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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 for Enterprise Applications


2.2.6 ジョブ制御用のコマンドを使用する前に必要な作業

コマンドの-dオプションを使用する場合,およびコマンドの共通引数のデフォルトを設定する場合に必要な作業について説明します。-dオプションを使用しない場合,またはコマンドの共通引数のデフォルトを設定しない場合は,次のそれぞれの作業は必要ありません。

〈この項の構成〉

(1) R/3あて先情報の-dオプションを使用できるようにする

JP1/AJS3 for EAPのコマンドラインで,R/3あて先情報に-dオプションを使用する場合,sapnwrfc.iniファイルを作成しておく必要があります。

注意

sapnwrfc.iniファイルは,SAP NetWeaver RFC Libraryで提供される定義ファイルであり,バージョン10-00以前のsaprfc.iniファイルの後継となる定義ファイルです。saprfc.iniとsapnwrfc.iniの仕様の変更点,および移行方法については「2.5.1 バージョンアップの注意事項」を参照してください。

運用方法に応じて,次のどちらかに(または,両方に)作成したsapnwrfc.iniファイルを使用します。

なお,sapnwrfc.iniファイルは次のように検索されます。

通常,sapnwrfc.iniファイルは,環境設定ファイルに指定したJP1/AJS3 for EAPの作業ディレクトリに作成します。特定のユーザー用にsapnwrfc.iniファイルを設定する場合は,任意のディレクトリにsapnwrfc.iniファイルを作成し,環境変数RFC_INIでsapnwrfc.iniファイルのパスを指定します。

JP1/AJS3 for EAPのインストール後,次のディレクトリにsapnwrfc.iniファイルのサンプルファイルが格納されています。

サンプルとして提供されているsapnwrfc.iniファイルを,JP1/AJS3 for EAPの作業ディレクトリ(または環境変数RFC_INIの指定先)に複写し,必要に応じて複写したsapnwrfc.iniファイルを編集してください。sapnwrfc.iniファイルは,必要に応じて複写したsapnwrfc.iniファイルを編集してください。sapnwrfc.iniファイルは,ASCIIコードの範囲内で記載してください。なお,環境変数RFC_INIを使用する場合は,あらかじめ環境変数RFC_INIを指定しておいてください。

また,環境変数RFC_INIに指定するsapnwrfc.iniファイルのパスは,絶対パスで指定してください。

sapnwrfc.iniファイルの例を次の図に示します。sapnwrfc.iniファイルの各項目の詳細については,R/3のマニュアルおよびオンラインヘルプを参照してください。

図2‒5 sapnwrfc.iniファイルの例

[図データ]

なお,sapnwrfc.iniファイルの設定方法には,幾つかのタイプがあります。上の図は,メッセージサーバに接続する場合の設定例です。このほかに,特定のアプリケーションサーバと接続することもできます。タイプによっては,servicesファイルおよびhostsファイルを編集する必要があります。各タイプの設定項目,およびservicesファイルとhostsファイルの編集が必要かどうかについては,R/3のマニュアルおよびオンラインヘルプを参照してください。

(2) コマンドの共通引数(R/3あて先情報およびR/3ログオン情報)のデフォルトを設定する

JP1/AJS3 for EAPのコマンドラインで,共通引数(R/3あて先情報およびR/3ログオン情報)の指定を省略する場合,r3defconファイルを作成する必要があります。r3defconファイルは,ユーザーアカウントに指定したホームディレクトリに作成します。

注意

Windows版でr3defconファイルを使用する場合は,ホームディレクトリを識別するためのHOMEDRIVE,HOMEPATH環境変数をジョブ実行時の環境変数として指定する必要があります。JP1/AJSから実行したコマンドの実行環境には,デフォルトでこれらの環境変数が定義されていないため,ジョブ定義の[環境変数]項目などで追加定義してください。

環境変数の指定例(r3defconファイルをC:\Documents and Settings\Administratorに配置している場合)

HOMEDRIVE=C:

HOMEPATH=\Documents and Settings\Administrator

Windowsで,ファイルシステムにNTFS形式を使用している場合,r3defconファイルの情報の漏えいを防ぐために,ユーザーごとに異なったホームディレクトリを指定しておくことをお勧めします。なお,ファイルシステムにFAT形式を使用している場合,r3defconファイルの情報をファイルレベルで保護することはできません。

Linuxの場合,r3defconファイルの情報の漏えいを防ぐために,r3defconファイルには,コマンドを実行するユーザーだけがファイルを読み取れるアクセス権を指定しておくことをお勧めします。

r3defconファイルの作成例を次の図に示します。

図2‒6 r3defconファイルの作成例

[図データ]

r3defconファイルでの文法は,次のとおりです。

[section]
key=string

次に,r3defconファイルに指定できるkeyをセクションごとに説明します。

R/3ログオン情報の指定を省略する場合に,logon(ログオンセクション)を指定します。logonに指定できるkeyを次の表に示します。

表2‒7 logonに指定できるkey

key

stringに指定できる値

説明

Client

1〜3バイトの文字列

(文字列に使用できるのは,数字だけです)

R/3システムにログオン時のR/3クライアントのクライアント番号を指定します。なお,R/3クライアント番号をR/3システムに送るときには,1〜2バイトで指定したクライアント番号は必ず3バイトに変換されます。

例えば,クライアント番号が「001」の場合,「1」,「01」,または「001」の3パターンの指定ができます。ただし,R/3システムには,必ず3バイト形式のクライアント番号「001」が送られます。

User

1〜12バイトの文字列

R/3システムにログオン時のSAPユーザー名を指定します。

指定できるSAPユーザーについては「2.2.9 ジョブ制御用のSAPユーザーを用意する」を参照してください。

Passwd

1〜8バイトの文字列

R/3システムにログオン時のSAPユーザーに指定したパスワードを指定します。

このkeyは,SAPシステム側で従来型のパスワードルールが適用されている場合に指定します。

Passwd2

1〜40バイトの文字列

R/3システムにログオン時のSAPユーザーに指定した拡張パスワードを指定します。

拡張パスワードとは,SAP NetWeaver 7.0 以降をベースとしたSAPシステムで拡張されたパスワードルールです。

このkeyは,SAPシステム側で拡張パスワードルールが適用されている場合に指定します。

パスワードの文字数は40バイト以内まで指定でき,さらに英字の大文字・小文字が区別されます。

Lang

日本語の場合:J

英語の場合:E

R/3システムで使用できる言語種別を指定します。指定できる言語種別は,日本語または英語です。

重要

ログオンセクションを指定する場合,すべてのkey(client,user,passwdまたはpasswd2,lang)を必ず指定してください。なお,「passwd」および「passwd2」は,同時に指定できません。拡張パスワードの使用可否に合わせて,どちらかを指定してください。

R/3あて先情報の指定を省略する場合に,address(アドレスセクション)を指定します。addressに指定できるkeyを次の表に示します。

表2‒8 addressに指定できるkey

key

stringに指定できる値

説明

Host

1〜100バイトの文字列

接続先のR/3システムのホスト名を指定します。

Sysno

1〜2バイトの文字列

(文字列に使用できるのは,数字だけです)

接続先のR/3システムのホストのSAPシステム番号を指定します。

Dest

1〜32バイトの文字列

sapnwrfc.iniファイルに定義したあて先(DESTの値)を指定します。

重要

「dest」および「hostとsysno」は,同時に指定できません。アドレスセクションを指定する場合,destだけを指定するか,またはhostとsysnoを指定してください。