5.2.3 状態変更条件
状態変更条件は,監視ノードの状態を変更する条件です。監視オブジェクトと監視グループの両方で設定できますが,それぞれの状態変更条件には違いがあります。
- 監視オブジェクトの状態変更条件
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監視オブジェクトの状態を,どのようなJP1イベントを受信したときに変更するか(例:重大度が警告である特定のJP1イベントを受信したら,状態を警告にする)を決める条件です。
- 監視グループの状態変更条件
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監視グループの状態を,下位の監視ノードがどのような状態になったときに変更するか(例:下位の三つの監視ノードのうち,二つがエラーになったときに,状態をエラーにする)を決める条件です。
条件を設定していない場合は,下位監視ノードの状態の中でいちばん優先度の高い状態になります。
以降では,監視オブジェクト,監視グループそれぞれの状態変更条件について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 監視オブジェクトの状態変更条件
監視オブジェクトの状態変更条件は,次のようになっています。
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監視ツリーを構成している監視オブジェクトは,それぞれ状態変更条件を持っています。JP1/IM - Managerは,JP1イベントを受信すると,各監視オブジェクトの状態変更条件を確認します。状態変更条件に合致し,かつ,現在の状態より優先度の高い状態になる監視オブジェクトがあれば,その監視オブジェクトの状態を変更します。これによって,発生したJP1イベントと,対応する監視ツリー上の監視オブジェクトを対応づけて,システムの状態をビジュアルに表示します。
監視オブジェクトの状態変更条件は,次のように,条件名,状態,共通条件,個別条件によって構成されます。JP1イベントに対する条件は,共通条件と個別条件に分かれ,それぞれ複数の条件を指定できます。
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条件名
状態変更条件の名称です。
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状態
状態変更条件が合致したときになる状態です。
状態は,「緊急」「警戒」「致命的」「エラー」「警告」「正常」または「デバッグ」および「初期状態」のどれかです。
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共通条件とは,状態変更条件のうち,幾つかの監視オブジェクトで共通して使われる条件のことです。例えば,ジョブネット監視をする監視オブジェクトでは,JP1イベントのID 4108(ジョブネット警告終了のイベント)が共通条件になっており,同種類の監視オブジェクトで共通する条件として使われます。
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個別条件とは,監視オブジェクトごとに固有の値を持つ条件のことです。例えば,ジョブネット監視オブジェクトでは,ジョブの名称のように監視オブジェクトごとに異なる値を持つ条件は,個別条件となります。
システム監視オブジェクトの例によって,具体的な状態変更条件の設定内容を説明します。
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この図は,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」の「8. システム監視オブジェクト一覧(セントラルスコープ用)」から,JP1/AJSの「AJS監視」システム監視オブジェクトの説明を一部抜粋したものです。
図の例では,「ジョブネット警告のイベント(AJS)」という状態変更条件が定義されています。まず,「AJS監視」の監視オブジェクトに共通する条件(共通条件)として,イベントIDが4108(ジョブネットが警告終了したという意味です)が発生した時に,監視オブジェクトの状態を「警告」することが定義されています。また,監視オブジェクトごとに設定される個別条件として,監視オブジェクトが持つ基本情報(監視対象を特定するための情報)に対応した条件が指定されており,これによって監視ツリー上のどの監視オブジェクトの状態を変更するかを特定します。
このように,監視オブジェクトの種類(製品別など)に共通して使う共通条件と,個々の監視オブジェクトを特定するための個別条件を組み合わせて,監視オブジェクトの状態変更が行われます。
- 監視オブジェクトの状態変更条件をメモリーに常駐させる機能
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JP1/IM - Managerは,JP1イベントを受信すると,各監視オブジェクトの状態変更条件が各監視オブジェクトの状態変更条件と合致しているかどうかの確認を行います。一度に大量のJP1イベントを受信すると,その分ディスクアクセス回数が増えるため,監視オブジェクトの状態に反映されるまでに時間が掛かることがあります。監視オブジェクトの状態変更条件をメモリーに常駐させる機能を有効にすることで,イベント受信時のセントラルスコープの処理での,ディスクアクセス回数を削減できます。
この機能を有効にした場合,監視オブジェクトの状態変更条件が,すべてメモリー上に展開されます。そのため,この機能を有効にする場合は,その分のメモリーを確保する必要があります。メモリー所要量を見積もった上,十分なメモリーが確保できる場合は,この機能を設定することを推奨します。
メモリー所要量の見積もり式については,JP1/IM - Managerのリリースノートを参照してください。機能の設定方法については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager 構築ガイド」の「6.7.5 状態変更条件メモリー常駐機能の設定」を参照してください。
(2) 監視グループの状態変更条件
監視グループは監視ノードをグループ化しています。このため,グループ化している監視ノードの状態によって,監視グループの状態も変化します。監視グループの状態変更条件は,次のようになっています。
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JP1/IM - Managerが,特定のJP1イベントを受信し,監視オブジェクトの状態を変更すると,その状態は上位の監視グループに伝わっていきます。デフォルトの設定では次のような動作をします。
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上記の図に示したとおり,監視グループは下位の監視ノードの状態の中でいちばん優先度の高い状態に変わります。したがって,例えば最上位の監視ノードが「エラー」になっているときは,下位のすべての監視ノードに「エラー」より優先度の高い状態の監視ノードはありません。
デフォルトの設定でも問題はありませんが,特殊な条件下のシステム(ロードバランサーを用いて負荷分散しているシステムなど)での運用の場合は,監視グループの状態変更条件を定義することで,より詳細な監視ができるようになります。
監視グループの状態変更条件は,次のように,条件名,状態,子ノードの状態,比較条件によって構成されます。
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条件名
状態変更条件の名称です。
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状態
状態変更条件が合致したときに監視グループがなる状態です。
状態は優先度の順に「緊急」「警戒」「致命的」「エラー」「警告」「正常」「デバッグ」があります。「初期状態」は指定できません。
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子ノードの状態とは,下位にある監視ノードの状態のことです。下位の監視ノードがどのような状態になったときに,状態を変更するかを指定します。指定する状態には,優先度の順に「緊急」「警戒」「致命的」「エラー」「警告」「正常」「デバッグ」があります。「初期状態」は指定できません。
なお,指定する状態には,それより優先度の高い状態のものも含まれます(例えば,「エラー」は「エラー」以上すべての状態を意味します)。
子ノードについて,次の図で説明します。
図5‒6 監視グループごとの子ノードの範囲 上記の図に示したとおり,監視グループAの子ノードは,監視グループBを含みます。ただし,監視グループAの子ノードに監視グループBの子ノードは含みません。
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比較条件とは,下位の監視ノードをグループの中で比較する条件のことです。次のように,比率(%以上)および個数(個以上)があり,どちらか一方を指定します。
図5‒7 比較条件(比率・個数)
このように,条件名,状態,子ノードの状態,比較条件を設定することで,監視グループの状態変更をカスタマイズできます。
また,監視グループの状態変更条件を定義すると,次のように監視グループのアイコン表示が変化します。アイコンによって,状態変更条件が定義されているかどうかを識別できます。
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なお,ビジュアルアイコンには「P」は付加されません。ツリー表示領域のアイコンで識別してください。