4.3.4 セットアップ
ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
- 注意
-
JPC_HOSTNAME環境変数は,Performance Managementで使用していますので,環境変数として設定しないでください。誤って設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。
- 〈この項の構成〉
(1) PFM - Agent for Exchange Serverを登録する
Performance Managementシステムに,PFM - Agent for Exchange Serverを追加する場合には,PFM - Agent for Exchange Serverを登録するためのセットアップが必要です。
PFM - Agent for Exchange Serverの登録は,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleで実施します。PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合は,PFM - Agentは自動的に登録されるため,登録作業は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは,手動で登録する必要があります。PFM - Agent for Exchange Serverのデータモデルのバージョンについては,「付録H バージョン互換」を参照してください。
PFM - Agent for Exchange Serverを登録する手順は非クラスタシステムの場合と同じです。登録手順については,「3.4.2 PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleへのPFM - Agent for Exchange Serverの登録」を参照してください。
(2) 実行系ノードの論理ホスト環境をセットアップする
実行系ノードで,PFM - Agent for Exchange Serverの論理ホスト環境をセットアップします。
- 注意
-
セットアップを実施する前に,Performance Managementシステム全体で,Performance Managementのプログラムのサービスをすべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
(a) 共有ディスクをオンラインにする
共有ディスクがオンラインになっていることを確認します。共有ディスクがオンラインになっていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオンラインにしてください。
(b) PFM - Agent for Exchange Serverの論理ホスト環境をセットアップする
jpcconf ha setupコマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義が設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
手順を次に示します。
-
jpcconf ha setupコマンドを実行して,PFM - Agent for Exchange Serverの論理ホスト環境を作成する。
次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha setup -key agty -lhost jp1-halsr -d S:\jp1
論理ホスト名は,-lhostで指定します。ここでは,論理ホスト名をjp1-halsrとしています。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。
共有ディスクのディレクトリ名は,-dの環境ディレクトリ名に指定します。例えば-d S:\jp1と指定するとS:\jp1\jp1pcが作成されて,論理ホスト環境のファイルが作成されます。
-
jpcconf ha listコマンドを実行して,論理ホストの設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha list -key all
作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。
(c) 接続先PFM - Managerを設定する
jpcconf mgrhost defineコマンドを実行して,PFM - Agent for Exchange Serverを管理するPFM - Managerを設定します。なお,PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合は自動的に登録されるため,登録作業は不要です。
-
jpcconf mgrhost defineコマンドを実行して,接続先PFM - Managerを設定する。
次のようにコマンドを実行します。
jpcconf mgrhost define -host jp1-hal -lhost jp1-halsr
接続先PFM - Managerのホスト名は,-hostオプションで指定します。接続先PFM - Managerが論理ホスト運用されている場合は,-hostオプションに接続先PFM - Managerの論理ホスト名を指定します。ここでは,PFM - Managerの論理ホスト名をjp1-halとしています。
また,PFM - Agent for Exchange Serverの論理ホスト名は,-lhostで指定します。ここでは,PFM - Agent for Exchange Serverの論理ホスト名をjp1-halsrとしています。
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf mgrhost defineコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf mgrhost defineコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
(d) Outlookを使用し,Administrator権限でユーザープロファイルを作成する
Unused Mailboxesレコードを収集するには,PFM - Agent for Exchange ServerがExchange Serverへログオンするために使用するユーザープロファイルの設定が,exchange.iniファイルに必要です。
また,監視テンプレートのUnused Mail Boxレポートを表示する場合も,Unused Mailboxesレコードのデータを表示するので,ユーザープロファイルの設定が必要です。
ユーザープロファイルは,exchange.iniファイルの項目中,次の項目を更新してください。
-
ExchangeServerName=Exchange Serverのサーバ名
-
ProfileName=Outlookで作成したプロファイルの名称
-
Password=プロファイルのパスワード
物理ホストの場合は,インストール先フォルダ\agty\agent配下のexchange.iniを更新してください。
論理ホストの場合は,環境ディレクトリ\agty\agent配下のexchange.iniを更新してください。
- 記載例:
-
ExchangeServerName=ec1nec103323
ProfileName=PFMTest
Password=abcde
- 注意:
-
ProfileNameには半角の空白文字は指定できますが,全角文字(全角の空白文字含む),半角特殊文字(半角カナ含む)は指定できません。
(e) メッセージ追跡ログの参照先を設定する
PI_ORF,PI_OST,PI_ORT,PI_IT,PI_IF,PI_OSF,PD_TR,PD_TSレコードを収集する際に,Exchange Serverのメッセージ追跡ログディレクトリの場所を変更した場合は,メッセージ追跡ログディレクトリの設定がexchange.iniファイルに必要です。
物理ホストの場合は,インストール先フォルダ\agty\agent配下のexchange.iniを更新してください。
論理ホストの場合は,環境ディレクトリ\agty\agent配下のexchange.iniを更新してください。
- 記載例:
-
ExchTransportMessageTrackingPath=C:\MessageTracking
- 注意:
-
メッセージ追跡ログディレクトリの場所をデフォルトから変更しなければ,「ExchTransportMessageTrackingPath」項目の値は設定不要です。
その場合は,デフォルトのメッセージ追跡ログディレクトリから情報を取得します。
この項目は247バイト以内で指定してください。
(f) 外部メール判定を設定する
PI_ORF,PI_OST,PI_ORT,PI_OSFレコードを収集する際は,組織内に構築したエッジトランスポート役割サーバのIPアドレスの設定がexchange.iniファイルに必要です。
物理ホストの場合は,インストール先フォルダ\agty\agent配下のexchange.iniファイルを更新してください。
論理ホストの場合は,環境ディレクトリ\agty\agent配下のexchange.iniファイルを更新してください。
- 記載例:
-
ExchInternalIP=172.16.233.10,172.16.233.11,172.16.233.12
- 注意:
-
複数のIPアドレスを設定する場合は,「,(コンマ)」で区切ります。
Exchange ServerのIPアドレスを,「ExchInternalIP=」も含めて1,024バイト以内の半角数字で設定します。
IPアドレスの指定をIPv4形式とIPv6形式の両方で指定してください。なお,IPv6形式の記述時は,末尾インターフェース情報(%以降)を削除してください。
(g) PI_MQレコードの収集処理オプションを設定する
Message Queues(PI_MQ)のレコードを収集するには,PI_MQレコードの収集処理オプションの設定がExchangeRecord.iniファイルに必要です。
ハブトランスポート機能とメールボックス機能が同じサーバに構築されていれば「0」を,別のサーバに構築されていれば「1」を設定します。
物理ホストの場合は,インストール先フォルダ\agty\agent配下のExchangeRecord.iniファイルを更新してください。
論理ホストの場合は,環境ディレクトリ\agty\agent配下のExchangeRecord.iniファイルを更新してください。
- 記載例:
-
PI_MQOPTION=1
- 注意:
-
「0」,「1」以外,または未設定の場合は,「0」と判断します。
ExchangeRecord.iniがない場合は,「0」と判断します。
デフォルトでは,0(同じ)が設定されています。
PI_MQレコードの収集処理オプションの設定の更新を反映させるには,PFM - Agent for Exchange Serverを再起動してください。
(h) その他のPerformance Managementプログラムの論理ホスト環境をセットアップする
PFM - Agent for Exchange Serverのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」,または各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
(i) ネットワークの設定をする
ファイアウォールがあるネットワーク環境でPerformance Managementのプログラムを運用する場合だけに必要な設定です。ファイアウォール経由でPerformance Managementのプログラム間の通信をする場合には,jpcconf port defineコマンドを使用してポート番号を設定します。
ポート番号の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Windows用のインストールとセットアップについて説明している章と,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
また,複数のLANに接続されたネットワーク環境でPerformance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを指定したい場合は,IPアドレスの設定をします。IPアドレスを設定したい場合は,jpchostsファイルの内容を直接編集します。
IPアドレスの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のWindows用のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
- 注意
-
jpchostsファイルを編集した場合は,jpchostsファイルを実行系ノードから待機系ノードにコピーしてください。
(j) ログのファイルサイズ変更をする
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。このファイルサイズを変更したい場合にだけ,必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Windows用のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
(k) パフォーマンスデータの格納先を変更する
PFM - Agentで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のディレクトリを変更したい場合にだけ必要な設定です。設定方法については,「3.7.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
(l) 動作ログ出力を設定する
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。
設定方法については,「付録I 動作ログの出力」を参照してください。
(m) 論理ホスト環境定義をエクスポートする
PFM - Agent for Exchange Serverの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。
-
jpcconf ha exportコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をエクスポートする。
これまでの手順で作成した論理ホスト環境の定義情報を,エクスポートファイルに出力します。エクスポートファイル名は任意です。
例えば,lhostexp.txtファイルに論理ホスト環境定義をエクスポートする場合,次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha export -f lhostexp.txt
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf ha exportコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf ha exportコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
(n) 論理ホスト環境定義ファイルを待機系ノードにコピーする
「(m) 論理ホスト環境定義をエクスポートする」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
(o) 共有ディスクをオフラインにする
クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオフラインにして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,オフラインにする必要はありません。
(3) 待機系の論理ホスト環境をセットアップする
待機系ノードで,PFM - Agent for Exchange Serverの論理ホスト環境をセットアップします。
(a) 論理ホスト環境定義をインポートする
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha importコマンドを使用します。1つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをオンラインにしておく必要はありません。
-
jpcconf ha importコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をインポートする。
次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha import -f lhostexp.txt
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf ha importコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf ha importコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
コマンドを実行すると,待機系ノードの環境を,エクスポートファイルの内容と同じ環境になるように設定変更します。これによって,論理ホストのPFM - Agent for Exchange Serverを起動するための設定が実施されます。
また,セットアップ時にjpcconf port defineコマンドで固定のポート番号を設定している場合も,同様に設定されます。
-
jpcconf ha listコマンドを実行して,論理ホスト設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha list -key all
実行系ノードでjpcconf ha listコマンドを実行した時と同じ内容が表示されることを確認してください。
(4) クラスタソフトへ登録する
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
ここでは,PFM - Agent for Exchange Serverをクラスタソフトに登録するときに設定する内容を説明します。
(a) クラスタソフトへPFM - Agent for Exchange Serverを登録する
PFM - Agent for Exchange Serverをクラスタソフトに登録するときの設定内容を説明します。
PFM - Agent for Exchange Serverの場合,次の表のサービスをクラスタに登録します。
PFM - Managerの論理ホストと同居する場合の依存関係の設定については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
番号 |
名前 |
サービス名 |
依存関係 |
---|---|---|---|
1 |
PFM - Agent Store for Exchange Server [LHOST] |
JP1PCAGT_YS [LHOST] |
IPアドレスリソース 物理ディスクリソース |
2 |
PFM - Agent for Exchange Server [LHOST] |
JP1PCAGT_YA [LHOST] |
#1のクラスタリソース |
3 |
PFM - Action Handler [LHOST] |
JP1PCMGR_PH [LHOST] |
IPアドレスリソース 物理ディスクリソース |
[LHOST]の部分は,論理ホスト名に置き換えてください。論理ホスト名がjp1-halsrの場合,サービスの名前は「PFM - Agent Store for Exchange Server [jp1-halsr]」,サービス名は「JP1PCAGT_YS [jp1-halsr]」のようになります。
WSFCの場合は,これらのサービスをWSFCのリソースとして登録します。各リソースの設定は次のようにします。下記の[ ]は,WSFCの設定項目です。
-
[リソースの種類]は「汎用サービス」として登録する。
-
[名前],[依存関係],および[サービス名]を「表4-3」のとおりに設定する。
なお,名前はサービスを表示するときの名称で,サービス名はWSFCから制御するサービスを指定するときの名称です。
-
[起動パラメータ]および[レジストリ複製]は設定しない。
-
プロパティの[詳細設定]タブは,Performance Managementのプログラムの障害時にフェールオーバーするかしないかの運用に合わせて設定する。
例えば,PFM - Agent for Exchange Serverの障害時に,フェールオーバーするように設定するには,次のように設定します。
[再開する]:チェックする
[グループに適用する]:チェックしない
再起動試行回数の[しきい値]:3※
- 注※
-
再起動試行回数の[しきい値]は3回を目安に設定してください。
- 注意
-
クラスタに登録するサービスは,クラスタから起動および停止を制御しますので,OS起動時に自動起動しないよう[スタートアップの種類]を[手動]に設定してください。なお,jpcconf ha setupコマンドでセットアップした直後のサービスは[手動]に設定されています。また,次のコマンドで強制停止しないでください。
jpcspm stop -key all -lhost 論理ホスト名 -kill immediate
(6) クラスタシステムでの環境を設定する
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementプログラムの環境の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。