2.2.5 ネットワークの検出
NNMiは,ネットワーク上のデバイスの情報を収集し,個々のデバイスの詳細とネットワーク構成(トポロジ)を把握します。
- 〈この項の構成〉
(1) ネットワークの検出とは
NNMiは,各デバイスの持つARPキャッシュ情報やLLDPなどのプロトコルで認識した隣接デバイスの情報を,SNMPによって収集することでネットワーク全体を検出できます。
ここでは,ARPキャッシュによる検出を例に説明します。
- メモ
NNMiでは,Pingスイープによる検出もできます。Pingスイープとは,指定されたIPアドレスの範囲を,ICMP(Ping)を使って監視し,応答のあったデバイスを検出する方法です。指定したネットワークの範囲のデバイスを素早く検出できますが,ネットワークに負荷が掛かります。運用に応じてPingスイープを使ってください。Pingスイープを使うときは,対象範囲を絞ることをお勧めします。
(2) レイヤー2トポロジとレイヤー3トポロジ
NNMiは,ネットワークのトポロジ(ネットワークの構成)を,レイヤー3トポロジだけでなく,レイヤー2トポロジでも認識して表示できます。レイヤー2トポロジ(物理的な結線)を認識すると,ネットワークでの問題の原因をより詳しく分析できます。
- レイヤー2トポロジ
物理的な結線でネットワーク構成を表示します。
末端のスイッチと端末間の結線を確認するときは,レイヤー2トポロジで確認します。レイヤー3トポロジと併用することで,障害発生時の状況の確認や影響範囲が直感的に把握できます。
- レイヤー3トポロジ
IPアドレスで論理的なネットワーク構成を表示します。
基幹ネットワークの論理構成を確認するときは,レイヤー3トポロジで確認します。
- ヒント
レイヤー2,レイヤー3という名前は,OSI7層モデルに由来しています。
レイヤー2(データリンク層):MACアドレスによって物理リンク間のデータ転送などを制御します。
レイヤー3(ネットワーク層):IPアドレスによってネットワークのルート選択などを制御します。
IPネットワークの通信やNNMiの設定作業では,宛先をIPアドレスで指定し,通常は物理的な結線を意識する必要はありません。NNMiは,隣接デバイスに関するMIB情報を収集・解析することで物理的な結線であるレイヤー2トポロジを認識します。
例えば,NNMiが接続するスイッチ(S1)に障害が発生し,その先のネットワークと通信ができなくなった場合のレイヤー2トポロジでの表示を次に示します。
(3) ネットワークの検出方法を設定する
監視するネットワーク上にあるネットワーク機器を検出します。ネットワークの検出は,監視エージェントの構築が完了してから,行ってください。
前提条件
ネットワークの検出には,自動で検出する方法と明示的に指定する方法があり,これらの方法を組み合わせて設定することもできます。自動で検出する方法と明示的に指定する方法の説明と運用例を次に示します。
検出方法 |
説明 |
運用例 |
---|---|---|
自動で検出する |
自動検出ルールを指定することで,NNMiがデバイスを自動的に検出します。 |
|
明示的に指定する |
検出シードとして,特定のデバイスを明示的に指定します。 |
|
ここでは,明示的にネットワークを検出する方法について説明します。
操作手順
[設定]ワークスペース−[検出]−[シード]をクリックし,(新規作成)をクリックします。
「ホスト名/IP」に検出シードのIPアドレスを入力し,(保存して閉じる)をクリックします。
指定した検出シードに対して,すぐに検出が開始されます。
検出シードに設定するデバイスには,隣接するデバイスの情報を多く持つ,SNMP対応のルーターを指定してください。
(リフレッシュ)をクリックします。
指定した検出シードが作成されたことを確認します。
- メモ
次のnnmloadseeds.ovplコマンドを使って,検出シードを一括して登録することもできます。
- 直接シードを指定する場合
(例)nnmloadseeds.ovpl -n 192.168.8.82 192.168.100.24
- シードの一覧ファイルを指定する場合
(例)nnmloadseeds.ovpl -f c:\jp1\seeds.txt
- シードファイルの記入例
192.168.8.82 # node1
192.168.100.24 # node2
nnmloadseeds.ovplコマンドについては,[ヘルプ]メニュー−[NNMiドキュメントライブラリ]−[リファレンスページ]−[nnmloadseeds.ovpl]のトピックを参照してください。
- ヒント
自動で検出したい場合は,[設定]ワークスペース−[検出の設定]−[自動検出ルール]で設定します。[IPの範囲]を指定するときに,検出しないIPアドレスを指定して範囲のタイプを[ルールにより無視された]にすると,そのIPアドレスが検出対象外となります。
[検出の設定]−[除外対象IPアドレス]は,検出したノードから特定のIP アドレスだけを除外する場合に使います。監視しないノードの指定に使うとノードが残ったままIPアドレスが消える場合があるため,用途により使い分けてください。
自動検出の詳細については,マニュアル「NNMi セットアップガイド」の「自動検出ルールを設定する」のトピックを参照してください。
(4) 検出されたネットワークとデバイスを確認する
トポロジマップで,検出したネットワークを参照しましょう。検出の設定をした直後は,ノードを検出していく過程を参照できます。
操作手順
[トポロジマップ]ワークスペース−[ネットワークの概要]をクリックします。
[ネットワークの概要]ビューで,ネットワークの状態を確認します。
[インベントリ]ワークスペース−[ノード]をクリックします。
検出対象として設定したデバイスが,正しく検出,登録されているかを確認します。設定したデバイスが表示されていれば,ネットワーク検出は問題なく実施できています。
[デバイスの種類]や[デバイスのプロファイル]などを確認して,どんなデバイスが検出されているか確認しましょう。
- ヒント
監視対象にクラスタシステムのノードが存在する場合は,論理IPアドレスを監視しないように「除外対象IPアドレス」として設定してください。この設定をしないと,論理IPアドレスが移動したときに,ノードが削除されたり,別ノードの状態が反映されたりするなどの現象が発生します。詳細は,リリースノートを参照してください。
- メモ
監視が不要なノードが検出された場合,そのノードを監視対象から削除する方法と監視対象外にする方法があります。
- 監視対象から削除する方法
[トポロジマップ]ワークスペース−[ネットワークの概要]で,削除するノードのアイコンを選択して削除できます。ただし,検出シードとして指定されたノードは,ノードを削除しても[シード]ビューに表示される一覧からは削除されません。検出シードを削除してください。
- 監視対象外にする方法
[インベントリ]ワークスペース−[ノード]で対象ノードを選択し,[アクション]−[管理モード]−[非管理対象]を選択します。マップ上からはノードを消したくない場合や一時的に監視対象外にしたい場合などに使用します。
(5) 検出が完了した検出シードを削除する
ネットワークの検出が完了したら,検出シードを削除します。
操作手順
[設定]ワークスペース−[検出]−[シード]をクリックします。
すべての検出シードを選択してから,(削除)をクリックします。
複数の行を選択するには,[Ctrl]キーを押しながら行をクリックします。
検出シードが削除されたことを確認します。
次の作業
これで,ネットワークを検出できました。次は,ノードグループを設定しましょう。