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JP1 Version 12 JP1/Integrated Management 2 - Manager 構築ガイド


7.1.2 クラスタ運用の前提条件(Windowsの場合)

JP1/IM - Managerは,クラスタシステムでは論理ホスト環境で動作し,フェールオーバーに対応します。論理ホスト環境で実行する場合のJP1/IM - Managerの前提条件は,共有ディスクや論理IPアドレスの割り当て・削除・動作監視がクラスタソフトによって正常に制御されていることです。

重要

JP1/IM - Managerがサポートしているクラスタソフトであっても,システム構成や環境設定によってはここで説明する前提条件を満たさない場合があります。前提条件を満たすよう,システム構成や環境設定を検討してください。

〈この項の構成〉

(1) 論理ホスト環境の前提条件

JP1/IM - Managerを論理ホスト環境で実行する場合,論理IPアドレスと共有ディスクについて,次に示す前提条件があります。

表7‒1 論理ホスト環境の前提条件

論理ホストの

構成要素

前提条件

共有ディスク

  • 実行系から待機系へ引き継ぎ可能な共有ディスクが使用できること。

  • JP1を起動する前に,共有ディスクが割り当てられること。

  • JP1を実行中に,共有ディスクの割り当てが解除されないこと。

  • JP1を停止したあとに,共有ディスクの割り当てが解除されること。

  • 共有ディスクが,不当に複数のノードから使用されないよう制御されていること。

  • システムダウンなどでファイルが消えないよう,ジャーナル機能を持つファイルシステムなどでファイルを保護すること。

  • フェールオーバーしてもファイルに書き込んだ内容が保証されて引き継がれること。

  • フェールオーバー時に共有ディスクを使用中のプロセスがあっても,強制的にフェールオーバーができること。

  • 共有ディスクの障害を検知した場合の回復処置はクラスタソフトなどが制御し,回復処置をJP1が意識する必要がないこと。回復処置の延長でJP1の起動や停止が必要な場合は,クラスタソフトからJP1に起動や停止の実行要求をすること。

論理IPアドレス

  • 引き継ぎ可能な論理IPアドレスを使って通信できること。

  • 論理ホスト名から論理IPアドレスが一意に求められること。

  • JP1を起動する前に,論理IPアドレスが割り当てられること。

  • JP1を実行中に,論理IPアドレスが削除されないこと。

  • JP1を実行中に,論理ホスト名と論理IPアドレスの対応が変更されないこと。

  • JP1を停止したあとに,論理IPアドレスが削除されること。

  • ネットワーク障害を検知した場合の回復処置はクラスタソフトなどが制御し,JP1が回復処理を意識する必要がないこと。また,回復処置の延長でJP1の起動や停止が必要な場合は,クラスタソフトからJP1に起動や停止の実行要求をすること。

上記の条件が満たされていない場合は,JP1の動作に問題が起きることがあります。例えば,次のような問題が発生します。

(2) 物理ホスト環境の前提条件

JP1/IM - Managerを論理ホストで運用するクラスタシステムでは,各サーバの物理ホスト環境が次に示す前提条件を満たしている必要があります。

表7‒2 物理ホスト環境の前提条件

物理ホストの

構成要素

前提条件

サーバ本体

  • 2台以上のサーバ機によるクラスタ構成になっていること。

  • 実行する処理に応じたCPU性能があること。

    (例えば,論理ホストを多重起動する場合などに,対応できるCPU性能があること)

  • 実行する処理に応じた実メモリー容量があること。

    (例えば,論理ホストを多重起動する場合などに,対応できる実メモリー容量があること)

ディスク

  • システムダウンなどでファイルが消えないよう,ジャーナル機能を持つファイルシステムなどでファイルを保護すること。

ネットワーク

  • 物理ホスト名(hostnameコマンドを実行したときに表示されるホスト名)に対応するIPアドレスで通信が可能なこと。

    (クラスタソフトなどにより通信ができない状態に変更されないこと)

  • JP1の動作中に,ホスト名とIPアドレスの対応が変更されないこと。

    (クラスタソフトやネームサーバなどによって変更がされないこと)

  • Windowsの場合,ホスト名に対応したLANボードがネットワークのバインド設定で最優先になっていること。

    (ハートビート用などほかのLANボードが優先になっていないこと)

OS,クラスタソフト

  • JP1がサポートするクラスタソフトおよびバージョンであること。

  • JP1およびクラスタソフトが前提とするパッチやサービスパックが適用済みであること。

  • フェールオーバーしても同じ処理ができるよう,各サーバの環境が適切に設定されていること。

サービス

  • リモート監視構成の場合,JP1/Baseのログファイルトラップサービスが起動していること。

注※

クラスタソフトによっては,物理ホスト名(hostnameコマンドを実行したときに表示されるホスト名)に対応するIPアドレスで通信ができなくなる構成の場合があります。この場合,物理ホスト環境のJP1は動作できません。論理ホスト環境のJP1だけを使用してください。

(3) JP1がサポートする範囲

クラスタシステムで論理ホストのJP1を運用する場合,JP1が制御する範囲は,JP1自身の動作だけです。論理ホスト環境(共有ディスクおよび論理IPアドレス)の制御,およびJP1の起動や停止の契機はクラスタソフトの制御に依存します。

前述の論理ホスト環境および物理ホスト環境の前提条件が満たされていない,または論理ホスト環境の制御に問題がある場合は,JP1の動作に発生した問題もサポートの対象外となります。この場合は,論理ホスト環境を制御しているクラスタソフトやOSで問題に対処してください。

(4) 物理ホスト名

物理ホスト名は,IMデータベースを使用する場合,半角英数字,-,および.(ピリオド)で構成される32文字以内の文字列で指定してください。

(5) 論理ホスト名

論理ホスト名を指定する場合,次の点について確認してください。