Hitachi

JP1 Version 12 JP1/IT Desktop Management 2 - Asset Console 構築・運用ガイド


11.5.12 ユーザレポートの作成例

利用IPアドレスを検索して、IPアドレスの利用状況を確認するためのユーザレポートを作成する場合を例に、作成手順を説明します。

〈この項の構成〉

(1) 検索したい情報の検討

まず、利用IPアドレスを検索するためには、どのクラスを対象に検索すればよいのかを検討します。

検索結果の一覧に出力する項目は、「IPアドレス」、「資産番号」、「名称」、「機器種別」、「ユーザ名」、「部署」および「設置場所」とします。

次に、上記の各項目をプロパティに持つクラスを探します。項目とクラスの対応は次のようになります。

検索結果の一覧に出力する項目

クラス

IPアドレス

NetworkInfo

資産番号

AssetInfo

名称

HardwareInfo

機器種別

HardwareInfo

ユーザ名

UserInfo

部署

GroupInfo

設置場所

LocationInfo

(2) クラス結合方法の検討

検索したい情報とそのクラスが決定したら、次にクラスの結合方法を検討します。

クラス結合方法の検討例を次の図に示します。

図11‒32 クラス結合方法の検討例

[図データ]

クラス同士の関連
  • 「NetworkInfo」と「AssetInfo」は、アソシエーションクラス「NetworkLink」によって結合されています。

  • 「AssetInfo」と「HardwareInfo」は、アソシエーションクラス「HardwareLink」によって結合されています。

  • 「AssetInfo」と「UserInfo」、「GroupInfo」、「LocationInfo」は、アソシエーションクラスで結合されていないので、同一キーによって結合します。

内部結合と外部結合
  • 利用されているIPアドレスから、それを利用している機器を特定するため、IPアドレスを持たない機器は検索結果から外します。そのため、「NetworkInfo」と「AssetInfo」はINNER(内部結合)の関係になります。

  • 「名称」、「ユーザ名」、「部署」、「設置場所」は値がない場合でも、機器の情報を検索結果に出力します。そのため、「AssetInfo」と「HardwareInfo」、「UserInfo」、「GroupInfo」、「LocationInfo」はそれぞれOUTER(外部結合)の関係になります。

操作画面でクラス結合を定義する際は、内部結合、外部結合の順番で定義していきます。

また、結合元クラスと結合先クラスの順序は、この例のようにすべてのクラスが1つのクラス(AssetInfo)を中心に結合している場合は、すべての結合元クラスに「AssetInfo」を指定してください。

(3) 操作画面で指定する検索条件の検討

検索結果として出力する項目とは別に、操作画面で検索条件に指定する項目と検索方法を検討します。

機器の管理部署または設置場所で利用IPアドレスを絞り込みたいので、この2つの項目を検索条件として定義します。また、IPアドレスの範囲を指定して絞り込めるように、IPアドレスを検索条件として定義します。

(4) 操作画面でのユーザレポートの作成手順

決定した各クラスの結合方法および検索条件を操作画面で定義して、利用IPアドレスを検索するユーザレポートを作成します。

操作画面での作成手順を次に示します。

  1. 業務メニューで「ユーザレポート作成」を選択する。

    ユーザレポート作成画面が表示されます。

  2. [新規登録]ボタンをクリックする。

    検索方法を選択する画面に切り換わります。

  3. 「複数のクラスを結合して検索」を選択して、[次へ]ボタンをクリックする。

    検索条件を定義する画面に切り換わります。

  4. 各クラスの結合方法を定義する。

    クラス同士の結合方法を1つずつ定義していきます。クラスの結合方法の指定領域を追加する場合は、[追加]ボタンをクリックします。

    クラス結合方法の定義例を次の図に示します。

    図11‒33 クラス結合方法の定義例

    [図データ]

    「NetworkInfo」と「AssetInfo」のクラス結合方法を定義する

    クラス結合方法で「アソシエーションクラス」を選択したあと、「資産情報とネットワーク情報」を選択します。「結合タイプ」は「INNER」を選択します。

    「AssetInfo」と「HardwareInfo」のクラス結合方法を定義する

    クラス結合方法で「アソシエーションクラス」を選択したあと、「資産情報とハードウェア資産情報」を選択します。「結合タイプ」は「OUTER」を選択します。

    「AssetInfo」と「UserInfo」のクラス結合方法を定義する

    クラス結合方法で「クラス指定」を選択して、次のように指定します。

    結合元クラス:「資産情報」、キープロパティ:「ユーザID」

    結合先クラス:「ユーザ管理情報」、キープロパティ:「ユーザID」

    結合タイプ:「OUTER」

    「AssetInfo」と「GroupInfo」のクラス結合方法を定義する

    クラス結合方法で「クラス指定」を選択して、次のように指定します。

    結合元クラス:「資産情報」、キープロパティ:「部署ID」

    結合先クラス:「部署情報」、キープロパティ:「部署ID」

    結合タイプ:「OUTER」

    「AssetInfo」と「LocationInfo」のクラス結合方法を定義する

    クラス結合方法で「クラス指定」を選択して、次のように指定します。

    結合元クラス:「資産情報」、キープロパティ:「設置場所ID」

    結合先クラス:「設置場所情報」、キープロパティ:「設置場所ID」

    結合タイプ:「OUTER」

  5. 検索条件を定義する。

    「画面」タブでの指定方法を次の図に示します。

    図11‒34 「画面」タブでの指定方法

    [図データ]

    操作画面に表示する検索条件は、チェックボックスをチェックします。

    検索条件に「部署」または「設置場所」を定義する場合は、「条件式」は指定する必要はありません。必ず前方一致で検索されます。

    「コマンド引数」タブでの指定方法を次の図に示します。

    図11‒35 「コマンド引数」タブでの指定方法

    [図データ]

  6. 出力項目を指定する。

    次の出力項目を指定します。

    • 「ネットワーク情報」の「IPアドレス」

    • 「資産情報」の「資産番号」

      検索結果の一覧から詳細情報をダイアログで表示するかどうかを、「詳細表示する」または「詳細表示しない」から選択します。

    • 「ハードウェア資産情報」の「名称」

    • 「ハードウェア資産情報」の「機器種別」

      種別を表すコード(値)と表示名を表示するかどうかを、「機器種別[表示名]」、「機器種別[値]」および「機器種別[両方]」の中から選択します。

    • 「ユーザ管理情報」の「ユーザ名」

    • 「部署情報」の「部署」

    • 「設置場所情報」の「設置場所」

  7. 出力項目の並び順と表示幅を指定する。

    「画面表示情報」欄で、出力項目の並び順と表示幅を指定します。

    出力項目の並び順の例を次の図に示します。

    図11‒36 出力項目の並び順の例

    [図データ]

  8. 「検索結果に重複データを含まないで出力」を選択する。

  9. [プレビュー]ボタンをクリックする。

    指定した内容を確認して、プレビュー画面を閉じます。

  10. [次へ]ボタンをクリックする。

    ユーザレポートの登録画面に切り換わります。

  11. ユーザレポートを追加するカテゴリを選択する。

    ツリーから「機器管理」を選択します。

  12. ユーザレポートの「レポート名」、「帳票ファイル名」およびユーザレポートを使用できるユーザ権限を設定する。

    各項目を次のように指定してください。

    • レポート名:「利用IPアドレス一覧」を指定する。

    • 帳票ファイル名:EURで作成した帳票ファイル名(拡張子「.fms」)を指定する。

      ここで指定する帳票ファイルは、必ず<Asset Consoleのインストール先フォルダ>\eurに格納してください。

    • 権限:「権限:administrator」および「権限:user」の両方のチェックボックスにチェックする。

    項目を指定したユーザレポートの登録画面を次の図に示します。

    図11‒37 ユーザレポートの登録画面

    [図データ]

  13. [登録]ボタンをクリックする。

    利用IPアドレスを検索するユーザレポートが作成されます。