトリ TPBroker
23 /opt/Cosminexus/TPB/adm/impl_dir/以下すべて インプリメンテーションリポジトリデータ作成ディレクトリ TPBroker
24 /opt/Cosminexus/TPB/log/以下すべて C++ORB機能トレース出力ディレクトリ TPBroker
25 /opt/Cosminexus/TPB/logj/以下すべて JavaORB機能トレース出力ディレクトリ TPBroker
26 /opt/hitachi/httpsd/logs以下すべて HTTP Serverのログ出力先ディレクトリ HTTP Server
27 /opt/hitachi/httpsd/servers/<サーバ名称>/logs以下すべて HTTP Serverのログ出力先ディレクトリ HTTP Server
28 /opt/Cosminexus/wss/logs以下すべて Web Services - Securityのログ出力先ディレクトリ Web Services - Security

(凡例)−:Application Serverの製品が該当します。

注 表内のディレクトリの意味を次に示します。

注※ 次のディレクトリも含まれます。


(2) ディスク容量の確認

構築済み実行環境から退避環境を作成する場合,退避対象ファイルをすべてアーカイブしたファイルが,退避環境として作成されます。このため,実行するマシンに十分なディスク容量があるかを確認してください。退避環境に必要なディスク容量は,構築済みの実行環境の状態によって変わります。製品の新規インストール直後の状態の必要なディスク占有量についてはリリースノートをご確認ください。

注意
簡易構築定義ファイルの論理J2EEサーバ(j2ee-server)のejbserver.distributedtx.ots.status.directory1パラメタ,またはejbserver.distributedtx.ots.status.directory2パラメタで指定したディレクトリは,相対パスで指定している場合は退避されます。この場合,ディスク容量は,ejbserver.distributedtx.ots.status.directory1パラメタ,またはejbserver.distributedtx.ots.status.directory2パラメタで指定しているディレクトリが使用するディスク容量を加えた値で見積もる必要があります。