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Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Linux®用)


3.7.3 マルチパス構成のブートディスク環境の設定

SCSIデバイスを使ったシングルパス構成のブートディスクの環境に,HDLMを新規インストールしてから,マルチパスのブートディスク環境を設定する方法について説明します。

HDLMブートディスク環境構築ユティリティdlmbootstart)を使用しないで,手動で設定する場合は「付録C 手動でのブートディスク環境の設定」を参照してください。

設定を誤ると,OSが起動できなくなることがあるので,注意してください。HDLMデバイスからのOSの起動に失敗した場合の対処については,「3.7.5 HDLMデバイスからのOSの起動に失敗した場合の対処」を参照してください。

  1. Linuxに,root権限を持つユーザでログインします。

  2. HDLMをインストールします。

    3.6.2 HDLMの新規インストール」を参照して手順2,手順4から手順13を実行して,HDLMデバイスを作成してください。

  3. swapoffコマンドを使って,swapを無効にします。

    すべてのswapを無効にする場合のコマンドの実行例を次に示します。

    # /sbin/swapoff -a
    

    次の条件をすべて満たす環境で,swapを有効にしたまま手順を実施すると,ホストの停止に時間が掛かる場合があります。

    必ずswapを無効にしてから手順を実施してください。

    • 次に示すどれかのOSである。

      • Red Hat Enterprise Linux 7

      • Red Hat Enterprise Linux 8

      • Red Hat Enterprise Linux 9

      • Oracle Linux 7

      • Oracle Linux 8

      • SUSE LINUX Enterprise Server 12

      • SUSE LINUX Enterprise Server 15

    • HDLM管理対象デバイスが,swapとして有効になっている。

  4. HDLMブートディスク環境構築ユティリティdlmbootstart)を実行して,HDLMを使用したブートディスク環境を構築します。

    Red Hat Enterprise Linux 8.8以降の場合は,HDLM ブートディスク環境構築ユティリティdlmbootstart)を実行する前に,/etc/lvm/lvm.confファイルのmultipath_component_detection行が1でないことを確認してください。1が設定されている場合は0に変更してください。以下のように,multipath_component_detectionの行をコメントアウトし,下線部を追加します。

    変更前
    devices {
    :
    multipath_component_detection = 1
    :
    }
    変更後
    devices {
    :
    # multipath_component_detection = 1
    multipath_component_detection = 0
    :
    }

    Red Hat Enterprise Linux 7,Oracle Linux 7およびOracle Unbreakable Enterprise Kernel 7の場合は,HDLM ブートディスク環境構築ユティリティdlmbootstart)を実行する前に,/etc/lvm/lvm.confファイルのallow_changes_with_duplicate_pvs行が0でないことを確認してください。0が設定されている場合は1に変更してください。以下のように,allow_changes_with_duplicate_pvs の行をコメントアウトし,下線部を追加します。

    変更前
    devices {
    :
    allow_changes_with_duplicate_pvs = 0
    :
    }
    変更後
    devices {
    :
    # allow_changes_with_duplicate_pvs = 0
    allow_changes_with_duplicate_pvs = 1
    :
    }
    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmbootstart -set hdlm
    
    注意事項

    dlmbootstartティリティの実行中にホストマシンの電源をOFFにしないでください。また,dlmbootstartティリティを強制的に終了させたあとで,ホストマシンの電源をOFFにしないでください。

    ホストマシンの電源をOFFにすると,OS が起動できなくなることがあります。OSが起動できない場合,HDLM 障害情報収集ユティリティDLMgetras)で取得した情報を, HDLM の購入元会社,またはHDLM の保守契約があれば保守会社に連絡してください。

  5. ホストを停止します。

    次に示すコマンドを実行して,ホストを停止します。

    # shutdown -h now
  6. LU(システムディスク)へのパスを追加して,シングルパス構成からマルチパス構成に変更します。

  7. ホストを起動します。

  8. HDLMのブートディスク環境に設定できたことを確認します。

    /proc/mountsを参照して,ルート(/)にマウントされているデバイスを確認します。 次のコマンドを実行して,ルートの情報を出力してデバイスを確認してください。

    # /bin/cat /proc/mounts | /bin/grep -w / | /bin/grep -v rootfs

    出力されたデバイスを基に次の確認をします。

    • /dev/{HDLMデバイス}が出力された場合

      HDLMのブートディスク環境です。

    • その他のデバイスが出力された場合

    1. /usr/bin/readlink -f {出力されたファイル名} コマンドを実行します。

      ファイルがフルパスで出力されます。

    2. /bin/ls -l {出力されたファイル名} コマンドを実行します。

      通常ファイルではファイルサイズが表示される位置に(major, minor)が表示されます。

    3. 表示されたmajorを引数に次のコマンドを実行します。

      # /bin/cat /proc/devices | /bin/grep -w {major}
      • 出力内容にsddlmfdrvが含まれていればHDLMのブートディスク環境です。

      • 出力内容にdevice-mapperが含まれている場合

        /sbin/dmsetup ls --treeを実行して,b.で表示された(majorminor)を 持つデバイスに関連付けされたデバイスの(majorminor)を確認します。

        表示例

        # /sbin/dmsetup ls --tree
        system-usr (252:3)
          |- (251:2)
        system-var (252:4)
          |- (251:2)
        system-swap (252:1)
          |- (251:2)
        system-root (252:0)
          |- (251:2)
        system-tmp (252:2)
          |- (251:2)
        #
        

        上記の例では,b.で表示された(majorminor)が(252,0)の場合,関連付けられたデバイスは(251:2)=(251, 2)=(major, minor)になります。

        majorを引数に次のコマンドを実行します。

        /bin/cat /proc/devices | /bin/grep -w {major}

        出力内容にsddlmfdrvが含まれていればHDLMのブートディスク環境です。

        含まれていなければHDLMのブートディスク環境ではありません。

      • その他のデバイスが出力された場合

        HDLMのブートディスク環境ではありません。