3.2.5 Linux版のセットアップ手順
ここでは,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを運用するための,セットアップについて説明します。
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
- 〈この項の構成〉
(1) LANG環境変数を設定する
PFM - Agent for Enterprise Applicationsで使用できるLANG環境変数を次の表に示します。
なお,これらのLANG環境変数を設定する前に,設定する言語環境が正しくインストール・構築されていることを確認しておいてください。正しくインストール・構築されていない場合,文字化けが発生したり,定義データが不当に書き換わってしまったりすることがあります。
- 注意
-
共通メッセージログの言語は,サービス起動時やコマンド実行時に設定されているLANG環境変数によって決まります。そのため,日本語や英語など,複数の言語コードの文字列が混在することがあります。
OS |
言語種別 |
LANG環境変数の値 |
|
---|---|---|---|
Linux |
日本語 |
Shift-JISコード |
ja_JP.SJIS※または ja_JP.sjis※ |
UTF-8 |
ja_JP.UTF-8 |
||
英語(日本語なし) |
C |
||
中国語(簡体字) |
GB18030 |
zh_CN.gb18030 |
|
UTF-8 |
zh_CN.UTF-8または zn_CN.utf8 |
注※ SUSE Linuxでだけで使用できます。
(2) PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleへのPFM - Agent for Enterprise Applicationsの登録
PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録する必要があります。
PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,ここで説明する手順は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは手動で登録する必要があります。なお,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのデータモデルのバージョンについては,「付録I バージョン互換」を参照してください。
PFM - Agentの登録の流れを次に示します。
|
- 注意
-
-
PFM - Agentの登録は,インスタンス環境を設定する前に実施してください。
-
すでにPFM - Agent for Enterprise Applicationsの情報が登録されているPerformance Managementシステムに,新たに同じバージョンのPFM - Agent for Enterprise Applicationsを追加した場合,PFM - Agentの登録は必要ありません。
-
バージョンが異なるPFM - Agent for Enterprise Applicationsを,異なるホストにインストールする場合,古いバージョン,新しいバージョンの順でセットアップしてください。
-
PFM - Managerと同じホストにPFM - Agentをインストールした場合,jpcconf agent setupコマンドが自動的に実行されます。共通メッセージログに「KAVE05908-I エージェント追加セットアップは正常に終了しました」と出力されるので,結果を確認してください。コマンドが正しく実行されていない場合は,コマンドを実行し直してください。コマンドの実行方法については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドの章を参照してください。
-
(a) PFM - Agent for Enterprise Applicationsのセットアップファイルをコピーする
PFM - Agent for Enterprise ApplicationsをインストールしたホストにあるセットアップファイルをPFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleをインストールしたホストにコピーします。手順を次に示します。
-
PFM - Web Consoleが起動されている場合は,停止する。
-
PFM - Agentのセットアップファイルをバイナリーモードでコピーする。
ファイルが格納されている場所およびファイルをコピーする場所を次の表に示します。
表3‒9 コピーするセットアップファイル PFM - Agentの
セットアップファイル
コピー先
PFM
プログラム名
OS
コピー先フォルダ
またはディレクトリ
/opt/jp1pc/setup/jpcagtmw.EXE
PFM - Manager
Windows
PFM - Managerのインストール先フォルダ\setup
/opt/jp1pc/setup/jpcagtmu.Z
UNIX
/opt/jp1pc/setup/
/opt/jp1pc/setup/jpcagtmw.EXE
PFM - Web Console
Windows
PFM - Web Consoleのインストール先フォルダ\setup
/opt/jp1pc/setup/jpcagtmu.Z
UNIX
/opt/jp1pcwebcon/setup/
(b) PFM - Managerホストでセットアップコマンドを実行する
PFM - ManagerでPFM - Agent for Enterprise Applicationsをセットアップするための次のコマンドを実行します。
jpcconf agent setup -key EAP
- 注意
-
コマンドを実行するローカルホストのPerformance Managementのサービスが完全に停止していない状態でjpcconf agent setupコマンドを実行した場合,エラーが発生することがあります。その場合は,Performance Managementのサービスが完全に停止したことを確認したあと,再度jpcconf agent setupコマンドを実行してください。
PFM - ManagerホストにあるPFM - Agentのセットアップファイルは,この作業が終了したあと,削除してもかまいません。
(3) PFM - Agent for Enterprise Applicationsで使用するSAPユーザーの作成
PFM - Agent for Enterprise Applicationsはパフォーマンス情報を収集するために,SAP社の通信プロトコルであるRFCを使用して,SAPシステム側に定義されている外部管理インターフェースを実行します。そのため,PFM - Agent for Enterprise Applicationsが使用するユーザーをあらかじめSAPシステム側に用意しておく必要があります。
ここでは,SAPシステム側に作成するSAPユーザーのユーザータイプ,パスワード,権限について説明します。
(a) ユーザータイプ
PFM - Agent for Enterprise Applicationsで使用するSAPユーザーには,次のタイプのユーザーが使用できます。
-
ダイアログ(Dialog)
-
システム(System)
-
通信(Communication)
-
サービス(Service)
(b) パスワードに指定できる文字
SAPユーザーのパスワードは,半角数字(0〜9),半角英字(a〜z, A〜Z),および次の半角記号で定義してください。
! @ $ % & / ( ) = ? ' ` * + ~ # - _ . : { [ ] } < > |
(c) 必要な権限
ユーザーには次の権限(権限オブジェクト)を設定する必要があります。
-
ユーザーが汎用モジュールにRFC接続するための権限(S_RFC)
-
外部管理インターフェースを使用するための権限(S_XMI_PROD)
各権限の値として,次の表に示す値またはすべての項目に「*」を指定したビルトイン権限値(S_RFC_ALLやS_XMI_ADMIN)を割り当ててください。
権限項目 |
説明 |
値 |
---|---|---|
RFC_TYPE |
保護されるRFCオブジェクトのタイプ |
FUGR(汎用グループ) |
RFC_NAME |
保護されるRFC名 |
* |
ACTVT |
アクティビティ |
16(実行) |
権限項目 |
説明 |
値 |
---|---|---|
EXTCOMPANY |
外部管理ツールの会社名 |
HITACHI |
EXTPRODUCT |
外部管理ツールのプログラム名 |
JP1 |
INTERFACE |
インターフェースID |
* |
(4) インスタンス環境の設定
PFM - Agent for Enterprise Applicationsで監視するSAPシステムのインスタンス情報を設定します。インスタンス情報の設定は,PFM - Agentホストで実施します。
設定するインスタンス情報を次の表に示します。セットアップの操作を始める前に,次の情報をあらかじめ確認してください。SAPシステムのインスタンス情報の詳細については,SAPシステムのマニュアルを参照してください。
項目 |
説明 |
設定できる値 |
デフォルト値 |
---|---|---|---|
SID |
監視対象となるSAPシステムID |
8バイト以内の半角文字列 |
− |
SERVER※1 |
監視対象となるSAPインスタンス名(トランザクションコードSM51で確認できる,ダイアログサービスを持つSAPインスタンス名) |
20バイト以内の半角文字列 |
jpcconf inst setupコマンドの-instで指定したインスタンス名 |
ASHOST※1 |
接続先アプリケーションサーバのホスト名(トランザクションコードSM51で確認できるSAPローカルホスト名) |
100バイト以内の半角文字列 |
ローカルホスト名 |
SYSNR |
SAPシステムのシステム番号を指定する。 |
2バイト以内の半角数字 |
「00」 |
CLIENT |
SAPユーザーが属するクライアント名(接続先ダイアログインスタンスに割り当てられているシステム番号) |
3バイト以内の半角数字 |
「000」 |
USER |
SAPユーザー名 |
12バイト以内の半角文字列 |
− |
EXTPWD |
SAPシステムへの接続に,拡張パスワードを使用するかどうかを指定する。 |
YまたはNで指定する。
|
「Y」 |
PASSWD |
SAPユーザーのパスワード |
|
− |
DELAYCONNECT |
SAPシステムにいつ接続するかを指定する。 |
YまたはNで指定する。
|
「N」 |
Store Version※2 |
使用するStore バージョンを指定する。Storeバージョンについては「3.6.2 Store バージョン2.0への移行」を参照してください。 |
{1.0 | 2.0} |
2.0 |
- (凡例)
-
−:なし
- 注※1
-
リモート監視機能を使用する場合,監視対象のSAPインスタンス名およびSAPシステムのホスト名を設定してください。
- 注※2
-
PFM - Agent for Enterprise Applications,および同一ホスト上のPFM - BaseまたはPFM - Managerが08-10以降で,初めてインスタンス環境の設定を行う場合に必要となる設定です。
- 注意
-
-
インスタンス環境を設定していない場合,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのサービスを起動できません。
-
インスタンス環境を構築するには,jpcconf inst setupコマンドを使用します。インスタンス環境の構築手順を次に示します。
-
サービスキーおよびインスタンス名を指定して,jpcconf inst setupコマンドを実行する。
例えば,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのインスタンス名o246bciSD500のインスタンス環境を構築する場合,次のように指定してコマンドを実行します。
jpcconf inst setup -key EAP -inst o246bciSD500
PFM - Agent for Enterprise Applicationsの場合,インスタンス名は任意ですが,管理のしやすさを考慮し,監視対象とするSAPシステムのインスタンス名と紐づくようにしてください。SAPシステムのインスタンスには,通常,「ホスト名_SAPシステムID_システム番号」という形式の名称が付けられています。
ただし,jpcconf inst setupコマンドでは"_"を指定できません。例えば,SAPシステムのインスタンス名が"o246bci_SD5_00"の場合,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのインスタンス名を"o246bciSD500"としてください。
-
SAPシステムのインスタンス情報を設定する。
表3-12に示した項目を,コマンドの指示に従って入力してください。各項目とも省略はできません。デフォルトで表示されている値を,項目の入力とする場合はリターンキーだけを押してください。
すべての入力が終了すると,インスタンス環境が構築されます。構築されるインスタンス環境を次に示します。
-
インスタンス環境のディレクトリ構成
次のディレクトリ下にインスタンス環境が構築されます。
-
物理ホスト運用の場合:/opt/jp1pc/agtm
-
論理ホスト運用の場合:環境ディレクトリ※/jp1pc/agtm
- 注※
-
環境ディレクトリは,論理ホスト作成時に指定した共有ディスク上のディレクトリです。
構築されるインスタンス環境のディレクトリ構成を次に示します。
表3‒13 インスタンス環境のディレクトリ構成 ディレクトリ名・ファイル名
説明
agent
インスタンス名
jpcagt.ini
Agent Collectorサービス起動情報ファイル
jpcagt.ini.model※
Agent Collectorサービス起動情報ファイルのモデルファイル
jpcMcollect.ini
SAP通信プロセス設定ファイル
jr3alget.ini
CCMS Alert Monitor Command(PD_ALMX)レコード用の環境パラメーター設定ファイル
jr3slget.ini
System Log Monitor Command(PD_SLMX)レコード用の環境パラメーター設定ファイル
log
ログファイル格納ディレクトリ
store
インスタンス名
jpcsto.ini
Agent Storeサービス起動情報ファイル
jpcsto.ini.model※
Agent Storeサービス起動情報ファイルのモデルファイル
*.DAT
データモデル定義ファイル
dump
エクスポート先ディレクトリ
backup
バックアップ先ディレクトリ
import
インポート先ディレクトリ(Storeバージョン2.0の場合)
log
ログファイル格納ディレクトリ
partial
部分バックアップ先ディレクトリ(Storeバージョン2.0の場合)
STPD
PDレコードタイプのパフォーマンスデータ格納ディレクトリ(Storeバージョン2.0の場合)
STPI
PIレコードタイプのパフォーマンスデータ格納ディレクトリ(Storeバージョン2.0の場合)
STPL
PLレコードタイプのパフォーマンスデータ格納ディレクトリ(Storeバージョン2.0の場合)
- 注※
-
インスタンス環境を構築した時点の設定値に戻したいときに使用します。
-
-
インスタンス環境のサービスID
インスタンス環境のサービスIDは,プロダクトID,機能ID,インスタンス番号,インスタンス名,ホスト名をつないだ文字列になります。プロダクト名表示機能が有効な場合,インスタンス名[ホスト名]<プログラム名>となります。
例えばサービスID「MA1o246bciSD500[host01]」は,次のインスタンス環境を表します。
-
プロダクトID:M
-
機能ID:A
-
インスタンス番号:1
-
インスタンス名:o246bciSD500
-
ホスト名:host01
サービスIDについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,付録を参照してください。
-
(5) ネットワークの設定![[図データ]](GRAPHICS/ZUICON01.GIF)
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合にだけ必要な設定です。
ネットワークの設定では次の2つの項目を設定できます。
-
IPアドレスを設定する
Performance Managementを複数のLANに接続されたネットワークで使用するときに設定します。複数のIPアドレスを設定するには,jpchostsファイルにホスト名とIPアドレスを定義します。設定したjpchostsファイルはPerformance Managementシステム全体で統一させてください。
詳細についてはマニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
-
ポート番号を設定する
Performance Managementが使用するポート番号を設定できます。運用での混乱を避けるため,ポート番号とサービス名は,Performance Managementシステム全体で統一させてください。
ポート番号の設定の詳細についてはマニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
(6) ログのファイルサイズ変更![[図データ]](GRAPHICS/ZUICON01.GIF)
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。このファイルサイズを変更したい場合にだけ,必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
(7) パフォーマンスデータの格納先の変更![[図データ]](GRAPHICS/ZUICON01.GIF)
PFM - Agent for Enterprise Applicationsで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,部分バックアップ先またはインポート先のディレクトリを変更したい場合にだけ,必要な設定です。
パフォーマンスデータは,デフォルトで,次の場所に保存されます。
保存先 |
ディレクトリ名 |
---|---|
データベースの保存先 |
/opt/jp1pc/agtm/store/インスタンス名/ |
バックアップ先 |
/opt/jp1pc/agtm/store/インスタンス名/backup/ |
エクスポート先 |
/opt/jp1pc/agtm/store/インスタンス名/dump/ |
部分バックアップ先(Storeバージョン2.0の場合) |
/opt/jp1pc/agtm/store/インスタンス名/partial/ |
インポート先(Storeバージョン2.0の場合) |
/opt/jp1pc/agtm/store/インスタンス名/import/ |
詳細については,「3.6.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
(8) PFM - Agent for Enterprise Applicationsの接続先PFM - Managerの設定
PFM - Agentがインストールされているホストで,そのPFM - Agentを管理するPFM - Managerを設定します。接続先のPFM - Managerを設定するには,jpcconf mgrhost defineコマンドを使用します。
- 注意
-
-
同一ホスト上に,複数のPFM - Agentがインストールされている場合でも,接続先に指定できるPFM - Managerは,1つだけです。PFM - Agentごとに異なるPFM - Managerを接続先に設定することはできません。
-
PFM - AgentとPFM - Managerが同じホストにインストールされている場合,接続先PFM - ManagerはローカルホストのPFM - Managerとなります。この場合,接続先のPFM - ManagerをほかのPFM - Managerに変更できません。
-
手順を次に示します。
-
Performance Managementのサービスを停止する
セットアップを実施する前に,ローカルホストでPerformance Managementのサービスが起動されている場合は,すべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,サービスの起動と停止について説明している章を参照してください。
jpcconf mgrhost defineコマンド実行時に,Performance Managementのサービスが起動されている場合は,停止を問い合わせるメッセージが表示されます。
-
接続先のPFM - Managerホストのホスト名を指定して,jpcconf mgrhost defineコマンドを実行する
例えば,接続先のPFM - Managerがホストhost01上にある場合,次のように指定します。
jpcconf mgrhost define -s host01
(9) 動作ログ出力の設定![[図データ]](GRAPHICS/ZUICON01.GIF)
PFMサービスの起動・停止時や,PFM - Managerとの接続状態の変更時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能などと連動した動作情報の履歴を出力するログ情報です。
設定方法については,「付録J 動作ログの出力」を参照してください。
(10) 収集基点時間の設定
リモート監視機能を使用する場合,システムログ情報抽出機能およびCCMSアラート情報抽出機能の収集基点時間を設定してください。環境パラメーター設定ファイルの設定手順や設定項目の詳細については,「5.3 環境パラメーター設定ファイル」および「6.3 環境パラメーター設定ファイル」を参照してください。
(11) SAPシステムのタイムゾーンの設定![[図データ]](GRAPHICS/ZUICON01.GIF)
リモート監視機能を使用する場合,システムログ情報抽出機能で考慮するSAPシステムのタイムゾーン(UTCとの時刻差)を設定します。環境パラメーター設定ファイルの設定手順や設定項目の詳細については,「5.3 環境パラメーター設定ファイル」および「6.3 環境パラメーター設定ファイル」を参照してください。