7.2.2 自動アクション定義ファイルをもとにした対処アクションの自動実行の定義の作成
自動アクション定義ファイルからの移行は,ユーザー自身で自動アクション定義を基に対処アクションの自動実行の定義を作成し,反映してください。
なお,次の前提条件に当てはまる場合は,自動アクションの設定値を置き換えるだけで対処アクションの自動実行の定義を作成できます。ただし,自動アクション結果は移行できません。自動アクション結果を参照する場合は,JP1/IM - Viewまたはjcashowaコマンドで確認してください。
-
自動アクション定義にAND条件を使用していない
移行する場合は,AND条件に指定している条件を相関イベントとして発行し,発行されたイベントを対処アクションの自動実行の実行条件に指定します。
-
自動アクション定義に抑止時間を設定していない
移行する場合は,[繰り返しイベント条件設定]画面に自動アクション定義に設定しているイベント条件を設定し,抑止項目で自動アクションを実行対象外にします。
対処アクションの自動実行の定義には抑止時間以外の定義を設定します。
-
自動アクション定義に遅延監視時間を設定していない
移行する場合は,対処アクションの自動実行の定義に遅延監視時間以外の定義を設定します。
-
自動アクション定義の実行先ホストに,ホストグループ名,業務グループ名,監視グループ名を指定していない
移行する場合は,ホストグループ名,業務グループ名,監視グループ名を実際の実行先ホスト名に置き換え,実行先ホスト分の対処アクションの自動実行の設定を作成します。
自動アクション定義ファイルからの移行方法について説明します。
(1) パラメーターの置き換え
次に示す表に従って,設定値に対応するパラメーターに変更します。自動アクション定義と同等の対処アクションの自動実行の定義を作成できます。
項番 |
自動アクション定義の設定項目 |
対応する対処アクションの自動実行の定義の設定項目 |
備考 |
---|---|---|---|
1 |
sta {true|false} |
state_watch |
|
2 |
act アクション名 |
label |
|
3 |
[prm パラメーターグループ] |
actionGroup |
|
4 |
[cmt コメント] |
description |
|
5 |
aid アクションID |
actionId |
|
6 |
[valid true|false] |
valid |
|
7 |
eid イベントID |
− |
イベント条件として指定するため,設定不要です。 |
8 |
cnd イベント条件end-cnd |
conditions |
イベント条件の詳細については,「表7-3 イベント条件の詳細」を参照してください。 |
9 |
[usr ユーザー名] |
− |
実行先ホストに合わせて実行ユーザーが決定するため,設定不要です。 |
10 |
[hst {実行ホスト名|グループ名|業務グループ名|監視グループ名}] |
host |
|
11 |
[{cmd アクション|rul}] |
type |
rulは指定できません。 |
12 |
[var 環境変数ファイル名] |
envFile |
|
13 |
[det 抑止時間] |
− |
設定不可の項目です。 |
14 |
[ret 遅延監視時間] |
− |
設定不可の項目です。 |
項番 |
自動アクション定義の設定項目 |
対応する対処アクションの自動実行の定義の設定項目 |
備考 |
---|---|---|---|
1 |
属性名 |
key:"属性名" |
形式は,自動アクション定義と同じです。 |
2 |
比較キーワード |
ope:"比較キーワード" |
|
3 |
オペランド※ |
val:["オペランド"] |
対処アクションの自動実行の定義でオペランドを複数指定する場合は,配列として定義します。 |
項番 |
指定したい値 (ASCIIコード) |
自動アクション定義の記載方法 |
対処アクションの自動実行の定義の記載方法 |
備考 |
---|---|---|---|---|
1 |
タブ(0x09) |
%09 |
\t |
|
2 |
半角スペース(0x20) |
%20 |
" " |
対処アクションの自動実行の定義では半角スペースはそのまま指定します。 |
3 |
%(0x25) |
%25 |
% |
対処アクションの自動実行の定義では%はそのまま指定します。 |
4 |
改行コードLF(0x0a) |
%0a |
\r |
|
5 |
改行コードCR(0x0d) |
%0d |
\n |
|
6 |
\(0x5c) |
\ |
\\ |
(2) 自動アクションのイベント引き継ぎ情報の置き換え
自動アクションの定義でイベント引き継ぎ情報を使用している場合は,置き換えが必要です。
- 自動アクション定義の指定形式
${変数名$エンコーディング種類}
- 対処アクションの自動実行の定義の指定形式
${"種別":"イベント引き継ぎ情報":"エンコード種別"}
また,イベント引き継ぎ情報でイベントの拡張属性名をダブルクォーテーション(")で囲んでいる場合,EV"属性名"はEV#属性名の形式に置き換えられます。
項番 |
種別 |
イベント引き継ぎ情報 |
自動アクション定義の変数名 |
対処アクションの自動実行の定義の変数名 |
---|---|---|---|---|
1 |
基本属性に対応する変数 |
イベントID(基本コード:拡張コード) イベントIDを「基本コード:拡張コード」形式に変換した文字列です。 基本コードはイベントID(B.ID),拡張コードはイベントID(B.IDEXT)の値です。 基本コードおよび拡張コードは,8桁の16進数(A〜Fは大文字)で,各IDの前の0は省略されます。 例えば,拡張コードが00000000の場合,「基本コード:0」となります。 |
EVID |
EVID |
2 |
イベントID(基本コード) イベントIDを「基本コード」形式に変換した文字列です。 8桁の16進数(A〜Fは大文字)で,IDの前の0は省略されます。 |
EVIDBASE |
EVIDBASE |
|
3 |
イベント登録日(yyyy/mm/dd) 登録時刻(B.TIME)を「yyyy/mm/dd」形式に変換した文字列です。 |
EVDATE |
EVDATE |
|
4 |
イベント登録時刻(hh:mm:ss) 登録時刻(B.TIME)を「hh:mm:ss」形式に変換した文字列です。 |
EVTIME |
EVTIME |
|
5 |
イベント発行元プロセスID 発行元プロセスID(B.PROCESSID)の値です。 |
EVPID |
EVPID |
|
6 |
イベント発行元プロセスのユーザーID 発行元ユーザーID(B.USERID)の値です。 |
EVUSRID |
EVUSRID |
|
7 |
イベント発行元プロセスのグループID 発行元グループID(B.GROUPID)の値です。 |
EVGRPID |
EVGRPID |
|
8 |
イベント発行元ユーザー名 発行元ユーザー名(B.USERNAME)の値です。 |
EVUSR |
EVUSR |
|
9 |
イベント発行元グループ名 発行元グループ名(B.GROUPNAME)の値です。 |
EVGRP |
EVGRP |
|
10 |
イベント発行元ホスト名 発行元イベントサーバ名(B.SOURCESERVER)の値です。 |
EVHOST |
EVHOST |
|
11 |
イベント発行元IPアドレス 発行元IPアドレスをIPv4アドレス形式またはIPv6アドレス形式にした文字列※です。 |
EVIPADDR |
EVIPADDR |
|
12 |
イベントDB内通し番号 イベントDB内通し番号(B.SEQNO)の値です。 |
EVSEQNO |
EVSEQNO |
|
13 |
イベント到着日(yyyy/mm/dd) 到着時刻(B.ARRIVEDTIME)を「yyyy/mm/dd」形式に変換した文字列です。 |
EVARVDATE |
EVARVDATE |
|
14 |
イベント到着時刻 到着時刻(B.ARRIVEDTIME)を「hh:mm:ss」形式にした文字列です。 |
EVARVTIME |
EVARVTIME |
|
15 |
発生元のイベントDB内通し番号 発生元のイベントDB内通し番号(B.SOURCESEQNO)の値です。 |
EVSRCNO |
EVSRCNO |
|
16 |
メッセージ メッセージ(B.MESSAGE)の値です。 |
EVMSG |
EVMSG |
|
17 |
拡張属性に対応する変数 (共通情報) |
イベント拡張情報重大度(Emergency,Alert,Critical,Error,Warning,Notice,Information,,Debug) 重大度(E.SEVERITY)の値です。 |
EVSEV |
EVSEV |
18 |
ユーザー名 ユーザー名(E.USER_NAME)の値です。 |
EVUSNAM |
EVUSNAM |
|
19 |
オブジェクトタイプ オブジェクトタイプ(E.OBJECT_TYPE)の値です。 |
EVOBTYP |
EVOBTYP |
|
20 |
オブジェクト名 オブジェクト名(E.OBJECT_NAME)の値です。 |
EVOBNAM |
EVOBNAM |
|
21 |
登録名タイプ 登録名タイプ(E.ROOT_OBJECT_TYPE)の値です。 |
EVROBTYP |
EVROBTYP |
|
22 |
登録名 登録名(E.ROOT_OBJECT_NAME)の値です。 |
EVROBNAM |
EVROBNAM |
|
23 |
プロダクト名 プロダクト名(E.PRODUCT_NAME)の値です。 |
EV"PRODUCT_NAME" |
EV#PRODUCT_NAME |
|
24 |
オブジェクトID オブジェクトID(E.OBJECT_ID)の値です。 |
EV"OBJECT_ID" |
EV#OBJECT_ID |
|
25 |
事象種別 事象種別(E.OCCURRENCE)の値です。 |
EV"OCCURRENCE" |
EV#OCCURRENCE |
|
26 |
開始時刻 開始時刻(E.START_TIME)の値です。 |
EV"START_TIME" |
EV#START_TIME |
|
27 |
終了時刻 終了時刻(E.END_TIME)の値です。 |
EV"END_TIME" |
EV#END_TIME |
|
28 |
終了コード 終了コード(E.RESULT_CODE)の値です。 |
EV"RESULT_CODE" |
EV#RESULT_CODE |
|
29 |
発生元ホスト名 発生元ホスト名(E.JP1_SOURCEHOST)の値です。 |
EV"JP1_SOURCEHOST" |
EV#JP1_SOURCEHOST |
|
30 |
任意の拡張属性 拡張属性名で指定された属性の属性値です。 |
EV"拡張属性名" |
EV#拡張属性名 |
|
31 |
拡張属性に対応する変数(IM属性) |
相関イベントフラグ 相関イベントフラグ(E.@JP1IM_CORRELATE)の値です。次のどれかになります。
|
EV"@JP1IM_CORRELATE" |
EV#@JP1IM_CORRELATE |
32 |
応答待ちイベントフラグ 応答待ちイベントフラグ(E.@JP1IM_RESPONSE)の値です。 対処アクションのマッチング時は0となります。 |
− |
EV#@JP1IM_RESPONSE |
|
33 |
変更前の重大度 重大度(変更前)(E.@JP1IM_ORIGINAL_SEVERITY)の値です。 Emergency,Alert,Critical,Error,Warning,Notice,Information,Debug,または重大度に設定された値のどれかになります。 重大度変更機能が有効な場合だけ設定する属性です。 |
EV"@JP1IM_ORIGINAL_SEVERITY" |
EV#@JP1IM_ORIGINAL_SEVERITY |
|
34 |
重大度変更フラグ 重大度変更フラグ(E.@JP1IM_CHANGE_SEVERITY)の値です。次のどちらかになります。
|
EV"@JP1IM_CHANGE_SEVERITY" |
EV#@JP1IM_CHANGE_SEVERITY |
|
35 |
変更後のメッセージ メッセージ(変更後)(E.@JP1IM_DISPLAY_MESSAGE)の値です。 表示メッセージ変更機能が有効な場合だけ設定する属性です。 |
EV"@JP1IM_DISPLAY_MESSAGE" |
EV#@JP1IM_DISPLAY_MESSAGE |
|
36 |
表示メッセージ変更 表示メッセージ変更(E.@JP1IM_CHANGE_MESSAGE)の値です。次のどちらかになります。
表示メッセージ変更機能が有効な場合だけ設定する属性です。 |
EV"@JP1IM_CHANGE_MESSAGE" |
EV#@JP1IM_CHANGE_MESSAGE |
|
37 |
その他 |
アクション実行要求元マネージャーホスト名 マネージャーホスト名の値です。 |
ACTHOST |
ACTHOST |
38 |
アクションの実行条件の指定で,正規表現中に"( )"を指定して切り出したデータ |
EVENV1〜EVENV9 |
EVENV1〜EVENV9 |
- 注※
-
イベント引き継ぎ情報の変数EVIPADDRが指定された場合,およびJP1イベントの発行元IPアドレス(B.SOURCEIPADDR)がIPv6アドレスの場合,次の形式で変換します。
-
IPv6アドレス形式
128ビットのアドレス値を16ビット単位でコロン(:)区切り,16進数(0000〜ffff)で出力した形式。
例:0011:2233:4455:6677:8899:aabb:ccdd:eeff
-
IPv4アドレス形式
32ビットのアドレス値を8ビット単位でピリオド(.)区切り,10進数(0〜255)で出力した形式。
例:0.64.128.255
-
- 置き換え例
-
- 自動アクション定義
$EV"JP1_SOURCEHOST"$URLENC
- 置き換え後の対処アクションの自動実行の定義
${event:EV#JP1_SOURCEHOST:URLENC}