Hitachi

Hitachi System Information Capture リファレンス 


1.3.5 PCAP実行

PCAP実行方式は本番環境の既存システム側で取得したpcap形式ファイルのパケットをプロトコル電文に組立、任意のタイミングでテスト対象システムへ送信する実行方式です。pcap形式ファイルからパケットを読み込み、要求電文をテスト対象システムへ送信します。

並行実行と同様に、テスト対象システムから応答電文受信を受信するとpcap形式ファイルの応答電文と内容を比較し内容に相違がある場合は比較エラー情報ファイルに履歴を保存します。テスト終了後、応答電文の相違内容を確認することが出来ます。

図1‒10 PCAP 実行を行った場合の概要

[図データ]

システムテスト支援の定義方法

キャプチャ対象の各マシン上で作成したpcap形式ファイルを格納したディレクトリ名をcapture_network_interfaceの-i pcapdirオペランド、既存システム側のキャプチャ対象IPアドレス範囲(最小と最大)をcapture_definitionの-f ipaddrオペランドで指定します。

なお、指定したIPアドレス範囲はキャプチャしたパケットが既存システム向けか、外部システム向けかの判定にも使用します。その為、必ず既存システム側のIPアドレス範囲を指定してください。

外部システム側のIPアドレスを指定した場合は、電文転送が正常に行えません。

システムテスト支援では、pcap形式ファイルから読み出したパケットを即時に処理する為、テスト対象システムへのトラフィックが実際の業務時のトラフィックより大きくなる場合があります。

トラフィックを制御したい場合は、reply_send_modeオペランドにより電文送信方法を指定してください。以下に、pcap形式ファイル使用時の定義例を示します。

図1‒11 pcap 形式ファイル使用時の定義イメージ

[図データ]

複数のpcap形式ファイルのシリアライズ

システムテスト支援ではpcap形式ファイルが複数指定された場合、各pcap形式ファイルを同時に読み込み、キャプチャ時刻(マイクロ秒精度)の順にシリアライズして処理します。これにより、キャプチャコマンド実行時のパケット通信と同じ順番でシステムテスト支援でもパケットを処理できます。なお、キャプチャ時刻が完全に一致するパケットは、システムテスト支援のpcap形式ファイルの定義順にパケットを処理します。

図1‒12 パケットのシリアライズ

[図データ]

キャプチャ時刻は、キャプチャコマンド実行マシンのマシン時刻となります。その為、複数マシン上で取得したpcap形式ファイルを使用し、かつ、マシン間で時刻差異がある場合はキャプチャコマンド実行時のパケット通信と異なる順番でシステムテスト支援がパケットを処理する可能性があります。また、複数のpcap形式ファイル間で同一パケットが存在する場合、通常は重複パケットを破棄しますが、時刻差異が大きい場合は不当にパケットを破棄する可能性があります。したがって、マシン間の時刻差異が極力小さい状態で、pcap形式ファイルを作成する事を推奨します。