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JP1 Version 11 JP1/Service Level Management


1.1.3 定期報告に必要なレポートの作成を支援します

サービスの提供者は,サービスの状況に異常が見られない場合でも,サービスの提供品質について定期的に調査する必要があります。特に,サービスの提供者がデータセンターに業務システムの管理・運用を委託して,データセンターからサービスを利用者に提供している場合には,データセンターはサービスの提供者に対してレポートを提出するなどしてサービスの状況を定期的に報告することが求められます。

JP1/SLMを使用すると,指定した期間でのサービスの監視結果を表示できます。表示させる項目は使用する場面に合わせて選択でき,選択した内容をテンプレートとして保存することもできます。また,監視結果をCSVファイルに出力することもできます。これによって,定期的な確認やレポートの作成期間を短縮でき,効率良くサービスの管理・運用ができるようになります。

JP1/SLMでのレポートの表示結果例を次の図に示します。

図1‒7 JP1/SLMでのレポートの表示結果例

[図データ]

このレポートの表示結果からは,2015年4月1日からの1か月間で監視対象サービスの平均応答時間,スループット,およびエラー率という3つの監視項目を監視した結果がわかります。

例えば,各監視項目の平均値,SLO遵守率,先月比が表示された一覧表からは,SLOの遵守率が100%であることから,2015年4月についてはサービスレベルを維持しつつ利用者にサービスを提供できたといえます。また,グラフの変化の推移(グラフの傾きが上昇傾向にあるなど)からは,システムの増強が必要であるのかどうかを検討することもできます。

なお,レポートは,サービス単位のほか,サービスの処理単位でも表示できます。

監視対象サービスの状況の定期的な評価の例

ここでは,サービスレベルの維持ができているかを定期的に評価することで,システム増強の要否を検討する場合の例について説明します。

JP1/SLMでサービスレベルの確認・評価をする流れを次の図に示します。

図1‒8 JP1/SLMでサービスレベルの確認・評価をする流れ

[図データ]

 

2015年4月1日に,JP1/SLMによるサービスの状況の監視を開始しています。また,監視の開始後は,毎週末に1週間のサービスレベルを確認して,問題がないかどうか評価しています。

2015年4月8日の評価では問題がないものの,翌週の2015年4月15日では監視結果を示すグラフの傾向からサービスレベルが低下していることに気づき,月の最後の2015年4月29日の評価では,月末になるとサービスレベルが低下するという傾向があることが明らかになっています。この監視結果から,JP1/SLMを使用する監視者は,サービス利用者の満足度向上のため,システム増強の提案を検討しています。

このように,JP1/SLMはサービスレベルの定期的な評価に使用でき,監視結果をサービスの利用者の満足度向上に役立てることができます。

なお,この事例については,監視項目の設定例を「3.3.4 監視対象サービスの状況の定期的な評価の設定例」,監視の実行例を「4.6.4 監視対象サービスの状況の定期的な評価の実行例」で説明しています。