Hitachi

Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Linux®用)


4.2 カーネルパッケージの更新またはOSのアップデートパッケージの適用

この節では,HDLMをインストールしたホストで,カーネルパッケージを更新する場合,またはOSのアップデートパッケージを適用する場合の手順について説明します。

カーネルパッケージとは,パッケージ名が「kernel-xxx.rpm」のパッケージを指します。OSのアップデートパッケージとは,パッケージ名が「initscripts-xxx.rpm」または「lvm2-xxx.rpm」のパッケージを指します。 なお,「xxx」の部分はバージョンです。

カーネルパッケージの更新またはOSのアップデートパッケージを適用する場合は,シングルユーザモードでも可能です。

HDLM用の初期RAMディスクイメージファイルを作成する場合は,バージョンアップ後のカーネルに対応したファイル名称で作成してください。また,ブートローダの設定ファイルを編集する場合は,カーネルの更新後に追加になったSCSIデバイスから起動するための設定をコピーして,HDLMを設定した状態で起動する定義に変更してください。

CPU脆弱性対応(retpoline方式)のカーネルを使用する場合の注意事項

Red Hat Enterprise Linux 8およびRed Hat Enterprise Linux 9の場合は,注意事項はありません。

Red Hat Enterprise Linux 6,またはRed Hat Enterprise Linux 7で,HDLMをインストールした状態でカーネルをバージョンアップする場合は,次の点に注意してください。

  • retpoline方式対応カーネルから,retpoline方式対応カーネルへのバージョンアップ

    CPU脆弱性対応に関連する制限事項はありません。

  • retpoline方式非対応カーネルから,retpoline方式非対応カーネルへのバージョンアップ

    CPU脆弱性対応に関連する制限事項はありません。

  • retpoline方式非対応カーネルから,retpoline方式対応カーネルへのバージョンアップ

    次の手順で実施してください。

    1. 動作中のHDLMのバージョンが8.6.2より前の場合は,HDLMをアップグレードインストールします。

    2. カーネルをバージョンアップし,バージョンアップ後のカーネルで起動します。

    3. HDLMを再インストールします。

  • retpoline方式対応カーネルから,retpoline方式非対応カーネルへのバージョンアップ

    サポートしません。

retpoline 方式対応カーネルについては,「付録D HDLMがサポートするCPU脆弱性(retpoline方式)に対応したカーネル」を参照してください。なお,詳細はOSの購入元会社にご確認ください。

Red Hat Enterprise Linux 6.5を例にバージョンアップのサポート範囲を次に示します。

表4‒1 HDLMをインストールした状態でバージョンアップ可能なretpoline対応カーネルの組合せの例

現在動作しているカーネル

バージョンアップ後のカーネル

Red Hat Enterprise Linux 6.5

retpoline方式対応

Red Hat Enterprise Linux 6.5

retpoline方式非対応

Red Hat Enterprise Linux 6.6

retpoline方式対応

Red Hat Enterprise Linux 6.6

retpoline方式非対応

Red Hat Enterprise Linux 6.5

retpoline方式非対応

○※

○※

Red Hat Enterprise Linux 6.5

retpoline方式対応

(凡例)

○:バージョンアップできる

-:対象外

注※

上記の「retpoline方式非対応カーネルから,retpoline方式対応カーネルへのバージョンアップ」の 手順が必要です。

OSおよびインストール環境ごとの手順の参照先を,次の表に示します。

表4‒2 カーネルパッケージの更新またはOSのアップデートパッケージの適用手順の参照先

ホストのOS

HDLMのインストール環境

手順の参照先

Oracle Linux 6

Oracle Linux 7

Oracle Unbreakable Enterprise Kernel

SUSE LINUX Enterprise Server

Red Hat Enterprise Linux 7※1

Red Hat Enterprise Linux 8※2

HDLMデバイスをブートディスクとして使用していないローカルブート環境

4.2.1 Oracle Unbreakable Enterprise Kernel,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Linux 8,またはSUSE LINUX Enterprise Serverの場合」の(1) HDLMデバイスをブートディスクとして使用していない場合

ブートディスク環境

HDLMデバイス

4.2.1 Oracle Unbreakable Enterprise Kernel,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Linux 8,またはSUSE LINUX Enterprise Serverの場合」の(2) HDLMデバイスをブートディスクとして使用している場合

HDLMデバイス上の論理ボリューム(LVM2)

4.2.1 Oracle Unbreakable Enterprise Kernel,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Linux 8,またはSUSE LINUX Enterprise Serverの場合」の(3) HDLMデバイス上の論理ボリューム(LVM2)をブートディスクとして使用している場合

Red Hat Enterprise Linux 6

Red Hat Enterprise Linux 7※3

Red Hat Enterprise Linux 8※4

Red Hat Enterprise Linux 9※5

HDLMデバイスをブートディスクとして使用していないローカルブート環境

4.2.2 Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8またはRed Hat Enterprise Linux 9の場合」の(1) HDLMデバイスをブートディスクとして使用していない場合

ブートディスク環境

HDLMデバイス

4.2.2 Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8またはRed Hat Enterprise Linux 9の場合」の(2) HDLMデバイス,またはHDLMデバイス上の論理ボリューム(LVM2)をブートディスクとして使用している場合

HDLMデバイス上の論理ボリューム(LVM2)

注※1

HDLMをインストールした状態でバージョンアップできないカーネルバージョンの組み合わせの場合です。

表4‒3 HDLMをインストールした状態でバージョンアップ可能なRed Hat Enterprise Linux 7のカーネルバージョンの組み合わせ」で「×」が対応します。

注※2

HDLMをインストールした状態でバージョンアップできないカーネルバージョンの組み合わせの場合です。

表4‒4 HDLMをインストールした状態でバージョンアップ可能なRed Hat Enterprise Linux 8のカーネルバージョンの組み合わせ」で「×」が対応します。

注※3

HDLMをインストールした状態でバージョンアップできるカーネルバージョンの組み合わせの場合です。

表4‒3 HDLMをインストールした状態でバージョンアップ可能なRed Hat Enterprise Linux 7のカーネルバージョンの組み合わせ」の「」が対応します。

注※4

HDLMをインストールした状態でバージョンアップできるカーネルバージョンの組み合わせの場合です。

表4‒4 HDLMをインストールした状態でバージョンアップ可能なRed Hat Enterprise Linux 8のカーネルバージョンの組み合わせ」で「」が対応します。

注※5

HDLMをインストールした状態でバージョンアップできるカーネルバージョンの組み合わせの場合です。

表4‒5 HDLMをインストールした状態でバージョンアップ可能なRed Hat Enterprise Linux 9のカーネルバージョンの組み合わせ」で「」が対応します。

表4‒3 HDLMをインストールした状態でバージョンアップ可能なRed Hat Enterprise Linux 7のカーネルバージョンの組み合わせ

現在動作しているカーネルのバージョン

バージョンアップ後のカーネルのバージョン

Red Hat Enterprise Linux 7.0

Red Hat Enterprise Linux 7.1

Red Hat Enterprise Linux 7.2

Red Hat Enterprise Linux 7.3以降

Red Hat Enterprise Linux 7.0

×

×

×

Red Hat Enterprise Linux 7.1

×

×

Red Hat Enterprise Linux 7.2以降

(凡例)

○:バージョンアップできる

×:バージョンアップできない(HDLMドライバに互換性がないため)

-:対象外

注※
  • カーネルのダウングレードはサポートしません。

  • インストール済みのHDLMが,バージョンアップ後のカーネルをサポートしている必要があります。

  • retpoline方式非対応カーネルから,retpoline方式対応カーネルにバージョンアップする場合は,HDLM 8.6.2-00以降を使用する必要があります。

表4‒4 HDLMをインストールした状態でバージョンアップ可能なRed Hat Enterprise Linux 8のカーネルバージョンの組み合わせ

現在動作しているカーネルのバージョン

バージョンアップ後のカーネルのバージョン

Red Hat Enterprise Linux 8.1~8.4

Red Hat Enterprise Linux 8.6以降

Red Hat Enterprise Linux 8.1~8.4

×

Red Hat Enterprise Linux 8.6以降

(凡例)

○:バージョンアップできる

×:バージョンアップできない(HDLMドライバに互換性がないため)

-:対象外

注※
  • カーネルのダウングレードはサポートしません。

  • インストール済みのHDLMが,バージョンアップ後のカーネルをサポートしている必要があります。

  • バージョンアップ後のカーネルがRed Hat Enterprise Linux 8.8以降になる場合は,/etc/lvm/lvm.confファイル内のmultipath_component_detectionの値を0に設定して無効にする必要があります。

表4‒5 HDLMをインストールした状態でバージョンアップ可能なRed Hat Enterprise Linux 9のカーネルバージョンの組み合わせ

現在動作しているカーネルのバージョン

バージョンアップ後のカーネルのバージョン

Red Hat Enterprise Linux 9.1

Red Hat Enterprise Linux 9.2以降

Red Hat Enterprise Linux 9.1

×

Red Hat Enterprise Linux 9.2以降

(凡例)

○:バージョンアップできる

×:バージョンアップできない(HDLMドライバに互換性がないため)

-:対象外

注※
  • カーネルのダウングレードはサポートしません。

  • インストール済みのHDLMが,バージョンアップ後のカーネルをサポートしている必要があります。

〈この節の構成〉