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JP1 Version 11 JP1/Base 運用ガイド


2.4.4 監視できるログファイル

ログファイルトラップは,さまざまな形式のログファイルを監視できます。監視対象のログファイルの形式を確認して,ログファイルトラップ動作定義ファイルにログファイルの形式を指定します。

ここでは,監視できるログファイルの形式を説明します。ログファイルの形式を確認する流れについては,「11.1.1 アプリケーションプログラムのログファイルの形式を確認する」を参照してください。

監視できるログファイルの形式を次に示します。

UNIXのログファイルトラップでは,シンボリックリンクが設定されたファイルも監視できます。ただし,リンク先の変更に対応できるログファイルの形式はSEQ2だけです。

〈この項の構成〉

(1) 監視できるログファイルの形式(SEQ)

シーケンシャルファイル(SEQ)

一つのログファイルに追加書き込みし続けるファイル,または,ログファイルが一定の容量に達すると,別のファイル名で新たにログファイルを作成して書き込むファイルです。

ログファイルトラップ動作定義ファイルには「SEQ」と指定します。

監視対象のログファイルのサイズに制限はありません。

シーケンシャルファイル(SEQ)の動作を次の図に示します。

図2‒14 シーケンシャルファイル(SEQ)の動作

[図データ]

(2) 監視できるログファイルの形式(SEQ2)

シーケンシャルファイル(SEQ2)
  • Windowsの場合

    同一ボリューム内でファイル名を変更したあと,変更前のファイル名と同じ名称のファイルを作成して新たにログを書き込むファイルです。

  • UNIXの場合

    ファイル名を変更,またはファイルをいったん削除したあと,変更または削除前のファイル名と同じ名称のファイルを作成して新たにログを書き込むファイルです。

ログファイルトラップ動作定義ファイルには「SEQ2」と指定します。

監視対象のログファイルのサイズに制限はありません。

シーケンシャルファイル(SEQ2)の動作を次の図に示します。

図2‒15 シーケンシャルファイル(SEQ2)の動作

[図データ]

(3) 監視できるログファイルの形式(SEQ3)

シーケンシャルファイル(SEQ3)
  • Windows限定

    ファイルをいったん削除したあと,削除前のファイル名と同じ名称のファイルを作成して新たにログを書き込むファイルです。

    Windowsでは,この形式のログファイルを監視する場合,ログファイルトラップ動作定義ファイルには「SEQ3」と指定します。Windowsでログファイルトラップ動作定義ファイルに「SEQ2」を指定しても,この形式のログファイルは監視できません。

    監視対象のログファイルのサイズに制限はありません。

シーケンシャルファイル(SEQ3)の動作を次の図に示します。

図2‒16 シーケンシャルファイル(SEQ3)の動作

[図データ]

(4) 監視できるログファイルの形式(WRAP1)

ラップアラウンドファイル(WRAP1)

ログファイルが一定の容量に達すると,ラップアラウンドして,再び先頭からデータを上書きする形式のファイルです。

ログファイルトラップ動作定義ファイルには「WRAP1」と指定します。

監視できるログファイルのサイズは2ギガバイト未満です。

また,監視対象のファイルと同じサイズの空きディスク容量が必要です。

ラップアラウンドファイル(WRAP1)の動作を次の図に示します。

図2‒17 ラップアラウンドファイル(WRAP1)の動作

[図データ]

(5) 監視できるログファイルの形式(WRAP2)

ラップアラウンドファイル(WRAP2)

ログファイルが一定の容量に達してラップアラウンドするとき,データを削除して再び先頭からデータを書き込む形式のファイルです。

ログファイルトラップ動作定義ファイルには「WRAP2」と指定します。

監視対象のログファイルのサイズに制限はありません。

ラップアラウンドファイル(WRAP2)の動作を次の図に示します。

図2‒18 ラップアラウンドファイル(WRAP2)の動作

[図データ]

(6) 監視できるログファイルの形式(HTRACE)

マルチプロセス対応トレースファイル(HTRACE)

Cosminexusなどの日立のミドルウェア製品が出力するログファイルの形式の一つで,複数のプロセスが一組のトレースファイルを共有するメモリマップドファイルを使用した固定サイズのファイルです。

ログファイルトラップ動作定義ファイルには「HTRACE」と指定します。

ログファイルの書き込み方法はラップアラウンドファイル(WRAP1)と同様です。マルチプロセス対応トレースファイル(HTRACE)の場合は,ログファイルが一定の容量(16メガバイトが上限)に達すると,ラップアラウンドして,再び先頭からデータを上書きします。データの書き込み時にファイルの更新日時は更新されません。監視対象のログファイルがマルチプロセス対応トレースファイルかどうかは,各製品のマニュアルを参照してください。

マルチプロセス対応トレースファイル(HTRACE)の動作を次の図に示します。

図2‒19 マルチプロセス対応トレースファイル(HTRACE)の動作

[図データ]

(7) 監視できるログファイルの形式(UPD)

UPDタイプのログファイル(UPD)

ファイル名に日付など不定な文字列が設定されるログファイルを監視するときに使用します。不定な文字列部分は,ワイルドカードで指定します。

ログファイルトラップ起動時には,ワイルドカードの指定に該当するファイルのうち,最新の更新日時のログファイルを監視対象とします。また,ログファイルトラップ起動中(監視中)は,監視中に新規作成されたワイルドカードの指定に該当するファイルのうち,最新の更新日時のログファイルへと監視を切り替えます。したがって,ログが書き込まれたときにファイルの更新日時情報が更新される必要があります。

一つのログファイルに追加書き込みし続けるファイル,または,ログファイルが一定の容量に達すると,別のファイル名で新たにログファイルを作成して書き込むファイル(シーケンシャルファイル)を継続して監視できます。

ログファイルトラップ動作定義ファイルには「UPD」と指定します。

監視対象のログファイルのサイズに制限はありません。

UPDタイプのログファイルの動作を次の図に示します。

図2‒20 UPDタイプのログファイルの動作

[図データ]

  1. 起動コマンド(jevlogstartコマンド)実行時,監視対象ファイル名はワイルドカードを含むように指定する。

  2. ワイルドカード指定に該当するファイルだけ(上限1,000)が監視対象の候補となる。

    起動時に上限を超えていた場合,起動エラーとなります。また,監視中に上限を超えた場合,エラーメッセージを出力して,ログファイルトラップを停止します。

  3. 起動時は,監視対象候補のファイルの中から最新更新日時のログファイル一つを決定して,監視を開始する。

  4. 起動中は,監視間隔ごとに監視対象ログファイルの見直し(新規ファイルが作成されているかどうか)をする。

  5. 新規にファイルが作成されていた場合,監視中の未処理分のログを処理したあと,監視対象のログファイルを切り替える。

    新規に作成されたファイルだけが監視の切り替えの対象であり,そのほかのファイルの最終更新日時が更新されても監視の切り替えはしません。新規ファイルが複数個あった場合は,その中から最新更新日時のファイル一つを決定して,切り替え対象とします。