1.1.2 エージェントを手動でインストールする
エージェントを手動でインストールするためには、まずエージェントのインストールセットを作成します。その後、インストールセットを利用してコンピュータにエージェントをインストールします。
インストールセットの作成方法については、「6.2 インストールセットを作成する手順」を参照してください。
インストールセットを利用したエージェントのインストール方法は複数あります。インストール方法は、インストールする際に重視するポイントによって異なります。各方法を確認して、ご使用の環境に合ったインストール方法を決定してください。
- 利用者にインストールの作業だけをさせる場合
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インストールセットを利用者が起動するように環境を準備しておくことで、利用者にセットアップの作業をさせることなく、エージェントをインストールします。利用者にインストールの作業だけをさせる方法を次に示します。
- 利用者にインストールの作業自体をさせたくない場合
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インストールセットをファイルサーバに格納します。その後、ドメインコントローラにログオンスクリプトを登録しておくことで、利用者がWindowsにログオンしたときに、自動的にエージェントがインストールされます。利用者にインストールの作業自体をさせない方法を次に示します。
- 利用者にコンピュータを配布する前にインストールしたい場合
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利用者にコンピュータを配布する前に、配布するコンピュータのモデルとなるコンピュータに、インストールセットを使ってエージェントをインストールします。次に、モデルとなるコンピュータのディスク全体を、専用のツールやソフトウェアを使用して配布前のコンピュータにディスクコピーします。利用者にコンピュータを配布する前にインストールする方法を次に示します。
これらのほかに、提供媒体を使用してエージェントを手動でインストールする方法もあります。この場合、セットアップの作業も必要です。
なお、Citrix XenApp、Microsoft RDSサーバにエージェントをインストールする場合は、インストールセットを使ってインストールする必要があります。
- 〈この項の構成〉
(1) インストールセットを作成する手順
組織内のコンピュータにエージェントをインストールして管理する場合、インストールセットを作成します。インストールセットはWebポータルに公開して利用者にダウンロードしてもらったり、CD/DVDに記録して配布したりします。利用者はインストールセットを自分のコンピュータで実行することで、簡単にエージェントをインストールできます。
インストールセットを作成する手順を次に示します。
インストールセットを作成するには:
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画面上部の[実行]メニュー−[機器の管理を始めましょう]を選択します。
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表示されたウィザードで[次へ]ボタンをクリックします。
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コンピュータに適用したいインストールセットを作成するために、ウィザードに沿って設定します。
次に示す項目を設定します。項目を設定するごとに[次へ]ボタンをクリックしてください。
- エージェント設定を選択する
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[エージェント設定名]からコンピュータに適用したいエージェント設定を選択します。
エージェント設定とは、各エージェントの動作を設定したものです。エージェント設定は、設定画面の[エージェント]−[Windows エージェント設定とインストールセットの作成]画面で追加できます。
エージェント設定を選択すると、エージェントのインストール先を変更できます。
インストール先を変更したい場合は、[インストールフォルダ]にエージェントのインストール先を入力してください。
また、共有型VDI方式の仮想コンピュータへエージェントをインストールする場合は、[ホスト識別子生成時の設定]を設定してください。
- アカウントの設定
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エージェントをインストールするために、Administrator権限を持つアカウント情報を設定するかどうかを選択できます。この設定は、OSがWindows XP、およびWindows Server 2003のコンピュータにエージェントをインストールする場合に限り有効になります。
エージェントをインストールするためには、対象コンピュータのAdministrator権限が必要です。
ここで、Administrator権限を持つアカウントを設定すると、Administrator権限を持たない利用者がエージェントをインストールするとき、設定したアカウントでインストールが実行されます。Administrator権限は、エージェントをインストールするときだけ使用されるため、権限を制限したい利用者のコンピュータにエージェントをインストールする場合に便利です。
- インストールするコンポーネントの設定
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インストールするコンポーネントの種別(エージェントとしてインストールするか、中継システムとしてインストールするかの選択)とサブコンポーネントのリモコンエージェントをインストールするかどうかを指定します。
- 登録先のIDの設定
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エージェントを登録するID(配布管理システムからのジョブを受け取るためのグループ)を指定します。
- 展開するファイルの設定
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エージェントのインストールと同時に展開するファイルと展開先のフォルダを指定します。
- 自動実行するファイルの設定
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エージェントのインストール後に自動実行するファイル、自動実行に必要なファイル、および引数を指定します。
- ヒント
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秘文などの連携製品を自動実行でエージェントにインストールする場合は、前準備として、管理者のコンピュータのC:\DATA下などに秘文(秘文DCまたは秘文DE)などの連携製品のインストール媒体を作成して、フォルダごとまたはフォルダ配下の全ファイルをZIP化しておきます。そのZIPファイルを自動実行するファイルとして設定することで、エージェントのインストール後に自動実行で秘文などの連携製品をエージェントにインストールできます。秘文のインストール媒体の作成方法の詳細については、マニュアル「JP1/秘文 セットアップガイド(管理者用)」を参照してください。
- 上書きインストールの設定
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エージェントがすでにインストールされている場合、上書きインストールするかどうかを設定します。
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設定内容を確認して、[作成]ボタンをクリックします。
[インストールセットの作成]ダイアログが表示されます。
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[インストールセットの作成]ダイアログで[保存]ボタンをクリックします。
保存するインストールセットのデフォルトのファイル名は「ITDM2Agt.exe」です。
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[完了]画面が表示されたら、[閉じる]ボタンをクリックしてウィザードを終了します。
インストールセットが作成され、ダウンロードが開始されます。
- ヒント
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設定画面の[エージェント]−[Windows エージェント設定とインストールセットの作成]画面でも、インストールセットを作成できます。コンピュータに適用したいエージェント設定の[インストールセットを作成]ボタンをクリックしてください。表示されるダイアログで情報を入力して[作成]ボタンをクリックすると、インストールセットが作成され、ダウンロードが開始されます。
- ヒント
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接続先設定ファイル(itdmhost.conf)または上位接続先情報ファイル(dmhost.txt)を作成して、JP1/IT Desktop Management 2 - Managerのデータフォルダに格納しておくと、インストールセットの作成時にインストールセットに取り込まれます。接続先設定ファイル(itdmhost.conf)については、マニュアル「JP1/IT Desktop Management 2 構築ガイド」のエージェントの接続先を自動設定する手順の説明を参照してください。上位接続先情報ファイルの詳細については、マニュアル「JP1/IT Desktop Management 2 配布機能 運用ガイド」の、エージェントの接続先の自動変更についての説明を参照してください。
- 重要
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OSがUNIX、Macのコンピュータにはインストールセットを使ってエージェントをインストールできません。
関連リンク
(2) エージェントをコンピュータに導入する方法
インストールセットを作成したら、インストールセットを利用してエージェントをコンピュータに導入します。
インストールセットを利用してエージェントを導入できるのは、インストールセットを作成した管理用サーバの直下のコンピュータだけです。
インストールセットの利用例を次に示します。
- Webサーバでエージェントを公開する
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Webサーバにインストールセットを格納して、組織内のサイトからダウンロードできるようにします。コンピュータの利用者は、組織内のサイトからインストールセットをダウンロードしてエージェントをインストールします。
- ファイルサーバでエージェントを公開する
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ファイルサーバにインストールセットを格納して、ファイルサーバにアクセスしてダウンロードできるようにします。コンピュータの利用者は、ファイルサーバからインストールセットをダウンロードしてエージェントをインストールします。
- エージェントインストール用の媒体を配布する
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インストールセットを格納した媒体(CD-RやUSBメモリ)を作成して、この媒体をコンピュータの利用者に配布します。コンピュータの利用者は、受け取った媒体からエージェントをインストールします。
- メールの添付ファイルでエージェントを配布する
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インストールセットをメールに添付して、コンピュータの利用者に送信します。メールを受け取ったコンピュータの利用者は、添付されたファイルを実行してエージェントをインストールします。
- ログオンスクリプトを利用してエージェントをインストールする
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インストールセットを作成して、ドメインコントローラにインストールセットを実行するログオンスクリプト用のバッチファイルを格納します。コンピュータの利用者がOSにログオンしたときに、自動的にエージェントがインストールされます。
- ディスクコピーでエージェントをインストールする
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モデルとなるコンピュータにエージェントをインストールします。このコンピュータのディスク全体をバックアップします。エージェントを導入するコンピュータにバックアップデータをリストアすることでエージェントがインストールされます。
関連リンク
(3) Webサーバでエージェントを公開する
管理者は、作成したインストールセットを組織内のWebサーバに格納したあと、組織内のサイトからダウンロードできるようにして、利用者に公開します。
利用者はそのページにアクセスしてエージェントをインストールします。
- ヒント
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Webサーバに格納したファイルを直接ダウンロードできるURLを公開する方法もあります。
- メリット
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利用者にサイトのURLを一斉展開することで、多くのコンピュータに素早くエージェントをインストールできます。また、Webシステムを利用するので、アクセス制御しなくてもサーバ側にセキュリティ上の問題が発生しません。
- デメリット
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組織内にWebサーバを構築できる環境、およびWebサーバにアクセスできる環境が必要です。
Webサーバからエージェントをインストールするイメージを、次の図に示します。
関連リンク
(4) ファイルサーバでエージェントを公開する
管理者は、ファイル共有できるファイルサーバにインストールセットを格納します。利用者は、ファイルサーバにアクセスしてエージェントをインストールします。
- メリット
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利用者にインストールセットの格納先を一斉展開することで、多くのコンピュータに素早くエージェントをインストールできます。
- デメリット
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ファイル共有できる環境が必要です。また、ファイル共有の参照先を公開するため、公開の範囲や権限などサーバ側で確実にアクセス制御をしておく必要があります。
ファイル共有でエージェントをインストールするイメージを、次の図に示します。
- ヒント
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ネットワークドライブ上にあるオフラインインストール用媒体を実行する場合、管理者権限が必要です。
関連リンク
(5) エージェントインストール用の媒体(CD-RやUSBメモリ)を配布する
管理者は、インストールセットのデータを媒体(CD-RやUSBメモリ)に書き込みます。そして、その媒体を利用者に配布します。利用者は、配布された媒体を使用してエージェントをインストールします。
- メリット
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Webページにセキュリティ管理用のページを作成したり、共有フォルダの環境を作成したりする必要がありません。この方法は、エージェントをインストールするコンピュータの台数が少ない場合に有効です。また、ネットワークの通信速度が遅い場合に、ネットワークに負荷をかけないでエージェントをインストールできます。利用者のコンピュータを構築するユーザー専用に、エージェントのプログラムを保持できることにもなります。
- デメリット
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必要な枚数分だけデータを媒体に書き込んで利用者に配布する必要があるため、展開に時間が掛かります。
CD-Rの場合を例に、媒体を配布してエージェントをインストールするイメージを、次の図に示します。
- ヒント
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Autorun.infを作成してインストールセットと一緒にCD-Rに格納しておくと、媒体をコンピュータに接続した際に、自動でインストールが開始されます。インストールセットのファイル名が「ITDM2Agt.exe」の場合のAutorun.infの作成例は次のとおりです。
[Autorun]
open=ITDM2Agt.exe
関連リンク
(6) メールの添付ファイルでエージェントを配布する
管理者は、インストールセットをメールに添付して利用者に送信します。利用者は、添付ファイルをダブルクリックしてエージェントをインストールします。
- メリット
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利用者にメールを一斉送信することで、多くのコンピュータに素早くエージェントをインストールできます。
- デメリット
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インストールセットの容量は、最小約80メガバイトで、設定に応じて増減します。そのため、インストールセットを添付して一斉に多数の宛先にメールを送信すると、メールサーバに負担が掛かったり、添付ファイルの容量に制限があるとメールを送信できなかったりします。
メールの添付ファイルでエージェントをインストールするイメージを、次の図に示します。
関連リンク
(7) ログオンスクリプトを利用してエージェントをインストールする
管理者は、インストールセットをファイルサーバに格納します。そのあと、インストールセットを実行するログオンスクリプト用のバッチファイルを作成し、Active Directoryサーバに格納しておきます。利用者がWindowsにログオンしたときに、自動的にエージェントがインストールされます。なお、すでにエージェントがインストールされている場合はインストールされません。
ログオンスクリプト用のバッチファイルの作成例を次に示します。
if %PROCESSOR_ARCHITECTURE%==AMD64 ( if not exist "%ProgramFiles(x86)%¥Hitachi¥jp1itdma¥bin¥jdnglogon.exe" ( start /w ¥¥サーバ名¥共有フォルダ名¥ITDM2Agt.exe ) ) else ( if not exist "%ProgramFiles%¥Hitachi¥jp1itdma¥bin¥jdnglogon.exe" ( start /w ¥¥サーバ名¥共有フォルダ名¥ITDM2Agt.exe ) ) |
- メリット
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ログオンスクリプトを利用することで、利用者に作業してもらうことなくエージェントを自動的にインストールできます。そのため、利用者の操作ミスによるトラブルを避けられます。
- デメリット
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ファイルサーバおよびファイルサーバにアクセスできる環境が必要です。また、利用者のコンピュータはドメインで管理されていて、ログオンスクリプトを実行できる環境が必要です。
ログオンスクリプトを利用してエージェントを自動インストールするイメージを、次の図に示します。
関連リンク
(8) ディスクコピーでエージェントをインストールする
利用者にコンピュータを配布する前に、配布するコンピュータのモデルとなるコンピュータに、インストールセットを使ってエージェントをインストールします。また、インストールが完了したら、モデルとなるコンピュータでresetnid.vbsコマンドを実行し、機器を識別するためのID(ホスト識別子)をリセットしておきます。次に、モデルとなるコンピュータのディスク全体を、専用のツールやソフトウェアを使用して配布前のコンピュータにディスクコピーします。そのあと、利用者にコンピュータを配布します。
- 重要
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ディスクコピーを開始する前に、必ずモデルとなるコンピュータ(ディスクコピー元のコンピュータ)でresetnid.vbsコマンドを実行してください。このコマンドを実行しない場合、ディスクコピー先のコンピュータが、ディスクコピー元のコンピュータと同一の機器として識別されてしまいます。
VMWareなどの仮想環境を複製して使用する場合も、resetnid.vbsコマンドを実行してください。
- メリット
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配布する時点でエージェントのインストールおよびセットアップがすでに完了しているため、利用者がエージェントをインストールする必要がありません。そのため、利用者の操作ミスによるトラブルを避けられます。
- デメリット
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配布前のコンピュータだけが対象です。すでに配布されているコンピュータには、この方法でエージェントをインストールできません。
ディスクコピーでエージェントをインストールするイメージを、次の図に示します。
関連リンク