Hitachi Command Suite ユーザーズガイド

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9.4.1 マイグレーションの実行

準備フェーズで作成した移行先ストレージシステムの仮想ストレージマシンのリソースに,移行元ストレージシステムのボリュームのデータを移行します。

一度に大量のボリュームをマイグレーションすると時間が掛かり,I/O負荷も高くなるため,使用している業務アプリケーションなどの単位に分けて実施します。この単位をマイグレーションジョブといいます。マイグレーションプロジェクト内にマイグレーションジョブを作成し,マイグレーションジョブごとにマイグレーション実行の操作を行います。画面には,次のように表示されます。

図9-9 ツリービューの[マイグレーションプロジェクト]の表示内容

[図]

マイグレーションジョブはホスト単位,論理グループ単位,またはボリューム単位で作成します。ホストが使用しているボリュームをもれなく移行するには,マイグレーションジョブをホスト単位に作成することをお勧めします。コピーペア構成を移行する場合は,構成定義ファイル単位でボリュームを定義したマイグレーションジョブを作成できます。コピーペア構成の移行は構成定義ファイル単位に行うため,マイグレーションジョブを構成定義ファイル単位で作成しておくことをお勧めします。

マイグレーションを実行するための操作は複数のステップに分かれており,ステップごとにタスクを実行します。画面のナビゲーションに従ってステップの操作を開始し,ジョブ内のすべてのボリュームに対してタスクが完了したら,次のステップに進みます。操作は,マイグレーションジョブ単位のほか,ジョブ内のホストやボリュームを個別に選択して行うこともできます。

マイグレーションの操作には,データ移行フローとコピーペア構成移行フローの2つがあります。コピーペア構成を移行しない場合は,データ移行フローだけを実施します。コピーペア構成を移行する場合は,両方のフローの操作を実施する必要があります。それぞれのフローについて次に説明します。

コピーペア構成を移行しない場合(データ移行フロー)

コピーペア構成を移行しない場合のデータ移行フローについて次に示します。

図9-10 コピーペア構成を移行しない場合の流れ(データ移行フロー)

[図]

  1. 移行元ボリュームの仮想化および割り当て
    移行元のストレージシステムとホスト間のLUNパス設定を移行先でも復元できるようにするため,移行元ボリュームを移行先ストレージシステムに仮想化し,仮想化したボリュームを移行元ボリュームと同じホストに割り当てます。必要なLDEV IDやホストグループ番号は,自動的に仮想ストレージマシンに追加されます。例を次の図に示します。

    図9-11 移行元ボリュームの仮想化および割り当ての例

    [図]

  2. ホストI/Oパス切り替え
    マイグレーションジョブ内のボリュームについて,次の設定をするようホスト管理者に依頼します。
    • 移行先ストレージシステムとホストとのI/Oをオンラインにする。
    • 移行元ストレージシステムとホストとのI/Oをオフラインにする。
    ホストI/Oの切り替えは,パス管理ソフトウェアやOS標準のツールを使用するか,ゾーニングの設定を変更して実施してください。ホスト管理者からI/O切り替えが完了した連絡を受けたら,このステップのタスクを実行します。例を次の図に示します。

    図9-12 ホストI/Oパス切り替えの例

    [図]

  3. 移行元ボリューム割り当て解除
    ホストと移行元ボリューム間のLUNパスを削除し,移行先ストレージシステムのボリュームのキャッシュモードを「スルー」から「同期書き込み」に変更します。例を次の図に示します。

    図9-13 移行元ボリューム割り当て解除の例

    [図]

  4. 移行先ボリュームへのマイグレーション
    移行元ボリュームを移行先ストレージシステムに仮想化したボリューム(移行先ボリューム)から,マイグレーション先のボリューム(マイグレーションターゲットボリューム)にデータを移行します。データ移行が完了すると,移行先ボリュームのLDEV ID とホストI/O はマイグレーションターゲットボリュームと入れ替わります。例を次の図に示します。

    図9-14 データマイグレーションの例

    [図]

  5. 移行元ボリューム仮想化解除
    マイグレーションが終わった移行元ボリュームの,移行先ストレージシステムの外部ボリュームへのマッピングを解除し,LUNパスを削除します。例を次の図に示します。

    図9-15 移行元ボリューム仮想化解除の例

    [図]

コピーペア構成を移行する場合(データ移行フローおよびコピーペア構成移行フロー)

コピーペア構成を移行する場合の,データ移行フローおよびコピーペア構成移行フローについて次に示します。

図9-16 コピーペア構成を移行する場合の流れ(データ移行フローおよびコピーペア構成移行フロー)

[図]

参考
コピーペア構成移行フローの操作をするには,準備フェーズで次の設定をしておく必要があります。
  • 移行先ストレージシステムにコマンドデバイスを作成し,ペア管理サーバに割り当てる
  • マイグレーションプロジェクト作成時に,コピーペア構成を移行するオプションを選択する

コピーペア構成移行のフローは,移行元ボリュームの割り当て解除が完了したあと,データの冗長化が必要となる任意のタイミングで開始します。ただし,移行元ボリュームの仮想化解除を開始するまでに完了している必要があります。その他のデータ移行フローの操作については,コピーペア構成を移行しない場合の操作と同様です。

  1. 移行先副ボリューム準備
    移行元ストレージシステムのコピーペア構成を再現するために,移行先ストレージシステムにShadowImageの副ボリューム用のボリュームを作成します。マイグレーションジョブに含まれる移行元ボリュームを正ボリュームとするすべての副ボリュームについて,対応するボリュームを移行先に一括で作成します。作成したボリュームには仮想IDが設定されます。副ボリューム用のボリュームは,新規に作成することも,既存のボリュームを使うこともできます。同時に,マイグレーションプロジェクトのマッピングに従って,ポートへのLUNパスを設定します。必要なLDEV IDやホストグループ番号は,自動的に仮想ストレージマシンに追加されます。次の図は,一括管理構成の場合の例です。

    図9-17 移行先副ボリューム準備の例

    [図]

    参考
    作成した移行先副ボリュームのバックアップサーバへの割り当ては,コピーペア作成後に実施します。ここではポートの割り当てだけを実施します。
  2. 副ボリューム割り当て
    バックアップサーバからのアクセス先を移行元副ボリュームから移行先副ボリュームへ切り替えるために,バックアップサーバのWWNを移行元ストレージシステムのホストグループから削除し,移行先ストレージシステムのホストグループへ追加します。バックアップサーバ上で動作しているバックアップスクリプトを停止したあと,画面に表示されるホストグループの情報に基づき,Storage Navigatorを使用してホストグループを編集します。次の図は,一括管理構成の場合の例です。

    図9-18 副ボリューム割り当ての例

    [図]

  3. 構成定義ファイル移行
    移行元のストレージシステムで使用している構成定義ファイルのうち,移行したいコピーペアが定義された構成定義ファイルを選択します。選択した構成定義ファイルは,移行先のストレージシステムで使用できるように自動的に書き換えられます。
    ペア管理サーバを冗長化した構成で運用している場合は,各ペア管理サーバにあるすべての構成定義ファイルに対してこの操作を実施します。
  4. ShadowImageペア作成
    移行した構成定義ファイルの情報を基に,Device Managerの画面からReplication Managerのコピーペア状態の変更ウィザードを起動して,移行先ストレージシステムにShadowImageのペアを作成します。ペアを作成後,必要に応じてバックアップスクリプトを再開し,バックアップの運用を開始します。次の図は,一括管理構成の場合の例です。

    図9-19 ShadowImageペア作成の例

    [図]

    重要
    このステップの操作で作成できるコピーペア構成には制限があります。コピーペア構成の制限については,「9.2.5 コピーペア構成を移行する場合の注意事項」を参照してください。

関連項目

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