2.7.5 障害発生時の資料採取の準備
JP1/AJS3 for EAPのコマンドの異常終了時に調査資料として,SAP NetWeaver RFCLibraryが出力するRFCトレースファイル(dev_rfc.trc)が必要になることがあります。RFCトレースファイルに出力される文字コードは,SAP NetWeaver RFC Libraryの定義ファイル(sapnwrfc.ini)で定義されます。このため,sapnwrfc.iniにエンコーディングの設定を行っていない場合,正しくトレースが出力されず,障害が調査できない場合があります。この場合,上記を設定した上で,現象の再現をお願いする場合があります。障害発生時に備え,JP1/AJS3 for EAPのコマンドを実行する前にsapnwrfc.iniにエンコーディングの設定を実施する事を推奨します。sapnwrfc.iniの配置場所,及び設定内容については,次を参照してください。
sapnwrfc.iniの配置場所
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ジョブ制御用のコマンドを使用する場合
運用方法に応じて,次のどちらかに(または,両方に)sapnwrfc.iniを配置してください。
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ジョブ制御用の環境設定ファイル(confファイル)のcommand(コマンドセクション)のWorkDirキーに指定したJP1/AJS3 for EAPの作業ディレクトリ(WorkDirキーを指定していない場合は,各コマンド実行時のカレントディレクトリ)
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環境変数RFC_INIに指定したフォルダ
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インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御用のコマンドを使用する場合
運用方法に応じて,次のどちらかに(または,両方に)sapnwrfc.iniを配置してください。
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インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御用の環境設定ファイル(confファイル)のcommand(コマンドセクション)のWorkDirキーに指定したJP1/AJS3for EAPの作業ディレクトリ(WorkDirキーを指定していない場合は,各コマンド実行時のカレントディレクトリ)
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環境変数RFC_INIに指定したフォルダ
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sapnwrfc.iniの設定内容
次の内容を先頭に記載してください。
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Windowsの場合
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DEFAULT
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RFC_TRACE_ENCODING=UTF-16
sapnwrfc.iniのサンプル(インストール先フォルダ\Sample\sapnwrfc.ini)も参考にしてください。
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Linuxの場合
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DEFAULT
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RFC_TRACE_ENCODING=UTF-8
sapnwrfc.iniのサンプル(/opt/jp1_am_r3/sample/sapnwrfc.ini)も参考にしてください。
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- 〈この項の構成〉
(1) Windowsの場合
JP1/AJS3 for EAPのコマンドの異常終了時に調査資料として,ユーザーモードプロセスダンプが必要になることがあります。次のレジストリを設定することで,異常終了時に即座に調査資料のユーザーモードプロセスダンプを取得できます。障害発生時に備え,事前に設定しておくことを推奨します。なお,レジストリの設定はシステム全体に対して影響を与えますので,設定にあたりましては十分ご注意願います。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\Windows Error Reporting\LocalDumps
上記のレジストリキーに次のレジストリ値を設定します。
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DumpFolder:REG_EXPAND_SZ <ダンプ出力先のフォルダ名>
JP1/AJS3 for EAPのコマンドを実行するユーザーに出力先フォルダのアクセス権が必要です。
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DumpCount:REG_DWORD <保存するダンプの数>
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DumpType:REG_DWORD 2
上記が設定されていない場合,JP1/AJS3 for EAPで発生した障害でユーザーモードプロセスダンプが出力されず,障害が調査できない場合があります。この場合,上記を設定した上で,現象の再現をお願いする場合があります。
(2) Linuxの場合
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JP1/AJS3 for EAPのコマンドの異常終了時に調査資料として,コアダンプファイルが必要になることがあります。コアダンプファイルの最大サイズは,コマンド実行ユーザーのコアダンプファイルのサイズ設定(ulimit -c)によって制限されます。障害発生時に備え,コアダンプファイルのサイズを事前に無制限(ulimit -c unlimited)に設定しておくことを推奨します。
上記が設定されていない場合,JP1/AJS3 for EAPで発生した障害でコアダンプファイルが出力されず,障害が調査できない場合があります。この場合,上記を設定した上で,現象の再現をお願いする場合があります。
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自動バグレポートツール(ABRT)をインストールしているLinuxにおいて,ABRTの設定でプロセスやOSアカウントのユーザーまたはユーザーのグループに対してコアダンプファイルの生成を制限している場合,JP1/AJS3 for EAPのプロセスで発生したセグメンテーション障害,バス障害などのコアダンプファイルの出力契機に,コアダンプが出力されないため,調査ができません。ご使用の運用に合わせて,JP1/AJS3 for EAPを実行するOSアカウントのユーザーまたはユーザーのグループやプロセスに対して,コアダンプファイルの生成を制限しないようにABRTの設定を見直してください。詳細については,ご使用のLinuxのドキュメントを参照してください。
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コアダンプファイル名の設定ファイル/proc/sys/kernel/core_patternが「|/usr/lib/systemd/systemd-coredump」から始まる文字列で設定されているLinuxが対象です。コアダンプファイルの動作設定ファイル/etc/systemd/coredump.confでコアダンプファイルを生成しない設定をしている場合,JP1/AJS3 for EAPのプロセスで発生したセグメンテーション障害,バス障害などのコアダンプファイルの出力契機に,コアダンプが出力されないため,調査が行えません。ご使用の運用に合わせて,コアダンプファイルを生成するように/etc/systemd/coredump.confの設定を見直してください。詳細については,ご使用のLinuxのドキュメントを参照してください。
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標準のトレースレベル(トレースレベル1)が設定されている場合,障害発生時に詳細な調査ができず,トレースレベルを2に設定した上での現象の再現をお願いする場合があります。障害発生時に備え,JP1/AJS3 for EAPのコマンドを実行する前にトレースレベルを2に設定することを推奨します。