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JP1 Version 12 JP1/Data Highway - Server 構築・運用ガイド


付録C.14 クラスタでのJP1/DH - Serverの運用

クラスタソフトを使用したクラスタシステムでは通常,障害の検出/系切り替えなどはすべてクラスタソフトが行います。

検出する障害の内容は,使用するクラスタソフト,およびクラスタソフトの設定値により異なります。この章では「付録C.9(3) 汎用サービスの設定値」,「付録C.10(1) 障害の検出」で説明したとおり,サービスプロセスが存在するかどうかで障害の判定を行っています。

これは通常の監視規則などではゆるい判定方法かもしれません。サービスプロセスが存在していても,アプリケーションとしてはサービスを提供できない状態かもしれません。

判定の精度を上げることは,JP1/DH - Serverのコマンド機能を使用することで可能です。

障害の判定の精度を上げる場合,システム管理者は次のどちらかのシナリオを実行します。

上記2つの大きな違いは,JP1/DH - Serverコマンドが失敗した場合,クラスタソフトにより系切り替えが行われるかという点です。

前者ではJP1/DH - Serverのコマンド機能が失敗した場合,クラスタソフトにより即座に系切り替えが行われます。ただし,JP1/DH - Serverのコマンド機能が失敗しても,アプリケーションとしてはサービスの提供が可能な状態である可能性があります(認証ルール,配送ルールの設定変更など)。系切り替え発生中の操作はすべてエラーとなってしまうため,かえってサービス提供の時間が少なくなってしまうかもしれません。

後者ではクラスタソフトによる系切り替えは発生しないため,通知を受け取ったシステム管理者がエラー内容を確認し,障害が発生している場合には手動で系切り替えを実行する必要があります。このため,系切り替えの実行までは時間が掛かりますが,サービスの提供が不可能となっている場合に限り,系切り替えを実行させることが可能になります。

スクリプトによるメール通知などが無ければ,システム管理者は障害情報を知ることができません。後者を利用する場合には,メール通知など,必ずシステム管理者への通知方法を考慮してください。

また,前者ではクラスタソフトの監視スクリプトの仕様をシステム管理者が熟知する必要があります。このため,障害の判定の精度を上げる必要がある場合,JP1/DH - Serverのクラスタ構成では後者のシナリオを推奨しています。

この章に従いクラスタ構成を構築した場合,クラスタソフトによる障害の検出方法は,JP1/DH - Serverアプリケーションプロセスが存在するか・しないかになります。障害の検出方法は運用によって必要な内容が変わってくるため,各クラスタソフトのマニュアルに従い,運用に応じて必要な障害の検出方法を設定してください。