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JP1 Version 12 JP1/Network Node Manager i セットアップガイド


19.4.3 HA用にNNMiを設定する(Windowsの場合)

ここでは,Windows環境でHA用にNNMiを設定する手順を説明します。

NNMiのHA設定では,新規にNNMi用のリソースグループを作成します。このため,対象のリソースグループがない状態から設定作業を行ってください。

NNMiのHA設定を行うスクリプト(nnmhaconfigure.ovpl)は,内部的にクラスタソフトに対してリソースグループや各リソースを作成する処理を行います。設定作業が完了すると,次のリソースグループが設定されます。

表19‒4 WSFCでのNNMi用リソースグループの構成

リソースの名前

リソースの種類

説明

仮想ホスト名

ネットワーク名

仮想ホスト名を制御する

<resource_group>-IP

IPアドレス

仮想IPアドレスを制御する

<resource_group>-mount

物理ディスク

共有ディスクを制御する

<resource_group>-APP

汎用スクリプト

NNMiの起動/停止/監視を制御する

WSFCの場合,nnmhaconfigure.ovplcluster.exeなどのコマンドを内部的に実行して上記のリソースの設定処理を行います。

〈この項の構成〉

(1) WSFCの各リソースの設定内容の例

設定が完了したときのWSFCの各リソースの設定内容の例を次に示します。なお,<resource_group>の部分はHAリソースグループ名に置き換わります。

表19‒5 <ネットワーク名リソース>

項目

詳細

[全般]

  • リソース名:(仮想ホスト名)

  • リソースの種類:ネットワーク名

  • DNS名:(仮想ホスト名)

  • フルネーム:(仮想ホスト名).test.com

  • ネットワーク:192.168.100.0/24

  • IPアドレス:192.168.100.24

  • NetBIOS状態:OK

  • DNS状態:OK

  • kerberos状態:OK

[依存関係]

<IPアドレスリソース>

[ポリシー]

  • [リソースが失敗状態になった場合は,現在のノードで再起動を試みる]を有効

    再起動間隔:15:00

    指定期間内での再起動の試行回数:0

  • [再起動に失敗した場合は,このサービスまたはアプリケーションのすべてのリソースをフェールオーバーする]を有効

  • 保留タイムアウト:03:00

[詳細なポリシー]

  • 基本的なリソース正常性チェックの間隔[リソースの種類の標準間隔を使用する]

  • 完全なリソース正常性チェックの間隔[リソースの種類の標準間隔を使用する]

  • [このリソースを別のリソース モニタで実行する]を無効

表19‒6 <IPアドレスリソース>

項目

詳細

[全般]

  • リソース名:<resource_group>-IP

  • リソースの種類:IPアドレス

  • ネットワーク:192.168.100.0/24

  • 静的IPアドレス:192.168.100.24

  • [このアドレスのNetBIOSを有効にする]を有効

[依存関係]

依存関係なし

[ポリシー]

  • [リソースが失敗状態になった場合は,現在のノードで再起動を試みる]を有効

    再起動間隔:15:00

    指定期間内での再起動の試行回数:0

  • [再起動に失敗した場合は,このサービスまたはアプリケーションのすべてのリソースをフェールオーバーする]を有効

  • 保留タイムアウト:03:00

[詳細なポリシー]

  • 基本的なリソース正常性チェックの間隔[リソースの種類の標準間隔を使用する]

  • 完全なリソース正常性チェックの間隔[リソースの種類の標準間隔を使用する]

  • [このリソースを別のリソース モニタで実行する]を無効

注※ DHCPは有効にしません。

表19‒7 <物理ディスクリソース>

項目

詳細

[全般]

  • リソース名:<resource_group>-mount

  • リソースの種類:物理ディスク

  • ボリューム:Y:

[依存関係]

依存関係なし

[ポリシー]

  • [リソースが失敗状態になった場合は,現在のノードで再起動を試みる]を有効

    再起動間隔:15:00

    指定期間内での再起動の試行回数:0

  • [再起動に失敗した場合は,このサービスまたはアプリケーションのすべてのリソースをフェールオーバーする]を有効

  • 保留タイムアウト:03:00

[詳細なポリシー]

  • 基本的なリソース正常性チェックの間隔[リソースの種類の標準間隔を使用する]

  • 完全なリソース正常性チェックの間隔[リソースの種類の標準間隔を使用する]

  • [このリソースを別のリソース モニタで実行する]を無効

表19‒8 <汎用スクリプトリソース>

項目

詳細

[全般]

  • リソース名:<resource_group>-APP

  • リソースの種類:汎用スクリプト

  • スクリプトのパス

    %NnmDataDir%hacluster/<resource_group>/hamscs.vbs

[依存関係]

<ネットワーク名リソース>,<IPアドレスリソース>および <ディスクリソース>

[ポリシー]

  • [リソースが失敗状態になった場合は,現在のノードで再起動を試みる]を有効

    再起動間隔:15:00

    指定期間内での再起動の試行回数:0

  • [再起動に失敗した場合は,このサービスまたはアプリケーションのすべてのリソースをフェールオーバーする]を有効

  • 保留タイムアウト:30:00

[詳細なポリシー]

  • 基本的なリソース正常性チェックの間隔[リソースの種類の標準間隔を使用する]

  • 完全なリソース正常性チェックの間隔[リソースの種類の標準間隔を使用する]

    [このリソースを別のリソース モニタで実行する]を有効

注※

スクリプトのパスは,環境変数を展開したフルパスが設定されます。

(例)

C:/ProgramData/Hitachi/Cm2NNMi/hacluster/jp1ha1/hamscs.vbs

(2) プライマリクラスタノードでのNNMiの設定

プライマリクラスタノードで次の手順を実行します。

(a) 前準備

  1. 19.2 HA用NNMiを設定するための前提条件の検証」の作業が完了していることを確認する。

  2. NNMiがインストールされていない場合は,インストールする。そして,NNMiが正しく動作することを確認する。

  3. 次のコマンドを使って,NNMi設定をバックアップする。

    (例)

    nnmbackup.ovpl -scope all -target nnmi_backups

    このコマンドの詳細については,「20. NNMiのバックアップおよびリストアツール」を参照してください。

    NNMiのクラスタ環境構成において初期状態では,プライマリクラスタノードのデータと,セカンダリクラスタノードのデータが完全に一致している必要があります。このため,ここで取得したバックアップデータを,セカンダリクラスタノードの設定手順でリストアし,データを一致させます。

(b) データの共有ディスクへのコピー

  1. NNMi HAリソースグループ用に,共有ディスクを用意する。

    Windows Explorerとディスクの管理ツールを使用してドライブ名を割り当てます。

    重要

    用意した共有ディスクが,次の条件を満たすことを確認してください。

    • ディスクの管理ツールを使用して,共有ディスクで[オンライン]と表示されるようにします。[予約]と表示される場合,これはWSFCが共有ディスクを制御することを示しています。WSFCユーザーインタフェースから[削除]アクションを使用して,共有ディスクをWSFCコントロールから削除します。また,ディスクの管理ツールを使用して,[予約]フラグが[オンライン]に変更されることも確認します。

    • フォーマット済みである

    • 十分な空き容量がある

    • ほかのリソースグループで使用されていない

    • 管理者権限のユーザーへの「フルコントロール」,およびビルトインLocal Serviceユーザー(Usersグループ)への「読み取りと実行」の権限がある

  2. NNMiを停止する。

    %NnmInstallDir%bin\ovstop -c
    net stop NnmTrapReceiver
  3. NNMiファイルを共有ディスクにコピーする。

    %NnmInstallDir%misc\nnm\ha\nnmhadisk.ovpl NNM -to <HA_mount_point>
    重要

    <HA_mount_point>には,共有ディスクのドライブまたは共有ディスクドライブ配下の任意のディレクトリを指定します(例 Y:またはY:\JP1など)。

    ディレクトリ名に空白を含めることはできません。

    指定したパス直下に,ディレクトリ「NNM」が作成されます(例 Y:\NNM または Y:\JP1\NNM)。

    格納先ディレクトリ名は変更できません。

(c) NNMiのHA設定

  1. NNMi HAリソースグループを新規に作成する。

    %NnmInstallDir%misc\nnm\ha\nnmhaconfigure.ovpl NNM

    このコマンドの設定項目については,「19.9.2 NNMiに付属しているHA設定スクリプト」を参照してください。

    共有ディスクタイプはnoneではなく,必ずdiskを指定してください。また,共有ディスクのパスは,(b)の手順3.で指定したパスを指定してください。

    (設定例)

    HA設定項目は,nnmhaconfigure.ovplに対話形式で入力する項目を表示順に並べています。「19.4.2 HA用にNNMiを設定する」の「表19‒3 NNMi HAプライマリクラスタノードの設定情報」の説明によって検討した内容を入力してください。

    HA設定項目

    設定例

    HAリソースグループの名前

    jp1ha1

    仮想ホストの名前

    lhost1

    仮想ホストのネットワークインタフェース

    ローカルエリア接続

    共有ファイルシステムのタイプ

    disk(必ずdiskを指定)

    マウントするディレクトリ

    Yドライブ

    重要

    設定コマンドを実行する前に,次の注意事項を確認してください。

    • 既にほかのリソースグループやリソースで使われている値をnnmhaconfigure.ovplに指定すると,リソースの作成が失敗するなどエラーが発生します。ほかで使われていないことを確認してから,nnmhaconfigure.ovplを実行してください。

    • 既に使われているリソースグループ名,IPアドレスやディスクを指定した場合,リソースを作成するために実行したクラスタソフトのコマンドがエラーとなります。エラー発生時点でnnmhaconfigure.ovplは異常終了し,それまでに作成されたリソースグループやリソースは残ったままとなります。エラーを対処してnnmhaconfigure.ovplを再実行する前に,クラスタソフトの操作で残っているリソースを削除してください。

    • 仮想アドレスを設定するネットワークインタフェースは次を確認してください。

    • フェイルオーバークラスタ管理コンソールの[ネットワーク]で論理IPアドレスのネットワークアドレスを含むリソースを確認します。

    (実行例)

    設定例の値を指定した場合の画面表示例です。" ? "の後ろが入力する項目です。

    C:\Program Files (x86)\Hitachi\Cm2NNMi\misc\nnm\ha>nnmhaconfigure.ovpl NNM
    質問: HA リソース グループの名前を入力してください:  ? jp1ha1
     
    プライマリ ノードの設定が検出されました。
     
    質問: 有効な仮想ホストの名前を入力してください:  ? lhost1
    使用可能なネットワーク インタフェース:
     
    ネットワーク サブネット マスク  ネットワーク インタフェース
    255.255.255.0           クラスタ ネットワーク 3
    255.255.255.0           クラスタ ネットワーク 1
     
    選択可能な値:
    1: クラスタ ネットワーク 3
    2: クラスタ ネットワーク 1
    質問: 仮想ホストのネットワーク インタフェースを入力してください:  ? 2
    選択可能な値:
    1: disk
    2: none
    質問: 共有ファイル システムのタイプを入力してください (disk,none):  ? 1
    質問: ディスクをマウントするディレクトリを入力してください:  ? Y:
    リソース グループを作成しています。
     
    リソース グループ 'jp1ha1' を作成しています...
     
    グループ             ノード          状態
    -------------------- --------------- ------
    jp1ha1               NNMX64-33       オフライン
     
     
    リソース 'lhost1' を作成しています...
     
    リソース             グループ             ノード          状態
    -------------------- -------------------- --------------- ------
    lhost1               jp1ha1               NNMX64-33       オフライン
     
     
    リソース 'lhost1' をリソース 'jp1ha1-IP' に依存させています...
     
    HA 値の C:/ProgramData/Hitachi/Cm2NNMi/shared/nnm/conf/ov.conf を設定しています。
    HP OpenView Process Manager サービスの自動スタートアップを無効にしています。
    [SC] ChangeServiceConfig SUCCESS
    注: 指定されている仮想ホスト名に一致するようにNNMi FQDNを更新しています。fqdn を lhost1.xxx.xxx に設定しています
     
    ドメインを xxx.xxx に設定しています
     
    Microsoft (R) Windows Script Host Version 5.7
    Copyright (C) Microsoft Corporation 1996-2001. All rights reserved.
     
    新しい SSL 証明書を生成しています。
     
    lhost1.xxx.xxx.selfsigned のキーストアの証明書を生成しています。
    [成功]
     
    生成された証明書をトラストストアにエクスポートしています。
     
    証明書がファイル<temporary.cert>に保存されました。
    証明書がキーストアに追加されました。
     
    C:\Program Files (x86)\ Hitachi\Cm2NNMi\misc\nnm\ha>
  2. 監視プロセスに異常が発生した場合,フェイルオーバーするよう<resource_group>を設定する。

    <resource_group>-APPのプロパティを開き,[ポリシー]タブを押下する。

    [リソースが失敗状態になった場合は,現在のノードで再起動を試みる]が選択されていることを確認し,[指定期間内での再起動の試行回数]を0に設定する。

    [再起動の試みがすべて失敗した場合は,指定した時間(hh:mm)後にもう一度再起動を開始する(S)]にチェックがある場合は外してください。

    重要

    <resource_group>および<resource_group>に登録したリソースの設定によって,エラー発生時の動作などを指定します。各設定項目の役割についてはクラスタサービスのヘルプを参照ください。

  3. プライマリクラスタノード上で,NNMTrapReceiverサービスの自動起動を無効にする。

    スタートメニューの[管理ツール][サービス][NNM Trap Receiver]および[NNM Trap Receiver Manager]を選択し,「スタートアップの種類」を「手動」に設定してください。

  4. プライマリクラスタノード上で,クラスタサービスを再起動する。

    再起動によって,これまでの設定内容が反映され,NNMiの環境変数が読み込まれます。なおnet stop ClusSvc,net start ClusSvcコマンドを実行することで,サービスの起動停止ができます。

    重要

    HTTPS通信を使用してNNMiサーバーにアクセスする場合,証明書を使用するように設定します。詳細については,「10.3.6 高可用性環境での証明書の使用」を参照してください。

(d) 起動の確認

  1. NNMi HAリソースグループを起動する。

    起動コマンドは,プライマリクラスタノードで実行します。

    • 次の起動コマンドを実行します。

    %NnmInstallDir%misc\nnm\ha\nnmhastartrg.ovpl NNM <resource_group>

    これで,NNMiがHA下で動作するようになりました。

    重要

    HA構成のNNMiの通常のオペレーションでは,ovstartコマンドやovstopコマンドは使わないでください。これらのコマンドは,メンテナンスを目的として操作手順に明示されている場合だけ使用します。HA構成のNNMiの起動や停止は,クラスタソフトの操作によってHAリソースグループを起動または停止するようにしてください。

(3) セカンダリクラスタノードでのNNMiの設定

(a) 前準備

  1. 19.2 HA用NNMiを設定するための前提条件の検証」の作業が完了していることを確認する。

  2. NNMiがインストールされていない場合は,NNMiをインストールし,正しく動作することを確認する。

  3. リストアをする。

    (2) プライマリクラスタノードでのNNMiの設定」の(a)の手順3.で取得したバックアップデータをセカンダリクラスタノードにリストアします。

    %NnmInstallDir%bin\nnmrestore.ovpl -force -partial -source <backup_data>

    このコマンドの詳細については,「20. NNMiのバックアップおよびリストアツール」を参照してください。

(b) NNMiのHA設定

  1. NNMiを停止する。

    %NnmInstallDir%bin\ovstop -c
    net stop NnmTrapReceiver
  2. NNMi HAリソースグループを設定する。

    %NnmInstallDir%misc\nnm\ha\nnmhaconfigure.ovpl NNM

    コマンドの要求に応じて,HAリソースグループ名を指定します。

    (実行例)

    C:\Program Files (x86)\Hitachi\Cm2NNMi\misc\nnm\ha>nnmhaconfigure.ovpl NNM
    質問: HA リソース グループの名前を入力してください:  ? jp1ha1
    セカンダリ ノードの設定が検出されました。
     
    HP OpenView Process Manager サービスの自動スタートアップを無効にしています。
    [SC] ChangeServiceConfig SUCCESS
    注: 指定されている仮想ホスト名に一致するようにNNMi FQDNを更新しています。fqdn を lhost1.xxx.xxx に設定しています
     
    ドメインを xxx.xxx に設定しています
     
    Microsoft (R) Windows Script Host Version 5.7
    Copyright (C) Microsoft Corporation 1996-2001. All rights reserved.
     
    新しい SSL 証明書を生成しています。
     
    C:\Program Files (x86)\ Hitachi\Cm2NNMi\misc\nnm\ha>
  3. セカンダリクラスタノード上で,NNMTrapReceiverサービスの自動起動を無効にする。

    スタートメニューの[管理ツール][サービス][NNM Trap Receiver]および[NNM Trap Receiver Manager]を選択し,「スタートアップの種類」を「手動」に設定してください。

  4. 設定が正常に行われたことを確認する。

    %NnmInstallDir%misc\nnm\ha\nnmhaclusterinfo.ovpl -group <resource_group> -nodes

    このコマンドの出力には,指定したHAリソースグループに設定されたすべてのノードがリストされます。

  5. セカンダリクラスタノード上で,クラスタサービスを再起動する。

    再起動によって,これまでの設定内容が反映され,NNMiの環境変数が読み込まれます。なおnet stop ClusSvcnet start ClusSvcコマンドを実行することで,サービスの起動停止ができます。

  6. (任意)プライマリクラスタノードのリソースグループをオフラインにし,セカンダリクラスタノードのリソースグループをオンラインにすることで,設定をテストする。

    重要

    作成したリソースグループについて,リソースグループおよびリソースの設定をNNMiの標準値から変更することでサービスが正常に起動しないなどの問題が発生するおそれがあります。

    特に,次の設定を標準値より小さい値に変更する場合は,注意が必要です。

    • リソースに障害が発生したときに,Clusterサービスがリソースを再起動するまでの期間

    WSFC標準インストールの場合

    <resource_group>-APPのプロパティ[ポリシー]タブの保留タイムアウトの値(標準設定値30:00分)

    <resource_group>-APPDeadlockTimeoutの値(標準設定値2,700,000ミリ秒)