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JP1 Version 11 JP1/Service Level Management


1.3 JP1/SLMのシステム構成

JP1/SLMは,サービスの提供サーバと利用者の間でやり取りされるHTTPパケットを収集するJP1/SLM - URと,JP1/SLM - URが収集したHTTPパケットを基にサービスの状況を監視するJP1/SLM - Managerで構成されます。

サービスの状況(サービス性能)の監視を主体としたシステム構成をサービス監視構成といいます。サービス性能だけ監視する構成と,サービス性能およびJP1/PFMと連携してシステム性能を監視する構成から成ります。

JP1/SLMを使用してサービス性能だけを監視する場合のシステム構成を次の図に示します。

図1‒10 サービス性能だけを監視する場合のシステム構成図

[図データ]

図中で示した要素のうち,特に説明が必要な要素の役割について説明します。

JP1/SLM - Manager

JP1/SLM - URが収集したHTTPパケットを集計・分析し,サービスの状況を監視します。監視結果は,監視者のマシン上で表示できます。また,ファイルに出力してレポートの作成に使用することもできます。

1つのJP1/SLM - Managerに対し,複数のJP1/SLM - URを接続できます。

JP1/SLM - UR

スイッチを通じてサービス利用者とサービスの提供サーバの間でやり取りされるリクエストおよびレスポンスのHTTPパケットを収集します。スイッチごとに配置します。

1つのJP1/SLM - URで,複数のサービスを監視できます。

また,ネットワーク負荷を軽減させるため,システム構成図に示すように,スイッチと接続するインタフェース,およびJP1/SLM - Managerと接続するインタフェースをそれぞれ用意することを推奨します。

注意事項

・JP1/SLM - URでは,サービス監視用と,JP1/SLM - Managerとの通信用の2種類のポートを使用します。スイッチの仕様によって,ミラー先のポートで通常のTCP/IP通信ができない場合,サービス監視用のポートをJP1/SLM - Managerとの通信用のポートと共用することはできません。この場合はスイッチと接続するネットワークインタフェースカード,およびJP1/SLM - Managerと接続するネットワークインタフェースカードをそれぞれ用意してください。

・負荷分散装置を使用する場合は,システム構成内でJP1/SLM - URを配置する位置によってJP1/SLM - URが監視する範囲が異なります。負荷分散装置の外側にJP1/SLM - URを配置すると,負荷分散装置によって分散しているサービスは1つのサービスとして監視されます。システム構成内で負荷分散装置の内側にJP1/SLM - URを配置すると,負荷分散装置によって分散しているサービスは個別のサービスとして監視されます。負荷分散装置を使用する場合のJP1/SLM - URの配置と監視される範囲を次の図に示します。

図1‒11 負荷分散装置を使用する場合のJP1/SLM - URの配置と監視される範囲

[図データ]

JP1/Base

認証サーバとして,JP1/SLM - Managerにアクセスして監視を実行するユーザー(JP1ユーザー)を管理します。

スイッチ

外部のネットワークと内部のネットワークの間に設置するネットワークスイッチです。ポートミラーリング機能のあるネットワークスイッチでなければなりません。

また,JP1/PFMと連携してシステム性能の監視や可用性の監視をする場合は,システムにJP1/PFM関連の製品が必要です。

JP1/PFMと連携する場合のシステム構成例を次に示します。

図1‒12 JP1/PFMと連携する場合のシステム構成例

[図データ]

図中で示した要素のうち,JP1/PFMの製品の役割について説明します。

JP1/PFM - Base

JP1/PFM - Agent,JP1/PFM - Agent for Service Response,またはJP1/PFM - RMが収集したデータをJP1/PFM - ManagerおよびJP1/SLM - Managerに送信します。

JP1/PFM - Manager

JP1/SLM - Managerからの要求に応じて,構成情報をJP1/SLM - Managerに送信します。なお,JP1/PFM - Managerは,JP1/PFM - Baseとしての機能も持っています。同じホスト内にJP1/PFM - Agent,JP1/PFM - Agent for Service Response,またはJP1/PFM - RMがある場合,これらの製品で収集したデータをJP1/SLM - Managerに送信します。

JP1/PFM - Agent

監視エージェントとしての機能を持ち,監視対象ホストのシステム性能を監視します。監視対象ホストと同じホストにインストールします。

JP1/PFM - RM

監視エージェントとしての機能を持ち,監視対象ホストのシステム性能を監視します。監視対象ホストとは異なるホストにインストールします。

JP1/PFM - Agent for Service Response

監視エージェントとしての機能を持ち,監視対象ホストの可用性監視のための稼働データを収集します。

JP1/PFM - Web Console

JP1/PFMの機能を使用して詳細なシステム性能を調査するための画面を提供します。監視対象サービスの障害の予兆を検知した際,問題となるホストを特定できた場合に,JP1/SLMの画面から起動します。

システム性能の監視を主体としたシステム構成をシステム監視構成といいます。システム性能だけ監視する構成を指します。システム監視構成のシステム構成を次に示します。

図1‒13 システム性能だけを監視する場合のシステム構成例

[図データ]

JP1/SLM - ManagerおよびJP1/SLM - URは,クラスタシステムで運用できます。クラスタシステムで運用する場合のシステム構成および必要な要素については,「6.1.2 クラスタシステムでのJP1/SLMのシステム構成」を参照してください。