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JP1 Version 12 JP1/IT Desktop Management 2 導入・設計ガイド


2.18.7 複数サーバ構成での機器の管理

複数サーバ構成では、自サーバ直下だけでなく、配下の管理用中継サーバから通知された機器情報も管理できます。

ヒント

機器のメンテナンスの対象は自サーバで管理する機器です。つまり、複数サーバ構成の場合に配下の管理用中継サーバが管理する機器は、上位の管理用サーバでの機器のメンテナンスの対象外となります。複数サーバ構成の場合、機器のメンテナンスは、管理用サーバと配下の管理用中継サーバそれぞれで運用してください。

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〈この項の構成〉

(1) 上位の管理用サーバへの機器情報の自動通知

複数サーバ構成で運用する場合、管理用中継サーバは機器情報を上位の管理用サーバに自動で通知します。上位の管理用サーバは、直下の機器情報、および配下の管理用中継サーバから通知された機器情報を、まとめて管理できます。

複数サーバ構成での機器情報の通知の流れを次の図に示します。

[図データ]

下位の管理用中継サーバから上位の管理用サーバへ機器情報を通知する契機は、次のとおりです。

上位の管理用サーバへの通知対象となるのは、エージェント導入済みのコンピュータ、およびエージェントレスのコンピュータの機器情報です。

オフライン管理のコンピュータの機器情報は、管理元が同じ管理者のコンピュータから通知する必要があります。オフライン管理のコンピュータの機器情報は、管理元の管理用サーバに収集情報が通知されたタイミングで上位の管理用サーバにも通知されます。

管理元の管理用中継サーバで機器種別を変更した場合で、変更後の機器種別の項目が上位の管理用サーバに設定されていないとき、上位の管理用サーバにその機器種別の項目が追加されます。

(2) 上位の管理用サーバへの機器情報の手動通知

複数サーバ構成では、管理用中継サーバが収集した機器情報を上位の管理用サーバに手動で通知できます。機器情報を手動で通知することで、管理用サーバ間で失われた機器情報の整合性を回復できます。

次の要因で、ある管理用中継サーバが上位の管理用サーバとの機器情報の整合性を失なった場合は、機器情報を手動で通知してください。

手動で通知した機器情報は、通知元の管理用サーバの接続先だけに反映されます。通知先の管理用サーバより上位の管理用サーバには反映されません。

(3) 管理元が配下の管理用中継サーバである機器情報の編集

任意の管理用サーバで、その配下の管理用中継サーバから通知された機器情報を編集できます。自サーバ直下の機器とそれ以外の機器とで、編集できる機器情報に差異はありません。

編集した機器情報の値は、上位の管理用サーバだけに反映されます。配下の管理用中継サーバにも反映したい場合は、配下の管理用中継サーバで値を編集する必要があります。

(4) 複数サーバ構成で機器の管理元を変更する仕組み

管理対象のコンピュータが別の管理用中継サーバの配下に移動した場合、移動先の管理用中継サーバに機器情報が追加され、移動元の管理用中継サーバから機器情報が削除されます。管理対象のコンピュータの移動に伴う機器情報の流れを次の図に示します。

[図データ]

1.機器情報の収集

M03の管理対象のコンピュータがM04の配下に移動すると、M04で機器情報が収集されます。

2.機器情報の通知(M04からM02)

M04は機器情報を追加したあと、M02に機器情報を通知します。

3.機器情報の通知(M02からM01)

M02は機器の経路の変更を検知したあと、機器情報を更新します。また、M01に機器情報を通知します。

4.機器情報の通知(M02からM03)

M02はM03に機器情報の削除を通知します。M03は機器情報を削除します。

機器情報の削除を通知する契機

管理用サーバ間で機器が移動すると、管理用サーバが持つ構成情報に機器の経路の変更が反映されます。これを契機として、機器情報の削除が移動元の管理用中継サーバに通知されます。

重要

機器を移動する前に、移動元の管理用中継サーバのエージェント設定で接続先を変更する必要があります。詳細については、マニュアル「JP1/IT Desktop Management 2 構築ガイド」の、エージェントが接続する管理用サーバを切り替える手順の説明を参照してください。

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(5) 配下の管理用中継サーバへのソフトウェア検索条件の適用

複数サーバ構成では、自サーバで作成したソフトウェア検索条件を配下の管理用中継サーバに適用できます。検索条件を適用すると、すべての配下の管理用中継サーバに適用元の検索条件が追加されます。適用された検索条件とは別に、適用先の管理用中継サーバでも検索条件を追加できるため、管理用中継サーバごとに検索条件を運用することもできます。

上位の管理用サーバから適用されたソフトウェア検索条件は、適用先では変更できません。ただし、適用先で検索条件の削除はできます。例えば、上位の管理用サーバが検索条件の削除を適用しないままリプレースされてしまった場合は、不要な検索条件を適用先で削除します。

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(6) 配下の管理用中継サーバが管理対象とする機器の変更履歴の取得

複数サーバ構成の場合、機器の変更履歴の取得範囲を自サーバ直下の機器だけに絞り込めます。変更履歴の取得による管理用サーバの負荷を分散したいときは、自サーバ直下の機器以外の変更履歴を取得しないように設定してください。デフォルトでは、自サーバ直下の機器以外の変更履歴を取得します。

自サーバ直下の機器以外の変更履歴を取得しないように設定した複数サーバ構成の例を次に示します。

[図データ]

この例では、各管理用サーバが直下のコンピュータの変更履歴だけを取得しています。管理用中継サーバ2に管理者がいない場合は、統括管理用サーバの管理者が管理用中継サーバ2の操作画面を起動して変更履歴を確認します。

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(7) 複数サーバ構成での機器情報の削除

管理が不要になった機器を削除したい場合は、管理元の管理用中継サーバで機器情報を削除します。管理元の管理用中継サーバで機器情報が削除されると、上位の管理用サーバに機器情報の削除が通知され、上位の管理用サーバで機器情報が削除されます。

機器情報が削除される契機は、次のとおりです。

機器情報が削除される契機

削除後の処理

管理元の管理用中継サーバの操作画面で機器情報を削除したとき

上位の管理用サーバで機器情報が削除されます。

JP1/IT Desktop Management 2 - Agentをアンインストールしたとき

上位の管理用サーバで機器情報が削除されます。

この処理は、管理元の管理用中継サーバで設定したコンフィグレーションファイルの「State_AfterAgentUninstalling」の値に基づきます。コンフィグレーションファイルの設定によっては、機器情報を削除しないで、管理種別をエージェントレスに変更します。

ハードウェア資産の[資産状態]を[滅却]にしたとき

滅却した資産情報に関連づいている機器情報が、上位の管理用サーバ、および配下の管理用中継サーバから削除されます。

JP1/IT Desktop Management 2 - Asset Consoleで資産情報を削除したとき

機器の接続先の管理用中継サーバを変更したとき

移動元の管理用中継サーバから機器情報が削除されます。

ヒント

機器情報の通知に失敗して、上位の管理用サーバと管理元の管理用中継サーバとで機器情報に不整合が起きてしまった場合は、上位の管理用サーバで配下の機器情報を手動で削除することで整合性を取ってください。この時は、機器情報の削除は通知されません。上位の管理用サーバからだけ機器情報が削除されます。

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