3.7.1 ブートディスク環境へHDLMをインストールする場合の注意事項
ブートディスクにHDLMを適用した場合の注意事項を次に示します。
ブートディスクを作成できるストレージシステムとして,次の条件を満たしている必要があります。
HDLMを使用しない状態でも,ストレージシステムがブートディスクとしての機能をサポートしている
HBAが,ストレージシステムからの起動をサポートしている
OSをインストールする場合は,ルートディレクトリー「/」と/bootディレクトリーを別のパーティションに作成してください。
HDLMをブートディスクとして使用する場合は,カーネルパラメーターのresume,journalおよびdumpにHDLMデバイスを指定しないでください。
Red Hat Enterprise Linux,SUSE LINUX Enterprise Serverでは,ブートディスクにLVM2を使用している環境をサポートします。
Red Hat Enterprise Linux,SUSE LINUX Enterprise Serverでは,ブートディスクにmdデバイスを使用している環境はサポートしていません。
起動中に構成を変更したり,/etc/fstabファイルの設定が正しくなかった場合は,システムが起動できなくなることがあります。
起動時にルートディレクトリー「/」がマウントされないと,障害ログ(/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlmboot.log)を取得できません。その場合は,コンソールに出力されるログを参照して問題を解析してください。
起動時のdlmcfgmgrのログは,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlmboot.logファイルに出力されます。
ブートディスクをHDLMデバイスとする環境の場合は,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confに定義されている「hdlm_dracut」の記述が「y」になっていることを確認してください。「hdlm_dracut=n」にする場合は,SCSI用の初期RAMディスクイメージファイルを作成する時です。
HDLMデバイスから起動する環境を構築したあとで,ブートディスクを変更することはできません。
ブートディスクに設定したSANRISEのディスクをHDLMデバイスとして使用しない場合には,HDLMをインストールする前に,次の手順に従って/etc/fstabファイルの記述をLABEL指定からsdデバイス指定に編集してください。
LABELで指定されているOSのインストール先ディレクトリーを確認します。
# cat /etc/fstab LABEL=/ / ext3 defaults 1 1 LABEL=/boot /boot ext3 defaults 1 2
ルートディレクトリーと/bootディレクトリーがLABEL指定であることが確認できます。
LABELとsdデバイスの関係を確認します。
# mount /dev/sda2 on / type ext3 (rw) none on /proc type proc (rw) none on /dev/pts type devpts (rw,gid=5,mode=620) usbdevfs on /proc/bus/usb type usbdevfs (rw) /dev/sda1 on /boot type ext3 (rw) none on /dev/shm type tmpfs (rw)
ルートディレクトリーが/dev/sda2,/bootディレクトリーが/dev/sda1であることが確認できます。
viなどのエディターを使用して,LABEL指定をsdデバイス指定に変更します。
(変更前)
LABEL=/ / ext3 defaults 1 1 LABEL=/boot /boot ext3 defaults 1 2
(変更後)
/dev/sda2 / ext3 defaults 1 1 /dev/sda1 /boot ext3 defaults 1 2
HDLMのインストールを行います。
HDLMデバイス構成後に,dlmcfgmgr -oコマンドを実行して,ブートディスクに対応するHDLMデバイスを管理対象外にしてください。
udev機能でSCSI デバイス名を変更している場合は,「3.7.3 マルチパス構成のブートディスク環境の設定」および「3.7.4 ブートディスク環境でのHDLMのアップグレードインストール」でSCSIデバイス名をudev機能で変更したSCSIデバイス名(udev名)に読み替えて操作してください。
HDLMがインストールされた環境ではHDLM構成定義ユーティリティー(dlmcfgmgr)でSCSIデバイスとudev名の対応関係を確認することができます。
dlmcfgmgrユーティリティーに-vパラメーターおよび-udevパラメーターを指定して実行する例を次に示します。
図3‒7 dlmcfgmgrユーティリティーに-vパラメーターおよび-udevパラメーターを指定した実行例 HDevName列はHDLMデバイス,Device列はSCSIデバイス,Udev列はudev名になります。
カーネルパッケージを更新する場合,使用しているOSによって次のように対応ください。
Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,またはRed Hat Enterprise Linux 9を使用している場合
カーネルパッケージの更新手順は「4.2 カーネルパッケージの更新またはOSのアップデートパッケージの適用」を参照してください。
SUSE LINUX Enterprise Serverを使用している場合
カーネルパッケージを更新するときは,HDLMをいったんアンインストールしてからカーネルパッケージを更新し,再度HDLMをインストールしてください。なお,HDLMのインストールとアンインストールを実行するため,HDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係が,アンインストール前とインストール後で変わる場合があります。
カーネルパッケージを更新する場合で,次の条件をすべて満たすときは,Persistent Bindingの設定を変更する必要があります。
ホストがBladeSymphonyである
HDLMでブートディスクを管理している
Persistent Bindingの機能が有効である
Persistent Bindingの設定については,マニュアル「Hitachi Gigabit Fibre Channel アダプター ユーザーズガイド」を参照してください。
ブートディスクにHDLMを適用する場合は,swapパーティションにLUKSを使用できません。
HDLMのアップグレードインストールを行っても,作成済みのLVM構成は変わりません。
HDLMデバイス上の論理ボリューム(LVM2)をブートディスク環境にする際に,dracutコマンドやvgscanコマンドを実行すると,次のようなメッセージが一時的に出力される場合がありますが,HDLMの動作上の問題はありません。
WARNING: Device mismatch detected for VG名 which is accessing SCSIデバイス名 instead of HDLMデバイス名.
または
WARNING: Device mismatch detected for VG名 which is accessing SCSIデバイス名 instead of (null).
HDLMデバイス上の論理ボリューム(LVM2)をブートディスクとしている場合,サーバー起動時に次のようなメッセージが出力される場合がありますが,HDLMの動作上の問題はありません。
MM DD hh:mm:ss ホスト名 kernel: dracut: Found duplicate PV pvid: using SCSIデバイス名 not SCSIデバイス名
Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,Red Hat Enterprise Linux 9,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Linux 8,SUSE LINUX Enterprise Server 12,SUSE LINUX Enterprise Server 15,Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 6,Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 7またはOracle Unbreakable Enterprise Kernel 8の場合,LVM2を使用しない場合でも,LVM2のパッケージをインストールしてください。