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JP1 Version 12 JP1/IT Desktop Management 2 導入・設計ガイド


2.11.2 ハードウェア資産情報の管理

資産画面の[ハードウェア資産]画面で、ハードウェア資産情報を登録して管理できます。

機器を管理対象にすると、機器から収集された情報が機器画面の[機器情報]画面に表示されます。さらに、機器の情報は資産画面の[ハードウェア資産]画面にも新規のハードウェア資産情報として自動的に登録されます。ハードウェア資産情報が登録される流れを次の図に示します。

[図データ]

自動的に登録されたハードウェア資産情報は、[資産状態]が「未確認」となっています。また、機器から収集できた情報だけが登録されています。このため、機器から自動的には収集されない[資産管理番号]、[資産状態](運用中、在庫など)、利用者情報などを、ハードウェア資産情報にあとから登録する必要があります。

ヒント

機器から収集された情報は、機器情報が更新されるとハードウェア資産情報もあわせて更新されます。

すでに管理台帳を利用してハードウェア資産を管理している場合、今まで管理していた情報をJP1/IT Desktop Management 2にインポートして利用できます。手持ちの管理台帳がない場合は、自動的に登録されたハードウェア資産情報をメンテナンスしてください。

管理対象の機器以外のハードウェア資産情報を管理したい場合は、ハードウェア資産情報を新規に登録してください。

また、ハードウェア資産情報は、運用に応じてメンテナンスする必要があります。

ハードウェア資産情報は、ほかのハードウェア情報と関連づけて管理したり、対応する契約情報を設定したりできます。

ヒント

ioutils importassetassocコマンドでも、ハードウェア資産情報と機器情報、ほかのハードウェア資産情報、および契約情報との関連づけができます。

ヒント

1つのハードウェア資産に複数の機器を関連づけた場合、複数の機器のうちの1台を代表の機器として設定します。その代表の機器から収集したハードウェア情報がハードウェア資産情報として資産画面の[ハードウェア資産]画面などに表示されます。

ヒント

代表の機器として設定した機器を削除したり、代表の機器として設定した機器をほかのハードウェア資産情報に関連づけたりした場合、代表の機器は次のように変更されます。

  • 代表の機器として設定した機器を削除する時にハードウェア資産に関連づいているほかの機器を代表の機器に変更します。

  • 代表の機器として設定した機器をほかのハードウェア資産に関連づける変更をした場合は、当該ハードウェア資産にすでに関連づいている機器が代表の機器となります。

どちらの場合も、削除する機器や関連づけを変更する機器のほかに2台以上の機器が関連づいているときには、最終更新日時が最も新しい機器が代表の機器となります。これは機器の自動メンテナンスで重複機器や不稼働機器が自動削除される場合も同様です。

関連リンク

〈この項の構成〉

(1) 機器とハードウェア資産の関連づけ

ハードウェア資産管理では、機器情報とハードウェア資産情報を関連づけて管理します。 機器が管理対象になると、自動的にハードウェア資産情報が登録されて機器情報と関連づきますが、機器が管理対象になっていなかったり、ハードウェア資産情報だけを登録していたりすると、機器情報とハードウェア資産情報が関連づかない場合があります。

各契機に対応する、機器とハードウェア資産の関連づけの詳細を次の表に示します。

契機

説明

エージェント導入済みの機器が管理用サーバに接続されたとき

対象の機器の機器情報が登録されて、同時にハードウェア資産情報が自動的に登録されます。ハードウェア資産情報は、機器情報と関連づけられます。

探索で機器が発見されたとき(発見されたコンピュータを自動的に管理対象にするように設定した場合)

対象の機器の機器情報が登録されて、同時にハードウェア資産情報が自動的に登録されます。ハードウェア資産情報は、機器情報と関連づけられます。

なお、[機器種別]が[PC]以外の場合は、自動的に管理対象にはならないため、機器情報とハードウェア資産情報は登録されません。このため、機器情報とハードウェア資産情報は関連づけられません。

探索で機器が発見されたとき(発見されたコンピュータを自動的に管理対象にしないように設定した場合)

機器情報およびハードウェア資産情報は登録されません。

CSVファイルをハードウェア資産としてインポートしたとき

ハードウェア資産情報が登録されますが、機器情報は登録されないため、機器情報とハードウェア資産情報の関連づけもされません。ただし、機器情報とハードウェア資産情報がすでに関連づいていれば、インポートしたハードウェア資産情報は機器情報と関連づいたままとなります。

USBデバイスを登録したとき

[機器種別]が[USBデバイス]のハードウェア資産情報が登録されますが、機器情報は登録されないため、機器情報とハードウェア資産情報は関連づけられません。

手動で資産画面にハードウェア資産を追加したとき

ハードウェア資産情報が登録されますが、機器情報は登録されないため、機器情報とハードウェア資産情報の関連づけもされません。ただし、機器情報とハードウェア資産情報がすでに関連づいていれば、インポートしたハードウェア資産情報は機器情報と関連づいたままとなります。

また、機器とハードウェア資産が関連づいている場合、機器情報やハードウェア資産情報の状態を変更したり情報を削除したりすることで、関連づけが解除されることがあります。

機器とハードウェア資産が関連づいている場合の、各契機に対応する、関連づけの変化を次の表に示します。

契機

説明

ハードウェア資産の[資産状態]を[滅却]にしたとき

ハードウェア資産情報の[機器情報]が削除され、関連づけが解除されます。また、機器画面の機器一覧から対象の機器が削除されます。

なお、対象の機器にエージェントがインストールされていると、次回の探索を契機に、機器が再び管理対象になります。この場合、ハードウェア資産情報の[資産状態]が[滅却]になっていると、ハードウェア資産情報が新規で登録され、二重で登録されてしまいます。[資産状態]を[滅却]にする場合は、対象の機器をネットワークから切断するか、エージェントをアンインストールすることをお勧めします。また、ハードウェア資産情報の[資産状態]が[滅却]以外になっていると、関連づけが再登録されます。

設定画面の[管理対象機器]画面で対象の機器を削除したとき

ハードウェア資産情報の[機器情報]が削除され、関連づけが解除されます。また、機器画面の機器一覧から対象の機器が削除されます。

なお、エージェントをインストール済みの機器が再び管理対象になった場合の動作は、ハードウェア資産情報の[資産状態]を[滅却]にしたときと同じです。

また、代表の機器として設定されている機器を削除した場合は、当該ハードウェア資産に関連づいているほかの機器(2台以上の機器が関連づいている場合には最終更新日時が最も新しい機器)が代表の機器として設定されます。

設定画面の[管理対象機器]画面で対象の機器を[除外対象]に設定したとき

機器画面の機器一覧から対象の機器が削除されます。ハードウェア資産情報の[機器情報]は削除されません。

なお、エージェントをインストール済みの機器の場合は、手動で管理対象に戻すと機器一覧に対象の機器が再登録されます。

ハードウェア資産を削除したとき

ハードウェア資産は、[資産状態]が[未確認]または[滅却]の場合だけ削除できます。ハードウェア資産を削除した場合の、機器の動作を次に示します。

[資産状態]が[未確認]の場合

機器画面の[機器情報]画面から対象の機器が削除されます。

[資産状態]が[滅却]の場合

機器画面の[機器情報]画面から対象の機器がすでに削除されています。

[資産状態]が[滅却]になっているハードウェア資産を削除時には、ハードウェア資産情報の削除に連動してシステム構成情報は削除されません。

(2) 機器とハードウェア資産の同定

機器が管理対象になると、自動的にハードウェア資産情報が登録され、機器情報と関連づけられます。管理対象にした機器に対応するハードウェア資産情報がすでに登録されている場合は、登録された機器情報との引き当て(同定)が実行されます。同定された機器情報とハードウェア資産情報は関連づけられます。同定されたハードウェア資産情報に、別の機器情報がすでに関連づいている場合、ハードウェア資産情報に設定されている代表の機器は変更されません。

機器情報とハードウェア資産情報の同定には、次の表に示す項目のうち、どれか1つが利用されます。

優先順位

同定するときに比較する項目

1

ホスト識別子※1

2

IMEI※2

3

シリアルナンバー※3

4

ホスト名

5

MACアドレス

6

契約電話番号※2

7

IPアドレス

注※1 資産情報としてインポートしたCSVファイルにホスト識別子の値が記述されていた場合、機器情報とハードウェア資産情報を同定したあと、別の機器と再び同定されないようにするため、ホスト識別子は「空欄」になります。

注※2 MDMシステムと連携してスマートデバイスを管理する場合に、利用されます。

注※3 BIOS情報のシリアルナンバーです。

同定の際は、優先順位の高い項目の値が比較されます。優先順位の高い項目の値が取得されていない場合、または無効な値の場合は、次に優先順位の高い項目の値が比較されます。

項目の値が一致した場合は、その項目で機器情報とハードウェア資産情報が同定され、ハードウェア資産情報に関連する機器情報が追加されます。項目の値が一致しない場合は、ハードウェア資産情報が新規に登録されます。

重要

あらかじめ機器情報だけが登録されている状態で、あとから対応するハードウェア資産情報を登録しても、機器情報とハードウェア資産情報は同定されません。このような場合は、手動で関連づけてください。

ヒント

ioutils importassetコマンドでハードウェア資産情報と機器の関連づけを設定できます。

(3) 利用者が入力した情報の収集

管理対象のコンピュータにエージェントがインストールされている場合、利用者のコンピュータに[利用者情報の入力]画面を表示させて、利用者が入力した情報でハードウェア資産情報を自動的に更新できます。

利用者が入力した情報を収集することで、システム管理者がハードウェア資産情報をメンテナンスする手間を省けます。例えば、定期的に利用者側で最新情報を入力してもらうように運用しておくと、大人数の部署異動があっても、システム管理者側で情報をメンテナンスすることなく異動後の利用者情報を把握できます。

重要

管理対象のコンピュータが共有型VDIの仮想コンピュータの場合、利用者が入力した情報の収集はできません。

利用者が入力できる項目を次に示します。

利用者情報を収集するためには、設定画面の[資産管理]−[資産管理項目の設定]画面で、利用者に入力してもらう資産管理項目をあらかじめ設定しておきます。[利用者情報の入力]画面を表示するには、エージェント設定の[利用者への通知設定]で、利用者入力画面が表示されるように設定する必要があります。

また、利用者が情報の入力を開始できるタイミングを、設定画面の[資産管理]−[資産管理項目の設定]画面でシステム管理者が指定することもできます。 複数の項目の設定変更が終わったあとに[利用者情報の入力]画面を表示できるため、期首の職制変更に合わせて情報を更新したいときに便利です。

重要

利用者のコンピュータに導入されているエージェントのバージョンがJP1/IT Desktop Management 10-01以前またはJob Management Partner 1/IT Desktop Management 10-01以前の場合、入力開始の日時を指定しても、項目の設定を変更するたびに[利用者情報の入力]画面が表示されます。入力開始の日時を指定する場合は、利用者のコンピュータにJP1/IT Desktop Management 10-02以降またはJob Management Partner 1/IT Desktop Management 10-10以降のバージョンのエージェントを導入してください。

オンライン管理のコンピュータの場合、[利用者情報の入力]画面を一定の間隔で定期的に利用者のコンピュータに表示できます。定期的に[利用者情報の入力]画面を表示させる場合は、エージェント設定の[利用者への通知設定]で、利用者入力画面が表示されるように設定し、設定画面の[資産管理項目の設定]画面では入力開始の日時を指定しないでください。入力開始の日時を指定すると、[利用者情報の入力]画面が定期的に表示されなくなります。オフライン管理のコンピュータの場合は、getinv.vbsコマンドまたはsetsecpolicy.vbsコマンドを実行して機器情報を収集するときに[利用者情報の入力]画面を表示できます。

入力開始の日時を指定している場合で、指定した日時を経過していないときは、利用者のコンピュータでWindowsの[スタート]メニューから[すべてのプログラム]−[JP1_IT Desktop Management 2 - Agent]−[利用者情報の入力]を選択しても、メッセージだけが表示されて、情報を入力できません。また、オフライン管理のコンピュータでgetinv.vbsコマンドまたはsetsecpolicy.vbsコマンドを実行しても、[利用者情報の入力]画面は表示されません。

(4) 資産状態の管理

ハードウェア資産情報には、その資産が運用中なのか在庫なのかといった資産の状態を設定できます。資産状態を設定することで、所有している資産を一覧で把握できるだけでなく、利用状況も把握できるようになります。また、滅却済みの資産についても、所有している資産とあわせて確認できます。

資産状態には次の種類があります。

未確認 

資産情報は登録されていますが、資産として管理されていないことを意味します。機器が管理対象になった際に自動的に登録されたハードウェア資産情報は、この資産状態が設定されます。「未確認」の資産がある場合は、その資産の現品を確認して資産状態を含む資産情報を設定してください。

在庫 

資産が利用されていない状態であることを意味します。

運用中 

資産が運用中(使用中)であることを意味します。

滅却 

資産が滅却済みであることを意味します。

このほかに、管理者が任意の項目を追加できます。項目はデフォルトの項目とは別に100種類まで登録できます。

資産状態の遷移を次の図に示します。

[図データ]

利用状況を把握するため、実態に合わせて資産状態を変更します。

資産を新規登録したときは「未確認」として登録されます。「未確認」の資産を確認して、実態に合わせて「運用中」、「在庫」、または「追加した資産状態」に変更してください。また、「未確認」では資産として登録していないため、関連づけなどができません。関連づけなどを実施する場合は、「未確認」以外に変更する必要があります。

管理が不要になった資産を「滅却」に変更した場合は、「運用中」、「在庫」、または「追加した資産状態」に戻すこともできます。

予定資産状態の管理

将来変更する予定の資産状態を設定できます。予定資産状態を設定することで、資産管理の作業予定を把握できます。

例えば、「在庫」の資産に対して、予定資産状態「滅却」と変更予定日を設定しておくことで、その資産を滅却処理する予定日を把握できるようになります。

設定できる予定資産状態の種類は、資産状態と同じです。

重要

予定資産状態は、変更予定日を過ぎても自動的には変更されません。変更予定日を目安に、ハードウェア資産そのものの状態が変更されたことを確認してから、管理者が手動で資産状態を変更する必要があります。資産状態を予定資産状態に設定した状態に変更すると、予定資産状態と変更予定日の設定値がクリアされます。

ヒント

予定資産状態を登録すると、ダイジェストレポートで対象の資産を確認できます。また、日刊、週刊、月間のダイジェストレポートの集計が完了すると、それぞれにメール設定した宛先にメール通知がされます。

(5) 棚卸日の更新方法

ハードウェア資産情報およびソフトウェアライセンス情報の[棚卸日]を更新できます。[棚卸日]を更新すると、棚卸で確認できなかった資産がないかどうかを確認できます。

手動で棚卸日を更新する 

[棚卸日]を更新する資産情報を選択して、[棚卸日]を更新します。手もとにある少数の資産を、個別に棚卸する場合にお勧めします。

CSVファイルを基に棚卸日を一括更新する 

[資産管理番号]または[ライセンス管理番号]が記載されたCSVファイルを利用して、[棚卸日]を一括更新します。各資産情報の[棚卸日]は同じ日付になります。この方法は、バーコードリーダーを利用して棚卸する場合にお勧めします。バーコードリーダーで読み取った資産管理番号またはライセンス管理番号の一覧を、CSVファイルで出力してください。

棚卸日の自動更新を設定する 

ハードウェア資産情報の場合、棚卸日を自動更新するように設定できます。JP1/IT Desktop Management 2は、機器のネットワーク接続、機器の利用者の入力、オフライン管理のコンピュータから取得した機器情報の通知で機器の存在を確認します。機器の存在を確認できたら、棚卸日が自動更新されます。棚卸の手間を省きたい場合にお勧めします。

重要

ハードウェア資産情報の場合、[棚卸日の自動更新の設定]ダイアログで[利用者による[利用者情報の入力]画面の入力が完了した日を、棚卸日とする]を選択している場合でも、機器画面の[機器情報]−[機器一覧]画面で、[操作メニュー]から[最新の情報を取得する]を選択したとき、棚卸日が自動更新されます。

ヒント

ハードウェア資産情報およびソフトウェアライセンス情報をインポートして、[棚卸日]を一括更新することもできます。この場合は、各資産情報の[棚卸日]に異なった日付を設定できます。

(6) ほかの情報と関連づけたハードウェア資産情報の管理

ハードウェア資産情報は、ほかのハードウェア資産情報と関連づけて管理したり、対応する契約情報を設定したりできます。

ほかのハードウェア資産情報との関連づけを設定することで、各コンピュータの本体、ディスプレイ、および周辺機器をセットで管理できます。

ハードウェア資産に対応する契約を設定することで、どのコンピュータに対してどの契約を結んでいるのかを把握できるようになります。また、レポートでハードウェア資産に掛かる運用コストを確認できるようになります。

[図データ]