3.3.4 監視対象サービスの状況の定期的な評価の設定例
ここでは,「1.1.3 定期報告に必要なレポートの作成を支援します」の監視対象サービスの状況の定期的な評価の例について説明します。
JP1/SLMを使用した監視対象サービスの状況の定期的な評価について,ある条件に基づいて具体的にどのように検討・設定するとよいかを,例を用いて説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 前提条件
この設定例の条件は,次のとおりです。
サービスの提供品質(サービスレベル)について,サービスの委託元(サービスの提供者)と委託先(データセンター)の間で契約はなく,データセンターでは最低限の監視だけが求められている。
サービスの委託元の担当者は,月々のサービスレベルによってはシステム増強に応じる姿勢でおり,データセンターのすべてのサービスの監視者はサービスの委託元の担当者に対して定期的な報告をすることにしている。
委託されたサービスは,次のとおり監視対象サービスとして登録されている。
サービスグループ:Group01
サービスグループGroup01に属するサービス:Service01〜Service03
サービスグループ:Group02
サービスグループGroup02に属するサービス:Service04,Service05
サービスグループ:Group03
サービスグループGroup03に属するサービス:Service06
サービスグループ:Group04
サービスグループGroup04に属するサービス:Service07
この作業に関わる担当者の関係は次の図のとおり。
図3‒44 監視対象サービスの状況の定期的な評価(設定例)に関わる担当者の関係 すべてのサービスの監視者
SLAを締結していないため,各監視項目についてしきい値を検討し,[設定]画面で監視項目を設定する。また,監視結果をサービスの委託元の担当者に対して定期的に報告する必要がある。
サービスの委託元の担当者
サービスを委託した,サービスの提供者である。委託先のすべてのサービスの監視者からの定期報告を受ける。定期報告時にシステムの増強について提案を受けた場合は検討の上,妥当であれば承認する。
すべてのサービスの監視者に対してサービスレベルの管理は要求していない。
(2) しきい値の定義
- JP1/SLMでの監視項目の設定に向けた作業
すべてのサービスの監視者は,サービスの委託元の担当者から得たサービスの利用者数やサービスの内容などの情報に基づき,次のようにしきい値を定義することにしました。
平均応答時間:3,000ミリ秒
スループット:800件/秒
エラー率:1.0%
- 作業の結果
しきい値が定義できたため,すべてのサービスの監視者は各監視対象サービスについて,監視項目を設定することにしました。
(3) 監視項目の設定
- JP1/SLMでの作業
すべてのサービスの監視者は,JP1/SLM - Managerにログインして[設定]画面を表示し,定義したしきい値に基づき,監視対象サービスの監視項目を設定することにしました。
しきい値に基づいた監視対象サービスの監視項目の設定例を次の図に示します。
図3‒45 しきい値に基づいた監視対象サービスの監視項目の設定例 この図では,サービスグループ「Group01」のサービス「Service01」の「All Web Access」に対して監視項目を設定しています。監視項目の設定内容は,次のとおりです。
- [SLO監視設定]
-
表3‒17 [SLO監視設定]での設定内容例 チェックボックス
項目名
しきい値
チェックボックス
傾向監視
チェックする
平均応答時間
3000
チェックしない
−
チェックする
スループット
800
チェックしない
−
チェックする
エラー率
1.0
−
−
(凡例)
−:設定できません。
[SLO監視設定]では,しきい値として定義した内容を設定しました。
なお,サービスレベルの管理について契約はしていないため,傾向監視や外れ値検知の設定はしていません。ただし,[ベースライン算出日数]と[開始日数]は入力が必須であるため,デフォルト値を入力したままにしています。
- 作業の結果
サービスグループ「Group01」のサービス「Service01」について設定が完了したため,残りの監視対象サービスについても同様に監視項目の設定をすることにしました。
すべての監視対象サービスの設定が完了したあと,監視を実行します。監視の実行例については,「4.6.4 監視対象サービスの状況の定期的な評価の実行例」を参照してください。