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EUR 帳票出力 機能解説 EUR Server編


4.3.2 アイテムの出力規則

ここでは,Excel形式ファイルへ出力した場合のアイテムの出力規則について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 文字アイテムの出力規則

Excel形式ファイルへ出力した場合,文字アイテムの出力は次の規則に従います。

それぞれの規則について説明します。

(a) フィールドの種別とアイテムの種類の変換規則

Excel形式ファイルに出力する場合,EUR 帳票作成機能で定義したフィールドの種別およびアイテムの種類とExcelでの書式の表示形式が異なることがあります。

EUR 帳票作成機能で定義した内容とExcelでの書式の表示形式の対応を次の表に示します。

表4‒3 EUR 帳票作成機能で定義した内容とExcelでの書式の表示形式の対応

EUR 帳票作成機能で定義した内容

Excelでの書式の表示形式

文字アイテムのフィールドの種別

文字列

文字列

数値

数値

日付

文字列

和暦

文字列

バーコード

アイテムの種類

印刷日付・印刷時刻・ページ番号

文字列

(凡例)

−:出力しません。

なお,帳票設計時,文字アイテムの枠の大きさまたは改行コードによって,文字アイテムが複数行にわたる場合があります。この場合,Excel形式ファイルに出力すると文字アイテムは1行で出力されます。

[図データ]

文字列がExcelのセルからはみ出した場合,隣のセルにアイテムが配置されていないときは,すべての文字列が表示されます。ほかのアイテムが配置されているときは,はみ出した文字列は表示されません。

[図データ]

また,数値がExcelのセルからはみ出した場合は,枠内に「#」が表示されます。

[図データ]

Excelでの書式の表示形式は,Excelの[セルの書式設定]ダイアログの[表示形式]タブで確認できます。[セルの書式設定]ダイアログは,Excelのセルを右クリックして表示されるメニューから,[セルの書式設定]を選択して表示します。

(b) セルへの配置規則

EUR 帳票作成機能で定義した文字アイテムの四隅の座標は,それぞれいちばん近いセル区切りの座標に合わせて出力されます。文字アイテムの高さおよび幅は,アイテムの四隅が,どのセル区切りに合わせて出力されるかによって決まります。

(例1)

文字アイテムの左上,左下,右上,右下が,それぞれA1の左上,左下,右上,右下のセル区切りに合わせて出力されます。この文字アイテムは文字のフォントサイズおよびアイテム枠の大きさが小さく,Excelのセル一つ分に収まるため,文字アイテムはA1だけに配置されます。

[図データ]

なお,文字アイテムの四隅の座標値がちょうどセルの中心に位置する場合は,座標値の小さい方のセル区切り位置に合わせて出力されます。

(例2)

次の図は文字アイテムの左端がセルの中心に位置しています。この場合,文字アイテムの左上はA1の左上のセル区切りに,文字アイテムの左下はA1の左下のセル区切りに合わせて出力されます。文字アイテムの右上,右下はそれぞれB1の右上,右下のセル区切りに合わせて出力されます。この文字アイテムは文字のフォントサイズおよびアイテム枠の大きさが大きく,A1とB1の二つのセルにわたるため,セルが結合されます。その結果,文字アイテムはA1とB1の結合セルに配置されます。

セルの結合の詳細については,「(c) セルの結合規則」を参照してください。

[図データ]

(例3)

次の図は文字アイテムの上端がセルの中心に位置しています。この場合,文字アイテムの左上はA1の左上のセル区切りに,文字アイテムの右上はB1の右上のセル区切りに合わせて出力されます。文字アイテムの左下,右下はそれぞれA1の左下,B1の右下のセル区切りに合わせて出力されます。その結果,文字アイテムはA1とB1の結合セルに配置されます。

[図データ]

また,文字アイテムが小さく,四隅のうちどれかの角が同じ場所に出力される場合,文字アイテムは出力されません。

(例4)

文字アイテムの四隅の座標すべてがセルの左上のセル区切りに合わせて出力されるため,文字アイテムは出力されません。

[図データ]

(c) セルの結合規則

文字アイテムの四隅の位置をそれぞれいちばん近いセル区切りに合わせた場合,アイテムが複数のセルにわたるときは,セルが結合されます。

(例1)

文字アイテムの左上,左下,右上,右下がそれぞれA1の左上,A1の左下,B1の右上,B1の右下のセル区切りに合わせて出力されます。その結果,文字アイテムはA1とB1の二つのセルにわたるため,セルが結合されます。

[図データ]

(例2)

文字アイテムの左上,左下,右上,右下がそれぞれA1の左上,A2の左下,B1の右上,B2の右下のセル区切りに合わせて出力されます。その結果,文字アイテムはA1,A2,B1およびB2の四つのセルにわたるため,セルが結合されます。

[図データ]

(d) 重なっている文字アイテムの出力規則

EUR 帳票作成機能で帳票を設計したときに重なっている文字アイテムは,すべて出力されません。

(例)

次の図で文字アイテム「あい」と「かきくけ」は重なっているため,どちらも出力されません。

[図データ]

ほかのアイテムと重なっていないように見える文字アイテムが出力されない場合

帳票設計時にほかのアイテムと重なっていないように見える文字アイテムが,Excel形式ファイルに出力されないことがあります。これは,文字アイテムが空データ(値のないデータ)の配置された繰り返し領域と重なっているためです。空データはアイテム枠もなく,帳票に表示されません。

空データは繰り返しを設定したときに帳票に配置されます。

次に示す図のように,空データが配置された繰り返し領域に別の文字アイテムが重なって配置されることがあります。

「aaa」,「bbb」,および「ccc」は繰り返し設定されたマッピングデータアイテム,「xyz」は任意の文字アイテムを示します。

この場合,文字アイテム「xyz」はExcel形式ファイルに出力されません。

[図データ]

ただし,集計行のアイテムと空データの配置された繰り返し領域が重なっている場合,集計行のアイテムはExcel形式ファイルに出力されます。

空データは,繰り返し個数や下限/右限の指定の有無に関係なく配置されることがあります。空データが配置される場合を次に示します。

マッピングデータの個数が帳票ファイルの貼付域の限界に満たない場合

繰り返し個数を指定しない場合,マッピングデータが帳票ファイルの貼付域の限界に満たない個数でも,繰り返し領域は貼付域の限界まで設定されます。

このため,データがない領域には空データが配置されます。

また,データに欠損値(空白)が含まれていて,帳票には表示されなくても,繰り返し領域として設定されます。

マッピングデータの個数が繰り返し個数や繰り返しの下限/右限に満たない場合

繰り返し個数を指定した場合,マッピングデータの個数が指定した個数より少なくても,繰り返し領域は指定した個数分設定されます。

また,繰り返しの下限/右限を設定した場合は,マッピングデータが設定した繰り返しの下限/右限に満たない個数でも,繰り返し領域は設定された位置まで設定されます。

このため,データがない領域には空データが配置されます。

空データが配置された例を次に示します。

[図データ]

(2) 線アイテムの出力規則

Excel形式ファイルへ出力した場合,線アイテムの出力は次の規則に従います。

それぞれの規則について説明します。

(a) 線種および線の傾きの出力規則

Excel形式ファイルには,実線,点線,破線,一点鎖線,二点鎖線,点線(丸),点線(角)が出力できます。ただし,点線,点線(丸),および点線(角)はすべて同じ線種に変換されます。出力結果の詳細については,「付録B.1(3) 線」を参照してください。

水平線または垂直線だけがExcel形式ファイルに出力できます。斜線は出力できません。

(b) 線幅の変換規則

Excelのセル罫線は,線幅を数値で指定できません。

実線は,EUR 帳票作成機能で定義した線幅によって3種類の線幅を持つ実線のどれかに変換されます。

  • 0.1〜1.4ポイントの実線

    Excelのセル罫線の中でいちばん細い実線に変換されます。

  • 1.5〜2.4ポイントの実線

    Excelのセル罫線の中で2番目に細い実線に変換されます。

  • 2.5〜10.0ポイントの実線

    Excelのセル罫線の中でいちばん太い実線に変換されます。

実線以外の線種は,すべてExcelでサポートされる線種のセル罫線として出力されます。実線以外のExcelの線種はそれぞれ1種類の線幅しか持たないため,EURで線幅を指定してもすべて同じ線幅で出力されます。

出力結果の詳細については,「付録B.1(3) 線」を参照してください。

(c) セルへの配置規則

EUR 帳票作成機能で定義した線アイテムはExcel形式ファイルのセル罫線として出力されます。線アイテムの位置および長さは,アイテムの始点と終点がExcelのセル区切りのどこに出力されるかによって決まります。

線アイテムの始点と終点は,帳票ファイルでの座標値にいちばん近いセル区切りに合わせて出力されます。

その結果,線アイテムの長さが帳票設計時と異なる場合があります。線アイテムの長さは,始点が配置されたセル区切りから終点が配置されたセル区切りまでの長さになります。

(例1)

線アイテムの始点の座標はA1の左上のセル区切りに,終点の座標はA1の左下のセル区切りに合わせて出力されます。その結果,線アイテムはA1の左罫線として配置され,長さはExcelのセル一つ分になります。

[図データ]

(例2)

線アイテムの始点の座標はA1の左上のセル区切りに,終点の座標はB1の右上のセル区切りに合わせて出力されます。その結果,線アイテムはA1とB1の上罫線として配置され,長さはExcelのセル二つ分になります。

[図データ]

なお,線アイテムの始点または終点の座標値がちょうどセルの中心に位置する場合は,座標値の小さい方のセル区切りに合わせて出力されます。

(例3)

次の図は線アイテムの始点がセルの中心に位置しています。この場合,線アイテムの始点の座標はA1の左上のセル区切りに,終点の座標はA2の左下のセル区切りに合わせて出力されます。その結果,線アイテムはA1とA2の左罫線として配置され,長さはExcelのセル二つ分になります。

[図データ]

なお,線アイテムの始点と終点が同じ座標に配置される場合,線アイテムは出力されません。

(例4)

線アイテムの始点と終点の座標は,どちらも左上のセル区切りに合わせて出力されます。線アイテムの始点と終点の座標が重なってしまうため,この線アイテムは出力されません。

[図データ]

(d) 複数の線アイテムの同一セルへの配置規則

Excel形式ファイル出力時に,線アイテムの出力位置が補正された結果,複数の線アイテムが同じセルの同じ位置に配置されることがあります。しかし,セル罫線には1種類の情報しか設定できないため,同じセル罫線には,線アイテムを一つだけ出力します。

線アイテム同士が同じセル罫線に配置された場合,線の開始位置座標が最も左上にある(原点に近い)線アイテムが出力されます。開始位置座標が原点から同じ距離にある場合は,座標値が最も左にある線アイテムを出力します。

線アイテムの一部だけがほかの線アイテムと重なって配置される場合,線アイテムの重なっていない部分は優先順位と関係なく出力されます。

[図データ]

(e) 結合セルに重なる線アイテムの配置規則

文字アイテムの大きさによって,セルが結合される場合があります。線アイテムの出力位置を補正した結果,出力位置が結合セルの内部となった場合は,線アイテムの結合セルと重なる部分は出力されません。結合セルと重ならない部分は別々のセル罫線として出力されます。

結合セルと線アイテムが重なった場合の出力結果を次の図に示します。

図4‒6 結合セルと線アイテムが重なった場合の出力結果

[図データ]

(3) 図形アイテムの出力規則

Excel形式ファイルへ出力した場合,図形アイテムの出力は次の規則に従います。

それぞれの規則について説明します。

(a) 図形アイテムの種類別の出力規則

EUR 帳票作成機能で定義できる図形アイテムは,網掛けアイテム,角丸四角アイテム,円/楕円アイテム,および多角形アイテムの4種類です。

図形アイテムの種類別のExcel形式ファイルへの出力結果を次の表に示します。

表4‒4 図形アイテムの種類別のExcel形式ファイルへの出力結果

図形アイテムの種類

出力結果

網掛けアイテム

角丸四角アイテム

円/楕円アイテム

×

多角形アイテム

×

(凡例)

○:出力できます。

×:出力できません。

注※

角丸め情報は出力されません。網掛けアイテムと同様に出力されます。

角丸四角アイテムは網掛けアイテムと同じ出力規則に従います。

(b) 網掛けアイテムの出力規則

網掛けアイテムはExcel形式ファイルのセル区切りに合わせて出力されます。

網掛けアイテムの四隅の座標は,それぞれいちばん近いセル区切りの座標に合わせて出力されます。四隅の座標値がちょうどセルの中心に位置する場合は,座標値の小さい方のセル区切り位置に合わせて出力されます。

網掛けアイテムの領域が複数のセルにわたっても,セルは結合されません。

EUR 帳票作成機能で設定した網掛けのパターンは,Excelのセルの塗りつぶしパターンとして出力されます。EURでの網掛けパターンとExcelのセルの塗りつぶしパターンの対応については,「付録B.1(4)(a) 出力結果の詳細」を参照してください。

枠線については,線アイテムと同様にExcel形式ファイルのセル罫線として出力されます。線アイテムの出力方法については,「(2) 線アイテムの出力規則」を参照してください。

(c) 複数の網掛けアイテムの同一セルへの配置規則

Excel形式ファイル出力時に,網掛けアイテムの出力位置が補正された結果,同じセルに複数のアイテムが配置される場合があります。この場合,EURでの帳票設計時に最前面に表示されるアイテムの枠線および網掛けパターンが出力され,背面に表示されるアイテムの枠線および網掛けパターンは出力されません。

同じセルに配置された網掛けアイテムのうち,最前面に表示されるアイテム以外の枠線および網掛けパターンは,重なっていない部分だけが出力されます。

また,網掛けアイテムの網掛けパターンは,Excel形式ファイル出力時に1種類の塗りつぶしパターンに変換されます。また,帳票設計時に塗りつぶしを選択した場合は,Excel形式ファイル出力時に塗りつぶしの色が「色なし」になります。

EURでの網掛けパターンとExcelのセルの塗りつぶしパターンの対応については,「付録B.1(4)(a) 出力結果の詳細」を参照してください。

図4‒7 同じセルに二つの網掛けアイテムが配置された場合の例

[図データ]

最前面に表示される網掛けアイテムの網掛けのパターンが透明(塗りつぶしなし)の場合,帳票設計時,アイテムが重なる部分には背面に表示される網掛けアイテムの枠線や網掛けパターンが表示されます。しかし,Excel形式ファイルに出力すると,アイテムの重なっている部分には最前面に表示されるアイテムの枠線が出力され,背面に表示される網掛けアイテムの枠線や網掛けパターンは表示されません。

網掛けアイテムの網掛けのパターンが透明(塗りつぶしなし)の場合,Excelでの塗りつぶしパターンは「塗りつぶしなし」になります。

図4‒8 最前面に表示されるアイテムの網掛けのパターンが透明(塗りつぶしなし)の場合

[図データ]

(d) 結合セルの塗りつぶしパターンの出力規則

Excel形式ファイル出力時に,網掛けアイテムの出力位置が補正された結果,文字アイテムが出力された結合セルに,網掛けアイテムが出力される場合があります。この場合,結合セルの塗りつぶしパターンは,網掛けアイテムが出力されるセルの位置によって,次のように出力されます。

結合セル中の最も左上のセルと重なっている場合

結合されたセルの塗りつぶしパターンは,出力する網掛けアイテムの塗りつぶしパターンとなります。

[図データ]

結合セル中の最も左上のセルと重なっていない場合

結合されたセルの塗りつぶしパターンは変換されません。

[図データ]