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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Remote Monitor for Virtual Machine


3.3.4 セットアップ手順

ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。なお,セットアップ手順は,監視対象の仮想環境ごとに異なります。

[図データ][図データ][図データ][図データ][図データ][図データ][図データ]は,仮想環境ごとに必要となるセットアップ項目を示します。

また,セットアップ手順には,実行系ノードの手順と,待機系ノードの手順があります。実行系ノード,待機系ノードの順にセットアップしてください。

[図データ]は実行系ノードで行う項目を,[図データ]は待機系ノードで行う項目を示します。また,[図データ]は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。

重要

環境変数JPC_HOSTNAMEは,Performance Managementで使用しています。このため,JPC_HOSTNAMEを環境変数として設定しないでください。設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。

〈この項の構成〉

(1) PFM - RM for Virtual Machineの登録[図データ] [図データ] [図データ] [図データ]

PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - RM for Virtual Machineを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - RM for Virtual Machineを登録する必要があります。

登録する条件および手順は非クラスタシステムの場合と同じです。登録する条件および手順については,「2.1.4(1) PFM - RM for Virtual Machineの登録」を参照してください。

(2) PFM - RM for Virtual Machineの設定[図データ] [図データ] [図データ] [図データ]

PFM - RM for Virtual Machineの設定は,実行系および待機系で同じ設定にする必要があります。設定方法については,「2.1.4(2) PFM - RM for Virtual Machineの設定」を参照してください。

(3) 共有ディスクのオンライン[図データ] [図データ]

共有ディスクがオンラインになっていることを確認します。共有ディスクがオンラインになっていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオンラインにしてください。

(4) PFM - RM for Virtual Machineの論理ホストのセットアップ[図データ] [図データ]

jpcconf ha setupコマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義が設定されて,論理ホスト環境が作成されます。

注意事項

コマンドを実行する前に,Performance Managementシステム全体で,Performance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。

手順を次に示します。

  1. jpcconf ha setupコマンドを実行して,PFM - RM for Virtual Machineの論理ホスト環境を作成する。

    次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf ha setup -key RMVM -lhost jp1-halvm -d S:\jp1

    論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,論理ホスト名をjp1-halvmとしています。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。

    共有ディスクのフォルダ名は,-dオプションの環境フォルダ名に指定します。例えば-d S:\jp1と指定するとS:\jp1\jp1pcが作成されて,論理ホスト環境のファイルが作成されます。

    重要

    環境フォルダ名には,次の文字を含むパスは指定しないでください。

    ( )

    これらの文字が含まれていた場合,論理ホストの環境作成には成功しますが,PFM - RM for Virtual Machineの起動に失敗します。

  2. jpcconf ha listコマンドを実行して,論理ホストの設定を確認する。

    次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf ha list -key all

    作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。

(5) 接続先PFM - Managerの設定[図データ] [図データ]

jpcconf mgrhost defineコマンドを実行して,PFM - RM for Virtual Machineを管理するPFM - Managerを設定します。

  1. jpcconf mgrhost defineコマンドを実行して,接続先PFM - Managerを設定する。

    次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf mgrhost define -host jp1-hal -lhost jp1-halvm

    接続先PFM - Managerのホスト名は,-hostオプションで指定します。接続先PFM Managerが論理ホスト運用されている場合は,-hostオプションに接続先PFM - Managerの論理ホスト名を指定します。ここでは,PFM - Managerの論理ホスト名をjp1-halとしています。

    また,PFM - RM for Virtual Machineの論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,PFM - RM for Virtual Machineの論理ホスト名をjp1-halvmとしています。

(6) インスタンス環境の設定[図データ] [図データ]

jpcconf inst setupコマンドを実行して,PFM - RM for Virtual Machineのインスタンス環境を設定します。

設定手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。ただし,クラスタシステムの場合,jpcconf inst setupコマンドの実行時に,「-lhost」で論理ホスト名を指定する必要があります。

クラスタシステムの場合のjpcconf inst setupコマンドの指定方法を次に示します。

jpcconf inst setup -key RMVM -lhost jp1-halvm -inst inst1

ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf inst setupコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf inst setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。

このほかの設定内容,および手順については,「2.1.4(3) インスタンス環境の設定」を参照してください。

(7) 監視対象の設定[図データ] [図データ]

jpcconf target setupコマンドを実行して,PFM - RM for Virtual Machineの監視対象ホストを設定します。

設定手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。ただし,クラスタシステムの場合,jpcconf target setupコマンドの実行時に,「-lhost」で論理ホスト名を指定する必要があります。

クラスタシステムの場合のjpcconf target setupコマンドの指定方法を次に示します。

jpcconf target setup -key RMVM -lhost jp1-halvm -inst inst1 -target targethost1 

ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf target setupコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf target setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。

このほかの設定内容,および手順の詳細については,「2.1.4(4) 監視対象の設定」を参照してください。

(8) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ[図データ] [図データ] [図データ]

PFM - RM for Virtual Machineのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - AgentまたはPFM - RMがある場合は,この段階でセットアップしてください。

セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。

(9) 監視対象ごとの設定[図データ] [図データ] [図データ]

監視対象の仮想環境ごとに必要な設定について説明します。

(a) VMwareの場合[図データ]

次の条件が整っていることを確認してください。

  • 実行系ノードと待機系ノードの両方の環境で,監視対象ホストとのSSL/TLS接続に必要な暗号化通信の設定をしている。

SSL/TLS接続の設定の詳細については「2.5.1 VMwareの場合」を参照してください。

また,ユーザーレコードを使用して,PFM - RM for Virtual Machineの取得対象ではないパフォーマンス情報を監視することができます。ユーザーレコードの確認については,「2.5.1 (6) ユーザーレコード」を参照してください。

(b) Hyper-Vの場合[図データ]

次の条件が整っていることを確認してください。

  • 実行系ノードと待機系ノードの両方の環境で,監視対象ホストにWMI接続ができる同一のユーザーアカウントがある

WMI接続の設定の詳細については「2.5.2 Hyper-Vの場合」を参照してください。

(c) KVMの場合[図データ]

次の条件が整っていることを確認してください。

  • 実行系ノードと待機系ノードの両方の環境で,同じパスの秘密鍵がある

  • その秘密鍵を用いて,監視対象ホストにSSH接続ができる

  • SSH_Typeにputtyを指定した場合,実行系ノードと待機系ノードの両方の環境で,同じパスにPuTTYをインストールしている

    SSHクライアントとしてOpenSSH(Windows Server 2019同梱)を使用する場合は,PuTTYのインストールは不要です。

    重要

    次のどちらかの方法で秘密鍵と公開鍵を登録してください。

    • 実行系サーバで作成した秘密鍵を待機系サーバにコピーして,実行系サーバから監視対象ホストに配布した公開鍵と対応させる

    • 実行系サーバと待機系サーバの両方で公開鍵を作成して,両方の公開鍵を監視対象ホストに登録することで,公開鍵を対応させる

SSHの接続設定の詳細については「2.5.7 SSHの接続設定」を参照してください。

(d) Docker環境の場合[図データ]

次の条件が整っていることを確認してください。

  • 実行系ノードと待機系ノードの両方の環境で,監視対象ホストとのSSL/TLS接続に必要なCA証明書およびクライアント証明書をインストールしている。

SSL/TLS接続の設定の詳細については「2.5.4 Docker環境の場合」を参照してください。

(e) Podman環境の場合[図データ]

KVMの場合と同じです。「(c) KVMの場合」を参照してください。

(f) Virtageの場合[図データ]

次の条件が整っていることを確認してください。

  • 監視対象となるVirtage環境で,監視エージェントをインストールしたマシンのIPアドレスを設定している。

詳細については,「2.5.6 Virtageの場合」を参照してください。

(10) ネットワークの設定[図データ] [図データ] [図データ]

Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合にだけ必要な設定です。

ネットワークの設定では次の2つの項目を設定できます。

(11) ログのファイルサイズ変更[図データ] [図データ] [図データ]

Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。このファイルサイズを変更したい場合にだけ,必要な設定です。

詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

(12) パフォーマンスデータの格納先の変更[図データ] [図データ] [図データ]

PFM - RM for Virtual Machineで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のフォルダを変更したい場合にだけ必要な設定です。

設定方法については,「2.1.4(8) パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。

(13) 動作ログ出力の設定[図データ] [図データ] [図データ]

PFMサービスの起動・停止時や,PFM - Managerとの接続状態の変更時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。

設定方法については,「付録I 動作ログの出力」を参照してください。

(14) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート[図データ] [図データ]

PFM - RM for Virtual Machineの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。

論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。

  1. jpcconf ha exportコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をエクスポートする。

    これまでの手順で作成した論理ホスト環境の定義情報を,エクスポートファイルに出力します。エクスポートファイル名は任意です。

    例えば,lhostexp.txtファイルに論理ホスト環境定義をエクスポートする場合,次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf ha export -f lhostexp.txt

(15) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー[図データ] [図データ] [図データ]

(14) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。

(16) 共有ディスクのオフライン[図データ] [図データ] [図データ]

クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオフラインにして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,オフラインにする必要はありません。

(17) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート[図データ] [図データ]

実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。

実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha importコマンドを使用します。1つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。

なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをオンラインにしておく必要はありません。

  1. jpcconf ha importコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をインポートする。

    次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf ha import -f lhostexp.txt

    コマンドを実行すると,待機系ノードの環境を,エクスポートファイルの内容と同じ環境になるように設定変更します。これによって,論理ホストのPFM - RM for Virtual Machineを起動するための設定が実施されます。

    また,セットアップ時にjpcconf portコマンドで固定のポート番号を設定している場合も,同様に設定されます。

  2. jpcconf ha listコマンドを実行して,論理ホスト設定を確認する。

    次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf ha list -key all

    実行系ノードでjpcconf ha listを実行した時と同じ内容が表示されることを確認してください。

(18) クラスタソフトへのPFM - RM for Virtual Machineの登録[図データ] [図データ] [図データ]

Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。

クラスタソフトへPFM - RM for Virtual Machineを登録する方法は,クラスタソフトのマニュアルを参照してください。

PFM - RM for Virtual Machineをクラスタソフトに登録するときの設定内容を,Windows WSFCに登録する項目を例として説明します。

PFM - RM for Virtual Machineの場合,次の表に示すサービスをクラスタに登録します。

PFM - Managerの論理ホストと同居する場合の依存関係の設定については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。

表3‒3 クラスタソフトに登録するPFM - RM for Virtual Machineのサービス

項番

名前

サービス名

依存関係

1

PFM - RM Store for Virtual Machineインスタンス名 [LHOST]

JP1PCAGT_8S_インスタンス名 [LHOST]

IPアドレスリソース※1

物理ディスクリソース※2

2

PFM - RM for Virtual Machineインスタンス名 [LHOST]

JP1PCAGT_8A_インスタンス名 [LHOST]

項番1のクラスタリソース

3

PFM - Action Handler [LHOST]

JP1PCMGR_PH [LHOST]

IPアドレスリソース※1

物理ディスクリソース※2

注※1

仮想環境のクラスタ環境で定義されているIPアドレスのリソース

注※2

共有ディスクのリソース

[LHOST]の部分は,論理ホスト名に置き換えてください。インスタンス名がinst1,論理ホスト名がjp1-halvmの場合,サービスの名前は「PFM - RM Store for Virtual Machine inst1 [jp1-halvm]」,サービス名は「JP1PCAGT_8S_inst1 [jp1-halvm]」のようになります。

WSFCの場合は,これらのサービスをWSFCのリソースとして登録します。各リソースの設定は次のようにします。

注意事項
  • クラスタに登録するサービスは,クラスタから起動および停止を制御しますので,OS起動時に自動起動しないよう[スタートアップの種類]を[手動]に設定してください。なお,jpcconf ha setupコマンドでセットアップした直後のサービスは[手動]に設定されています。

    また,次のコマンドを実行して,強制停止しないでください。

jpcspm stop -key all -lhost jp1-halvm -kill immediate
  • 統合管理製品(JP1/IM)と連携している場合は,JP1/Baseのサービスが停止するより前にPFM - RM for Virtual Machineのサービスが停止するように依存関係を設定してください。

(19) クラスタソフトからの起動・停止の確認[図データ] [図データ] [図データ]

クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。

(20) クラスタシステムでの環境設定[図データ] [図データ] [図データ]

Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。

Performance Managementのプログラムの環境設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。