3.9.1 JP1イベントを使用した評価
インテリジェント統合管理サーバは,JP1イベントの発生元ホストの情報から,IM管理ノードとJP1イベントのマッピングを行います。その情報を基に,IM管理ノードの状態を評価します。
評価対象となるJP1イベントは,重要イベントだけです。
なお,「All Systems」は状態の情報を持たないため評価の対象外となります。
(1) JP1イベントとIM管理ノードとのマッピング
JP1イベントとIM管理ノードとのマッピングには,「JP1イベント属性値に基づいたマッピング」と「引き継ぎ情報に基づいたマッピング」の二つがあります。関連する機能ごとにマッピング方式を使い分けます。
(a) JP1イベント属性値に基づいたマッピング
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各JP1製品が管理・監視する対象に関連するJP1イベントは発生元ホストの該当するカテゴリ配下の管理オブジェクトにマッピングされます※。JP1製品とカテゴリ,管理オブジェクトの関連については,「表3-4 カテゴリ配下の管理オブジェクト名」を参照してください。
- 注※
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JP1/IMのリモート監視関連のJP1イベント,JP1/Baseのログファイルトラップ,イベントログトラップ関連のJP1イベントについてはOther Applicationsカテゴリ配下の各製品名称の管理オブジェクトにマッピングされます。
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ヘルスチェックなど各JP1製品の製品自身に関連するJP1イベントは発生元ホストのManagement Applicationsカテゴリ配下の各製品名称の管理オブジェクトにマッピングされます。
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上記以外のIM管理ノードに含まれるホストで発生したJP1イベントについては発生元ホストのOther Applicationsカテゴリ配下の管理オブジェクト「JP1/Base」にマッピングされます。
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発生元ホストマッピング機能が無効の状態のときに登録された一部のJP1イベント※については,イベント発行元ホストのOther Applicationsカテゴリ配下の管理オブジェクト「JP1/Base」にマッピングされます。また,JP1イベントとIM管理ノードのマッピングに失敗したことを通知する警告メッセージKAJY02022-Wが出力されます。
- 注※
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次に示すJP1イベントが対象となります。
・JP1/IM - Managerが発行する相関イベント
・以下に示す種類の他ホストからの転送受信イベント
・JP1/Baseのログファイルトラップが発行するイベント
・JP1/Baseのイベントログトラップが発行するイベント
・リモート監視機能のログファイルトラップが発行するイベント
・リモート監視機能のイベントログトラップが発行するイベント
・リモート監視機能が発行するイベント
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IM管理ノードに含まれないホストで発生したJP1イベントについては自ホストであるJP1/IM - ManagerホストのOther Applicationsカテゴリ配下の管理オブジェクト「JP1/Base」にマッピングされます。
(b) 引き継ぎ情報に基づいたマッピング
jddupdatetreeコマンドを,構成変更モード(-cオプション)で実行した際に引き継ぎされた情報のうち,システム構成から削除されたIM管理ノード,システム構成を変更したIM管理ノードにマッピングされていたJP1イベントを,JP1イベントが元々マッピングされていた構成情報のSIDの情報(引き継ぎ情報)に基づいて,次のようにマッピングし直されます。
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JP1イベントが元々マッピングされていた構成情報のSIDの発生元ホストが,インテリジェント統合管理基盤に存在する場合
発生元ホストのOther Applicationsカテゴリ配下の管理オブジェクト「JP1/Base」にマッピングされます。
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JP1イベントが元々マッピングされていた構成情報のSIDの発生元ホストが,インテリジェント統合管理基盤に存在しない場合
JP1/IM - ManagerホストのOther Applicationsカテゴリ配下の管理オブジェクト「JP1/Base」にマッピングされます。
構成から削除,変更されたIM管理ノードが再び構成に登録された場合,上記のJP1イベントは,元々マッピングされていた構成情報のSIDにマッピングされます。ただし,JP1イベントが統合監視DBに存在しない場合は,再びマッピングされることはありません。
(2) 評価のタイミング
IM管理ノードの状態の評価は,次のタイミングで行われます。
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jddupdatetreeコマンドを新規・再構築モード(-rオプション)で実行した時
すべてのJP1イベントの情報を元に,すべてのIM管理ノードの状態を評価します。マッピング方式は「JP1イベント属性値に基づいたマッピング」です。
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jddupdatetreeコマンドを構成変更モード(-cオプション)で実行した時
構成要素の情報を引き継ぎます。削除または変更された構成情報のSIDに紐付けされていたJP1イベントの,マッピングし直しが発生したIM管理ノードの状態だけを評価します。マッピング方式は「引き継ぎ情報に基づいたマッピング」です。
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インテリジェント統合管理サーバがJP1イベントを取得した時
JP1イベントの発生元ホストの管理オブジェクトに対して,IM管理ノードの状態を評価します。マッピング方式は「JP1イベント属性値に基づいたマッピング」です。
- 重要
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評価を行うためには,次の条件を満たしている必要があります。
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jddcreatetreeコマンド,jddupdatetreeコマンドが正常に実行されている
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管理対象のIM管理ノードが一つ以上ある
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- メモ
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相関イベントの場合は,相関イベントの拡張属性に発生元ホストの情報を含めるように相関を定義し,発生元ホストマッピング機能でこの情報を発生元ホストの属性にマッピングして,IM管理ノードの状態を評価します。
(3) IM管理ノードの状態
IM管理ノードの状態は,優先度の高い順に「緊急」,「警戒」,「致命的」,「エラー」,「警告」,「通知」,「情報」,「デバッグ」,「正常」となります。状態に対応する色は,IM管理ノードに対応するJP1イベントの重大度,対処状況を基に決まります。
[稼働状況]領域に表示されるIM管理ノードの状態とJP1イベントの関係について,次の表に示します。
JP1イベントの対処状況 |
JP1イベントの重大度 |
|||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
緊急 |
警戒 |
致命的 |
エラー |
警告 |
通知 |
情報 |
デバッグ |
|
未対処 |
緊急(赤色) |
警戒(赤色) |
致命的(赤色) |
エラー(橙色) |
警告(黄色) |
通知(黄色) |
情報(黄色) |
デバッグ(黄色) |
保留 |
||||||||
処理中 |
||||||||
対処済み |
正常(緑色) |
- メモ
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評価は基本的にJP1イベントを使用して行います。システムの階層構成やイベント取得フィルターなどを適切に設定し,JP1/IM - Managerに必要なJP1イベントが集まるようにしてください。
(4) 状態の変化と伝播のルール
次に示す操作や事象によってIM管理ノードに関する未対処の重要イベントが無くなると,状態は「正常」に戻ります。
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正常ではないIM管理ノードが保持しているイベントDB通し番号の重要イベントを「対処済」にする
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正常ではないIM管理ノードが保持しているイベントDB通し番号の重要イベントを削除する
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正常ではないIM管理ノードが保持しているイベントDB通し番号の重要イベントを重要イベントと扱わないようにする
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正常ではないIM管理ノードが保持しているイベントDB通し番号の重要イベントが統合監視DBから消失する
複数の関連したJP1イベントを管理オブジェクトに受信している場合は,各JP1イベントの内容を評価し,一番優先度が高いものを管理オブジェクトの状態とします。
管理オブジェクトに関連したJP1イベントを受信しJP1イベントの内容を評価した結果,管理オブジェクトの状態が変更された場合,変更された管理オブジェクトの状態が上位の管理グループに伝播します。
上位伝播のルールを次に示します。
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管理オブジェクトの状態が変更されます。
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1.の変更によって同一階層の管理オブジェクトの最上位の状態が変わった場合,一つ上の管理グループは,直下の管理オブジェクトの変更後の最上位の状態に遷移します。
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2.で状態が遷移した管理グループの上位に管理グループがある場合,2.と同じルールで状態が上位に伝搬します。ただし,上位の管理グループが「All Systems」の場合は伝搬しません。
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1.の変更によって,同一階層の管理オブジェクトの最上位の状態が変更されなかった場合は,上位の管理グループの状態も変更されません。
管理グループの状態の例を次の図に示します。
XXXの状態変更が管理グループへ伝播する例を,次の図に示します。
図中の番号に従って説明します(図中の丸付き番号は,次に示す番号にそれぞれ対応しています)。
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管理オブジェクトの状態が,「正常」から「エラー」に変わります。
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同一階層の管理オブジェクトの状態を確認し,最上位の状態が変更されたため,上位の管理グループに状態を伝播します。
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管理グループの状態が「警告」から「エラー」に変わります。
状態は,管理グループ最上位の「All Systems」の一つ下の階層のシステムまで伝播します。