Tuning Manager ユーザーズガイド

[目次][索引][前へ][次へ]


9.6.3 アラームの評価に関する注意事項

この項の構成
(1) アラームの評価数の制限について
(2) アラーム評価の間隔について
(3) 監視時刻範囲と発生頻度を指定した場合のアラーム評価について
(4) アラーム条件の組み合わせによるアラーム評価の違いについて
(5) 発生頻度の設定によるアラーム評価の違いについて
(6) アラーム評価時の文字コード種別について
(7) エージェントが停止した場合のアラーム評価について

(1) アラームの評価数の制限について

エージェントで複数インスタンスレコードを収集する場合,1回の収集で扱えるインスタンス数は32,767個までです。エージェントにアラームをバインドしている場合,32,767個までのインスタンスが評価されます。32,768個目以降のインスタンスは評価されません。

(2) アラーム評価の間隔について

アラームの評価は一定間隔で実施されます。この間隔はエージェントごとのレコードの収集間隔となります。各レコードの収集間隔については,各PFM - Agentのマニュアルの,レコードについて説明している章(各レコードの説明)を参照してください。

レコードの収集間隔を変更したい場合は,次のように操作してください。

  1. Performance Reporterの[メイン]画面のタブフレームで[サービス階層]タブを選択する。
  2. アラームがバインドされているエージェントを選択する。
  3. メソッドフレームで[プロパティの表示]メソッドを選択する。
  4. [Detail Records]フォルダまたは[Interval Records]フォルダを展開する。
  5. [Collection Interval]プロパティの値を変更する。
  6. レコード(パフォーマンスデータ)の収集間隔が設定した値に変更されます。

(3) 監視時刻範囲と発生頻度を指定した場合のアラーム評価について

監視時刻範囲を指定している場合,監視終了時刻になると,アラーム評価時間外となったことを示す正常アラームが発行されます。しかし,アラーム発生頻度の集計対象には,前回の監視時刻範囲の情報が含まれます。監視時刻範囲を指定している場合のアラーム評価の事例を次に示します。

前提条件

参考
発生頻度の「3インターバル中2回超過」とは,「3回アラームを評価する間に2回しきい値を超えた場合」を示し,アラームを評価する間隔は,エージェントごとのレコード(パフォーマンスデータ)を収集する間隔となります。
アラーム評価については,「(2) アラーム評価の間隔について」の説明を,パフォーマンスデータの収集方法については,マニュアル「JP1/Performance Management設計・構築ガイド」の,Performance Managementの機能について説明している章を参照してく ださい。

監視時刻範囲内にしきい値の超過が2回発生している場合,アラームは異常または警告状態になります。この状態で監視時刻が終了すると,アラームはいったん正常状態に変化します。翌日の監視の開始時刻には,前日の終了時刻時点を含めた2インターバル分の監視エージェントの状態(この場合は異常または警告)が引き継がれます。このため,翌日の初回のインターバルでしきい値の超過が発生すると,3インターバル中に2回しきい値を超過する条件を満たすことになるため,異常または警告アラームが発行されます。

この場合,次の表に示すようにアラームが発行されます。

表9-10 監視時刻範囲を指定している場合のアラームの発行例

日付 時刻 監視エージェントの状態 発行アラーム 2日目9:00時点の判断対象
1日目
(前日)
20:58 監視時刻範囲内 正常 ×
20:59 異常
21:00 異常 異常アラーム※1
21:01 監視時刻範囲外 評価されない 正常アラーム※2 ×
21:02 評価されない ×
2日目 8:59 監視時刻範囲外 評価されない ×
9:00 監視時刻範囲内 異常 異常アラーム※3

(凡例)
-:アラーム発行なし
×:判断対象外
○:判断対象

注※1
「3インターバル中に2回しきい値を超過」の条件を満たしたため,異常アラームが発行されます。

注※2
監視終了時刻になったため,正常アラーム(Alarm expired)が発行されます。

注※3
前日の監視エージェントの状態を終了時刻時点を含めた2インターバル分引き継ぐため,「3インターバル中に2回しきい値を超過」の条件を満たすことになり,異常アラームが発行されます。

つまり,監視時刻範囲外の時間をまたがった場合でも,過去(m-1)回分+今回分(発生頻度n/mのとき)の監視エージェントの状態で,条件を満たしているかどうか判断されます。

(4) アラーム条件の組み合わせによるアラーム評価の違いについて

アラーム評価の方法は,アラーム条件とアラーム評価の対象となるレコードタイプによって異なります。アラーム条件の組み合わせによるアラーム評価の違いを次の表に示します。

表9-11 アラーム条件によるアラーム評価の違い

条件式 レコードタイプ [常に] [すべての] アラーム評価(通知)
[値の存在を監視するアラームとする]にチェックがない場合 単一行のレコード※1 × ×
  • 異常条件を満たしていて,かつ以前に通知されたアラームが異常以外の場合,異常アラームが通知される。
  • 異常条件ではなく警告条件を満たしていて,かつ以前に通知されたアラームが警告以外の場合,警告アラームが通知される。
  • 上記どちらの条件も満たさないで,かつ以前に通知されたアラームが異常,または警告の場合,正常アラームが通知される。
×
× 異常,または警告のどちらかの条件を満たしている場合,以前のアラーム通知の有無に関係なく,異常(または警告)である旨のアラームが通知される。
複数行のレコード※2 × ×
  • 異常条件を満たしているデータが1つ見つかり,かつ以前に通知されたアラームが異常以外の場合,そのデータについて異常アラームが通知される。
  • 異常条件を満たしているデータはないが警告条件を満たしているデータが1つ見つかり,かつ以前に通知されたアラームが警告以外の場合,そのデータについて警告アラームが通知される。
  • 収集されたすべてのデータが上記のどちらの条件も満たしていないで,かつ以前に通知されたアラームが異常または警告の場合,正常アラームが通知される。
注意:条件を満たしているデータが見つかった時点でアラーム評価が終了するため,収集されたすべてのデータが評価されるとは限らない。
×
  • 収集されたすべてのデータを評価した結果,異常条件を満たしているデータが1つ以上あり,かつ以前に通知されたアラームが異常以外の場合,それらの個々のデータについて異常アラームが通知される。
  • 収集されたすべてのデータを評価した結果,異常条件を満たしているデータはないが,警告条件を満たしているデータが1つ以上あり,かつ以前に通知されたアラームが警告以外の場合,それらの個々のデータについて警告アラームが通知される。
  • 収集されたすべてのデータが上記どちらの条件も満たしていないで,かつ以前に通知されたアラームが異常または警告の場合,正常アラームが通知される。
注意:すべてのデータが評価されるので,1インターバルで複数のアラーム通知がされることがある。
×
  • 異常条件を満たすデータが1つ見つかった時点で,以前のアラーム通知の有無に関係なく,そのデータを基に異常である旨のアラームが通知される。
  • 異常条件を満たしているデータはないが警告条件を満たしているデータが1つ見つかった時点で,以前のアラーム通知の有無に関係なく,そのデータを基に警告である旨のアラームが通知される。
注意:条件を満たしているデータが見つかった時点でアラーム評価が終了するため,収集されたすべてのデータが評価されるとは限らない。
異常,または警告のどちらかの条件を満たしているすべてのデータ一つ一つについて異常(または警告)である旨のアラームが通知される。
注意:すべてのデータが評価されるので,1インターバルで複数のアラーム通知がされることがある。
[値の存在を監視するアラームとする]にチェックがある場合 複数行のレコード※2 × × 収集されたすべてのデータを基に,条件式である[アラームウィザード - 存在を監視する値]で指定した値の有無を判断し,値がない(つまり,条件を満たしていない)場合,異常のアラームが通知される。
注意:アラーム通知は稼働していない旨を1回だけ通知する。
収集されるデータが一つもない場合,アラームの評価はされない。
×
× 収集されたすべてのデータを基に,条件式である[アラームウィザード - 存在を監視する値]で指定した値の有無を判断し,値がない(つまり,条件を満たしていない)場合,異常のアラームが通知される。
注意:アラーム通知は,毎回通知する。
収集されるデータが一つもない場合,アラームの評価はされない。

(凡例)
[常に]:[常にアラーム通知する]のチェックの状態
[すべての]:[すべてのデータを評価する]のチェックの状態
○:使用(チェックあり)
×:未使用(チェックなし)

注※1
単一行のレコードとは,単数インスタンスレコードのことです。

注※2
複数行のレコードとは,複数インスタンスレコードのことです。

アラーム評価方法を,アラーム通知の条件ごとに説明します。

存在を監視する値を設定した場合
存在を監視する値を設定した場合,指定されたPDレコードタイプおよびPIレコードタイプのレコードの,すべてのフィールドについて,指定した値があるかどうかが評価されます。値がない場合,1インターバルでは1回だけアラーム通知されます。

アラーム条件式を設定した場合
アラーム条件式を設定した場合,アラーム評価の対象となるレコードのタイプがPDレコードタイプおよびPIレコードタイプであれば,1インターバルで複数レコードが収集されます。デフォルトでは,アラームの評価は,条件式を満たしているデータが最初に見つかった時点でアラームを通知して終了します。そのため,すべてのパフォーマンスデータが評価されるとは限りません。PDレコードタイプおよびPIレコードタイプのパフォーマンスデータをアラーム評価の対象としたい場合は,[アラームウィザード - 基本情報]の[高度な設定]で[すべてのデータを評価する]をチェックします。

(5) 発生頻度の設定によるアラーム評価の違いについて

「アラーム条件の組み合わせによるアラーム評価の違い」の説明に加えて,「発生頻度」を設定した場合には,さらにアラームの評価が異なります。発生頻度を設定した場合の,アラームの条件によるアラームの評価の違いを次の表に示します。

表9-12 発生頻度を設定した場合のアラーム評価の違い

[発生頻度] [常に] [すべての] アラーム評価(通知)
× ×
  • アラームの状態が以前通知した状態から変化があった場合だけ,アラームが通知される。
  • アラーム通知時点で収集された最も重大度の高い条件を満たすデータを基に,アラームの状態が通知される。
注意:アラームの状態は発生頻度を評価した結果の状態のため,アラームの状態と通知されるデータのしきい値が異なることがある。
×
  • アラームの状態が以前通知した状態から変化があった場合だけ,アラームが通知される。
  • アラーム状態が警告または異常の場合,アラーム通知時点でアラーム状態の条件を満たすすべてのデータを基にアラームの状態が通知される。
注意:アラームの状態は発生頻度を評価した結果の状態のため,アラームの状態と通知されるデータのしきい値が異なることがある。
×
  • アラーム通知時点で収集された最も重大度の高い条件を満たすデータが通知される。
  • アラーム通知時点で警告または異常条件を満たすすべてのデータが通知される。

(凡例)
[常に]:[常にアラーム通知する]のチェックの状態
[すべての]:[すべてのデータを評価する]のチェックの状態
○:使用(チェックあり)
×:未使用(チェックなし)

また,発生頻度に設定した値によって,アラーム通知のタイミングが次の表のように変わります。

表9-13 アラーム通知のタイミング

発生頻度 アラーム通知のタイミング
nm mインターバル中n回しきい値を超えた場合にアラームが通知されます。以降m回アラームを評価する間にn回しきい値を超えるごとにアラームが通知されます。
nn しきい値を一度超えるとアラームが通知され,以降しきい値を超え続けている間,n回ごとにアラームを通知します。
しきい値を超えたときに連続してアラーム通知しない場合などに使用します。

注※ [常にアラーム通知する]がチェックされている場合は,収集開始から1回目の収集でしきい値を満たしている場合はインターバルに関係なくアラームが発行されます。

(6) アラーム評価時の文字コード種別について

アラームの定義に日本語を使用している場合,Tuning Manager serverとアラームテーブルをバインドするエージェントは日本語の文字コード種別で動作している必要があります。文字コード種別が英語の場合,次のような現象が発生します。

なお,Tuning Manager serverのサービスが使用する文字コード種別は次のように決定されます。

(7) エージェントが停止した場合のアラーム評価について

エージェントの状態が異常または警告の状態でサービスを停止すると,エージェントがバインドしているアラームテーブル内のアラームはすべて正常状態に変更されます。また,エージェントを再起動すると,前回起動時の状態を引き継がず,再度正常状態から評価を開始します。

[目次] [前へ] [次へ]


[マニュアル発行元]

All Rights Reserved. Copyright© 2014, 2020, Hitachi, Ltd.