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JP1 Version 12 JP1/IT Desktop Management 2 導入・設計ガイド


2.11.3 ソフトウェアライセンスの利用状況の把握

ソフトウェアライセンスの管理を始めるには、JP1/IT Desktop Management 2に管理ソフトウェア情報とソフトウェアライセンス情報を登録する必要があります。管理ソフトウェア情報とソフトウェアライセンス情報を登録することで、ソフトウェアライセンスの利用状況を把握できるようになります。ソフトウェアライセンスの利用数を確認して、ソフトウェアライセンスの過不足を把握する流れを次の図に示します。

[図データ]

ソフトウェアライセンス情報には、所有しているソフトウェアライセンスの情報と対応するソフトウェア名(管理ソフトウェア)を設定します。また、ソフトウェアライセンス情報にソフトウェアライセンスを割り当てる(利用許可する)コンピュータを登録できます。ソフトウェアライセンス情報は、資産画面の[ソフトウェアライセンス]画面で設定します。

管理ソフトウェア情報には、ライセンス消費数をカウントするソフトウェア情報を指定します。複数のソフトウェア情報を指定して、1種類のソフトウェアとして管理することもできます。これによって、ソフトウェアのインストール数が管理ソフトウェアごとに集計されます。管理ソフトウェア情報は、資産画面の[管理ソフトウェア]画面で設定します。

こうしてソフトウェアライセンス情報と管理ソフトウェア情報を登録すると、資産画面の[ソフトウェアライセンス状況]画面で管理ソフトウェアごとのソフトウェアライセンスの利用状況をまとめて確認できるようになります。例えば、ソフトウェアライセンスを割り当てたコンピュータの台数(割り当てライセンス数)を確認することで、未許可でソフトウェアをインストールしているコンピュータや、利用許可しているのにソフトウェアをインストールしていないコンピュータを把握できます。また、管理ソフトウェアごとのライセンスの保有数や残数が集計され、ソフトウェアライセンスの過不足を把握できます。ソフトウェアライセンスの利用状況は、[ソフトウェアライセンス状況]画面のソフトウェアライセンス状況一覧をエクスポートすることで、CSVファイルに出力できます。

同名のソフトウェアでインストール先のOSによってライセンス金額やライセンス形態が異なる場合でも、インストール先のOS種別ごとにライセンス消費数を集計できます。OS種別は管理ソフトウェア情報に登録します。

なお、[ソフトウェアライセンス状況]画面では、部署ごとにソフトウェアライセンスの利用状況を確認できます。 管理ソフトウェア名およびソフトウェアライセンス情報に指定した値と、ソフトウェアライセンスの利用実態が次のような場合を例に、[ソフトウェアライセンス状況]画面に表示される値を示します。

管理ソフトウェア名およびソフトウェアライセンス情報の指定例と、ソフトウェアライセンスの利用実態

管理ソフトウェア名

ソフトウェアライセンス情報

ソフトウェアライセンスの利用実態

部署

保有数

割り当てライセンス数

インストール数

インストール済みコンピュータが所属する部署

ABCソフトウェア

総務部

10

10

12

総務部

営業部

10

10

10

営業部

開発部

5

10

5

開発部

開発部/A課

5

10

3

開発部/A課

開発部/B課

5

3

3

開発部/B課

3

開発部/C課

1

人事部

XYZソフトウェア

20

2

1

開発部/A課

1

開発部/B課

(凡例)−:設定していない

[ソフトウェアライセンス状況]画面に表示される情報

管理ソフトウェア名

部署

保有数

ライセンス消費数

残数

割り当てライセンス数

説明

ABCソフトウェア

(全部署累計)※1

35

37

-2

43

全部署(総務部、営業部、開発部、および人事部)の累計値が表示されます。

総務部

10

12

-2

10

総務部だけの値が表示されます。

営業部

10

10

0

10

営業部だけの値が表示されます。

開発部※2

15

14

1

23

開発部だけの値(開発部、開発部/A課、開発部/B課、および開発部/C課の累計値)が表示されます。

開発部/A課※2

5

3

2

10

開発部/A課だけの値が表示されます。

開発部/B課※2

5

3

2

3

開発部/B課だけの値が表示されます。

開発部/C課※2

3

0

開発部/C課だけの値が表示されます。

ソフトウェアライセンス情報の部署情報に自部署(開発部/C課)を設定していなくても、部署情報に上位部署(開発部)を設定している場合は、保有数および残数が「−」(ハイフン)で表示されます。

人事部

0

1

-1

0

人事部だけの値が表示されます。

ソフトウェアライセンス情報の部署情報に自部署(人事部)も上位部署も設定していない場合は、保有数および割り当てライセンス数が「0」で表示されます。残数はマイナスで表示されます。

XYZソフトウェア

(全部署累計)※1

20

2

18

2

全部署(総務部、営業部、開発部、および人事部)の累計値が表示されます。

ソフトウェアライセンス情報に部署を設定していないソフトウェアの保有数および割り当てライセンス数も加算されます。

開発部※2

2

2

開発部だけの値(開発部、開発部/A課、および開発部/B課の累計値)が表示されます。

ソフトウェアライセンス情報に部署を設定していない場合は、保有数および残数が「−」(ハイフン)で表示されます。

開発部/A課※2

1

1

開発部/A課だけの値が表示されます。

ソフトウェアライセンス情報に部署を設定していない場合は、保有数および残数が「−」(ハイフン)で表示されます。

開発部/B課※2

1

1

開発部/B課だけの値が表示されます。

ソフトウェアライセンス情報に部署を設定していない場合は、保有数および残数が「−」(ハイフン)で表示されます。

(凡例)−:該当なし

注 メニューエリアで[ソフトウェアライセンス状況一覧]をクリックした場合は、表中の全項目が表示されます。

注※1 メニューエリアで[(全部署累計)]をクリックした場合に表示される項目です。

注※2 メニューエリアで[開発部]をクリックした場合に表示される項目です。

重要
  • JP1/IT Desktop Management 09-51およびJob Management Partner 1/IT Desktop Management 10-01で、ライセンス消費数のカウント方法が変更になりました。バージョンアップした場合、ライセンス消費数が変わることがあります。

    ライセンス消費数には、管理ソフトウェアに対応するインストールソフトウェアのインストール数が表示されます。JP1/IT Desktop Management 09-51およびJob Management Partner 1/IT Desktop Management 10-01では、同じ管理ソフトウェアに対応するソフトウェアが1台のコンピュータに複数インストールされている場合、それぞれをカウントしていました。JP1/IT Desktop Management 09-51以降およびJob Management Partner 1/IT Desktop Management 10-01以降は、同じ管理ソフトウェアに対応するソフトウェアが1台のコンピュータに複数インストールされている場合、1ライセンスの消費としてカウントされるようになります。

  • Windowsストアアプリは、実際に購入したライセンス数とJP1/IT Desktop Management 2で検知するライセンス数が異なる場合があります。JP1/IT Desktop Management 2では、該当ソフトウェアがインストールされている機器の台数をライセンス数として検知しますが、Windowsストアアプリは機器ごとではなくアカウントごとにライセンスが割り当てられるためです。

〈この項の構成〉

(1) 管理ソフトウェア情報の管理

資産画面の[管理ソフトウェア]画面で、管理ソフトウェア情報を登録して管理できます。

管理ソフトウェア情報を登録するには、手動で登録する方法と、管理ソフトウェア情報のCSVファイルを作成しインポートする方法があります。

対応するソフトウェアの追加や変更があった場合は、管理ソフトウェア情報をメンテナンスして最新の状態を保つようにします。

なお、管理ソフトウェア情報をエクスポートして、編集したCSVファイルをインポートすることで一括更新することもできます。また、管理が不要になった管理ソフトウェア情報は削除することもできます。

管理ソフトウェア情報を登録すると、管理ソフトウェアごとのソフトウェアライセンスの利用状況を、資産画面の[ソフトウェアライセンス状況]画面で確認できるようになります。

(2) ライセンス状態の管理

ソフトウェアライセンス情報には、ライセンスが使用中なのか滅却済みなのかといった[ライセンス状態]を設定できます。[ライセンス状態]を設定することで、所有しているソフトウェアライセンスを一覧で把握できるだけでなく、滅却済みのソフトウェアライセンスをあわせて把握できるようになります。

ライセンス状態には次の種類があります。

使用中 

ソフトウェアライセンスが使用中であることを意味します。

滅却 

ソフトウェアライセンスが滅却済みであることを意味します。

このほかに、管理者が任意の項目を追加できます。項目はデフォルトの項目とは別に100種類まで登録できます。

予定ライセンス状態の管理

将来変更する予定のライセンス状態を設定できます。予定ライセンス状態を設定することで、ライセンス管理の作業予定を把握できます。設定できる状態の項目は、ライセンス状態の項目と同じです。

例えば、「使用中」のソフトウェアライセンスに対して、予定ライセンス状態「滅却」と変更予定日を設定しておくことで、そのソフトウェアライセンスを滅却処理する予定日を把握できるようになります。

設定できる予定ライセンス状態の種類は、ライセンス状態と同じです。

なお、予定ライセンス状態は、変更予定日を過ぎても自動的には変更されません。変更予定日を目安に、管理者がライセンス状態を変更する必要があります。ライセンス状態を予定ライセンス状態の状態に変更すると、予定ライセンス状態と変更予定日の設定値がクリアされます。

(3) ソフトウェアライセンス情報の管理

資産画面の[ソフトウェアライセンス]画面で、ソフトウェアライセンスの保有数、対象となる契約情報、部署などの情報を登録して管理できます。

ソフトウェアライセンスを管理するかどうか検討する際は、ソフトウェア種別を判断基準にできます。例えば、ソフトウェア種別が有償ソフトウェアのソフトウェアライセンスだけを管理することもできます。ソフトウェア種別は、SAMAC辞書の情報をオフライン更新すると、資産画面の管理ソフトウェア一覧の[インストールソフトウェア]タブ、または機器画面のソフトウェア一覧に表示されます。

管理が必要と判断したソフトウェアライセンスは、割り当て先の変更、ソフトウェアの滅却、対象となる契約の追加や削除などの情報をメンテナンスして、ソフトウェアライセンス情報を最新の状態に保つようにします。

ソフトウェアライセンス情報を登録するには、手動で登録する方法と、ソフトウェアライセンス情報をいったんエクスポートして、編集したCSVファイルを作成しインポートする方法があります。

また、管理が不要になったソフトウェアライセンス情報は削除することもできます。

関連リンク

(4) 棚卸日の更新方法

ハードウェア資産情報およびソフトウェアライセンス情報の[棚卸日]を更新できます。[棚卸日]を更新すると、棚卸で確認できなかった資産がないかどうかを確認できます。

手動で棚卸日を更新する 

[棚卸日]を更新する資産情報を選択して、[棚卸日]を更新します。手もとにある少数の資産を、個別に棚卸する場合にお勧めします。

CSVファイルを基に棚卸日を一括更新する 

[資産管理番号]または[ライセンス管理番号]が記載されたCSVファイルを利用して、[棚卸日]を一括更新します。各資産情報の[棚卸日]は同じ日付になります。この方法は、バーコードリーダーを利用して棚卸する場合にお勧めします。バーコードリーダーで読み取った資産管理番号またはライセンス管理番号の一覧を、CSVファイルで出力してください。

棚卸日の自動更新を設定する 

ハードウェア資産情報の場合、棚卸日を自動更新するように設定できます。JP1/IT Desktop Management 2は、機器のネットワーク接続、機器の利用者の入力、オフライン管理のコンピュータから取得した機器情報の通知で機器の存在を確認します。機器の存在を確認できたら、棚卸日が自動更新されます。棚卸の手間を省きたい場合にお勧めします。

重要

ハードウェア資産情報の場合、[棚卸日の自動更新の設定]ダイアログで[利用者による[利用者情報の入力]画面の入力が完了した日を、棚卸日とする]を選択している場合でも、機器画面の[機器情報]−[機器一覧]画面で、[操作メニュー]から[最新の情報を取得する]を選択したとき、棚卸日が自動更新されます。

ヒント

ハードウェア資産情報およびソフトウェアライセンス情報をインポートして、[棚卸日]を一括更新することもできます。この場合は、各資産情報の[棚卸日]に異なった日付を設定できます。

(5) ソフトウェアライセンスの割り当て管理

コンピュータにソフトウェアライセンスを割り当てて管理することで、未許可でソフトウェアをインストールしているコンピュータや、利用許可しているのに利用されていないソフトウェアライセンスを把握できるようになります。

コンピュータにソフトウェアライセンスを割り当てて管理するためには、ソフトウェアライセンス情報に割り当てるコンピュータを指定します。そのあと、管理ソフトウェア情報を登録する際に、割り当て先を指定したソフトウェアライセンス情報を関連づけます。これによって、ソフトウェアがインストールされているコンピュータの情報と、ソフトウェアライセンスの割り当て先が比較され、割り当てどおりにソフトウェアライセンスが利用されているかどうかを確認できるようになります。コンピュータにソフトウェアライセンスを割り当てて管理する仕組みを、次の図に示します。

[図データ]

ソフトウェアが割り当てどおりに使われているかどうかは、資産画面の[管理ソフトウェア]画面の[インストール済みコンピュータ]タブおよび[割り当て済みコンピュータ]タブで確認できます。

[インストール済みコンピュータ]タブでは、管理ソフトウェア情報に指定したソフトウェアがインストールされているコンピュータが表示されます。このタブで、[未割り当てコンピュータだけを表示する]をチェックしてソフトウェアライセンスを割り当てていないコンピュータを表示すると、未許可でソフトウェアをインストールしているコンピュータを把握できます。

[割り当て済みコンピュータ]タブでは、ソフトウェアライセンスを割り当てたコンピュータが表示されます。このタブで、[未インストールのコンピュータだけを表示する]をチェックしてソフトウェアライセンスを割り当てているのにインストールしていないコンピュータを表示すると、利用されていないソフトウェアライセンスを把握できます。

ヒント

ioutils importassetassocコマンドでもソフトウェアライセンスの割り当てができます。

(6) 契約情報と関連づけたソフトウェアライセンス情報の管理

ソフトウェアライセンス情報は、対応する契約情報を設定できます。

ソフトウェアライセンスに対応する契約を設定することで、どのソフトウェアライセンスに対してどの契約を結んでいるのかを把握できるようになります。また、レポートでソフトウェアライセンスに掛かる運用コストを確認できるようになります。

[図データ]

ソフトウェアライセンス情報と契約情報はn対1で対応づけられます。

ヒント

ioutils importassetassocコマンドでもソフトウェアライセンス情報と契約情報の対応づけができます。

(7) アップグレードライセンスとダウングレードライセンスの管理

ソフトウェアのアップグレードやダウングレードが発生する場合、それらのソフトウェアライセンス情報を登録して管理できます。

アップグレードライセンスとダウングレードライセンスを管理する場合、ソフトウェアライセンス情報の登録方法が通常と異なります。

アップグレードライセンスを登録する場合

ソフトウェアをアップグレードする場合、[アップグレード元ライセンス名]にアップグレード元のソフトウェアライセンス情報を登録します。

例えば、「ソフトウェアA」の「Ver 2」のソフトウェアライセンスを10個保有していて、「Ver 3」のアップグレードライセンスを7個購入した場合、「Ver 3」のソフトウェアライセンス情報を登録するときに、[アップグレード元ライセンス名]に「Ver 2」のソフトウェアライセンス情報を指定します。これによって、「Ver 2」のライセンス数は重複してカウントされないよう10から3に自動的に変更され、アップグレード後のライセンス数を正しく管理できるようになります。

ヒント

ioutils importassetassocコマンドでもアップグレードライセンスの登録ができます。

ダウングレードライセンスを登録する場合

ソフトウェアをダウングレードする場合、ダウングレード先の管理ソフトウェア情報に、ダウングレードできるソフトウェアライセンス情報を登録します。

例えば、「ソフトウェアA」の「Ver 2」のソフトウェアライセンスを5個、「Ver 3」のソフトウェアライセンスを10個保有していて、「Ver 3」のソフトウェアライセンス6個を「Ver 2」にダウングレードする場合、「Ver 3」のソフトウェアライセンス情報を通常のソフトウェアライセンス4個と、ダウングレード用ライセンス6個に分けて登録します。ダウングレード用のソフトウェアライセンス情報には、「Ver 2」の管理ソフトウェア情報を指定します。これによって、「Ver 3」は4個、「Ver 2」はダウングレードライセンスと合わせて11個保有しているようになり、ダウングレード後のライセンス数を正しく管理できるようになります。

ヒント

ioutils importassetassocコマンドでもダウングレードライセンスの登録ができます。