23.4.1 組み込みDBの高度なセットアップの手順
組み込みDBを使用する場合のインストール,環境構築およびセットアップ方法について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 組み込みDBのインストール
JP1/AJS3 - Managerのスケジューラーデータベースとして,組み込みDBを使用する場合,次のコマンドを実行します。
ajsembdbinstl
ajsembdbinstlコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2. セットアップコマンド ajsembdbinstl」を参照してください。
- インストールについての注意事項
-
-
ajsembdbinstlコマンドは,Administrators権限があるユーザーが実行してください。Administrators権限がないユーザーがajsembdbinstlコマンドを実行すると,エラーメッセージが表示され,インストールが中止されます。
-
ネットワークドライブにはインストールしないでください。
-
組み込みDBをインストールすると,インストールドライブの直下にtmpフォルダが作成されます。このフォルダは組み込みDBが使うため,削除しないでください。
-
Windows環境の組み込みDBで使う文字コードは,シフトJISコード(SJIS)です。
-
(2) 組み込みDB環境の構築
組み込みDBの環境構築手順について次に示します。
-
各サービスを停止する。
物理ホストおよびすべての論理ホストで,JP1/AJS3サービスを含め,スケジューラーデータベースにアクセスするサービスはすべて停止してください。
-
UNIXの場合,共有メモリー上の環境設定情報を削除する。
ajsshmdelコマンドを実行して,共有メモリー上の環境設定情報を削除します。
ajsshmdel >/dev/null 2>&1
-
組み込みDB環境構築コマンドを実行する。
ajsembdbbuildコマンドを使用して,組み込みDBの環境を構築します。
ajsembdbbuildコマンドを実行すると,次に示す処理が実行されます。
-
組み込みDBの定義情報作成
-
組み込みDBの領域作成
-
組み込みDBシステムの起動
-
ajsembdbbuildコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2. セットアップコマンド ajsembdbbuild」を参照してください。
大規模の組み込みDB環境を構築する場合のajsembdbbuildコマンドの指定例を次に説明します。表23-2および表23-3の項番の組み合わせについても示します。
- 補足事項
-
システムファイルを二重化し,システムログを使用した運用をしない(表23-2,表23-3の組み合わせが2-A,4-A,6-A,8-A,10-A,12-A)場合,環境を構築できません。
- 注意事項
-
-
組み込みDB環境を構築するホストのホスト名を,hostsファイルまたはDNSに登録してください。
-
組み込みDB環境を構築するホストのホスト名をjp1hosts定義ファイルまたはjp1hosts2定義ファイルに登録しても,組み込みDBで使用するホスト名として有効になりません。
-
組み込みDB環境を構築するホストのホスト名には,エイリアス名を使用しないでください。
-
組み込みDBが稼働できるホストのホスト名は,最大32バイトです。したがって,組み込みDB環境を構築するホストの物理ホスト名を1〜32バイトで設定してください。
-
(a) Windowsの場合
指定例では,次に示す設定値が設定されていると仮定します。ajsembdbbuildコマンド実行前にディレクトリを作成してください。
-
データ領域作成ディレクトリ:d:\EmbDB\RDArea
-
システムファイル領域作成ディレクトリ1:e:\EmbDB\SYSArea1
-
システムファイル領域作成ディレクトリ2:f:\EmbDB\SYSArea2
-
アンロードログファイル作成ディレクトリ:g:\EmbDB\Unload_Log
-
組み込みDBインストール先フォルダ:c:\Program Files※\HITACHI\JP1AJS2\embdb\_JF3
-
組み込みDBポート番号:22223
-
組み込みDBセットアップ識別子:_JF3
-
システムファイルを二重化しないで,システムログを使用した運用をしない場合(表23-2,表23-3の組み合わせが9-A)
ajsembdbbuild -l -d "d:\EmbDB\RDArea,e:\EmbDB\SYSArea1" -i "c:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\embdb\_JF3" -id _JF3 -p 22223
-
システムファイルを二重化しないで,アンロードログ運用をする場合(表23-2,表23-3の組み合わせが9-B)
ajsembdbbuild -l -d "d:\EmbDB\RDArea,e:\EmbDB\SYSArea1" -bs -bl g:\EmbDB\Unload_Log -i "c:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\embdb\_JF3" -id _JF3 -p 22223
-
システムファイルを二重化し,アンロードログ運用をする場合(表23-2,表23-3の組み合わせが10-B)
ajsembdbbuild -l -d "d:\EmbDB\RDArea,e:\EmbDB\SYSArea1,f:\EmbDB\SYSArea2" -br -bl g:\EmbDB\Unload_Log -i "c:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\embdb\_JF3" -id _JF3 -p 22223
- 注※
-
64ビット版のWindowsの場合は,「Program Files」を「Program Files (x86)」と読み替えてください。
(b) UNIXの場合
指定例では,次に示す設定値が設定されていると仮定します。ajsembdbbuildコマンド実行前にディレクトリを作成してください。
-
アンロードログファイル作成ディレクトリ:/Unload_Log_JF3
-
組み込みDB作業領域ディレクトリ:/WorkArea_JF3
-
組み込みDB運用ディレクトリ:/opt/jp1ajs2/embdb/_JF3
-
組み込みDBポート番号:22223
-
組み込みDBセットアップ識別子:_JF3
また,指定例で使用するデータ領域作成ディレクトリおよびシステムファイル領域作成ディレクトリを次に示します。
領域種別 |
ファイル種別 |
|
---|---|---|
通常ファイル |
RAWファイル |
|
データ領域作成ディレクトリ |
/RDArea_JF3 |
/dev/rdb_JF3 |
システムファイル領域作成ディレクトリ1 |
/SYSArea1_JF3 |
/dev/rsys1_JF3 |
システムファイル領域作成ディレクトリ2 |
/SYSArea2_JF3 |
/dev/rsys2_JF3 |
-
システムファイルを二重化しないで,システムログを使用した運用をしない場合
データ領域およびシステムファイル領域を通常ファイルで作成する場合(表23-2,表23-3の組み合わせが9-A)
ajsembdbbuild -l -d "/RDArea_JF3,/SYSArea1_JF3" -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
データ領域およびシステムファイル領域をRAWファイルで作成する場合(表23-2,表23-3の組み合わせが11-A)
ajsembdbbuild -l -a "ajssys01=/dev/rdb_JF3,ajssys11=/dev/rsys1_JF3" -d /WorkArea_JF3 -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
-
システムファイルを二重化しないで,アンロードログ運用をする場合
データ領域およびシステムファイル領域を通常ファイルで作成する場合(表23-2,表23-3の組み合わせが9-B)
ajsembdbbuild -l -d "/RDArea_JF3,/SYSArea1_JF3" -bs -bl /Unload_Log_JF3 -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
データ領域およびシステムファイル領域をRAWファイルで作成する場合(表23-2,表23-3の組み合わせが11-B)
ajsembdbbuild -l -a "ajssys01=/dev/rdb_JF3,ajssys11=/dev/rsys1_JF3" -d /WorkArea_JF3 -bs -bl /Unload_Log_JF3 -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
-
システムファイルを二重化し,アンロードログ運用をする場合
データ領域およびシステムファイル領域を通常ファイルで作成する場合(表23-2,表23-3の組み合わせが10-B)
ajsembdbbuild -l -d "/RDArea_JF3,/SYSArea1_JF3,/SYSArea2_JF3" -br -bl /Unload_Log_JF3 -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
データ領域およびシステムファイル領域をRAWファイルで作成する場合(表23-2,表23-3の組み合わせが12-B)
ajsembdbbuild -l -a "ajssys01=/dev/rdb_JF3,ajssys11=/dev/rsys1_JF3, ajssys17=/dev/rsys2_JF3" -d /WorkArea_JF3 -br -bl /Unload_Log_JF3 -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
(3) 環境設定パラメーターの設定
UNIXでUTF-8環境のユニット詳細定義のユニット名,ユニット詳細定義のコメント,スケジュール設定の排他ジョブネット名に指定できる文字数を変更する場合,環境設定パラメーターAJSCHARCODEの値を「UTF-8」に変更してください。
環境設定パラメーターの設定については,「4.2 環境設定パラメーターの設定」(Windowsの場合)または「14.2 環境設定パラメーターの設定」(UNIXの場合)を参照してください。
高度なセットアップを行っている場合,jajs_configコマンドはメッセージKAVS1516-Eを出力してエラーになるため,環境設定パラメーターを設定するにはjbssetcnfコマンドを実行してください。jbssetcnfコマンドの詳細については,「4.2.2 jbssetcnfコマンドを使用した環境設定パラメーターの設定手順」(Windowsの場合)または「14.2.2 jbssetcnfコマンドを使用した環境設定パラメーターの設定手順」(UNIXの場合)を参照してください。なお,セットアップは完了していないため,環境設定パラメーターの設定手順のうち,JP1/AJS3の起動については実施しないでください。JP1/AJS3の起動については,「(4) スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ」または「(5) 複数スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ」のあとに実施してください。
(4) スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ
ajsembdbsetupコマンドを使用して,スケジューラーデータベースの内容を組み込みDBにセットアップします。
ajsembdbsetupコマンドを実行すると,次に示す処理が実行されます。
-
組み込みDBのデータベース情報の設定(スキーマ,テーブル)
-
JP1/AJS3環境設定パラメーターの設定
大規模の組み込みDB環境で実行するajsembdbsetupコマンドの指定例を次に説明します。指定例では,次に示す設定値が設定されていることとします。
-
スケジューラーサービス名:AJSROOT2
-
組み込みDBポート番号:22223
-
組み込みDBセットアップ識別子:_JF3
ajsembdbsetup -F AJSROOT2 -ru l -id _JF3 -p 22223
ajsembdbsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2.セットアップコマンド ajsembdbsetup」を参照してください。
- 補足事項
-
-
UNIXでUTF-8環境のユニット詳細定義のユニット名,ユニット詳細定義のコメント,スケジュール設定の排他ジョブネット名に指定できる文字数を変更するには,ajsembdbsetupコマンドの-eオプションに「sjis」を指定する必要があります。
-
ajsembdbsetupコマンドを実行すると,次の表に示す環境設定パラメーターが設定されます。表に示す環境設定パラメーターについては設定値を変更しないでください。各環境設定パラメーターの詳細については,「20.4 スケジューラーサービス環境設定」を参照してください。
表23‒11 ajsembdbsetupコマンド実行時に設定される環境設定パラメーター 環境設定パラメーター
定義内容
ajsembdbsetupコマンドで設定する内容※1
AJSDBTYPE
データベース種別
EmbedDB
TABLENAMEPREFIX
テーブル名プリフィックス
次のどちらかが設定される。
-
-tpオプション指定値
-
AJS1
TABLENAMEPOSTFIX
テーブルID
−
RDBAUTHID
RDB認可識別子
root
RDBUSER
RDBアクセスユーザー名
ajs2
RDBPASSWORD
RDBユーザーパスワード
−
RDBHOST
RDB接続先ホスト名
127.0.0.1
RDBPORT
RDB接続ポート番号
次のどちらかが設定される。
-
-pオプション指定値
-
22220
RDBIPC
RDBサーバとの通信方式
MEMORY
RDBSENDMEMSIZE
RDBプロセス間メモリー通信使用時の送信用メモリーサイズ
次のどちらかが設定される。
-
-sオプション指定値
-
100
RDBRECVMEMSIZE
RDBプロセス間メモリー通信使用時の受信用メモリーサイズ
次のどちらかが設定される。
-
-rオプション指定値
-
1600
DEFLENTYPE
UTF-8環境で使用できる文字数の設定
次のどちらかが設定される。※2,※3
-
-e sjisの場合
sjis
-
-e byteの場合
byte
- 注※1
-
設定内容が数値の場合は,10進数で表記しています。
- 注※2
-
-eオプションは,UNIXでだけ指定できます。
- 注※3
-
Linuxでは-eオプションを省略した場合,byteが設定されます。
-
-
(5) 複数スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ
ここでは,複数のスケジューラーデータベースを組み込みDBとしてセットアップする方法について説明します。
(a) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する
複数のスケジューラーサービスが定義されていて,スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する場合,次に示す領域を別に準備してください。
なお,次に示す領域のうちシステムファイル領域,組み込みDB作業領域,アンロードログファイル作成ディレクトリについては,必要に応じて準備してください。
-
組み込みDB運用ディレクトリ
-
データ領域
-
システムファイル領域
-
組み込みDB作業領域
-
アンロードログファイル作成ディレクトリ
組み込みDB環境構築の際,使用するポート番号および組み込みDBセットアップ識別子が組み込みDB間で重複しないように指定する必要があります。そのため,ajsembdbbuildコマンドおよびajsembdbsetupコマンド実行時にはポート番号を指定するオプション(-p)に,ajsembdbinstlコマンド,ajsembdbbuildコマンド,およびajsembdbsetupコマンドの実行時には組み込みDBセットアップ識別子を指定するオプション(-id)に,組み込みDBごとに異なる値を指定してください。
セットアップの実施例を次に示します。
なお,この実施例は,「23.4.1(2) 組み込みDB環境の構築」および「23.4.1(3) 環境設定パラメーターの設定」で示した環境がすでに構築されていることを前提に記載します。
■ Windowsの場合
- 組み込みDBの環境内容
-
-
データ領域作成ディレクトリ:h:\EmbDB\RDArea
-
システムファイル領域作成ディレクトリ1:i:\EmbDB\SYSArea1
-
システムファイル領域作成ディレクトリ2:j:\EmbDB\SYSArea2
-
アンロードログファイル作成ディレクトリ:k:\EmbDB\Unload_Log
-
組み込みDBインストール先フォルダ:c:\Program Files※\HITACHI\JP1AJS2\embdb\_JF5
-
スケジューラーサービス名:AJSROOT2
-
組み込みDBポート番号:22224
-
組み込みDBセットアップ識別子:_JF5
- 注※
-
64ビット版のWindowsの場合は,「Program Files」を「Program Files (x86)」と読み替えてください。
-
- ajsembdbinstlコマンドの指定内容
ajsembdbinstl -s "c:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\tools\AJS3DB" -i "c:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\embdb\_JF5" -id _JF5
- ajsembdbbuildコマンドの指定内容
ajsembdbbuild -l -d "h:\EmbDB\RDArea,i:\EmbDB\SYSArea1, j:\EmbDB\SYSArea2" -br -bl k:\EmbDB\Unload_Log -i "c:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\embdb\_JF5" -p 22224 -id _JF5
- ajsembdbsetupコマンドの指定内容
ajsembdbsetup -F AJSROOT2 -ru l -id _JF5 -p 22224
■ UNIXの場合
- 組み込みDBの環境内容
-
-
データ領域作成ディレクトリ:/RDArea_JF5
-
システムファイル領域作成ディレクトリ1:/SYSArea1_JF5
-
システムファイル領域作成ディレクトリ2:/SYSArea2_JF5
-
アンロードログファイル作成ディレクトリ:/Unload_Log_JF5
-
組み込みDB運用ディレクトリ:/opt/jp1ajs2/embdb/_JF5
-
スケジューラーサービス名:AJSROOT2
-
組み込みDBポート番号:22224
-
組み込みDBセットアップ識別子:_JF5
-
- ajsembdbinstlコマンドの指定内容
ajsembdbinstl -s /opt/jp1ajs2/tools/AJS3DB -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF5 -id _JF5
- ajsembdbbuildコマンドの指定内容
ajsembdbbuild -l -d "/RDArea_JF5,/SYSArea1_JF5,/SYSArea2_JF5" -br -bl /Unload_Log_JF5 -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF5 -p 22224 -id _JF5
- ajsembdbsetupコマンドの指定内容
ajsembdbsetup -F AJSROOT2 -ru l -id _JF5 -p 22224
ajsembdbinstlコマンド,ajsembdbbuildコマンド,およびajsembdbsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2. セットアップコマンド」を参照してください。
(b) 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップする
一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップする場合,組み込みDB内にはスケジューラーサービスごとに異なるテーブルを作成して管理する必要があります。そのため,ajsembdbsetupコマンド実行時のテーブル名プリフィックスを変更する必要があります。
同じ組み込みDBに対して二つ目のスケジューラーデータベースをセットアップする際のajsembdbsetupコマンドの指定例を次に示します。
-
スケジューラーサービス名:AJSROOT3
-
テーブル名プリフィックス:AJS3
-
組み込みDBセットアップ識別子:_JF0
ajsembdbsetup -F AJSROOT3 -tp AJS3 -ru l -id _JF0
ajsembdbsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2. セットアップコマンド ajsembdbsetup」を参照してください。
- 注意事項
-
-
一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップした環境で,特定のスケジューラーデータベースだけを再構築することはできません。組み込みDB環境にセットアップしたすべてのスケジューラーデータベースの再構築が必要となります。特定のスケジューラーデータベースだけを再構築したい場合は,スケジューラーサービスごとに組み込みDBを用意してください。構築方法については,「(a) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する」を参照してください。
-
一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップした環境で,ajsembdbbackupコマンドを使用してバックアップする場合,特定のスケジューラーデータベースだけを対象にすることはできません。ajsembdbbackupコマンドでのバックアップは,該当する組み込みDB環境にセットアップしたすべてのスケジューラーデータベースをバックアップ対象とし,そのバックアップを使用して回復すると,すべてのスケジューラーデータベースが回復されます。そのため,ajsembdbbackupコマンドおよびajsembdbrstrコマンドでバックアップ・リストアをする場合,該当する組み込みDBにアクセスするすべてのスケジューラーサービスを停止する必要があります。なお,ajsprintコマンドでユニット定義だけをバックアップする場合は,スケジューラーサービスを停止しないで,スケジューラーデータベースごとに取得できます。
また,ajsembdbbackupコマンドで特定のスケジューラーデータベースだけをバックアップ対象としたい場合は,スケジューラーサービスごとに組み込みDBを用意してください。構築方法については,「(a) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する」を参照してください。
-
(6) 組み込みDBの再セットアップ
組み込みDBを再セットアップする場合の,セットアップ手順を次に示します。
-
ユニット定義および実行エージェント情報をバックアップする。
バックアップの方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 2.2.2 JP1/AJS3 - Managerの設定情報のバックアップ」を参照してください。
-
物理ホストおよびすべての論理ホストで,JP1/AJS3サービスを含め,スケジューラーデータベースにアクセスするサービスをすべて停止する。
-
ajsembdbunset -eコマンドで,組み込みDB環境のデータを削除する。
-
組み込みDB運用ディレクトリを変更する場合は,組み込みDBのアンインストール後に,再度インストールする。
-
ajsembdbbuildコマンドで,組み込みDBを構築する。
-
ajsembdbsetupコマンドで,組み込みDBをセットアップする。
-
ajsembdbstopコマンドで,組み込みDBを停止する。
-
JP1/AJS3サービスを起動する。
-
手順1でバックアップした,ユニット定義および実行エージェント情報を回復する。
マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 2.3.3 JP1/AJS3 - Managerの設定情報のリカバリー」を参照してください。
-
運用に必要なジョブネットの実行登録を実施する。
上記の手順に記載したコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド」およびマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2. セットアップコマンド」を参照してください。
- 補足事項
-
-
一つの組み込みDB環境で,複数のスケジューラーデータベースがセットアップされている場合にajsembdbunsetコマンドを実行すると,すべてのスケジューラーデータベースの情報が削除されます。この場合,この項に示した手順のうち,手順1,6,9,10については,組み込みDB環境にセットアップされているすべてのスケジューラーデータベースに対して実施してください。
-
手順9の実行エージェント情報の回復時に,メッセージKNAC1111-Eを出力してエラーになった場合は,登録済みの実行エージェント情報を確認してください。手順1で取得した実行エージェント情報が登録されている場合,このエラーは無視してください。
-
ジョブネットを実行登録しているスケジューラーサービスの組み込みDBを再セットアップした場合は,再セットアップした組み込みDBに対応するスケジューラーサービスをコールドスタートで起動してください。
-
(7) 組み込みDBをバージョン10-00より前の設定に変更する手順
組み込みDBの管理機能をJP1/AJS3 - Managerの10-00よりも前のバージョンに変更する手順を次に示します。
-
操作対象のJP1/AJS3サービスを停止する。
-
組み込みDBを上書きインストールする。
ajsembdbinstlコマンドに-v9standardオプションを指定して実行します。
ajsembdbinstlコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2. セットアップコマンド ajsembdbinstl」を参照してください。
-
システム共通定義ファイルの設定値を変更する。
次のファイルをエディターで開き,設定値を変更します。
- システム共通定義ファイル
-
・Windowsの場合
組み込みDB運用ディレクトリ\conf\pdsys
・UNIXの場合
組み込みDB運用ディレクトリ/conf/pdsys
- <変更前>
-
set pd_mode_conf = MANUAL2
- <変更後>
-
set pd_mode_conf = AUTO※
- 注※
-
バージョン9以前のJP1/AJS3 - Managerでシステム共通定義ファイルを変更している場合は,その値に読み替えてください。
-
DB管理用のJP1/AJS3用起動プロセス定義ファイルおよびJP1/AJS3用拡張起動プロセス定義ファイルにモデルファイルを上書きコピーする。
次に示すファイルを,それぞれのモデルファイルで上書きコピーします。
- Windowsの場合
-
ファイルの種類
ファイル名
モデルファイル
JP1/AJS3用起動プロセス定義ファイル(DB管理)
JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_dbmd.conf
JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_dbmd.conf.v9standard.model
JP1/AJS3用拡張起動プロセス定義ファイル(DB管理)
JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_dbmd_0700.conf
JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_dbmd_0700.conf.v9standard.model
- UNIXの場合
-
ファイルの種類
ファイル名
モデルファイル
JP1/AJS3用起動プロセス定義ファイル(DB管理)
/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_dbmd.conf
/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_dbmd.conf.v9standard.model
JP1/AJS3用拡張起動プロセス定義ファイル(DB管理)
/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_dbmd_0700.conf
/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_dbmd_0700.conf.v9standard.model
-
システム管理用のJP1/AJS3用拡張起動プロセス定義ファイルの設定値を変更する。
次に示すファイルをエディターで開き,「変更前」で示す行の下線部分を変更します。下線部分がすでに「変更後」の値である場合,変更する必要はありません。
- Windowsの場合
-
JP1/AJS3用拡張起動プロセス定義ファイル(システム管理)
JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_service_0700.conf
<変更前>
jajs_dbmd|jajs_dbmd.exe||1|3|3|21600|0|2||1|||||||
<変更後>
jajs_dbmd|jajs_dbmd.exe||0|3|3|21600|0|2||1|||||||
- UNIXの場合
-
JP1/AJS3用拡張起動プロセス定義ファイル(システム管理)
/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_service_0700.conf
<変更前>
jajs_dbmd|jajs_dbmd||1|3|3|21600|0|2||1|||||||
<変更後>
jajs_dbmd|jajs_dbmd||0|3|3|21600|0|2||1|||||||
(8) 組み込みDBのアンインストール
組み込みDBのアンインストールについては,「6.1.1(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする」を参照してください。