6.3.2 インストールを始める前に
インストールおよびセットアップを開始する前に前提条件,必要な情報,および注意事項について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 前提条件
PFM - Agent for Service Responseをクラスタシステムで使用する場合,次に示す前提条件があります。
(a) クラスタシステム
次の条件が整っていることを確認してください。
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クラスタシステムがクラスタソフトによって制御されていること。
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クラスタソフトが論理ホスト運用するPFM - Agent for Service Responseの起動や停止などを制御するように設定されていること。
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実行系および待機系でMicrosoftへのエラー報告を抑止するよう設定されていること。
- 注意
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Windowsでは,アプリケーションエラーが発生すると,Microsoftへエラーを報告するダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスが表示されるとフェールオーバーできないおそれがあるため,エラー報告を抑止する必要があります。設定されていない場合は次のように設定してください。
- Windows Server 2008の場合
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[コントロールパネル]−[システムとセキュリティ]−[アクションセンター]−[メンテナンス]を選択する。
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[問題のレポートの解決策を確認]で[設定]をクリックする。
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[報告された問題の解決策をいつ確認するかを選択します]ダイアログボックスで,[解決策を確認しない]を選択する。
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[OK]ボタンをクリックする。
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- Windows Server 2012の場合
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[コントロールパネル]−[システムとセキュリティ]−[アクションセンター]−[メンテナンス]を選択する。
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[問題のレポートの解決策を確認]で[設定]をクリックする。
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[Windowsエラー報告の構成]ダイアログボックスで,[レポートを送信せず,この確認画面も今後表示しません]を選択する。
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[OK]ボタンをクリックする。
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- Windows Server 2016の場合
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Windowsの[スタート]メニューを右クリックし,[ファイル名を指定して実行]を選択する。
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「gpedit.msc」を入力し,[OK]ボタンをクリックする。
ローカルグループポリシーエディターが表示されます。
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[コンピュータの構成]−[管理用テンプレート]−[Windows コンポーネント]−[Windows エラー報告]をクリックする。
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右ペインにある[Windows エラー報告を無効にする]を右クリックし,[編集]を選択する。
設定画面が表示されます。
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設定画面で[有効]をチェックする。
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[OK]ボタンをクリックする。
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クラスタシステムの運用中にPFM - Agent for Service Response 08-00をバージョンアップする場合,共有ディスク上に計測条件登録ファイルをコピーしておく必要があります。詳細については,「6.3.4 セットアップ」を参照してください。
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(b) 共有ディスク
次の条件が整っていることを確認してください。
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論理ホストごとに共有ディスクがあり,実行系ノードから待機系ノードへ引き継げること。
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共有ディスクが,各ノードに物理的にFibre ChannelやSCSIで接続されていること。
Performance Managementでは,ネットワークドライブや,ネットワーク経由でレプリケーションしたディスクを共有ディスクとして使う構成はサポートされていません。
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フェールオーバーの際に,何らかの問題によって共有ディスクを使用中のプロセスが残った場合でも,クラスタソフトなどの制御によって強制的に共有ディスクをオフラインにしてフェールオーバーできること。
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1つの論理ホストで複数のPFM製品を運用する場合,共有ディスクのフォルダ名が同じであること。
なお,Storeデータベースについては格納先を変更して,共有ディスク上のほかのフォルダに格納できます。
(c) 論理ホスト名,論理IPアドレス
次の条件が整っていることを確認してください。
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論理ホストごとに論理ホスト名,および論理ホスト名と対応する論理IPアドレスがあり,実行系ノードから待機系ノードに引き継げること。
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論理ホスト名と論理IPアドレスが,hostsファイルやネームサーバに設定されていること。
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DNS運用している場合は,FQDN名ではなく,ドメイン名を除いたホスト名を論理ホスト名として使用していること。
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物理ホスト名と論理ホスト名は,システムの中でユニークであること。
- 注意
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論理ホスト名に,物理ホスト名(hostnameコマンドで表示されるホスト名)を指定しないでください。正常に通信処理がされなくなる可能性があります。
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論理ホスト名に使用できる文字は,1〜32バイトの半角英数字です。次の記号および空白文字は指定できません。
/ \ : ; * ? ' " < > | & = , .
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論理ホスト名には,"localhost",IPアドレス,"-"から始まるホスト名を指定できません。
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(d) IPv6を使用する場合の設定
Performance Managementでは,ネットワーク構成がIPv4環境だけでなくIPv6環境にも対応しています。そのため,IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワーク構成でもPerformance Managementを運用できます。PFM - Agent for Service Responseでは,PFM - ManagerとIPv6で通信できます。
ただし,PFM - Managerが導入されているホストのOSがWindowsまたはLinuxの場合に限ります。
IPv4環境とIPv6環境での通信の適用範囲については,「付録K IPv4環境とIPv6環境での通信について」を参照してください。
IPv6で通信する場合,PFM - ManagerホストとPFM - AgentホストのそれぞれでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。また,PFM - Agent for Service Responseをインストールする前に,PFM - AgentホストでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。この設定はjpcconf ipv6 enableコマンドで実行しますが,すでに有効になっている場合,この設定は必要ありません。IPv6の利用設定を確認するためには,jpcconf ipv6 displayコマンドを実行します。コマンドの実行要否は次のとおりです。
- jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が必要なケース
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それぞれのホストで,IPv4環境からIPv6環境に変更する場合
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IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerをIPv4環境からIPv6環境に変更する場合
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- jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が不要なケース
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それぞれのホストが,すでにIPv6環境である場合
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IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerがIPv6環境である場合
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jpcconf ipv6 enableコマンドの実行例を次に示します。
jpcconf ipv6 enable
jpcconf ipv6 enableコマンドは,実行系ノードおよび待機系ノードで,それぞれで実行してください。
jpcconf ipv6 enableコマンド,jpcconf ipv6 displayコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。また,jpcconf ipv6 enableコマンドを実行する条件やタイミングについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のIPv6環境が含まれる場合のネットワーク構成例について説明している章を参照してください。
(2) 論理ホスト運用するPFM - Agent for Service Responseのセットアップに必要な情報
論理ホスト運用するPFM - Agent for Service Responseをセットアップするには,通常のPFM - Agent for Service Responseのセットアップで必要になる環境情報に加えて,次の表の情報が必要です。
項目 |
例 |
---|---|
論理ホスト名 |
jp1-halsr |
論理IPアドレス |
172.16.92.100 |
共有ディスク |
S:\jp1 |
なお,1つの論理ホストで論理ホスト運用するPerformance Managementシリーズプログラムが複数ある場合も,同じ共有ディスクのフォルダを使用します。
共有ディスクに必要な容量については,「付録A システム見積もり」を参照してください。
(3) PFM - Agent for Service Responseで論理ホストをフェールオーバーさせる場合の注意事項
PFM - Agent for Service Responseを論理ホスト運用するシステム構成の場合,PFM - Agent for Service Responseの障害によって論理ホスト全体をフェールオーバーさせるかどうかを検討してください。
PFM - Agent for Service Responseの障害で論理ホスト全体をフェールオーバーさせると,同じ論理ホストで運用する業務アプリケーションもフェールオーバーすることになり,業務に影響を与える可能性があります。
通常は,PFM - Agent for Service Responseに異常が発生しても,同じ論理ホストで運用しているシステムの動作に影響がないように,次のどちらかのようにクラスタソフトで設定することをお勧めします。
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PFM - Agent for Service Responseの動作監視をしない
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PFM - Agent for Service Responseの異常を検知してもフェールオーバーしない